中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第818話 パワハラの予防・解決には、部下にもパワハラの知識を

2019年06月26日 | 仕事

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。

最近では、新聞やテレビなどでパワーハラスメント(以下パワハラ)に関する話題が取り上げられない日はないのではないかと思えるくらい、パワハラの問題がクローズアップされています。(このブログでもこれまでに何度もパワハラについて言及しています。)

それにともない、官民問わず様々な組織でパワハラの予防・解決に向けた様々な取り組みが行われています。

実際に、弊社でも昨年からパワハラに関する研修を担当させていただく機会がうなぎのぼりに増えています。

この研修の対象者は圧倒的に管理職が多いのですが、弊社では管理職以外に部下となる社員・職員も一緒に受講していただくことをお勧めしています。

その理由は、「パワハラに対する知識は、管理職だけが持てば良いからではない」からです。

ここで、改めてパワハラの定義を確認してみましょう。厚生労働省では、次のように定義しています。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

この定義では、「職場内の優位性を背景に・・・」とありますが、多くの場合優位にあるのは管理職の方ですから、一般的にはパワハラは圧倒的に上司側から部下に対して行われてしまうことが多いのです。

とはいえ、中には下位者から上位者へ対してパワハラが行われてしまうこともあります。弊社が過去に相談を受けた事例では、異動してきた上司が気に入らないとのことで、部下が結託して上司に嫌がらせを行い、上司を心の病に追い込んでしまったという話もあります。

このようにパワハラは管理職、部下の双方の側で行われてしまう可能性があります。問題なのは管理職にも部下にも「パワハラであるかどうかの判断は、受けた側ができる」と間違った解釈をしてしまっている人がいることです。

厚生省では「パワーハラスメントの6類型」を次のように示しています。

(1)身体的な攻撃

(2)精神的な攻撃

(3)人間関係からの切り離し 

(4)過大な要求 

(5)過小な要求 

(6)個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること

実際に、冒頭の例のような誤解を放置してしまったある企業で、上司が仕事のやる気が少々落ちていると思われる部下に「頑張れよ!」と穏やかな口調で肩をポンとたたいたことに対して、部下がそれをパワハラととらえ「パワハラを受けたので、退職します」と人事部に駆け込んだという話も聞きました。

この例は言うまでもなく、パワハラとは明らかに異なります。しかし、同時にパワハラと指導との線引きの判断に悩んでいる、部下にパワハラと受け取られてしまうことを必要以上に恐れて、本来必要な指導を控えてしまう管理職の話も本当によく聞きます。

しかし、弊社が行う管理職を対象にしたパワーハラスメント防止研修のなかで受講者から受ける質問の99%は、「それのいったいどこがパワハラなのか?どう考えても指導ではないのか」と言わざるを得ないようなものばかりです。つまり、管理職と部下双方がパワハラの正しい知識や線引きの事例などをきちんと理解していないが故に、特に管理職の側で不必要にパワハラを恐れてしまっている人が多いということです。

こうしたことを防ぎ、必要な指導がきちんとなされるためにも、双方がパワハラに関する正しい認識を持ち、共有することはとても重要なことです。

パワハラは絶対に許されない、してはいけない行為です。しかし、それを恐れるあまり、するべきことをしない管理職が少なからずいるという問題も、同じように放置してはならない大きな問題だと考えています。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

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