ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
私のブログは、心理学を中心にしようとし、政治ネタは極力避けてきたのですが、異例な事態発生により、とうとう政治ネタに触れます。
鳩山総理は、オバマ大統領に対して、彼の来日時に沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題の対処について
“Please trust me.”(どうか私を信頼して)
と言いました。
ところが、対米関係よりも連立を重視する鳩山総理は、日米合意に基づく名護市辺野古への移設計画を反故にし、新たな移設先を探す態度を示しています。
鳩山総理は、コペンハーゲンでのCOP15の際には、オバマ大統領と会談することもなく、晩餐会で隣に座ったクリントン米国務長官とのやり取りに関して18日、「(長官に)十分に理解いただいた」と記者団に説明しました。
ところが12月22日のYOMIURI ONLINE では、「米国務長官、藤崎大使呼び異例の会談」として、クリントン米国務長官が「21日昼(日本時間22日未明)、藤崎一郎駐米大使を国務省に緊急に召請し、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題について会談した」と報じています。
以下、次のとおりです。
長官は、日米合意に基づき、同県名護市辺野古への移設計画を早期に実施するよう改めて求めた。国務長官が駐米大使を呼んで会談することは極めて異例で、鳩山首相に対する米政府の不信感の高まりを示すものといえる。
普天間問題をめぐり、首相は17日、コペンハーゲンで長官に対し、名護市辺野古以外の新たな移設先を検討するため、結論を来年に先送りする、との鳩山政権の方針を説明。これについて、首相は18日、「(長官に)十分に理解いただいた」と記者団に説明した。クリントン長官の緊急召請は、米政府の基本方針は現行計画の履行であり、コペンハーゲンでの首相の説明を了承していないことを示す狙いがあったと見られる。
藤崎大使によると、21日朝、長官側から急きょ連絡があり、会談が決まった。長官は大使に「(自分の)考えを改めて伝えたい」と会談の趣旨を述べたという。大使は会談後、「国務長官が大使を呼ぶということは、めったにないことだ。重く受け止める」と語った。
(2009年12月22日11時01分 読売新聞)
“Please trust me.”が招いた異例な事態です。
政権発足から3カ月の鳩山総理、米軍普天間飛行場移設問題だけでなく、自身の政治献金問題への対応、来年度予算編成を巡る言動などで支持率急落。
私は、当然の帰結だと思います。
あまりにもリーダーシップに欠け、リーダーシップ理論では、
「放任型リーダーシップ」
に分類されます。
民間企業の社長なら業績低迷、信用失墜で、破綻への道をひた走るのは確実です。
ところで、オバマ大統領に言った“Please trust me.”は、アメリカ側では、どうやら鳩山総理は、この次に“But don't believeme.” があったのではないか、との解釈があるようです。
“Please trust me. But don't believe me.”
厳密には、こういう意味になります。( )に要注意です。
「どうか(人格面では)私を信頼してください。ですが、(行動面では)私を信じてはいけませんよ」
「trust(信頼する)」という言葉は、英語ではとても重い意味合いがあります。
日本語でも言葉の軽い鳩山総理、重い意味合いの「trust(信頼する)」を軽く使ってしまって、対米関係を最悪に導いてしまったようです。
<お目休めコーナー> 上野公園のランタン①
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