中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第1,016話 部下が思い通りに動かないと悩んでいる上司へ

2021年04月21日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「社員に会社の理念やビジョンがなかなか浸透しない」、「部下に部や課の方針を何度説明しても、行動に結びつかない」、「指示をしてもイメージした通りに動いてくれない」

これは経営者や管理職の方々とお打ち合わせをする際に、「定期的」と言っていいほどにお聞きする言葉です。とはいえ、これらは私が人材育成の仕事に就いた30年ほど前から継続して聞いていますので、上司から部下に対しての普遍的な悩みの一つだと感じています。

このような話を聞くたびに思い出すのは、「大阪城の火事」の話です。出典はわかりませんが、例えとしてよく使われる話で、皆さんはお聞きになったことはありますでしょうか?

戦国時代の武将、豊臣秀吉が冬の強風の夜に家老を集めて「今夜は風が強いから火事に気を付けるように」と指示をしたそうです。それを聞いた家老は自ら行動することなく、そっくりそのまま奉行に対して同様の指示をしたのです。そうしたところ奉行もまた自身では何もせずに、足軽に同様の指示をだしたのです。結局、誰も具体的に動くことがないまま、その夜に大きな火事が起きてしまったという逸話です。

この逸話からは様々な教訓が得られそうですが、大きく分けて3つのことが考えられます。 

1つ目は、それぞれの役割を明確にする必要性です。この例で言えば、秀吉からはじめに指示を受けた家老が奉行へ指示を出す際に、ただ「火事に気を付けろ」で済ますのではなく、「見張りの人数を増やせ」、「今夜は自宅には帰るな。城につめていろ」、「水をたくさん用意しておけ」、「見回りの回数を増やせ」などの具体的な指示をすれば火事を防げたかもしれません。足軽に対する奉行にしても同じことです。

2つ目としては、誰もが主体的な動きをしなかったということです。家老も奉行も上司の言葉をそっくりそのまま部下へ伝言をしているだけだったのです。自分では何もせず伝書鳩のように伝えるだけでは、所詮は他人事の対応にすぎないとも言えます。誰もが他責(他人の責任)や受け身の姿勢でなく、能動的・主体的に動けば火事は防げたかもしれません。

3つ目としては報告・連絡・相談が徹底できていなかったということです。各々の立場で指示した後に、上司に対してきちんと報告をする体制ができていれば、(この場合は指示が足りないので)上司が再確認をして火事は防げたかもしれないのです。

経営者や上司の皆さん、冒頭の例のように「社員や部下が思うように動かない」などと考えられているようであれば、何らかの動かない原因があるはずですので、それを探る必要があります。まずは「大阪城の火事」の教訓を参考に、ぜひ一度自分の「指示」をチェックしてみてください。

指示は具体的にしているか、自分や部下が主体的に動くようにしているか、事後の報連相を徹底させているかなどの観点から問題がないかをチェックすることです。そして必要であれば自分の指示の仕方や表現の仕方を変更するなど、積極的に取り組んでみていただきたいと思います。(冒頭の写真はWikipediaより)

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第1,014話 新入社員の素顔を知るためには

2021年04月14日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

多くの企業では新入社員(以下新人)の研修を終え、今週からそれぞれの職場へ配属しているタイミングだと思います。毎年、新人の配属後数週間~数か月が経過すると、OJTを担う先輩社員や上司から様々な声が聞こえてくるようになります。

たとえば「新人に仕事を教え始めたが、指示したことが伝わらない。その結果、とんでもないことになった」、また、「2人の新人が配属されたが、1人は優秀だと感じるが、もう1人は全く話が通じない」などです。いわゆる「打てば響く」人がいる一方で大器晩成型の人もいます。短期間でレッテルを貼ってしまうようなことはしないでいただきたいと思うのですが、このような話を聞くと現場で苦労されている様子が伝わってきます。

また、コロナ禍の今、新人が配属されてもすぐにテレワークとなってしまい、仕事の指示もオンラインで行うことも多いです。そのため一人一人がどういうタイプなのかを見極めるのも難しいことでしょう。

