中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第861話 小売、卸売、サービス業のための統計学のすすめ(1)

2019年11月24日 | 仕事

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

統計学と聞いて「数学」を思い出し、拒否反応を起こしてしまう経営者の方は多いようです。特に中小企業の社長さんには人気(?)がありません。

統計学を活用している業種といえば、真っ先に思い浮かぶのは製造業です。自分たちの作る製品の品質が会社の利益を大きく左右しますから、統計学の手法を使った品質管理は必須です。しかし、小売業や卸売業のような仕入販売を生業とする業種では、統計学を活用している会社は少ないようです。

ところが、仕入販売業は日々大量のデータを扱うため、社員、特に営業担当者が接する数字の量はむしろ製造業よりも多いと思います。そして、(残念ながら)他業種に比べれは利益率は決して高くありませんから、細かい数字もしっかり押さえる必要があります。

そこで、(1)大量のデータを扱う、(2)利益率が低い、という特徴を持つ小売業、卸売業、サービス業に焦点を当てた「統計学のすすめ」をこれから3回にわたって解説してまいります。付け加えるならば、「中小企業こそ今すぐに活用すべき内容」であることを強調しておきます。

さて、2019年4月から働き方改革関連法が施行されました。残業時間の「罰則付き上限規制」は大企業に対してはすでに実施されており、中小企業も2020年4月から実施されます。残業が多い社員ほど評価されるといった、「時間の量」で測る管理はできなくなります。

言うまでもなく、営業担当者にとって顧客と接する時間は何よりも大切なものです。「お客様とは何度も会って、徐々に信頼関係を築いていくのが営業の仕事だ」そう信じている社長さん、管理職の方は多いことでしょう。

では、それが否定されることになるのでしょうか?統計学の話を絡めて考えてみましょう。

お客様との信頼関係は営業の基本であり、原理原則といえるものです。人であれ企業であれ、相手を信用することが、商品やサービスを買う前提です。そして、相手を信頼するからこそ継続して取引をするのです。ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」と言っています。顧客(customer)とは継続して取引を続ける相手であり、それは信頼を得ることで創造(create)される対象であるというわけです。

では、信頼関係を築いていく方法は「何度も会う」以外にはないのでしょうか。私は決してそうは思いません。もちろんお客様と面と向かって(face to face)会うことは大事なことです。

ただし、会って時間を過ごすこと自体が大事なのではありません。お客様の抱える問題や要望に対して適切な答えを提示することが本当に大事なことです。

「そんなことはわかっている」とおっしゃるかもしれませんが、お客様の要望の背景には様々な要因が潜んでいます。「顧客ニーズを把握せよ」というのは営業の鉄則です。しかし、ニーズを直接聞きだすことができても、その背景にある要因までリーチしなければ、本当にニーズを把握したとは言えません。

あるスーパーが仕入れた商品の売れ行きが良くなかったとします。スーパーは、従業員を残業させたり、その商品を卸した商社から営業担当者を派遣させて、閉店まで販売活動を手伝わせるとします。しかし、それで成果が得られるのでしょうか。

それよりもスーパーが持っている過去のデータ、例えば月別、曜日別、時間別のデータを調べ、抱き合わせが可能な他の商品との棚割り、他店の売り上げ動向などと比較して「何が売上に影響しているのか」を探るべきです。

具体的にはそうしたデータを集めてグラフ化するだけではなく、売上と関連がありそうなデータ同士の相関を調べてみることです。

相関とは「一方が変わればもう一方もそれに連れて変わるという関係」です。単純な例としては「最高気温が高いとアイスクリーム類の売上が増える」といったものです。気温(原因)が売上(結果)に影響を与えています。

相関関係は、原因が1つだけではなく、複数である場合も考えられます。また、原因が直線的に結果に影響を与えているとは限りません。

「アイスクリームの売上には気温以外に何かの要因が影響しているのではないか? そしてその影響はどの程度確かなのか?」

こうした疑問に答えるのが統計学であり、その道具として使うのは(おそらく)皆さんのパソコンに入っているExcelです。

むやみに残業をして(させて)売上を増やそうとするよりも、統計学を使って「打ち手」を考えることに時間を使った方がより大きな成果が望めます。

営業部門のマネージャーの方は、ぜひ部下の営業部員に初歩的な統計学の知識を身につけさせてください。現状のままで「残業規制」を行っても、残業時間は減るかもしれませんが利益は増えません。

営業活動の「量から質」への転換は、統計学なくしては難しいのです。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

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