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渋沢栄一 一万円札の肖像画に登場 「論語の里」に人気 深谷市

2019年08月14日 16時53分26秒 | 偉人①渋沢栄一

 

渋沢栄一 一万円札の肖像に登場 「論語の里」に人気 深谷市

24年に発行される新1万円札の肖像に「日本の資本主義の父」とされる実業家の渋沢栄一を起用すると、麻生財務相が19年4月9日の会見で発表して以来、地元の深谷市の「論語の里」の人気が高まっている。

同市下手計(しもてばか)にある渋沢栄一記念館、7歳の頃から論語を学んだ10歳上の従兄弟で義理の兄、尾高惇忠(じゅんちゅう)が漢学の塾を開いていた下手計の記念館に近い惇忠の生家周辺、栄一が初代頭取を務めた第一銀行を喜寿で辞任した際、行員たちが出資を募って建てた近くの誠之堂、栄一の生家旧渋沢邸のある「中の家(なかんち)」(血洗島)といった栄一ゆかりの地が、深谷市がPRしている「論語の里」である。

記念館には19年度の来館者が20年1月22日、18年度の6倍を超える10万人を突破した。
21年のNHK大河ドラマが渋沢の生涯を描いた「青天を衝(つ)け」に決まったことが拍車をかけた。深谷公民館には「大河ドラマ館」が新設される。

栄一は、惇忠を尊敬していて、後年「藍香(らんこう 惇忠の号)ありて青淵(せいえん 栄一の号)あり」と語っている。栄一は、論語の精神に則り、単なる利益追求ではない「道徳経済合一説」を唱え、約500社の企業の創設や育成に関わる一方、身寄りのない子どもや高齢者のための東京市養育院の院長を務めるなど約600の社会福祉・教育活動にも関係した。「論語と算盤(そろばん)」という著書もある。これも惇忠の論語教育の影響とされる。惇忠は維新後、富岡製糸場初代場長を務めた。

深谷市は人口減少が進み、観光客数も伸び悩んでいる。降ってわいたこのブームを一過性のものに終わらせまいと、市は「生誕の地」として売り出そうとしている。新一万円札の裏面のデザインである「東京駅丸の内駅舎」で使用されたレンガの一部は、深谷市上敷面にあった日本煉瓦製造株式会社で製造されたレンガを使用しており、新一万円札は表も裏も深谷市ゆかりの人とモノが採用されているからだ。日本煉瓦製造は国指定重要文化財になっている。

新札の発行は、24年度上期からだが、市では栄一ゆかりの施設巡回バスの運行を始めたほか、ふるさと納税のサイトにアクセスが殺到しているので、返礼グッズに、栄一の似顔絵と文字がなつ印できるスタンプ型印鑑や写真を使ったお札型のセット、雅号が入った純米酒とグラスのセットなどを用意している。栄一のロゴマークも91種制作した。

「道の駅おかべ」には、栄一にちなんだ食品やグッズの渋沢コーナーが設けられ、菓子店ではフードプリンターで顔を描いた「渋沢栄一最中」が登場、駅近くでは栄一の顔をミルクの上に描いたカフェオレを飲める店もある。栄一のネーム印、写真を印刷した手作り封筒などもよく売れている。市では観光客が毎年400万人前後と伸び悩んでいるので「観光の起爆剤に」という期待も高い。

深谷市は、容姿や動きを精密に再現し、遠隔操作などで動く栄一のアンドロイド(人間型ロボット)2体の製作にとりかかった。

同市出身のドトールコーヒー創業者の鳥羽博道名誉会長(81)からの寄付金1億円によるもので、一体は新1万円札の肖像に近い、70歳ごろの洋装で立ち姿で等身大の1m53cm、もう一体は和服でくつろいだ80歳ぐらいの座り姿にする。

洋装のアンドロイドは、新札の肖像決定からほぼ1年後の20年6月30日に除幕(写真)、渋沢栄一記念館(同市下手計)の2階講義室で 7月3日から「論語と算盤(そろばん)」に代表される「道徳経済合一説」などの栄一思想の講話を肉声の録音をもとに身振り手振りを交えて始めた。

和装の方は、22年春完成、旧渋沢邸「中の家(中んち)」で生い立ちや家族の話をする予定。遅れるのは、「中の家」が改修に入るためだ。

アンドロイド制作の第一人者とされ、二松学舎大が16年に作らせた「夏目漱石アンドロイド」を手掛けた石黒浩・大阪大教授が監修、アンドロイド制作会社「エーラボ」(東京都千代田区)が現存する栄一の写真や音声を参考にして作業に当たる。

紙幣の刷新は04年以来、20年ぶり。1万円札の人物変更は聖徳太子から福沢諭吉に代わった84年以来。1963年、千円札の顔を選ぶ際、栄一は伊藤博文と最終選考まで残ったものの、当時の技術では、ひげがないと偽造されやすいという理由で伊藤博文が選ばれた・・・など話題も豊富だ。

 


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