これに関して、先日以前コンサルティングを担当させていただいていた企業のA社長から、参考になる素敵な話を伺いました。

A社長の会社は社員数が200名強の規模ですが、社員数は毎年少しずつ増えていて5年前からは定期的に新人を採用しています。新人教育はOJTが中心なのですが、特筆すべきはA社長自ら新人を対象に1週間に1回、勉強会を実施しているとのことです。そしてその時間は、仕事上のスキルや知識を伝えるのではなく、ともに論語(孔子)や韓非子、荘子、老子などの書物を読み解くことにあてていて、少しずつ読み進めていらっしゃるのだそうです。

そうした時間を新人と共にすると、仕事ではすぐには表れない一人一人の素顔が見えてくるのだそうです。たとえば、1人ずつ順番で音読したときに、読めない字に行き当たることがあります。そうすると、読み方を質問する人がいたり、一生懸命考えたりする人がいる一方で、読めないことをごまかしたり、適当にすっ飛ばして読んだりする人もいるのだそうです。

そういう時間を毎週重ねていると、各々がどういう人なのか、何を大切にしているのかなどの本質的なところが見えてくるとのお話でした。

これを聞いて感じたのが、仕事を教える側からすると、目の前の仕事をミスなく効率よく進めることのみに重きをおいて新人を評価しがちです。しかしそれだけで判断するのはやはり早急だということです。

今後社員として一緒に仕事をしていく上では、仕事を少し離れた一人一人の人間としての本質的な部分を知ることはとても大切です。それを知るためにはこの会社のように仕事にはすぐに直接つながらなくても、このような時間を共有することが大切だということです。

昨年の春に入社した新人からは、入社直後に緊急事態宣言が発令されて即テレワークになってしまい、この1年間で出社した日数は一月にも満たないという話を少なからず聞くことがあります。また、現在もコロナ禍が続いていることから、会社によっては今年も同じような状況になるケースが少なくないと思いますが、オンラインでのやりとりのみでは、仕事上の要件のみに終始してしまいがちです。

ぜひ、経営者や上司、先輩社員の皆さんには新人の人となりを理解するためにも、先に紹介したA社長のような仕事から少し離れてやり取りを行う機会を設けるように心がけていただきたいと思います。

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第1,002話 異動時の引継ぎに慌てないようにするには

2021年03月03日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「そういう経緯だったのですね。引継ぎを受けていなかったものですから、状況がわからなくてすみません」

これは、入社したての人や異動してから日が浅く、まだ担当業務に慣れていない人からよく聞く言葉です。また、弊社に研修の依頼をいただいた企業等で担当者と打ち合わせをしているときなどに、こちらが過去の経緯を説明した後に発せられることも多いです。

今年も年度末まであと僅かです。担当者から「異動が決まりました」とご連絡をいただいたり、打ち合わせの中で「来週末に異動が発表されるのですが、もしかしたら異動することになってしてしまうかもしれません」というような話を聞く時期になりました。

この異動に関してはデメリットがある反面、メリットもたくさんありますので、それ自体には何ら異論はありません。しかし、様々な組織とお付き合いをさせていただく中で定期的に感じるのは、規模の大小を問わず担当者が変わる際に、きちんと引継ぎができているところが圧倒的に少ないということです。

2019年にサイボウズチームワーク総研が、ビジネスパーソン400人に対して行った「仕事の引き継ぎ」に関する意識調査では、67%の人が「引継ぎがスムーズだった」と答えているようです。これは私が想像していたよりもずっと高い数値です。

一方で、「引継ぎがスムーズでなかった」とした人の理由としては「十分な時間がなかった」、「前任者の離任直前に自分が担当になり、心の準備がなかった」、「仕事の全体像や過去の履歴がわからないまま引き継がれた」がトップ3になっています。

それでは、引き継ぐ方および引き継がれる方の双方にとってスムーズな引継ぎをするためには、どのようにすればよいのでしょうか?

それには様々な方法があるかとは思いますが、弊社では「引継ぎを当事者任せにするのではなく、組織として引継ぎのルールを決めてしまう」ことを、まずお勧めしています。たとえば、引継ぎ書のフォーマットを共通にするなどの方法があります。しかし、これまで様々な企業の状況を伺っていると、統一フォーマットを決めていたとしても人によって記載内容に濃淡があり、細かく作成する人がいる一方で、大雑把な人もいるようです。

では、さらに効率よく引継ぎをするためには、どうすればよいのでしょうか?

