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営業パーソンの自己啓発意欲

2016年11月16日 | コンサルティング

A 「自己啓発?全くしていないですね。本も読まないし、最後に読んだのはいつだろう・・」

B 「私も全然本は読んでいない。もともと本を読むのは好きじゃないから、前から読まないし・・自己啓発  は全くしていないですね」

C 「私ももう随分長いこと本は読んでいないです。自己啓発はやっぱりやらないとだめなのですか?」

これは、先日担当した中堅営業パーソンを対象にした研修の中で「自己啓発」を話題にしたときのやりとりです。営業スキルのみならず、自身の自己啓発に関する取り組みについてグループ内で紹介をしてもらったときに、こうした発言がありました。この研修の受講者は20名ほどでしたが、その中で半年以内に本を1冊以上読んだ人は1人もいませんでした。

これは一体どういうことなのでしょうか。

公開セミナーを数多く開催している会社の人からは、「以前から営業に関するセミナーは人が集まらないので、やむを得ず中止にすることが多いのです。とはいっても、営業のセミナーを全くやらないということもできないし、これまでにも手を変え品を変え、いろいろやってみたのですが、結果はあまり変わりません。まあ、内容の問題ではなく、忙しいということもあるのかもしれませんが・・・でも、忙しいのは営業に限ったことではないですし・・・」との話を聞いたことがあります。

また、別の企業の担当者からも「自己啓発の通信教育を実施しても、営業ジャンルの講座には申し込みがない。そもそも営業職で受講申し込みをする人がほとんどいないのです」との話を何度も聞いたことがありました。

近年、スマホをはじめとするデジタルメディアの普及によって、営業パーソンに限らず、本を読む人が減っているという話をよく聞きますが、実態はどうなのでしょうか。

厚労省が毎年行っている能力開発基本調査の昨年度の結果を調べてみると、自己啓発を行った正社員は43%で、自己啓発を行った時間は10~20時間未満が21%で最も割合が高く、内容はテレビ・インターネットによる自主学習が48.%、通信教育が22%となっています。

この数字からは、正社員のうちの半分に満たない人が、しかも1年間に20時間未満しか自己啓発をしていないことになりますから、冒頭の研修時の受講者の話も納得がいくところかもしれません。

また、冒頭の研修の中で自己啓発の話題以外に、自社の売上げや経常利益率についても質問をしてみたところ、正確に答えられた人は1人のみで、他は自社の実際の売上げの三分の一くらいの数字をあげる人や、逆にトヨタの売上げに匹敵するくらいの数字を上げるような極端な人もいました。また、営業利益と経常利益の違いを理解している人も少数でした。

実際にこうした営業パーソンの声を聞くと、自身の営業数字だけは理解していても、その他のことは一切見えていない状態で営業をしている様子が伝わってきます。

自己啓発に取り組まない、あるいは取り組めない理由として、「忙しくて時間がとれない」という声をよく聞きますが、営業パーソンとしては自社の「数字」がどのようになっているのか、利益率がどれくらいなのか、自身が数字を達成できればどういう影響があるのか、経費をおさえるとはどういうことかなどは少なくとも押さえておく必要があります。

 「忙しい」を理由にせずに、まずは自社のさまざまな「数字」を確認するころから始め、次のステップではビジネスパーソンとして必要なスキルに関する書籍を1冊読むことから始めて欲しいと伝えています。

 (人材育成社)


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