シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

レイフ・ファインズ監督「ホワイト・クロウ(原題:The White Crow)」(イギリス、2018年、126分)

2024-08-13 22:31:49 | イギリス
バレエ界のレジェンド、ルドルフ・ヌレエフ(1938-93)の半生を描いた作品です。

父親の赴任地に向うシベリア鉄道のなかで生まれたルドルフは3歳でバシキール共和国ウファに移住。幼少の頃から舞踊に興味を示し、11歳で当時ウファに転入してきた元ディアギレフ・バレエ団のアンナ・ウデルソヴァにバレエに手ほどきを受けます。17歳でロシアバレエの名門校ワガノワ・キーロフバレエ学院に編入し、本格的にバレエを学びます。名教師プーシキンに師事した後、ソリストとしてキーロフ・バレエに入団。

1961年に、海外公演の途中に亡命。1963年ごろから英国ロイヤル・バレエのゲストとして20近く年上のマーゴ・フォンテインとペアを組みます。1964年にウィーンに活動拠点を移し、1980年代にはパリ・オペラ座バレエ芸術監督に就任、という経歴です。

ホワイト・クロウ(白い烏)というのは「類いまれなる人物」「はぐれ物」の意。

主要な舞台はレニングラード、パリ。

作品の焦点は海外公演の途中の1961年6月16日、パリのル・ブルジェ空港でフランスに亡命するシーンとそこに至るまでの約5週間の滞在期間中の生活と公演での成功です。

作品の展開はそこに至る幼い頃の家族とくに母の想い出、レニングラードのバレエ学校時代のレッスンシーンを織り交ぜ、青年期におけるヌレエフの芸術的鍛錬と人生観の形成を掘り下げています。
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エリック・ベナール監督「デリシュ!(原題:Delicieux)」(フランス・ベルギー、2020年、112分)

2024-08-12 22:34:05 | フランス
この作品を観ると、誰も彼もがわけへだてなく食事をとれるレストランが誕生した秘密が明らかになります。細部まで実話かどうか不明。

舞台はフランス革命前夜のパリ郊外。

宮廷料理人のマンスロン(グレゴリー・ガドゥボワ)は、公爵主催の食事会でいつものように料理をふるまっています。

ところが、自慢の創作料理「デリシュ」にジャガイモを使ったため、公爵(バンジャマン・ラベルネ)をはじめとした貴族たちの不興を買い、解雇されます。

失意のなか息子(ロレンゾ・ルフェーブル)を連れ、旅籠をほそぼそと経営する父親の実家に身をよせたマンスロン。

そんな彼の前に、ある日、謎めいた中年の女性ルイーズ(イザベル・カレ)が「料理を学びたい」とやってきました。弟子はとらないと断りますが、雨にうたれても動かない彼女その熱意に根負けし、彼女を受け入れます。

彼女の案もとりいれ、再び美味しい料理を作る喜びを再発見するマンスロン。そして、ついに、初めて一般人のために開かれたレストランを開業。店はたちまち評判となります。

その存在がくだんの公爵に知られます。貴族と庶民が同じ場所で食をとるなどが考えられなかった時代に、彼のレストランでそれが実現。

しかし、ルイーズには何か暗い過去、怨恨があってここに来て、弟子になるべく懇願したようで・・・。いったいそれはどんな?
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ナンシー・マイヤーズ監督「マイ・インターン(原題:The Intern)」(アメリカ、2015年、121分)

2024-08-11 22:35:46 | アメリカ・2000年~
ハートウオーミングな作品です。若い女性がCEOである会社に、インターンとして入った70歳の男性。二人の世代を超えた交流を描いています。

電話帳作製会社の役員を退任し、妻と死別した70歳のベン・ウィテカー(ロバート・デ・ニーロ)。

引退生活は退屈でヒマで・・。

その矢先、ベンはブルックリンにある急成長中のファッションのeコマース新興企業「About The Fit」がシニアインターンの公募をかけていることを知り、挑戦。

めでたく採用され、CEOのジュールズ・オスティン(アン・ハサウェイ)のもとで働くことになります。

彼女はベンをあてにしておらず、彼は閑職。

しかし、ベンはその気さくな人柄と経験を活かした有益な助言で同僚たちの心をつかみます。

よく気がつき、散らかったデスクの整理で信頼を得ます。

ジュールズの運転手がこっそり酒を飲んでいるのをみると、自ら運転してジュールズを家まで送り届け、数日後には彼が専属の(?)運転手となります。

ジュールズはベンに仕事を与え始め、彼は彼女の業務負担を軽減します。

「About The Fit社」の社内マッサージ師、フィオナとの交際が始まります。

ベンはジュールズの家族にも受け入れられるようになりますが・・・。
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ピエトロ・フランチーシ監督「ヘラクレス(原題:Le fatiche di Ercole / Hercules)」(イタリア、1958年、107分)

2024-08-06 22:29:57 | イタリア
舞台は古代のテッサリア(現・ギリシャ)。イオルコスの王位をめぐる政争のなかのヘラクレス伝説。
 
イオルコスの国王エリーネを弟ペリアが殺害し王位に就きます。彼はさらに王位の正統な継承者であるエリーネの幼い息子ジャソーネをも殺めようとしますが、ジャソーネは近衛隊長のキローネと国外逃亡。

ペリアは勇士の聞こえ高いヘラクレス(スティーヴ・リーヴス)を新たな近衛隊長として呼び寄せます。途中、彼はペリアの娘ヨーレ(シルヴァ・コシナ)の危難を救います。

その矢先、城の近くにライオンが出没し、血気はやるペリアの息子イフィトスはヘラクレスの制止を聞かずに立ち向い殺されます。ペリアはイフィトの死がヘラクレスに責であるとし、罪の償いとして牡牛と戦うことを命令。ヘラクレスは牡牛を倒しますが、そのおり牛に傷つけられ死にかけているキローネと出会います。

キローネは苦しい息の下からペリアとエユリストが前王を殺したこと、ジャソーネが王位に就くべきであることと告げます。

ヘラクレスはジャソーネをペリア王に紹介しますが、ペリアは王位の象徴である黄金の羊毛を持たないジャソーネを甥とは認めません。そこでヘラクレスはキローネがコルキーデの海岸にかくした黄金の羊毛を探す旅に出かけます。艱難辛苦の末、王位の象徴はジャソーネの手に戻りますが・・・。
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ウォルガング・ピーターセン監督「トロイ(原題:Troy)」(アメリカ、2004年、163分)

2024-08-05 22:32:10 | アメリカ・2000年~
数日前に観たロバート・ワイズ監督「トロイのヘレン(原題:Helen of Troy)」(アメリカ、1955年、118分)のリメイク。

壮大な一大叙事詩。

今から3200年ほど前。ギリシャとトロイとの戦闘が描かれています。この頃、ミケナイの王アガメムノンはギリシャの諸国々を同盟国とし、残すはテッサリアのみ。
弟のメネラオスは長きにわたった戦い疲れ、エーゲ海の向こうにあるトロイとの和解を目指していました。その矢先、和平協定を結ぶためにスパルタを訪れていたトロイの王子パリスが、あろうことかメネラオスの妃ヘレンと恋におち祖国に連れ帰ったため、これが契機となって戦闘が始まります。

本作品ではギリシャの勇士アキレスの猛者ぶりと彼のブリセイスとの恋にに焦点があてられています。アキレスのスタンスはギリシャ軍の一員でありながら、王のアガメムノンを軽蔑し、異端のポジション。

<ギリシャ側の主な登場人物>
アガメムノン(ブライアン・コックス)、メネラオス(ブレンダ・グリーン)、アキレス(ブラッド・ピット)、ヘレン(ダイアン・クルーガー)

<トロイ側の主な登場人物>
プリアモス(ピーター・オトゥール)、ヘクトル(エリック・バナ)、パリス(オーランド・ブルーム)、ブリセイス(ローズ・バーン)

ギリシャVSトロイの大軍団の壮絶な戦闘シーンとともに、ヘクトルVSパトロクロス、アキレスVSヘクトルの一騎打ちのシーンが見ものです。
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ロバート・ワイズ監督「トロイのヘレン(原題:Helen of Troy)」(アメリカ、1955年、118分)

2024-08-04 22:33:38 | アメリカ・1950年~
ハリウッド映画のひとつのジャンルに「史劇」があります。「十戒」(1956年、セシル・B・デミル監督)、「クレオパトラ」(1960年、スタンリー・キューブリック監督)「スパルタカス」(1963年、ジョゼフ・マンキーウィッツ監督)など。

古代ギリシャ、伝承のトロイ戦争を題材にした本作品もそのひとつです。

原作はホメーロスによる叙事詩「イーリアス」「オデュッセイア」。

ごく簡単に言えば、この物語はトロイの王子がギリシャ(スパルタ)の王妃を連れ去ったことに端を発し、ギリシャ軍が彼女を取りかえすための戦争をしかけるという展開です。ギリシャ軍の詭計である「木馬」作戦でトロイが陥落したことは有名です。
紀元前1100年。繁栄を誇るトロイ市。近隣のギリシャ諸国には気になる存在です。

トロイ王子プライアム(サー・セドリック・ハードウィック)にはヘクター、ポリドラス、そしてパリス(ジャック・セルナス)の3人の王子がいました。

トロイ征服を唱える父を説得したパリスは平和使節としてギリシャへ向かいます。
途中、嵐にあいパリスはスパルタ海岸に漂着。その彼を救い、かくまったのはスパルタ王メネラウス(ナイオール・マクギニス)の妃ヘレン(ロッサナ・ポデスタ)でした。パリスがスパルタの王宮を訪れたとき、宮廷ではトロイ攻撃の軍議の最中。パリスの平和への希求は認められず檻禁されます。ヘレンはパリスを救出し、ふたりはトロイに向かいますが、怒ったメネラウス王がトロイ征服の兵をおこすと・・・。
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ジャック・ベッケル監督「幸福の設計(原題:Antoine et Antoinette)」(フランス、1947年、89分)

2024-07-31 16:48:36 | フランス
 


フランスの貧しい若い共働き夫婦の喜びと悲しみを,宝くじの当り券をめぐる騒動のなかに、細やかなタッチで綴った傑作です。

アントワーヌ(ロジェ・ピゴ)とアントワネット(クレール・マフェ)は,共働きの若い夫婦。アントワーヌは印刷関係の仕事,アントワネットはデパートの写真部門で働いていました。

二人はアパート暮らし。生活は決して楽ではないですが,隣人たちと上手に付き合って毎日を幸せに送っていました。

映画の前半,フランスの人々の生活が丁寧に描かれています。仕事場からの帰り道での買い物,夕食のチーズを少し残して明日のサンドイッチに使おうというセリフ,碍子を使ってアンテナから線をひき旧式ラジオを利用しようとする工夫,等々。

登場人物は個性的です。どちらかとうと胡散臭い人間を代表する工場長,商店主,デパートの上役。それに対して,若い二人とともにアパートに住む人たちはボクサー,夜警,音楽家,工場労働者,キップ売り場に勤める女性など貧しいが楽天的な人たちです。

アントワネットは美人,男に声をかけられることも多い様子。アントワーヌはそれが心配です。

この若い夫婦が買った宝くじが当ります。十万フランの賞金。その日暮らし同然の生活をしていた二人のものになるはずの金,ストーリーはこのことをめぐって展開します。
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フランソワ・トリュフォー監督「私のように美しい娘(原題:Une Belle Fille Comme Moi)」(フランス、1972年、97分)

2024-07-30 16:50:47 | フランス
 


不可思議な作品です。

原作はヘンリー・ファレルの小説「Such a Gorgeous Kid Like Me」。

社会学者のスタニスラス・プレヴィン(ベルナデット・ラフォン)が「犯罪女性」を研究し、論文を書くために、女囚刑務所を訪れ、受刑者カミーユ・ブリス(アンドレ・ヂュソリエ)のインタビューを繰り返しおこない、動機と心理を分析していくなか次第に親しくなり彼女の無罪釈放までこぎつけたものの、出獄した