実は異動時は、引き継ぐ方・引き継がれる方のどちらにも時間の余裕がないことが多いのです。そこで、異動時にあわてて引継ぎ書を作成するのではなく、日ごろから各自が担当業務を「見える化」しておき、引継ぎの際にはそれを引き継ぎ書としてスムーズに調えられるようにしておくことがお勧めです。

なぜならば、私たちも人間である以上、異動以外にも急に病気なってしまったりすることもないとは言えません。担当者が突然休んだり、長期の休暇を取得したりしなければならないようなことが発生する場合があります。その際にどのように対応するのか、日ごろから各々がどういう仕事を担当しているのか、そうした情報を日ごろから組織内で共有することができていれば、万が一のことがあったときにもリスクを最小限に抑えることができるわけです。

企業などの組織においては、隣の席の人であってもどういう仕事を担当していて、どのように進めているのか案外わからなかったりするものです。異動の引継ぎのときだけでなく、日ごろからお互いの仕事の内容を共有することを意識しておくことも大切なのではないでしょうか。

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第1,000話 オンライン集団討議のメリット

2021年02月24日 | コンサルティング

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「今年の採用活動では、集団討議もオンラインで行います」

これは先日、ある企業で採用と人材育成を担当されている方から聞いた言葉です。

コロナ禍もあり、オンラインによるテレビ会議システムが一般的に使用されるようになって、そろそろ1年になろうとしています。オンラインを仕事で使用する範囲は日を追うごとに広がっていますが、2022年の採用活動では面接のみならず、集団討議までオンラインで行う企業が増加することになりそうです。

冒頭の担当者の話では、「オンラインでの集団討議の参加者向けのマニュアルがあるため、学生はそれを見て練習しています。それを踏まえて、こちらも臨まなければなりません」とのことでした。

これまでにまだ数はそれほど多くはないのですが、弊社ではオンラインで管理・監督職への昇格登用のための面接官や、採用試験での集団討議の面接官を担当させていただいたことがあります。それらの経験を踏まえ、オンラインでの集団討議に採用側としてどのように対応したらよいのかを改めて考えてみたいと思います。

これまでの経験を踏まえて考えると、基本的には対面とオンラインでの集団討議は大きくは変わらないということです。もちろん、それぞれにメリットとデメリットがあるわけですが、今の状況を考えればオンラインの方がむしろメリットが多いのかもしれません。

一例をあげると、昨年対面での集団討議を担当させていただいた際には、コロナウイルスへの対策のためにソーシャルディスタンスをとる必要がありました。そのため、討議の人数が5人を超えてしまうような場合には、一番遠くに座っている人同士の間で物理的な距離が生じてしまい、お互いの表情が少々見づらいということになってしまいました。また、声が小さい人がいると聞こえにくいことや、ホワイトボードの板書の文字も見えにくいということもあったのですが、オンラインでは基本的にそうしたことは起こりません。

さらに、対面の場合はマスクの着用が必要なためお互いの表情が確認しづらいのですが、オンラインであればマスクの必要がないことから、参加者同士が互いの表情をしっかり確認することができます。この点は面接官にとっても評価の際に大きなメリットになります。

以前は私も「集団討議は対面でなければ」と思っていました。しかし、今ではこのようなオンラインならではのメリットを踏まえれば、今後は採用側もそのメリットを積極的に活かした進め方を探っていくことが大切だと考えています。

なお、これは対面の場合でも同じですが、集団討議の目的に向けてどのように参加者が討議にかかわっていこうとするのかはオンラインにおいても重要なポイントです。討議終了時に一人一人が存分に討議に臨めたと思えるようにするために、参加者自身がどういう姿勢で臨もうとするのかは、ある意味では距離があるオンラインだからこそより大切です。単にマニュアルに沿って参加すればよいということではありませんし、面接官にはそこをきちんと見極めて評価をしていくことが求められていると考えています。

今年も弊社では外部の立場で面接官を担当させていただくことがありそうです。その際は参加者一人一人の人生の岐路に居合わせることになるわけですので、誠心誠意面接官の役割を担いたいと考えています。

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第998話 危機意識を継続させるには

2021年02月17日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「3.11の直後はやっていましたが、時間が経つにつれて放置してしまっていました」

