シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

増村保造監督「動脈列島」(1975年、121分)

2024-06-09 19:49:35 | 日本・1970年~


原作は清水一行による同名小説。院生だった頃、修士論文執筆の合間に、面白くて一気に読んだ記憶があります。

映画上映されたことは知っていましたが、時間的精神的ゆとりがなく、まして映画を観に行くお金もなく、断念。それがいまになってU‐NEXT配信で観れるとは(>o<)。
舞台は東海道新幹線沿線、主として東京そして愛知。

本作品が製作された前年には映画の舞台の一つとなった名古屋市の新幹線沿線住民が名古屋地方裁判所に騒音公害に対する訴えを起こしています。

名古屋市熱田区。「ひかり」が住宅密集地を時速200キロ近い高速で疾駆。その音に苦しみながらひとりの老婆が亡くなります。医師、秋山宏(近藤正臣)と恋人である看護士、君原知子(関根恵子)の懸命の治療もむなしく。

老婆の死の遠因となった騒音に怒った秋山は新幹線転覆を計画します。秋山は君原に理由を語らず病院からニトログリセリンを盗み出すように依頼。そして、知子に欧州旅行をすると伝え、行方をくらませます。

翌日、「ひかり」の車内トイレから脅迫状が入った赤い缶が発見されました。

脅迫状の中身は国鉄に対する騒音対策の具体的実施要求、要求を受け入れられない場合には10日以内に新幹線を転覆させるというもの。翌日には豊橋駅でこだま号が脱線させられます。

警察庁は犯罪科学捜査研究所所長の滝川保(田宮二郎)を捜査本部長に任命、極秘捜査に入ります。滝川は脅迫状の内容が幹線騒音公害訴訟団の要求と同じであったので、訴訟団が主張の根拠とした論文の執筆者、秋山に狙いをつけますが・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

出目昌伸監督「神田川」(1974年、84分)

2024-06-04 20:46:04 | 日本・1970年~


原作は一大ヒットした「♪神田川」(かぐや姫)の作詞を担当した喜多条忠(きたじょうまこと)による自伝的小説。

大学(ロケは早稲田大学キャンパス)の人形劇サークルに所属している上条真(草刈正雄)は、巡業先で出会った少女が脳裏に焼き付いていました。

東京に戻ってその少女との再会が偶然に訪れます。少女の名前は池間みち子(関根恵子)。印刷所に勤める貧しい少女でした。

再会の翌日、神田川上流の散策。

みち子の母は料亭の下働き、娘の給料をあてにしています。アルバイトをしながら人形劇の上演、脚本執筆に余念がない真。そんな二人の心に、いつしか愛が生まれます。

そんなある日、真はみち子をモデルに書き上げた「新かぐや姫」が仲間に不評。エリートの兄(勝部演之)は、真の生き方を頭から否定します。

雨の中、真はみち子の下宿を訪れ、みち子に迫ります。みち子は拒絶。真は後悔をかかえ東北の巡回公演に出発。公演は大成功でした。

その夜、みち子が真に全てを与えるために当地まで追って来ました。燃えさかる焚火を背景に結ばれる二人。

真とみち子の同棲生活が始まり、みち子は妊娠します。しかし、それを知った真の兄は、検診と偽りみち子を連れ出し、中絶させます。

サークルをやめた真は二人の生活を守るために働きますが、みち子は耐えられず自分も働くと・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

実相寺昭夫監督「哥(うた)」(1972年、119分)