彼女が人気歌手になりスタニラスに罪をきせるというもの。

研究対象だからといって学者が受刑者に繰り返しインタビューなどできるのか、その彼が彼女に食べ物を差し入れするなど許されるのでしょうか・・・。

それはともかく、ストーリーは次のとおり。

服役中のカミーユは、愛人を塔から突き落とした罪で受刑しています。定期的にインタビューを行う学者スタニラス。彼女の数奇な半生を聞いていくうちに、お色気たっぷりの彼女の魅力に惹かれていきます。

しかし、彼女はしたたかもの。幼少の頃すでに父親が納屋の二階で作業していたところを、ハシゴを外して墜落死させたのを手はじめに、次々にワナをかけて男を殺します。

彼女が無実の罪をきせられたという言葉を鵜呑みにし、スタニラスは事件の真相を究明するために現地へ。カミーユの無罪を証明する材料を入手して裁判にのぞみますが・・・。
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フランソワ・トリュフォー監督「あこがれ(原題:Les Mistons)」(フランス、1958年、19分)

2024-07-29 16:53:07 | フランス
19分の短編映画です。「大人は判ってくれない」(1955年)、「ピアニストを撃て」(1962年)、「華氏451」(1966年)、「アデルの恋の物語」(1975年)、「隣の女」(1981年)などを撮ったあの巨匠、トリュフォーがこのような作品をつくっていたとは・・・。驚きです。

わんぱくざかりの5人の男の子、アラン・バルディ、ロベール・ビュル、アンリ・ドマエグト、ディミトリ・モレッティ、ダニエル・リコー。

若い女性ベルナデットは、彼らの関心をよそに風を切って自転車に乗り回しています。翻るスカート、のぞけて見える美脚。まだ恋の意味も知らない男の子たちは彼女を追いかけます。

ところがある日、彼女が恋人のジェラールとデートしているところを見て嫉妬にかられます。

彼らは二人を徹底的に邪魔してやろうと、考えます。

二人の行く先々を追いかけまわしあの手この手でデートをぶち壊します。

怒ったジェラールに追い払われてもへこたれません。

ところが、ジェラールは徴兵され・・・
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ベルナルド・ベルトリッチ監督「ドリーマーズ(原題:(The Dreamers))」(英、仏、伊、2003年、115分)

2024-07-28 16:55:08 | イギリス
舞台は1968年、五月革命前夜のパリ。

映画オタクのアメリカ人留学生のマシュー(マイケル・ピット)。映画同好会に入り、映画館に入り浸りの日々。

彼がパリに来たのは語学の勉強というのは方便で、ベトナム戦争に駆り出されることへの忌避でした。

パリでも学生運動が起こり、毛沢東主義礼賛の風潮が色濃くでています。

映画画同好会の会員はデモに参加し、マシューはいつも所在なくその中にいました。
ある日、デモで毛沢東主義に傾倒する左翼活動家のイザベル(エヴァ・グリーン)とテオ(ルイ・ガレル)に出会います。イザベルとテオは双子の姉弟で映画が大好き。マシューと気心が通います。三人で夜遅くまで過ごします。翌朝、マシューはテオから自宅でのディナーに招待されます。

その夜、宿泊を促され、三人でテオの部屋で過ごしていると、姉弟の両親は翌朝から旅行に出かけ不在と知らされます。

結果、3人の奇妙な同居生活が始まります。

マシューにとって映画通の姉弟との会話は楽しく居心地良く、イザベルに好意を持つようになりますが、次第に姉弟の非常識で異常な部分が目に付くようになり・・・。
かつて「ラスト・エンペラー」「ラスト・タンゴ・イン・パリ」「1900年」「暗殺の森」を撮った監督はこの作品で何を描きたかったのでしょうか? 革命とエロス? 退廃的な性的倒錯?

過去の有名な映画作品と俳優がオマージュとして挿入され、その部分は懐かしく観られます。(「勝手にしやがれ」「街の灯」「理由なき反抗」「じゃなればなれに」「トップハット」など、俳優ではグレタ・ガルボ、マレーネ・デートリッヒ、フレッド・アステア、チャップリン、キートンなど)
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今井正監督「ここに泉あり」(1955年、177分)

2024-07-27 16:57:25 | 日本・1960年~
 


群馬交響楽団の黎明期の楽団経営の苦労、巡業公演の様子、東京交響楽団との共演、楽団員の確執を描いた作品。

指揮者として山田耕筰が、ピアノ演奏で室井摩耶子が特別出演しています。耕筰は有名な作曲家、摩耶子は戦後の代表的ピアニストで、100歳を超える現在も演奏活動をしています。

終戦直後、高崎市に結成された市民オーケストラは、働く人や子どもたちに美しい音楽を伝えようとの高邁な精神をもつ楽団。マネージャー井田亀夫(小林桂樹)の努力にもかかわらず、楽団員の生活は惨憺たるものでした。

唯一の女性楽団員はピアニストの佐川かの子(岸惠子)。音楽学校を出たばかりですが、このままでいいのかと悩んでいます。新しく赴任してきたヴァイオリニストの速水明(岡田英次)は彼女を励まし、子供たちの音楽教育をたずさわりますが、ソリストの道で身をたてる夢を捨てきれません。

楽団員のなかには喧嘩が絶えなくなり、経営不振のおり解散止むなしの状態に追いつめられます。

それでも利根源流の山奥の小学校へ行くと思いがけず、みんなで「赤とんぼ」を合唱して盛り上がり、勇気づけられます。草津にあるハンセン病療所にを慰問。歓迎されます。

速水とかの子の間に愛が芽生え結婚。難産の末、子どもが生まれますが、生活は苦しく将来への不安も大きくなるばかり。

井田は東京から山田耕筰指揮の交響楽団とピアニスト室井摩耶子を招き合同コンサートを開く計画をたてますが・・・。

ラストはベートーベンの「第九」!
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武田敦監督「沖縄」(1969年、195分)

2024-07-14 23:20:28 | 日本・1960年~

2部構成。第1部「一坪たりともわたすまい」は、貧しいながらも身を寄せ合って生きてきた故郷(農地)を米軍基地に強制接収される県民の抵抗と敗北を描いています。
第2部「怒りの島」は、米軍基地で働かざるをえなくなった彼らの苦悩と全面ストの経緯が描かれます。

〈第一部〉昭和三十X年。
主人公島袋三郎(地井武男)は、基地周辺の米軍物資を物色する日々。仲間の池原清(石津康彦)と基地周辺を物色中、玉那覇朋子(佐々木愛)とその弟でハーフの亘を知ります。

基地拡張を急ピッチで進める米軍は、平川部落の強制接収に乗り出します。「平川土地を守る会」の古堅秀定(中村翫右衛門)は、米軍将校に銃をつきつけられ、契約書にサインを迫られますが拒否。

演習が始まり、朋子の祖母カマド(飯田蝶子)が戦闘機の機関銃弾で倒れます。その保証は何もなし。白旗ののぼりをたてて連なる葬列、それは米軍への抗議の列で闘いは全沖縄の闘いへと拡がります。

〈第二部〉それから十年。三郎は父親の完道(陶隆司)と米軍基地に、朋子はドル買い密貿易に、そして亘(トニー和田)は軍用トラックの運転手として働いています。
ある日、三郎と朋子は米軍曹長より、模擬爆弾や薬莢の換金を頼まれます。朋子はこれらを買いたたき、三郎を驚かせます。

完道が足に負傷してクビに。軍労働者の怒りはストライキ闘争へと発展。米国は威信にかけてこれを弾圧し、三郎は米兵に拉致されますが・・・。
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御法川修監督「人生、いろどり」(2012年、112分)

2024-07-13 23:22:35 | 日本・2010年~


徳島県の過疎地上勝町での農協職員と高齢女性によって実現した植物の葉を販売するビジネスの顛末(年商2億円にまで成長)を描いた作品。

過疎の町、上勝町でみかん農家を経営していた徳本輝雄(藤竜也)と薫(吉行和子)夫婦は、カツカツの生活。その年も冷害のため、みかんが取れず廃業寸前。

JA(農協)職員、江田晴彦(平岡裕太)もこの状態を苦慮していましたが、ひょんなことから料理の「つま」に使われる葉っぱの販売を思いつきます。

薫が都会から親友、尾関路子(中尾ミエ)が帰郷し、雑貨屋を営む親友、石本花恵(富司純子)と3人で再会を喜んでいた矢先、晴彦はその場で自分のアイデアを語ります。しかし、輝雄たち男衆から「葉っぱなんて売れない」と馬鹿にされます。
ところが花恵が「やってみたい」と乗り出し、ついには薫と路子も巻き込んで、晴彦の指導のもとに「葉っぱビジネス」がスタートします。

あにはからんや。青果市場でセリにかけても、全く売れません。

花恵の提案で実際の「つま」ものを見るため薫、路子、晴彦と料亭に向かい、そこで「つま」ものが料理を引き立てていることを実感。女将と料理人から葉っぱのいろはから勉強します。

薫たちは勉強の成果を実践にうつします。季節を先取りした葉を種類や大きさで選別してパック詰め、再び市場のセリに出すと、葉っぱが売れはじめます。ところがトラブル続出。葉っぱビジネスの命運は?
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三宅喜重監督「県庁おもてなし課」(2013年、123分)

2024-07-12 23:25:08 | 日本・2010年~
 


原作は高知県出身の作家、有川浩による同名小説。

高知県庁に実存した「おもてなし課」を題材にした作品。

高知県は広大な自然をかかえながらこれといった観光資源がなく、そのため財政運営も楽でありません。

かつて観光産業を育てようとし、その目玉として「パンダを誘致しよう」と提案した清遠和政という男がいました。その突飛な意見に耳を傾けるものはなく、彼は異動を命じられ、結果、辞職することに。

それから13年。県庁「観光振興部」に「おもてなし課」が発足しました。東京の大学をでて県庁に就職した掛水史貴(錦戸亮)をはじめ4人の職員がいます。最初の仕事として高知出身の人気小説家の吉門喬介(高良健吾)に観光特使を依頼。引き受けてくれた吉門は、県庁には「民間感覚が足りない」と厳しい指摘します。そして、「外部から若い女性のアドバイザーを入れること」「(過去にあった)パンダ誘致論を調べること」を提案します。

掛水がパンダ誘致論を調べるなか、アルバイトの明神多紀(堀北真希)と出会い、彼女をアドバイザーとして採用します。早速ふたりで、かつてパンダ誘致論を唱え、聞き入れられず辞表をたたきつけ、いまは民宿を経営しながら観光コンサルである清遠和政(船越英一郎)を訪ねます。

清遠の構想は「高知県レジャーランド化構想」でした。自然を自慢するならそうすべき、と主張するのですが・・・。
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東陽一監督「化身」(1986年、106分)

2024-07-01 20:44:30 | 日本・1980年~


原作は渡辺淳一による同名小説。

中年の文芸評論家が20歳前後の若いホステスを自分好みに育てたものの、彼女が成長し変貌していくさま、「化身」を描いた作品です。

撮影は東京(新宿、銀座、代官山、自由が丘のあたり?)、京都、山中湖など。

秋葉大三郎(藤竜也)は文芸評論家。執筆活動、女子大での講義などけっこう多忙。聡明な編集者、田部史子(阿木燿子)と裸のつきあい(?)をしています。

京都での講義を終え、帰京した彼は東京駅に降りたつと、「鯖の味噌煮が食べたい」と言っていた銀座のホステスが脳裏をかすめます。里美(黒木瞳)というホステスのいるバー「魔呑」へ友人、能村(梅宮辰夫)と乗り込んだ秋葉は彼女をデートに誘います。デートのその日以来、秋葉は垢抜けない素朴な彼女にのめりこんでいき、マンションの一室を購入して住まわせます。この間、史子とは没交渉でした。

里美は本名を八島霧子といい、函館の出身。

最初はうぶで幼かった彼女も秋葉とつき合ううちに次第に大人になり、バーをやめ小さな洋服のリサイクル店をもちたいと言い出し、さらに新しい情報と品物の仕入れのためNYに行くと宣言。秋葉は驚きますが、しぶしぶ承知し、同行を考えましたが、母の久子(淡路恵子)が脳血栓で倒れます。やむをえず彼女のNY滞在中の世話を、商社員、室井達彦(永井秀和)に依頼しますが・・・。
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