「やはり定期的に見直さないといけないですね」

これは先日、2月13日夜11時過ぎに東北地方を中心に発生した大きな地震の後のテレビ番組でのコメンテーターの発言です。10年前の東日本大震災の直後は、災害に備えて多くの人が飲料水や食料を含め防災グッズを準備していたものの、やがて時間の経過とともに危機意識が薄れてしまい、そのまま放置してしまった人が少なくなかったということです。

「危機意識」とは危機が迫っているということを感じることです。アサヒグループホールディングスが2017年8月に行った「毎週アンケート あなたの防災対策は?」によると、7割近くの人びとが防災意識を持っているとのことです。その中で防災に関する用具を備えている人は40.5%、準備をしなければと考えているものの、行っていない人は50.2%だったとのことです。

この調査から既に4年が経過していますので、危機意識はさらに下がってしまっていることが予測できます。時間の経過ととも危機感が薄れるのは人間として致し方ないことだとは思いますが、だからといってそのまま放置してしまうと、災害のたびに同様のことが繰り返すことになってしまいます。

それでは、私たちが危機意識をできる限り持ち続けるためにはどうすればよいのでしょうか?そこでお勧めしたいのが、「メンテナンス」という考え方を持つことです。

「メンテナンス(maintenance)」とは維持、管理、保守という意味です。機械や建物、コンピュータシステムなどの設備について、故障などの不具合が生じることなく、正常な状態が維持されるように点検したり、手入れをしたりすることです。また、このメンテナンスは何も機械や建物に限った考え方ではありません。たとえば人の身体の場合でも、定期的にメンテナンスをしていれば大きな病気を防ぐことができたり、早い段階で何がしかの不調を発見できたりするわけです。そういうことからモノであっても人間の体であってもきちんとメンテナンスを行うことはとても大事なことであると言えます。

したがって、このメンテナンスを定期的にしっかりと行うことで、危機意識が薄れていってしまうことを防ぐことができるわけです。それではこのメンテナンスを忘れずに行うためには、私たちは一体どのようにすればよいのでしょうか?

そのためには、モノでも身体でもメンテナンスをした直後に次回のメンテナンスをする日時を決めてしまうことです。プライベートな事柄であれば自身の都合でスケジュールを決定すればよいです。組織にかかるものであれば、誰が・いつ・どのように行うかをその段階ではっきり決めてしまうことが必要です。そうしないと、誰かがやるだろうとお互いに他者をあてにしてしまい、いつまでたっても決まらないことになってしまいかねないからです。

私たちは災害が起こった瞬間には、誰もが強い危機意識を持つことでしょう。しかし、人間はいつまでもそのことだけを考えて生きていくことはできないわけです。時間の経過とともに危機意識は薄れていくものです。その前提に立って、メンテナンスのタイミングをあらかじめスケジュールに入れて実施を徹底する、これが鉄則です。

東日本大震災から間もなく10年の節目を迎えます。「そういえば最近防災グッズのチェックをしていないな」という方は、ぜひこれを機会に中身をチェックしてください。、次にいつチェック(メンテナンス)をするかもしっかり決めて、スケジュールに入れるようにしていただきたいと思います。

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第948話 チームで寄ってたかって部下(後輩)を育てる

2020年08月19日 | コンサルティング

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「1位:指導をする人材が不足している。 2位:人材を育成しても辞めてしまう。 3位:人材育成を行う時間がない。」

これは、厚労省が毎年実施している能力開発基本調査の中の「人材育成に関する問題点」に対する令和元年度の回答内訳(複数回答)です。ここ数年不動の順位ですが、いずれの項目も前年より回答数が増えている点が注目できます。

さて、今年は新型コロナウイルスの影響で、新入社員の教育を従来通りに行えなかった企業が大半だと思います。

先日お会いしたある企業の人事担当者も、「緊急事態宣言により新入社員研修は中止したので、研修は4日間で終わりました。その後はテレワークになりましたので、新人教育として人事から定期的に課題を与えていました。しかし、突然のことだったので課題と言っても業界情報を読むようにさせるくらいしかできなくて・・・おまけにパソコンを持っていない新人も多く、彼らには課題を郵送しました。その後配属になりましたが、育成は配属部署にお任せの状態です。現在もテレワークがメインですから、育成をどのようにしているのかわかりません。人事でもフォローができていません」と話していました。