2024-06-01 20:48:35 | 日本・1970年~


旧家の3人の息子、書生たちの人間関係の軋轢がついに一家を崩壊させいく様を描いた作品。人間の心の動きと行動の原点をえぐる作品世界。

ヴィヴァルディの「四季」がこの旧家の運命を煽るかのように流れます。

舞台は丹波篠山の山あいに豪荘な邸宅を構える森山家。

70歳を過ぎた当主伊兵衛(嵐寛寿郎)は妻ヒサノ(毛利菊枝)、召使、浜(荒木道子)と静かに暮しています。

伊兵衛には三人の息子がいます。

長男、康(岸田森)は本家を離れて法律事務所を開業しています。妻、夏子(八並映子)は27歳。夫婦関係に欲求不満。

次男、徹(東野孝彦)は将来を嘱望された新進の画家でしたが、挫折、出奔。以来、消息不明。

三男、淳(篠田三郎)は実は伊兵衛と浜の子でしたが、この秘密は知るのは伊兵衛夫婦、浜そして淳自身のみ。

淳は、浜から森山家を護るよう言われ、康の家に書生見習として住み込んでいました。

康の家には他に司法官試験合格を目指す青年、和田(田村亮)と肉感的な女中藤野(桜井浩子)が同居しています。二人は、日夜、情事におぼれています。

ある夜、夏子はいつものように夜廻りをしている淳の懐中電灯の先に見えた和田と藤野の情交の現場を目撃。昂奮した夏子は、若い淳にせまります。

森山家の財産を狙う康と徹。淳はこの家を護ろうと立ちはだかりますが・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

浦山桐郎監督「青春の門(自立編)」(1977年、162分)

2024-05-08 20:52:40 | 日本・1970年~
 


原作は五木寛之による同名ベストセラー小説です。

主要舞台は昭和29年以降の東京、新宿、早稲田界隈。

昭和29年、北九州の筑豊から上京し早稲田大学文学部に入学した伊吹信介(田中健)の青春です。

入学した信介は石井講師の家に住みこみ。赤貧の学生生活。授業料、生活費を稼ぐためアルバイトに頼り、授業に出るのは二の次の有様。たまに出席しても居眠りばかり。

アルバイト先の娘・結城慶子(高瀬春奈)は信介と同じ早稲田の学生。信介と全く別の都会的生活を送っている彼女は、何故か彼に興味を示し、音楽会に誘ったりします。

信介は偶然、演劇部の緒方(伊東辰夫)と友達になります。緒方から学生生活の仕方、新宿二丁目の遊び方を教えられます。娼婦カオル(いしだあゆみ)は、二丁目のローザと呼ばれる細面で色の白い女。

そんななか、厳しい練習に耐えぬくハングリーな学生を探していた石井講師(高橋悦史)は、信介に目をつけます。信介がボクシングに入れ込んだのは、慶子に接近する機会をねらっていた浜崎(高山彰)となぐりあいに及び、のされたことがあったからです。

ある日突然、幼な馴染みの織江(大竹しのぶ)が北九州(若松)から上京してきます。3カ月前、信介が母の死で帰郷したおり、信介は織江と再会し、彼女はその時のことで妊娠したと言うのですが・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

浦山桐郎監督「青春の門」(1975年、189分)

2024-05-07 20:54:40 | 日本・1970年~


原作は五木寛之による同名長編小説(筑豊編)です。

主要舞台は筑豊炭鉱。大正後期から戦後に至る「激動」の歩み(関東大震災、満州事変、2・26事件、真珠湾攻撃、敗戦、朝鮮戦争、講和条約締結など)を背景に描かれます。

開巻、山本作兵衛の炭鉱画(後にユネスコ世界記憶遺産に認定)が数分、映し出されます。

吉永小百合さんが坑内で顔を真っ黒にして働き、汚れ役もこなしています。

大正7年。米騒動の嵐が筑豊に波及し、ダイナマイトをふりかざし軍隊に抵抗し男を上げた伊吹重蔵(仲代達矢)は坑夫たちの信望を集め頭領になります。

一人息子、幼ない信介を残して妻が他界した後、重蔵は天草生まれの女給タエ(吉永小百合)を嫁に迎えます。新しい母を迎えた信介、しかし炭鉱で水没事故が起こります。重蔵は坑内に閉じ込められた朝鮮人徴用工を秘かに救出しようと自らハッパをかけ爆死。みなの命を救います。

太平洋戦争が始まり、小学校4年になった信介。ある日、友だちと一人の朝鮮人少年をいじめ、来合せたタエに頬を張られ、叱られれます。この喧嘩を契機に、あの水没事故の時に重蔵に命を救われた朝鮮人、金朱烈(河原崎長一郎)がタエのところに出入りします。この事は当然、炭鉱内の噂になりますがタエは気にかけません。

