この人の小説を読むと、面白さと同時にとても知識が豊かになったような気がする。歴史が大きな固まりとして自分の全身を包んだような感じにとらわれる。
17世紀、明から清への移り変わりの激動期を、その場に遭遇することになった日本人桂庄助と女真族の公主アビアの運命を中心に描き出していく。
当時の日本と大陸の関係や、海洋交流の歴史。華である明と蛮夷である周辺民族の関係。農耕と牧畜の文化的相違。文明と文化の違い。儒教を巡る明と朝鮮と日本の位置。さらに歴史が沸騰する、躍動するとはどういうことか等を巡っての司馬節が炸裂している。
1987年、日本のバブルという異常な時代に、世界の変動に個人の翻弄を絡めて描き出された本書は、その後の世界史的なベルリンの壁崩壊、ソ連解体、湾岸戦争などの激動と絡めて考えると古武士的な庄助の姿と鎖国によって閉ざされた日本の状況などが妙に意味を持ってしまうような気がしたりもする。
また、この作品には司馬遼太郎の『街道をゆく』での江南の旅やモンゴルの旅、またシルクロードへの旅の成果と憧れが凝縮されていて、厚く迫ってくる。
長い「あとがき」も読ませる。
17世紀、明から清への移り変わりの激動期を、その場に遭遇することになった日本人桂庄助と女真族の公主アビアの運命を中心に描き出していく。
当時の日本と大陸の関係や、海洋交流の歴史。華である明と蛮夷である周辺民族の関係。農耕と牧畜の文化的相違。文明と文化の違い。儒教を巡る明と朝鮮と日本の位置。さらに歴史が沸騰する、躍動するとはどういうことか等を巡っての司馬節が炸裂している。
1987年、日本のバブルという異常な時代に、世界の変動に個人の翻弄を絡めて描き出された本書は、その後の世界史的なベルリンの壁崩壊、ソ連解体、湾岸戦争などの激動と絡めて考えると古武士的な庄助の姿と鎖国によって閉ざされた日本の状況などが妙に意味を持ってしまうような気がしたりもする。
また、この作品には司馬遼太郎の『街道をゆく』での江南の旅やモンゴルの旅、またシルクロードへの旅の成果と憧れが凝縮されていて、厚く迫ってくる。
長い「あとがき」も読ませる。
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