パオと高床

あこがれの移動と定住

桜庭一樹『少女には向かない職業』(東京創元社)

2010-12-17 22:51:25 | 国内・小説
ストーリーを話すわけにはいかないのかもしれない。で、多くの人が話を知っているのだろうが、これは「東京創元社」の「ミステリ・フロンティア」の一冊で、ストーリー展開自体も面白いので、筋は書かない。すると、表紙カバーのキャッチにいっちゃう。

「島の夏を、美しい、とふいにあたしは思う。
 -強くなりたいな。
 強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな。

 これは、ふたりの少女の凄絶な《闘い》の記録。」

文体は速度感がある、洒落て、軽い文体。ただ、ライト・ノヴェルかと言われると、そのライトの定義もはっきりしないのだが、何だか違う。軽いけど、重いのだ。ゲームのような感覚も取り込みながら、それをうまく借用しながら、何か、今どきの痛さや重さをきちんと伝えてくる。大西葵13歳と宮乃下静香13歳の《闘い》が描かれているのだ。夏休みから牡丹雪の降る大晦日まで、登場人物は歩き、話し、走り、泣く、もちろん笑い、そして……。

一気に読めてしまう、読書の時間が持てた。
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