それはまた別のお話

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「アドルフに告ぐ」 6/4 マチネ

2015-06-10 | 舞台

舞台「アドルフに告ぐ」 6/4(金) マチネ KAAT神奈川芸術劇場 1階13列センター 

【原作】手塚治虫
【演出】栗山民也
【脚本】木内宏昌

【出演】成河 / 松下洸平 / 橋洋 / 朝海ひかる / 前田亜季 / 大貫勇輔 / 谷田歩 / 市川しんぺー
斉藤直樹 / 田中茂弘 / 安藤一夫 / 小此木まり / 吉川亜紀子 / 彩吹真央 / 石井愃一 / 鶴見辰吾 ほか

【演奏】ピアノ 朴 勝哲 / ヴィオラ 有働皆美



重い。暗い。怖い。なのに目が離せない。
久しぶりに、ガツンとくる舞台を見ました。ガツン、というか、おなかの中に棒を突っ込まれたような感じ。

三人の「アドルフ」の物語。ふたりの青年アドルフ・カウフマンとアドルフ・カミル、そしてアドルフ・ヒットラー、三人の凄絶な人生が交錯します。
全くゆるみがなく、濃密な演出でした。スリルミーと同じ栗山さんのスタイリッシュな演出は、直接的な映像や仰々しい音楽を使わず、シンプルでむしろ「綺麗」でした。でも何度も銃声が大音響で響き渡り、夥しい数の人が倒れていきました。

KAATの音響が素晴らしいのもあるけれど、銃撃音やヘリの音の臨場感がすごい。やりすぎ、って思えるほど。
でもホントに「客席でこの音量は大きすぎるのでは」と問われた栗山さんは、こう返したとか。
「いや、沖縄では今も毎日これが日常だから」
この日のトークショーで聴いた言葉の中で、一番衝撃的でした。

成河さん目当てでチケット買ったわけですが、もう私の知っている「ソンハくん」とは別の人が。
「正義」に囚われてがんじがらめになっていくスピードが凄すぎて。それでなくても軽やかな身のこなし、響きのよい声、魅力的なのに憎らしくて。
小此木まりさんの鋭利な刃物のような歌も、鶴見さんの狂言回しのスタンダード、
見た人が「役者の熱量」という感想を書いているけれど、そのとおり。

わたしの中で消化できない、でも何かが絶対に刻まれる、それほどに大きなものを受け取りました。
多くの若い人に見てほしいと心から思います。

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