「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「社員の異動 応募制に」
先日(2024年5月19日)の日経新聞の朝刊を読んでいたところ、この記事のタイトルが目に飛び込んできました。
記事には三井住友海上保険の人事制度(異動)の刷新について書かれていたのですが、来年4月より社員は少なくとも4年に1回、自らが希望する勤務地やポストに応募する必要があり、会社はそのポストに就くためのスキル習得も後押しするとのことです。また、全国の部支店が募集するポストや社員に求めるスキルを示し、社員は自身が習得したスキル、希望のキャリアに沿って応募することができるとありました。
このように、近年では社員が希望する部署へ配属や異動ができるような制度を設ける組織が増えています。制度の導入により社員のやる気につながり、離職を減少させるなどの効果も期待できますので、今後導入する企業がますます増えていくのではないかと考えています。
しかし、一方で人気部署に応募が集中して偏ってしまうことや、異動希望が少ない部署などは半ば人が固定されてしまい、その結果仕事が属人化してしまうことなどが懸念されるのではないかと考えます。また、最も難しいと思うのは、募集部署で必要となるスキルの示し方や応募の際の保有しているスキルのアピール方法など、制度を適切に運用するためにはクリアすべき課題もかなりあるのではないかと思います。
ところで、この記事を読んだときに私が思い出したのが、先日NHKで放送された「新プロジェクトX~挑戦者たち~ 弱小タッグが世界を変えた~カメラ付き携帯 反骨の逆転劇~」です。この番組で紹介されたうちの一人が、18歳でシャープに事務職として入社した後、独学で開発研究職にたどり着いた宮内裕正さんの話です。宮内さんは事務職から開発研究職への異動を希望するにあたり、休日にも出社してひたすら勉強し、試行錯誤を重ねて最終的にカメラ付き携帯の商品化に尽力したのだそうです。
番組の中で宮内さんが発した言葉のうち、強く印象に残っているのは「自分のゴールを設定したら、(自分が)実際何を知らないのか、何を学ばないといけないのか具体的になります。」というものです。自分が進みたいと思う方向があるのなら、まずはそこにしっかりとゴールを定めること。そうすれば、それに向かって必要となるスキルや知識が自ずと明確になるということをおっしゃっていたのだと思います。
また、宮内さんは続けて「本当に真面目に一生懸命やると、すごく意外な結果になるんです。私がそうでした。」 「好きに生きました。好きにやらせてもらいました。好きに生きられるように努力してきました。」とも話されていました。たとえ今は本来の希望とは違う仕事をしているとしても、自分がかなえたいと思う方向に向かって一生懸命に努力し続けることで、キャリアチェンジは可能になるということを示してくれている言葉だと思いました。
話は戻りますが、冒頭の記事にあったように企業をはじめとする組織内での異動はこれまでのように組織命令だけでなく、自らが選択することが可能なものに変化しつつあります。
こうした中で自分の将来は自分で選択したいと思うのなら、自分はどのような道を歩んでいきたいのか今後のキャリアプランについて考えていくこと。そしてそれが明確になったら、そのためにどのような努力をすることができるのかを自らに問いかけ、それに向かって努力し続ける強い意思がますます必要になってくるのではないかと考えています。