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「桜の園」 旧浦和市  戸田市 その2

2012年04月13日 17時41分19秒 | 盆栽・桜・花・木・緑・動物
「桜の園」 旧浦和市 戸田市 その2

JR武蔵浦和駅近くから、花を眺めながら、荒川の洪水調整池の「彩湖」に向かうには、荒川に流れ込む「笹目川」沿いの遊歩道がお薦めだ。南区の白幡沼を水源としている。

数は少ないけれど、冬鳥が飛来するこの沼の西縁は、遊歩道になっていて、短いけれど新しい桜の名所。(写真)12年はいく夜か、ちょうちんも掲げられた。埼京線とほぼ並行に流れる「笹目川」の両岸の桜もようやく大きくなって、見事な並木になった。

戸田市側の遊歩道は「自然と彫刻のプロムナード」という名前で、素晴らしい散歩道になっている。

川口競艇場のところで、荒川と合流する。その少し手前で、「荒川左岸排水路」が流入する。

荒川と並行して北西に連なる、この排水路の両岸には1978年、2kmにわたってソメイヨシノが約530本植えられた。それが立派に成長して、満開時には両岸から排水路を覆うばかりの勢い。昔の地名「美笹村」にちなんで、「美笹の桜」と呼ばれる。

こんな立派な桜が咲いているのに、「排水路という名ではかわいそう」と、05年には、住民からの発意で「さくら川」と名づけられた。

「桜の名所を作るにはざっと30年かければすむのだ」と教えてくれる場所である。

両岸は車道なので、車の通行に気を使う必要はあるものの、笹目神社近くでは川辺が「親水性遊歩道」になっているところもある。上流に水路上にかけられたコンクリートの広場も2か所あって、格好のお花見会場になっている。

荒川の高い堤防の陰になっているせいもあり、近所の住民や戸田市民にしか、あまり知られていない。隠れた花見場所である。

笹目川とさくら川をめぐるこのルートは、毎年、私の花見のお決まりコースだ。

「東京外郭環状道路」を短いトンネルでくぐったら、「彩湖」に出てみよう。「彩湖」は、まだ認識が足りないようだが、埼玉県の偉大な観光資源である。歩くのは大変なら、自転車で走ってみたらよく分かる。

堤防を越えれば、西側に広大な「彩湖・道満グリーンパーク」がある。ここには、古い荒川の面影が残る「道満河岸つり場」がある。

ヘラ鮒釣りで太公望に人気の場所。釣りが趣味でなくても、「こんな所でゆっくり時間が過ごせたら」と思う。昔、本当の河岸だったという。桜もなかなかいける。

彩湖沿いに北上すると、再びさいたま市だ。JR武蔵野線をくぐったら、秋ケ瀬橋近くの「さくら草公園」である。


 わが国は草も桜を咲きにけり 一茶

毎年、見に来るのはこの句のためだ。

「田島ケ原サクラソウ自生地」で、名に魅かれて初めて来ると、ガッカリすること請け合いだ。

トウダイグサのあいだにちょびちょび咲いているように見えるだけだから。だが、何度か来ていると、こんな小さな花が「よくぞ今年も咲いたな」と、いとおしくなる。不思議な花だ。一茶に習って、「草」というべきなのだろうか。

ちょびちょびと言っても、百万株はあるというのだから驚き。

寒冬異変のせいで、例年なら桜のほうが早いのに、この日は、草と一緒に満開だった。ここの桜は実に素晴らしい。弁当を持ってくるならこの河川敷で開きたい。

秋ケ瀬公園を北上すると、桜の下でどうしてもバーベキューを楽しみたい人には、格好の施設もある。

戸田市の首都高速5号線の笹目橋から、さいたま市桜区の所沢に向かう羽根倉橋まで、この河川敷はまさしく荒川の恵みである。

鴨川堤桜通り公園には、堤下に770本余りの桜並木が続く。車道が堤上にあるので、自転車で走れば、目の前で満開の花と対面できる。この公園には里桜も植えてあるので、二度花見が楽しめる。

秋ケ瀬橋近くでJR中浦和駅へ向かう道をとれば、鵠沼排水路(鵠沼川)沿いの「秋ケ瀬緑道」。立派な遊歩道で2.2km。ここも桜並木が続く。

ここまで来ると、目も頭も”桜酔い”で、本当の酔いを求めたくなる。さいたま市の花見2日目はこうして終わった。