この話からも、新入社員の育成が思うように進んでいないことがよくわかりますが、今年は同じような状況の企業が少なくないでしょう。

このような状態が続いてしまうと新入社員が育たないだけでなく、状況によっては早期に退職を希望するようなことにもなりかねません。

そうならないようにするためには、すぐに何かしらの手を打つ必要があるのです。そこでテレワークで日々顔を合わせることができない今だからこそお勧めしたいのが、「チーム単位で新人や若手を育てる」ということです。

昨年までのように対面での指導が中心であっても、冒頭の調査結果のように人材育成がうまく進んでいない問題点として「指導する人材が不足している」が1位になっているのです。

ましてや、今年のように対面自体が限定されてしまっている場合には、これまでのように上司(先輩)と新人の一対一の関係が主になってしまうことはお勧めしません。その上司(先輩)が指導の経験が少ない人であったり指導が不得手であったりする場合には、新入社員への指導がほとんど進まないことが懸念されるからです。

そうならないためにも特定の上司や先輩に限定するのでなく、ぜひチーム全員が育成者としての自覚をもつことが肝要です。たとえテレワークでオンライン上であったとしても、新入社員を「寄ってたかって」指導するのです。仮に5人のチームであれば、1人の新人に対して他の4人が1人10分ずつ時間をとれば、毎日40分の指導を受けられることになるからです。

このように伝えると、「テレワークだからこその忙しさもあるので、それもなかなかできない」とおっしゃる人もいます。しかし、テレワークによる往復の通勤時間分の余裕は生まれているはずなのです。ぜひ、その時間分を部下(後輩)の育成の時間にあてていただきたいです。

コロナ禍で働き方の環境が大きく変わっている今だからこそ、できない理由ではなくどうすれば新入社員を育てられるのか、ぜひ知恵を絞って取り組んでいただきたいと思います。

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第947話 情報共有はあなたの会社を救う

2020年08月16日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

今回は経営者の皆さんに1つの施策をご提案いたします。これを実行すれば、あなたの会社は社員が辞めていくこともほとんどなくなり、これからも会社は成長していきます。

その施策は「情報の共有と伝達スピードのアップ」です。

「なーんだ、そんなことはわかっているよ」そう思われたでしょうか。そのとおり、誰もが十分わかっているはずです。ところが一筋縄ではいかないのが情報共有です。

難しいとはいえ、情報共有はやってできないことではありません。今回はまわりくどい説明は抜きにして、「とにかくこれをやってみてください」という具体策をご紹介します。

情報の共有と伝達スピードのアップのためにやっていただくことは、たった1つ「上から下」ルールの決定と実行です。具体的には、部下が上司に情報(報告)を上げたら、上司は必ずその情報がどのように使われてその結果どうなったかを部下に知らせる「義務」を課すことです。

「先日君が作ってくれた報告書は役員会でのディスカッションでこういうふうに使った。その結果、○○の案件につてはXXという方向で話が進んだ」という感じです。もし、あまり役に立たなかったら、そう言えばいいのです。ただし、どこに問題があって役に立たなかったかは具体的に伝えて改善策を指示します。

振り返って、あなたの会社の管理職が「下」へ情報を伝えることをしていないとしたら、部下のモチベーションは下がり続けます。部下にとって単に情報を上げる(報告をする)だけでは、その仕事に何の意味があるかわからないからです。言ってみれば、上司というブラックホールに報告書を放り投げただけ、というわけです。

自分の努力した結果が役に立っているのかどうか不明なままではモチベーションが低下し、努力すること自体が面倒になります。やがて仕事が嫌になるかもしれません。

自分の仕事がどうやって使われたか、それを知るだけでモチベーションは上がります。その結果、「下から上」の情報量は格段に増えると同時にスピードもアップしていきます。情報共有が進めばチャンスを掴む確率もぐっとアップしますし、リスクに対する備えも素早くできます。その成果、従業員の定着度の向上と利益率のアップに必ずつながります。

経営者の皆さん、「上から下」たったこれだけのことです。管理職全員を集めて命じてください。早速今日から始めましょう

 

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第936話 仕組みにこだわると、人は成長しなくなる

2020年07月08日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「この書類を提出することは、社内のルールになっています」

これは弊社がコンサルティングを担当させていただく際に、その企業の社員からよく聞く言葉です。書類の使用目的ははっきりとはわからないけれども、以前からのルールになっているため、とりあえず提出しているとのことです。

このような状況のときには、書類を提出するルールになった理由を経営者や管理者にお聞きしていますが、多くの場合は「過去にクレームが起きたことがあったため、再発防止のために書類の提出を義務にした」というような答えが返ってきます。

このようにトラブルが起きるたびに新たなルールを作ったり、マニュアルを変更したりするなど、仕事を「仕組み」にすることは、再発防止のためには意味のあることです。しかし、冒頭の例のように時間の経過にともなってそもそもの理由が形骸化してしまうと、手段自体が目的化してしまうことになります。

ここでいう仕組みとは、異動や退職によって人が変わることがあっても、仕事がまわるシステムを構築することであり、制度やルール・マニュアルなど、組織を運営していくための決まり事や方法などのすべてを指します。

仕組みにすることのメリットは、仕事の手順をシステム化することによって、各自の知識やスキルなど属人化したものに頼らずに、仕事を平準化できることにあります。新人や異動直後であっても仕事の手順がシステム化されていれば、その仕事を比較的短時間で身に着けることができるのです。

そのように考えると、仕組みは組織を運営していくうえでなくてはならない大切なものだということがわかります。

しかし一方で、仕組みに依存し過ぎてしまうと、マイナスの面が生じることもあります。たとえば、目の前でトラブルが生じていて「おかしい」と感じたとしても、それが仕組みになっていないことを理由に目を背けてしまったり、他者に伝えるべきことを伝えなかったりしてしまいかねないのです。

このような状態が続くと、やがて社員は主体的に動くよりも決まった仕組みに従う方が圧倒的に楽だと感じるようになってしまい、自ら成長することを放棄してしまうことになりかねません。それは本末転倒の事態と言えます。

それを避けるには、どうすればよいのでしょうか。

まず、仕組みが必要な仕事とそうでない仕事をはっきり分けることが必要です。一般的に、仕組みが有効に働くのはルーチンワークと呼ばれる定型的で繰り返し行う作業です。反対に状況対応が必要なものには仕組みは向かないということが言えます。

本来は仕組みが必要な仕事なのにそれがない場合には、トラブルが起きたり生産性が下がってしまったりしますので、この仕事には仕組みが必要なのか否かをきちんと見極めることが必要です。

そして、仕組みを作る場合には、何でもかんでも仕組みに頼ろうとしてしまうと前述のように社員が育たなくなるというマイナス点もしっかり認識して進める必要があります。

コロナ禍をきっかけに、多くの企業でテレワークが始まって3か月が経過していますが、ここにきてテレワークならではの課題も顕在化してきているようです。

今後、テレワークをよりよく進めていくためにも、新たな仕組みが必要になっていくものと思われますが、ぜひ仕組みと社員の成長のバランスを取りながら進めていただくようにお願いいたします。

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第932話 今こそ新たな企業風土を作る

2020年06月24日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「緊急事態宣言以降はテレワークを導入したため、朝礼はオンラインでやっています。これまで朝礼では毎日理念を唱和していたんです。それを止めてしまうのは残念な気がしたので、朝礼は続けることにしたんです。朝礼に賛否があるのはわかっていますが、うちの会社は朝礼によって一致団結している気がするし、それが良い風土につながっていると思うからです」

これは先日、ある中小企業の経営者から聞いた言葉です。この会社では10年、毎日理念を唱和してきたことによって、「品質を最優先する」という企業風土が醸成されつつあるとのことです。

「風土」とは、人の価値観の形成などに影響を及ぼす精神的な環境であり、「組織風土」とは従業員に暗黙のうちに共有される特有の考え方や行動パターンです。

弊社ではこれまでに様々な企業の研修を担当させていただいてきましたが、それぞれの企業には、ある意味外部の者だからこそ認識できる様々な独自の風土があるように感じています。

弊社が行う研修ではグループ演習に取り組んでいただくことが頻繁にありますが、受講者の取り組み方にも「風土」が顕著に表れるように感じています。たとえばメンバーが自由に積極的に発言したり、間違えた発言をしても周囲が明るく受け止める雰囲気の会社がある一方で、発言する順番を最初に決めたり、発言に慎重なメンバーが多い会社もあります。

