パオと高床

あこがれの移動と定住

中山七里『さよならドビュッシー』(宝島社)

2015-01-21 14:50:16 | 国内・小説
2009年第8回「このミステリーがすごい」大賞受賞作。
『いつまでもショパン』を最初に読んで、音楽小説と青春小説としておもしろいと思ったけれど、その作家のデビュー作。

ピアニストを目指す16歳の少女が主人公。突然の火事に見舞われ、一人生き残った主人公は、全身やけどの大怪我から逆境に負けずコンクール優勝を目標に猛レッスンの日々を送る。彼を指導する人物が、魅力的なピアニストで探偵の役割を果たす岬洋介。この人物が格好いいし、この人物の演奏描写がいい。何だか、『のだめ』の玉木君にでもさせたい人物。で、ミステリーは、この火事、そして主人公の周辺で起こる不吉な出来事と殺人事件である。
音楽についての解釈と演奏場面の描写に引き込まれる。ショパンやドビュッシー、ベートーベンが聴きたくなる。『いつまでも…』を読んだ後は、しばらくショパンばかり聴いていた。そして、主人公の成長物語、さらにこの小説は、ミステリーの要素も結構強い。

岬の登場する次回作を読みたくなる小説だった。

『いつまでもショパン』にここでつながっているのかというのがあって、『いつまでも…』での、少しだけの読者サービスに納得。

ふとんにくるまって一気読みするのにいい小説だ。もちろんピアノ曲でも流しながら。
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