その金も出征。やがて敗戦。男たちが戦場から帰って来ました。重蔵にタエ母子の事の面倒を見る、と約束していた竜五郎(小林旭)は、タエ、信介(田中健)を引き取ろうとしますが、金は猛烈に反対し自分と朝鮮へ行こう、と誘います。気丈なタエはこの二人の申し出を断わります。

この後、タエの病、信介の性の目覚め、高校進学、音楽の女教師、梓旗江(高橋恵子)への憧れ、と続き・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

寺山修司監督「田園に死す」(1974年、100分)

2024-02-17 19:15:37 | 日本・1970年~


奇抜な異形のシーンがずっと続きます。

「恐山」「母殺し」「家出」など寺山特有のテーマが取り上げられ、自伝的要素が見られるものの作為的な箇所も多い作品です。刊行された同名の歌集からの短歌が、映画の中で何度も朗読されます。

恐山の麓の村で母と二人で暮らしている中学生の私(高野浩幸)。父親はいません。唯一の楽しみはイタコに父親の霊を呼び出させ、会話をすること。隣には他所から嫁入りした若い人妻(八千草薫)が住んでいて、意中の人です。

ある日、村にやって来たサーカスへ遊びに行った私は団員から外の世界の事を聞かされ、憧れを抱きます。生活に嫌気がさしていた私は家出を決心し、同じように生活に飽いている隣の人妻と共に村を離れる約束をします。駅で待ち合わせをし、線路にそって歩く二人。

不意に映写終わります。ここまでは、映画監督となった現在の私が制作した自伝映画の一部でした。試写会が終わって、ある評論家(木村功)と一緒にスナックへと入った私(菅貫太郎)は、「もし、君がタイムマシーンに乗って数百年をさかのぼり、君の三代前のおばあさんを殺したとしたら、現在の君はいなくなると思うか」と問われます。

質問の意味をつきつめた私は、少年時代の自分自身に出会います。少年の私は、映画で描かれた少年時代は脚色されていて真実ではないと言い放ちます。そして本当の少年時代が語られると・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東陽一監督「サード」(1978年、103分)

2023-11-02 23:39:50 | 日本・1970年~


原作は軒上治による小説「九月の街」。これを寺山修司が脚色しました。

少年院を舞台に、少年の日常と過去を描いたドラマです。映像のスタイルがドキュメンタリータッチです。起床、食事、掃除、面会人との対話・・・。

タイトルの「サード」は、主人公のあだ名です。高校野球部で三塁手として活躍していたからです。

そのサード(永島敏行)は、数学ⅡBが得意だった「ⅡB」(吉田次昭)とともに少年院に収監されています。ここの日常は、単調そのもの。毎日をいかにやり過ごすかが、頭に浮かぶ唯一のこと。規則にしばれ、「遊ぶこと」は禁じられています。

サードがここに入れられたのは、傷害事件を起こしたからです。その発端は彼がⅡB、新聞部とテニス部の女の子(森下愛子、志方亜紀子)の4人がつるんで「どこか大きな町に行こう」ということになり、そのためにはお金が必要になり、いかがわしい仕事にかかわったことにありました。

仕事は当初、順調にいっていましたが・・・。

歌手の島倉千代子が、サードの母親役で出演しています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャック・ヘイリー, Jr. 監督「ザッツ・エンタテイメント(原題:That's Entertainment)」(米、1974年、132分)☆☆☆☆☆

2023-09-20 19:41:07 | 日本・1970年~
 
実に楽しい作品です。圧巻の約二時間。

ミュージカル映画で他社の追随を許さなかったMGM社(Metro-Goldwyn-Mayer)が、創立50周年を記念して製作した作品です。MGMの歴史は、さながら映画の発展のそれでもあり、この観点から鑑賞することができました。

この作品はジーン・ケリーが、かつて同社に所属していたスターに声をかけて出来あがったもの。フレッド・アステア、ビング・クロスビー、フランク・シナトラ、エリザベス・テイラー、ミッキー・ルーニーなどの往年の名優が出演しています。他に、エスター・ウィリアム、ジュディ・ガーランド、ライザ・ミネリなどなど。

内容は『ブロードウェイ・メロディー』(1929年)にはじまるMGMミュージカルから名シーンが抜粋され、プレゼンターがコメントをいれて紹介していきます。ミュージカルシーンで優れたものから名場面が採用され、この世界の歴史、魅力を学び、かつ愉しめます。

とくに関心をひいたのは、1920年代に入ってトーキーの時代に入り、いろいろなことが起きたこと、それまで訛りのある英語でも平気で俳優をきどっていられた時代が終わり、それゆえにこの世界を去っていた人が多数いたこと、また演技だけ出来ればよかった俳優が歌を歌わせられたり踊らされたり大変だったこと(クラーク・ゲーブルがダンスをしていました)、などでした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

森谷司郎監督「赤ずきんちゃん気をつけて」(1970年、90分)☆☆

2023-09-11 20:37:00 | 日本・1970年~


原作は庄司薫による同名の小説です。芥川賞受賞作品。この小説のすぐ後にこの作家は「白鳥の歌なんか聞こえない」「さよなら怪傑黒頭巾」を発表。

その頃、大学生だったわたしはこの「赤ずきんちゃん気をつけて」を読みました。面白い小説とは思いましたが、正直のところ、「え、これが芥川賞? 深みがない!」。

芥川賞作品といえば石川達三「蒼氓」、安部公房「壁」、遠藤周作「白い人」、松本清張「或る『小倉日記』伝」、吉行淳之介「驟雨」、北杜夫「夜と霧の隅で」、開高健「裸の王様」、大江健三郎「飼育」など、高校生時代、かなり読んでいましたが、当時のわたしの主観(!)では、その延長線上に考えられないテーマ、文体だったからです。(現在の芥川賞受賞作品は、「その文学的価値」をみとめつつ、しかしたぶんに「話題作り」に傾斜してますね)
その「赤ずきんちゃん気をつけて」が映画作品にあると知ったので、観ました。

舞台は東京。東大入試の中止が決定された1968年の冬。

卒業を間近にひかえた日比谷高校生・薫(岡田祐介)の一日を描いています。家族やガールフレンドとの関係が映し出され、観念的な(?)政治や世界観についての友人との議論、青春の悩みがほとばしります。

そのうち、街で偶然であった幼女に「赤ずきんちゃん」の絵本を選んであげ、ふれあう中、大学受験を断念します。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

前田陽一監督「虹をわたって」(1972年、88分)☆☆☆

2023-09-10 20:39:00 | 日本・1970年~

ある時代(1970年代前半)の世相を感じさせる作品です。

この作品で天地真理さんはタイトルの「虹をわたって」の他に、「小さな恋」「ひとりじゃないの」を歌っています。

本作品が製作された1972年、わたしは大学4年生。天地真理さんの「水色の恋」が小柳ルミ子さんの「瀬戸の花嫁」とともに大ヒットしていました。
往年の俳優が多数。有島一郎、日色ともえ、左時枝、武智豊子、なべおさみ、岸部シロー、沢田研二、萩本健一。みんな若い!

舞台は、横浜に流れるドブ川のような運河。そこに一隻のダルマ船・水上ホテル「レンゲ荘」がつながれています。有象無象の労務者風のはぐれものたちが宿代わりにつかっています。

ここに家出をした星野マリ(天地真理)が「一晩泊めてください」とたずねてきます。白い洋服の似合う、清楚な娘さん。後からわかるのですが、彼女の家出の原因は、父親が妻と死に別れ、その後、女性とつきあうようになったことです(嫉妬)。

船の持主おきん(武智豊子)は、この娘マリを泊めてやります。少し前に亡くなった長老(大杉侃二郎)が生きているうちに会いたいといっていた孫娘と偽わって。

マリと労務者たちとの交流が始まります。長老の鞄に入っていたかなりの遺産を使って競艇にいったり、たのしそうです。

数日後、マリは父(有島一郎)とレストランで食事。父親がそこで切り出したのが自分の再婚の話。相手はくだんの女性、恵子(日色ともえ)。多感なマリは、ショックを受け・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

野村芳太郎監督「しなの川」(1973年、91分)☆☆☆★★

2023-06-09 15:52:53 | 日本・1970年~


昭和初期の波乱の時代を背景にしたひとりの女性の情熱的な愛の遍歴。原作は岡崎英夫(作)、上村一夫(画)による同名劇画です。脚本はジェームス三木と野村芳太郎。

舞台は昭和初期の新潟県十日町、長岡、佐渡、そして一部、東京。

高等女学校3年生の高野雪絵(由美かおる)は、十日町の養蚕農家の娘。そこで丁稚として働く朝田竜吉(仲雅美)。気苦労の多い丁稚生活の中で、竜吉の安らぎは雪絵の存在でした。

雪絵には母がいません。母は13年前、番頭と駆落ちしたらしいのです。父(仲谷昇)に問いつめても、頑なに黙るばかり。

雪絵と竜吉の仲はその後、急速に親密になります。困り果てた父親は、雪絵を長岡の女学校に転校させます。

転校した雪絵。今度は、情熱的な左翼シンパの国語教師・沖島雄介(岡田祐介)に惹かれ、ここでもふたりの関係が問題になります。校長に呼び出された父は、雪絵を十日町へ連れ戻します。沖島は結婚を申し込みに十日町の高野家に来ますが、父は即座に拒否。

行き場を失った沖島と雪絵は駆落ち同然で、東京へ出ます。しかし、ふたりは追ってきた刑事(加藤嘉)に捕まり、沖島は父のいる伊豆へ、雪絵は十日町の実家に連れ返されました。

十日町にもどってきた雪絵は、高野家が金融恐慌のため莫大な借金を背負っていることをしります。そして、父が勝手に決めた縁談に激怒し・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

森崎東監督「喜劇・女は男のふるさとヨ」(1971年、91分)☆☆

2023-05-15 19:45:13 | 日本・1970年~



金沢(森繁久弥)と竜子(中村メイコ)が営む「新宿芸能社」は踊り子斡旋業。そんなふたりを慕う踊り子たち。

全国の小屋をひとりで渡り歩くのは「またたび笠子」。「かあさんアタシ結婚するわよ」「誰と?」「誰かと」笠子(倍賞美津子)の呑気な婚活宣言。男に惚れやすいのが母親、4竜子の心配の種です。

笠子を慕う「アオカン星子」は踊りズブの素人で、素顔が泣きべそ顔。それと男に対してオープンすぎる、と竜子は心配します。

笠子は旅先で知り合った照夫(河原崎長一郎)と車で東京から四国へとともに旅をするうちに、自分に対する誠意が本物であることを知って結婚を決意します。ところがふたりが上京し、みんなから祝福を受けた夜、寝物語に聞いた彼の話では実は女房子供持ちであり、遺産相続をめぐって係争中であることが分かります。失意の笠子はまたひとり旅へ。

星子(緑魔子)は踊りが上達し、目覚めたプロ意識から整形手術。ケチ権という50も年の離れたボーイフレンド(伴淳三郎)もできます。自殺願望の青年を助けようとした無垢な真心が誤解され警察沙汰になりますが、その星子の純真さに惚れたケチ権が求婚すると、あっさり承諾。みんなに祝福されて幸せな星子。そして笠子も早くかあさんが祝福してくれるような、いい男に巡り会えるよう今日も旅を続けるのですが・・・。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

河崎義祐監督「炎の舞」(東宝、1978年、96分)☆☆☆

2023-05-04 20:32:03 | 日本・1970年~


原作は加茂菖子による『執炎』です。

相思相愛で結婚した若い男女が、アジア=太平洋戦争によって引き裂かれていく運命を描いた作品です。

ドル箱だった山口百恵、三浦友和コンビの9作目。この二人が出演した映画は何本か観ましたが、百恵さんの人気先行で内容はいまひとつ。話が単調です。

三浦友和さんは、現役の俳優です。存在感があり、いまや日本映画界の重鎮(「沈まぬ太陽」など)。百恵さんとの共演から脱皮し、若い頃より格段に良くなりました。

昭和14年(1939年)、軍事教練を終えた拓治(三浦友和)は、日本海に面した故郷へ凱旋。網元の吉井家で宴会が行われ、村人が集まりました。

翌日、拓冶は船を作る目的で大木を探しに森に入り、使えそうな木にマークを付けていきます。森の向こう側に着くと、ふもとに集落がありました。気になった拓冶は村に向かい大きな家をみとめると、誰もいないので入り込みます。そこには一人の娘が。
部屋にはアゲハ蝶の家紋。拓冶は平家の落人の村だと了解します。娘の名は久坂きよの(山口百恵)。