こうした傾向は、同じ会社であればどの階層の研修を担当させていただいても共通して感じられるものですし、複数年にわたって研修を担当させていただいても、毎年のように「この会社らしい雰囲気だな」と感じることも少なくありません。また、同じ業界であってもA社とB社では随分と異なると感じることもあります。

それでは、このような企業風土はどのようにして形成されていくものなのでしょうか。

様々な要因があると思いますが、一般的に企業風土は外部から新たな刺激が入りにくい環境下で、長期間にわたり一緒に働いているメンバーの中で少しずつ形成されていくものです。

そして、企業風土が顕著に表れるのは問題に直面した時です。起きてしまった問題に対して前向きにとらえ対応する組織がある一方で、原因追及に終始し後ろ向きにしかとらえられず、対応も後手に回ってしまう組織もあります。こうなると単に「風土」と片付けられずに、最悪は組織の在り方や存在そのものにもかかわることになってきます。

さて、冒頭で紹介した企業の社長ですが、社員に同じ方向を向いて欲しい、そしてテレワークによって対面が減ってしまったとしても、企業風土を維持したいと考えた結果、社員全員がオンラインで企業理念の唱和を続けているとのことです。 

新型コロナウイルスは、企業にとって予期していなかった大きな問題です。しかしこのような外部環境の大変化の時こそ、企業の底力が問われるとともに、新たな企業風土を作る良いチャンスであるとも言えます。

これまで企業風土が作られる場面は社員が対面していることが前提でしたが、オンラインであっても工夫次第で風土の醸成はできるものです。

コロナ禍をきっかけにテレワークの導入が進んでいる今、新しい時代の企業風土をどう作っていくか考えてみませんか。

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第926話 対面せずに新規顧客を獲得するには

2020年06月03日 | コンサルティング

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「新規の営業活動がしにくくなりました」

これは先日、知り合いの営業パーソンから聞いた言葉です。彼は続けて、「既存の顧客に対しては、ZOOMなどのオンラインで打ち合わせができていますが、新規の顧客の開拓が難しい。テレワークでない会社も結構あるので、電話はある程度はつながりますが、その後の訪問ができないですから。対面せずに顧客にできるのでしょうかね?」とも話してくれました。

「営業は足で稼ぐ」と表現されることがあることからもわかるように、これまでは飛び込みにしろ、アポをとってから訪問するにしろ、営業では直接対面することに重きが置かれていました。そうしたこともあり、顧客への訪問件数を営業会議で発表させたり、件数自体を評価の対象にしたりしている会社も少なくないようです。

今後、コロナウイルスの流行はいずれ終息するにしても、働き方においてはテレワークの割合が高まっていくことは明らかです。こうした流れの中では、営業活動の方法も大きく変わることになるでしょう。

しかし、冒頭の営業パーソンの言葉のように、訪問せずに新規顧客を獲得することは簡単なことではありません。

事実、2019年にHubspot Japan社が経営者や社員を対象に行った調査(「日本の営業に関す

る意識・実態調査」)では、営業担当者の訪問を希望する人が60.7%と高い割合を示しています。その理由は「顔を見ずの商談には誠意を感じない」(35%)がトップで、営業担当者の顔を見ると安心感がある(24.8%)が続いています。

自分自身に置き換えて考えてみても、初対面がオンラインの場合に、その営業パーソンから商品を購入するかどうかを考えると、確かに難しいかなと感じます。もちろん、オンラインであっても複数回話をする機会があれば、信頼感も徐々に高まり購入につながることもあるのでしょうが、それにはある程度は時間がかかりそうです。

また、既存の顧客の場合には、時々「ここだけの話」を聞かせてもらうことがありますが、これもたとえ信頼関係ができている相手であっても、対面でない場合にはそういう非公式の話はあまりしないだろうなと感じます。(そもそも、「ここだけの話」をする際には体を寄せて小声で耳打ちしたりしますが、オンラインではそういう場面は想像しにくいですね)

さらに、新規、継続顧客のどちらであっても、値引きの交渉を受けることがありますが、これも今のところは直接対面する形でないと「腹を割った交渉」は難しいように思えます。

今後、冒頭の話のようにテレワークをはじめとして働き方、営業方法は変わっていかざるを得ないのは確実でしょう。対面せずに新規の顧客を得るための、また既存の顧客との関係をさらに深めるための営業活動をどのように進めていくか、今後の大きな課題になりそうです。

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