シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

野村恵一監督「小津の秋」(配給・野村企画、2007年、92分)☆☆☆☆

2020-12-21 12:58:40 | 日本・2010年~


舞台は秋の気配が立ちこめる蓼科高原、湯ノ原温泉界隈、ときどき軽井沢です。

しっとりした落ち着きのある作品です。園子役の藤村志保さんは炎のように燃えた過去の恋を、おさえたセリフと演技で表現して見事です。

ある若い女性新聞記者が苦労して、亡くなった自分の父親が過去に愛した女性とめぐり逢い、抱いていた不信を払拭していく物語です。

新聞記者の佐々木明子(沢口靖子)は、取材で蓼科を訪れました。「縄文のヴィーナス」の取材の仕事というのが名目でしたが、そこに行くと以前から探している人に会えそうな予感をもったからです。彼女は父の遺品を携えて出かけます。

現地で明子はホテルの支配人(栗塚旭)の案内を得て、無藝荘(小津安二郎監督が仕事場として使っていた別荘)の守役の吉岡園子(藤村志保)に偶然に出会います。そのことが亡き父の過去を追う切掛けになります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

菅原和彦監督「ベニシアさんの季節の庭」(ベニシアさんの季節の庭・製作委員会、2013年、100分)☆☆☆

2020-12-21 10:46:28 | 日本・2010年~


最近、TV(BSプレミアム・シネマ)で放映されました。ベニシアさんの波乱の人生が、折々の美しい山里の四季に包み込まれ、織り込まれています。

ベニシアさんはイギリスの貴族の家系の出、しかしそこに安らぎを得ることができず、母親の反対をおしきって19歳のとき祖国を旅立ち、インドに向かいます。その後、ベニシアさんがたどり着いたのは、京都・大原でした。

大原に理想郷を見出した彼女は築100年以上の古民家に居をかまえ、約100種類ものハーブを庭で育て、自然と一体となって暮らしています。庭は彼女にとって神様がおりたったところ。

この作品では、静謐で落ち着いたベニシアさんの人生が必ずしも順調だったわけではなかったことも描いています。結婚、離婚、再婚の苦労、娘の病気、夫の事故(山での滑落による)……。

ベニシアさんによるエッセイ風の母国語での語りは、心地よく響きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする