シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

ニック・カサヴェデス監督「きみに読む物語(The Notebook)」(アメリカ、2004年、123分)☆☆☆★

2022-03-31 22:49:07 | アメリカ・2000年~


認知症を患い過去を思い出せない老女(ジーナ・ローランズ)の記憶回復のために、同じ療養施設にいるデューク(ジェームズ・ガーナー)がノートに記載された物語の読み聞かせをしています。その物語、実は彼らの過去の愛の葛藤でした。本作品は彼らが若かった頃のこの愛の物語にそって展開します。

舞台は、1940年のアメリカ南部シーブルック。青年ノア(ライアン・コズリング)は、別荘にやってきた17歳のアリー(レイチェル・マクアダムス)に心を奪われ、強引にデートに誘います。ふたりは熱愛の仲に。メアリーの家は富裕で、ノアは一介の木材加工の労働者。アリーの両親、とくに母親はアリーにノアとの付き合いをやめるように忠告します。

ノアは、深夜、古い廃屋にアリーを連れて行きます。ところが、彼女の両親が捜索願いを出し、二人の仲はひきさかれます。ひと夏の出来事でした。

ノアはNYで大学生になったアリーに一年365日、手紙を出し続けますが、アリーの母親が隠匿、没収し、本人に届きません。

第二次大戦でアメリカがドイツに参戦、ノアは徴兵されます。アリーはNYで裕福な弁護士ロンと婚約。

軍隊から戻ったノアはシーブルックのくだんの廃屋を改修し、新しい生活を始めていました。そこにアリーが結婚前に一度ノアに会いたいとやってきます。アニー宛のノアの手紙が母親に没収されていたと彼女は知って二人は・・・。
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ヴィム・ベンダース監督「アランフエスの麗しき日々」(仏、独、葡、2016年、97分)☆☆

2022-03-30 22:51:17 | フランス


ピーター・ハントケの同名戯曲の映画化です。実験的作品のようにみえます。

舞台はある夏の午後、小高い丘の上の一軒家。語り合う一組の男女がいる庭、その後方にあるひとりの作家がいる書斎、作家が音楽を流すジュークボックスの置かれた玄関ホール。

庭の木陰でテーブルをはさんで向かい合う男女の会話は、性の体験、子ども時代の思い出、男と女の違い、等々。ふたりがいる庭の後方の奥の書斎で、作家がふたりの会話を聞きながらタイプライターを打っています。

ふたりの哲学的会話が続きます。語り合う男女の関係の説明はなく、彼らがなぜ語り合うことになったのかも示されません。

吐き出される膨大な哲学的(?)セリフを理解することに追われます。

ふたりを包む涼やかな空気が流れ、心が癒される音楽が挿入され、不思議な心地よさを感じます。
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エリーズ・ジラール監督「静かなふたり(Droles D'oiseaux)」(フランス、2017年、70分)☆☆☆

2022-03-29 16:28:25 | フランス


舞台はパリ。内容は標題のとおり(笑)。静かな時間がながれていきます。

田舎(トゥール)からパリに越してきた27歳のマヴィ(ロリータ・シャマ)は、不器用で、シャイ。気ぜわしい都会生活に馴染めずにいます。喫茶店でコーヒーを飲み、読書するのがたのしみ。

ある日、カルチェ・ラタンにある小さな古書店の店主が出した従業員募集の張り紙を、喫茶店で見かけ、訪ねていきます。彼女はそこで、謎めいた店主ジョルジュ(ジャン・ソレル)と出会います。店のなかは乱雑、整理が行き届いていません。マヴィがそのことを口にだして言っても、ジョルジュは誰もこないから、ととりあいません。

ジョルジュと彼女は、祖父と孫ほど年が離れています。書物をとおして心を通わせ孤独を共有するうち、互いに惹かれ合います。しかし、ジョルジュには闇に包まれた過去があるようでした。妖しげな男が店にきて、倒れます。彼の過去に触れるうち、マヴィは自ら新たな一歩を踏み出します。

ドラマの起伏は少ないです。パリの街は丁寧に撮影されて、ときおり反核のデモ隊が映ったりします。
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シャロン・マグワイア監督「ブリジット・ジョーンズの日記(Bridget Jones's Diary)」(英・米・仏、2001年、97分)☆☆☆

2022-03-28 21:13:03 | 日本・2010年~



ジャンルはロマンティック・コメディ。

ヘレン・フィールディングの同名小説の映画化。

主人公はロンドンで暮らす32歳の未婚のブリジット・ジョーンズ(レネー・ゼルフィーガー)。

実家に帰って新年のパーティで法廷弁護士、バツイチのマーク・ダーシー(コリン・ファーズ)を紹介されます。ふたりの互いの第一印象は最悪。二日酔いの頭を抱え、彼女はしっかり生きるために日記をつけ始めます。決意その1、10キロの減量、その2、良識あるボーイフレンドを見つけること。

ブリジットは出版社勤務。上司の編集長ダニエル・クリーヴァー(ヒュー・グラント)に憧れています。ふたりはブリジットの服装が切掛けでメールのやりとりを始めます。

出版記念パーティに出席したブリジットは参加者の中にマークを見つけ、同僚の弁護士・ナターシャを紹介されます。パーティを抜け出しディナーに向かったブリジットは、ダニエルから、大学時代に同級生のマークに、フィアンセのことで確執があったと話します。ブリジットはダニエルと交際を始めますが・・・。

ブリジットとダニエル、マークの三角関係。彼女はいったい誰と結ばれるのでしょうか?

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佐々部清監督「種まく旅人~夢のつぎ木」(松竹、2016年、105分)☆☆☆

2022-03-27 21:15:49 | 日本・2000年~


舞台は屈指の桃の産地、岡山県赤磐市。

主人公は赤磐市役所に勤める27歳の片岡彩音(高梨臨)。9年前の春、女優を夢みて東京へ向かったものの、両親の死後、桃栽培を担っていた兄・悠斗(池内博之)が病に倒れたため、故郷の赤磐にいっとき戻って経営を手伝うことになります。

しかし、兄はついに帰らぬ人に。彼が抱いていた夢は、接木に成功した桃の新種「赤磐の夢」を新種登録で農水省の認可を受けることでした。悩んだ挙句、彩音は桃農家をつぐことにします。高校生の妹・知紗(安倍萌生)と二人で、新種の栽培を始めます。

彩音は桃の酒を作る宝町酒造の高橋親子(井上順、辻伊吹)や、レストランを営む義姉の美咲(海老瀬はな)たちに助けられながら、畑と市役所の仕事を両立して生きていきます。

そんなある日、農水省の職員・木村治(斎藤工)が桃栽培に関するレポートをまとめるため、赤磐にやって来ます。28歳の治の故郷は、大分県臼杵市。彩音は上司の岩渕(津田寛治)から案内役を任され、治を畑や直売所などに案内します.。それなのに、治の態度は当初、全く真剣でありません。それでもお互いに身の上話をしているうち、気心が通いはじめます。

その矢先、「赤磐の夢」の品種登録の可否通知が農林水産省から届きます。結果は・・・。
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篠原哲雄監督「種まく旅人~くにうみの郷」(松竹、2015年、111分)☆☆☆★

2022-03-26 20:38:42 | 日本・2000年~



舞台は淡路島。

淡路島に地方調査官として淡路島に主張を命じられた農林水産省官僚・神野恵子が、地元の農業、漁業従事者とぶつかりあいながら、成長する物語です。

「掻い堀り(かいぼり)」という農業用の池を維持するために行われてきた伝統的な管理方法を蘇らせたシーンが印象的でした。この方法は農作が終わる晩秋から早春にかけての農閑期に、灌漑のために溜めてあった水を抜き天日に干し、そこに堆積した土砂を取り除くというもの。栄養塩類を含んだ泥や水を海に排出し、その作業が海産物(この映画では海苔)に滋養をもたらす効果もあります。

この作品では衰退気味の第一次産業という環境を背景に、中央(農水省)の役人(栗山千明)と地元で直接農水産業に従事する人たちとの感情のズレ、そしてたまねぎ農家の四代目・豊島岳志(桐谷健太)と海苔養殖業に従事する渉(三浦貴大)兄弟の確執から話が始まり、ぶつかりあいながらそこから相互の理解が生まれ、ひとつの力になっていく過程が骨太に描かれています。

淡路人形浄瑠璃の伝統を引き継ごうとする女性のエピソードも盛り込まれています。

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堤幸彦監督「まぼろしの邪馬台国」(2008年、111分)☆☆☆

2022-03-25 20:41:28 | 日本・2010年~


「魏志倭人伝」にある邪馬台国の存在場所を生涯探し続けた宮崎康平(竹中直人)と、盲目の康平を支え続けた妻・和子(吉永小百合)の物語。

前半は島原鉄道の社長であった康平の人となりの紹介と和子との出会い、後半はふたりの邪馬台国捜しの旅の話です。

島原鉄道社長の康平(竹中直人)は、郷土史家でもありました。康平は情熱と頑なさをあわせもつ奇人です。NHK福岡放送局のラジオ番組
「九州の歴史」でMCを務めるフリーのラジオパーソナリティ・和子(吉永小百合)は、宮崎康平を番組に迎えました。番組終了後、和子に惹かれた康平は帰り際、島原へ来るよう誘います。

おりしも当該番組が打ち切られたことで和子は、島鉄本社を訪ねます。そこで和子が見たのは、ワンマン社長ながら情に厚い康平の姿でした。康平は賃金の安さに不満をもつ社員のために観光バス事業を始め、和子をバスガイドの講師に任命します。しかし、この事業は失敗。
その後、集中豪雨で鉄道が土砂災害に遭います。線路点検で鉄道沿いを歩いていた康平は土砂のなかに縄文土器を発見、「邪馬台国九州説」を唱えます。放漫経営がたたり康平は島鉄社長を罷免されます。福岡に帰ろうとした和子は康平からプロポーズを受けます。
ここから二人は魏志倭人伝から邪馬台国の位置の研究に取り組みますが・・・・。
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篠原哲雄監督「天国の本屋~恋火」(松竹、2004年、111分)☆☆☆★

2022-03-24 20:43:58 | 日本・2010年~


原作は松久淳と田中渉による同名小説。

ロマンティック・ファンタジー映画で、ロケ地は北海道の増毛町をメインに札幌、小樽など。主演の竹内結子は一人二役です。(竹内さんは一昨年亡くなりました。惜しい俳優さんでした。合掌)

現実世界と天国の間を人間が往還します。亡くなった人は天国に。死の影をもった人もここに連れられてきて本屋で仕事をし、落ち着くと現実世界に返されます。

「天国の本屋」の店長は、アロハシャツを着た人材管理人・ヤマキ(原田芳雄)。本屋といっても本を売っているのではなく、本を朗読してもらう場所です。

楽団を解雇され、自暴自棄になっていたピアニストの町山健太(玉山鉄二)は、この天国で憧れのピアニスト・翔子(竹内結子)と出会います。翔子は生前の事故が原因で片耳の聴力を失い、失意のうちピアノが弾けなくなっていました。翔子は、健太の協力を得て、断念していた恋人の花火をモチーフにしたピアノ組曲の最後の10曲目「永遠」を完成させようとします。

現実世界では、翔子の姪・香夏子(竹内結子)が長らく中止となっていた地元の花火大会を復活のため奮闘します。花火の暴発で翔子が聴覚を失い、ピアノ演奏を断念するにいたったことの責任を引き受け、花火師を辞めた翔子の恋人・瀧本(香川照之)に伝説の「恋する花火」を打ち上げるよう説得する香夏子。

天国で組曲が完成し、地上から伝説の花火が打ち上げられたとき、奇跡が起きります。
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木下恵介監督「風前の灯」(松竹、1957年、79分)☆☆☆

2022-03-23 09:06:07 | 日本・1950年~


舞台は戦後、東京・新宿界隈の一画にある佐藤家。

この佐藤家のドタバタとそこに盗みに入ろうとする少年3人組。貧しい生活のなかでの人間のぶつかり合いが見どころです。

佐藤家の住人は初老のてつ(田村秋子)、金重(佐田啓二)・百合子(高峰秀子)夫妻とその子ども和夫。てつは金重の本当の母親でありません。後妻に入り、苦労して金重を大学まで面倒まで育てました。金重は下駄屋の店員として働き、給料は月7000円程度(当時)。その金重が懸賞で一等賞(高額のカメラ)にあたります。これを売れば生活のタシになるはずです。

てつはこの家を自力でたて、資産をもっているらしですが吝嗇です。金重と百合子はその強慾婆さんの財産を狙っています。

同居人がいます。美代子(伊藤弘子)。喫茶店のウェイトレスです。アイロンで畳を焦したことでてつと大喧嘩になり、部屋を飛び出しました。

百合子の妹・さくら(小林トシ子)が金重の当選を新聞で知り、お金を借りにやってきました。もう一人の妹・あやめ(有沢正子)も現れました。美代子の部屋が空いたと知り、ボーイフレンドの大学生・鈴木(里見孝二)をそこに引っ越しさせる魂胆です。
そこへてつの甥と名乗る赤間(南原伸二)が訪ねてきました。どうも様子が変です。

個性ある訳ありの人間が入れ替わり立ち替わりぶつかり喧嘩し、話はかなり騒々しく展開します。
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稲塚秀孝監督「NORIN TEN 稲塚権次郎物語」(2015年、110分)☆☆☆★

2022-03-22 20:45:50 | 日本・2000年~


1960年代、世界食糧危機のさなかインド、パキスタンの人々を救った小麦がありました。その小麦の元祖は「NORIN TEN(小麦農林10号)」。稲塚権次郎(1897~1988)が育種した小麦です。昭和10年(1935年)岩手県立農事試験場で開発されました。

本作品は、現在、世界の小麦の70%以上のもとになった「NORIN TEN」の育種者、稲塚権次郎の半生を描いています。

主要舞台は権次郎のふるさと(現在の富山県南砺市)です。

権次郎(老年時代・仲代達矢、青年時代・松崎)の勉学と育種研究の過程が丁寧に映像化されています。

「NORIN TEN(小麦農林10号)」は、権次郎が岩手県農事試験場で小麦の新種を開発にとりくんだ成果で、昭和10年(1935年)秋に育種に成功しました。特色は半矮性で、従来の小麦に比べ背が低く穂が倒れにくい品種でした。

それに先だって権次郎は、秋田県大曲にある陸羽支場で主に稲の新種開発に没頭していました。「陸羽132号」「水稲農林1号」と、収量が多く、美味しい新種の稲を開発しました。さらに開発の意欲をもって研究を勧めていた矢先の岩手異動でした。

根っからの研究者タイプの彼は生真面目で、周囲に溶け込めない性格でした。上司の永井は彼に「謡」をすすめ、そこで会った佐藤イト(野村真美)を生涯の伴侶とします。

昭和13年、権次郎は華北産業科学研究所(北京)に異動。イトも同行しましたが・・・。

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沢島忠監督「一心太助 男の中の男一匹」(1959年、94分)☆☆☆

2022-03-21 09:26:18 | 日本・1950年~
監督の「一心太助」シリーズもののひとつ。中村錦之助が「太助」と「将軍・家光」の二役を演じます。活劇を溌剌とこなす錦之介の魅力が全開。

魚河岸で魚を売る仕事を元気にこなす一心太助(錦之介)。お仲(中原ひとみ)との婚礼の晴れの日、賭場を追われた弦太がころがりこんで来て、長屋は大混乱。太助の晴着はズタズタに。なんとか式を終えたものの、新婚夫婦の狭い部屋に転がり込んでくる輩たち。大久保彦左衛門家の用人・喜内(堺駿二)の隠し子・糸吉(夢路いとし)と鯉平(夢路こいし)、そしてお仲の郷の友達お恵(丘さとみ)とお光(月笛好子)。

その頃、魚河岸には魔の手がのびていました。悪商人・丹波屋(阿部九洲男)と結託した神尾主膳(原健作)、南町奉行備前守(進藤栄太郎)の兄弟です。折も折、彦左衛門(月形龍之介)が急死。

彦左衛門の死を待つかのように、南町奉行は、魚河岸の取締役・松前屋(大河内傳次郎)を豊臣残党の名目で捕縛し、代わりに丹波屋を新たに任命、河岸に重税を課します。

松前屋処刑の日。町中をひきずり廻されている松前屋を見て、「殿さま」と叫ぶ旅僧(三島雅夫)が。松前屋こそ30年前に失踪した弘前藩松前右近の一子・五郎兵衛です。証人を連れて伊豆守(山形勲)のもとに急ぐ太助らの前に主膳一味が立ちふさがりますが・・・。
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伊藤大輔監督「幕末」(1970年、120分)☆☆☆

2022-03-20 09:29:57 | 日本・1970年~


下敷きにあるのは、司馬遼太郎による長編小説「龍馬がゆく」です。幕末の薩長両藩の主導権争い、坂本龍馬の活動が描かれています。
前半は龍馬の土佐藩からの脱藩。

この作品によると、ある事件が引き金になった、とあります。

ある雨の日、怪我で自由にならない足に下駄を引摺った商人が藩の上士・山田にぶつかり、無礼討ちにあいます。土佐藩では士分以外に下駄は禁制。下士・中平寅之助が商人に下駄と雨傘を貸した親切があだとなりました。

この一件が坂本竜馬(中村錦之助)の心魂を揺すぶり、脱藩を決意。江戸を訪れた竜馬は、千葉道場に落着きます。千葉は時の幕府海軍奉行、開国論者・勝海舟(神山繁)を嫌っていました。竜馬は海舟を邸に訪ね、立場が違うものの、国を憂うる心は同じと感ずるところがあります。

勤王倒幕の雄藩、薩・長二藩の主導権争が激しい時期だった慶応元年。竜馬は長崎に「社中」を創設し海運業に乗りだしますが、中岡慎太郎(仲代達矢)とともに両藩連合のために奔走し、両藩の確執と反目を解消させます。しかし、それゆえに竜馬は幕吏に狙われるところとなります。

慶応3年10月15日、大政奉還。その頃、竜馬は河原町通りの醤油商・近江屋に下宿。11月15日、刺客により二人は・・・。
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後藤俊夫監督「マタギ」(1982年、103分)☆☆☆★

2022-03-19 23:41:27 | 日本・1980年~
 
「マタギ」とは「北国でクマなどの大型獣を捕獲する技術をもった狩猟家」のことです。

舞台は秋田県安仁町。

関口平蔵(西村晃)は、伝統的慣習を守る一徹な老マタギ(熊猟師)です。頬から顎に、そして背中に巨熊(ワタリグマ)と格闘した時の傷痕が残っています。因縁のライバルです。

平蔵は「アイツは俺が撃つ」と心に誓っていました。平蔵は太郎(安保吉人)の祖父です。マタギの稼ぎだけで生活できる時代は終り、太郎の父親(山田吾一)は農外収入を求める出稼ぎ生活で、ほとんど家にいません。太郎にとって平蔵は父親のような存在でした。

愛犬シロが五匹の仔を産みます。太郎は一番小さいチビを貰います。マタギは犬を連れて歩きます。犬に熊の居場所を探させ、杖の役割に使うのです。それまで平蔵についていたシロが老いて亡くなると、代わる犬を育てなければならずチビがその役割を担うことになり、苛酷な訓練にいどみます。

再びやってきた熊猟の季節。あちこちで熊の被害が出ていました。身体、視力が弱ってきた平蔵はマタギ人生にピリオドをうつべく、アイツとの勝負にかけて、太郎、チビを連れ山奥に入っていきます。霧がまき、吹雪に荒れる日が続きましたが、霧の彼方にアイツが姿を現わしました。勝負に出る平蔵。チビは果敢に巨熊にむかっていきますが・・・。
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田中光敏監督「利休にたずねよ」(東映、2013年、135分)☆☆☆

2022-03-18 23:44:36 | 日本・2000年~


原作は山上兼一による同名小説です。

秀吉の逆鱗にふれ最期の時を迎えた利休(市川海老蔵)に、妻・宗恩(中谷美紀)の胸中にそれまでに彼に抱いてきた疑問がよぎります。その疑問は利休が思いを抱いていた人がいたのでは、というもの。利休は若かった頃、高麗からさらわれてきた女性に心をよせ、その出会いが彼の生涯と芸の道に大きな変化をもたらしたのでした。

開巻、大嵐の中、千利休の屋敷は秀吉の3000の兵士に囲まれていました。利休は縁側で白装束を身にまとい、座していました。そこに妻が灯りを持ってきます。灯りを消すように利休は言い、一服の茶をたてます。

秀吉に対して命乞いせず、「天下を動かすのは、武力と銭金だけではない」「私がもとめるものは、美しいものだけ」と呟く利休。その精神が秀吉を怒らせたのです。

ストーリーは「切腹、21年前」「12年前」「10年前」「9年前」「6年前」「利休、切腹の年」と展開します。

利休の生涯をとりあげた映画作品にはこの他に、勅使河原宏「利休」(1989年)、熊井啓監督「本覚坊遺文 千利休」(1989年)があります。田中光敏監督による本作品は、脚色された部分が多く、史実とはだいぶ異なりますので(原作がそうなのでしょう)、その点を了解しながら観なければなりません。
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勅使河原宏監督「利休」(松竹、1989年、135分)☆☆☆★

2022-03-18 14:13:21 | 日本・1980年~


天正10年、利休(三国連太郎)は信長(松本幸四郎)に茶頭として仕えていましたが、信長が本能寺の変で明智光秀に暗殺された後、秀吉(山崎努)の茶頭となります。

利休は茶の道をとおして多くの武将から敬意を受けていました。自らわびの極致である京都・山崎の待庵などをもち、茶道の奥義を極めていました。

ところが、石田三成(板東八十助)台頭後、秀吉と利休の呼吸があわなくなります。利休の愛弟子・山上宗二(井川比佐志)が、茶席で仕えた北条幻庵に義理立てしたことで、秀吉の逆鱗に、触れ殺されたのはそのひとつ。さらに利休が朝鮮出兵に疑義を抱いていたことが、秀吉を怒らせます。利休は京から遠のけられ、堺屋敷内での蟄居を命じられました。

秀吉の正妻、北政所・ゆら(岸田今日子)が利休の妻・りき(三田佳子)に文を届けます。そこには利休が詫びれば、秀吉は自分からも許しを乞う用意がある、とありました。しかし、返書には丁重な形式的おわびの言葉があるだけでした。利休には譲れない大義がありました。秀吉は腹をたて、利休に最後通牒を告げますが・・・。
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