以来、二人は頻繁に会うようになり、結婚。拓冶のいとこの泰子が夫の則義を連れてやって来ました。陸軍大尉の則義は拓冶と酒を酌み交わし、きよのは医者の泰子と親しくなります。

その矢先、拓冶に赤紙が来ます。吉井家では出兵を祝う宴会が行われ、「必ず帰ってくる」と誓う拓冶でしたが、・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中村登監督「蘇える大地」(石原プロ、1971年、119分)☆☆☆★

2023-01-01 19:55:21 | 日本・1970年~


見渡す限りの鹿島の荒地に港を建設する男たちの理想と現実の矛盾を描いた骨太の作品。

原作は木本正次による小説「砂の架十字」。

舞台は茨城県鹿島。

開巻、寛保・弘化の利根川の治水工事の先頭にたった水戸の郷士・中館広之助。地元住民を集め治水工事にとりかかりますが、大利根の脅威は彼の雄図を打ち砕き、中館が自死するシーン。

それから数百年もの間、貧しく崩れ落ちそうな民家は荒凉たる大砂丘、吹きすさぶ砂の嵐に耐え、時間がとまったままのようでした。しかし、近年、理想家の茨城県知事・岩下三雄(岡田英次)のもとに、鹿島開発の気運が盛り上がります。岩下とその下で働く開発職員で熱血漢・植松一也(石原裕次郎)は開発の許可をもとめ奔走しますが、中央政府には聞き入れられません。プランは頓挫するかにみえましたが、ふたりの熱意が建設省の辣腕家・野田鋭介(三國連太郎)を動かします。

待望の国家予算がおり、鹿島開発がスタートするも前途は多難。農漁民の反対運動が開発工事の壁となります。植松の前にも住民の抵抗がおきます。学校教師・添島美奈子(司葉子)もそのひとり。

岩下知事は開発の第一段階としてS金属の誘致を図ります。S金属の会長(滝沢修)は一見無謀とも思える開発事業に調印し、やがて野田が茨城県開発部長として乗り込んで来ます。そして、最終的にコンビナート建設にこぎつけますが・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

村野鐵太郞監督「富士山頂」(石原プロ、1970年、124分)☆☆★

2022-12-31 19:53:08 | 日本・1970年~


富士山頂にレーダーを取り付けた男たちの物語。

原作は新田次郎による同名小説です。

一口に富士山頂にレーダーを設置するといっても、それは途方もない難題です。設置の作業期間は夏場の気候が安定した4カ月ほどに限られます。それ以前に大きな資材をどのようにして頂上まで運ぶのでしょうか。標高3700㍍を超える過酷な環境にレーダーを、人力で設置できるのでしょうか。

このレーダーを設置すると、日本列島の南方800km先の台風の動向を察知し、進路を予測できるのです。気象庁測器課長の葛木(芦田伸介)は、台風の被害を少しでも減らすべく、このプランに情熱をたぎらせていました。

大蔵省へ歩を運ぶこと3年、葛木の夢は実を結び、予算2億4千万円を確保します。すぐさま、始動。三菱電機技術部員・梅原(石原裕次郎)、大成建設・伊石(山崎努)とともに2年予定の工事が始まります。

極寒・高山病で、作業は難航。親方・朝吉(勝新太郎)は、資材を運ぶための馬を売ってブルドーザーを揃え頂上を目指します。
レーダーを設置するドームはヘリコプターで運びます。山頂は乱気流が発生しやすく、気象条件が難しい中、操縦する加田(渡哲也)は、直径9m、総重量600kgのドームを吊り上げ輸送しました。

レーダー設置の一大事業の結末は?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする