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シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

エド・エアレンベルク監督「ビハインド・エネミーライン 女たちの戦場(原題:Höre die Stille )」(ドイツ、2016年、98分)

2024-02-04 23:33:09 | ドイツ
 

第二次世界大戦下(1941年10月)、ナチス・ドイツの侵攻におののくウクライナの寒村の女たちを描いた過酷な物語。

ナチス・ドイツ軍とソ連軍の戦いが拮抗、激化するなか、本隊とはぐれたあるドイツ軍小隊が敵地の奥深い山中にある寒村へたどり着きます。そこの留守宅に居住する女性を拉致します。

恐怖に駆られたある女性がドイツ人少尉をはずみで刺殺したことで、小隊は犯人捜しと虐殺を開始。女性たちは生き残るため、逃げ惑いながら武器を手にとります。

当時、ウクライナはソ連のなかの共和国の一つでしたが、寒村にはロシア系ドイツ人が住み、赤軍からドイツの工作員の村だと疑われ、微妙な状況にありました。
女性たちはドイツ軍小隊の言うとおりになります。小隊を率いる少尉ブートヴィッヒは、まず村から武器を全て回収。更に小隊が滞在する屋敷に村の子供達を全て集め、寝食をともにします。こうすることで、大人たちの抵抗力を奪ったのです。

ドイツ兵たちには若者が多く、対して村にも年頃の人妻が多いので、年寄りは生き残るために、自らの体を差し出す覚悟をしろ、と説得します。女性たちはそれぞれ若い敵兵と交流を持ちます。そんな中、村の若い娘マータは、赤軍へこのことを知らせようと訴え、単独での村からの脱出を画策しますが・・・。

G. W. パブスト監督「西部戦線一九一八 年(原題:Westfront 1918)」(ドイツ、1930年、88分)

2024-01-11 23:47:10 | ドイツ
同様のタイトルで、映画史上に燦然と輝く作品、ルイス・マイルトン監督「西部戦線異常なし」(1930年)があります(原作はレマルクの長編小説)。

G. W. パブスト監督の本作品は知名度で「西部戦線異常なし」に劣るものの、その内容はリアリズムに徹し、充実しています。

舞台は欧州大戦が終りに近づいた1918年のフランスのある村、そして西部戦線。
その村にある一軒屋に、カール(グスタフ・ディースル)、中尉、ババシア人、学生の四人のドイツ兵士が駐屯し、陽気に騒いでいました。なかの一人、学生兵士はその家の娘イヴェットと恋仲です。

そこは西部戦線から離れていたものの、時々砲弾が飛ぶ音が聞こえます。しばしの休養後、彼らはドイツ軍の戦線(塹壕)へ召集されます。戦線に配置されると、間もなく敵の襲撃を受け、味方の砲兵から射ち出した砲弾が炸裂し、カールたちは生き埋めになります。

辛うじて救い出され、中尉が砲兵へ着弾標準の修正を電話で伝えますがつながらず、伝令犬も殺されます。仕方なくカールが伝令となり、死を賭して連隊本部へ。
彼はその足で、恋しい妻の家を訪ねます。故郷の町は窮乏の極に達していました。
結婚してわずか三ヶ月の生活で出征し、別れてから8ヶ月も逢わない妻にの顔を見ようとカールは期待に胸を膨らませますが・・・。

終盤、戦線での戦闘シーンがリアル。1930年にこの映像を撮れたのは凄いです。
ラスト、激しい戦闘を経ると、狂気がカールを襲い・・。

クリスティアン・ペツォール ト監督「水を抱く女(原題:Undine)」(ドイツ、2020年、90分)☆☆☆☆

2023-09-28 19:52:16 | ドイツ
原題は主人公の女性の名前、ウンディーネ。

「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して水に戻る」という宿命を背負った水の精ウンディーネの神話がモチーフ。ウンディーネの神話をもとにした過去の作品のほとんどは、男性目線で描かれているのに対し、本作品は女性のそれで描かれます。

要所で繰り返し挿入されるバッハ「協奏曲ニ短調(マルチェッロのオーボエ協奏曲による) 第二楽章アダージョ」が効果的。

博物館で働く歴史家・ウンディーネ(パウラ・ベーア)は、恋人のヨハネス(ヤコブ・マッチェンツ)が別の女性に心変わりし悲しみにうちひしがれていました。ある日、彼女はカフェの大きな水槽が大破する事故が切掛で、潜水作業員のクリストフ(フランツ・ロゴフスキ)と親しくなります。幸せな日々を過ごすようになったふたり。

そんなある日、ウンディーネがクリストフと交際していることを知ったヨハネスから復縁を迫られます。彼女は彼の申し出を拒否します。その夜、ヨハネスとの関係を疑う電話がクリストフから彼女の携帯電話にかかってきます。電話は一方的に切られ、彼女が折り返しの電話をしても通じません。

翌日、ウンディーネは思いあまってクリストフが働く作業現場を訪れると、彼が水難事故にあい、脳死状態にあることを知らされます。そして前夜の電話の時点で、すでに脳死判定されていて、電話をかけられる状態ではなかったことがわかります。

打ちのめされたウンディーネは・・・・。

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督「ベロニカ・フォスのあこがれ(原題:Die Sehnsucht der Veronika Voss)」(西ドイツ、1982年、104分)☆☆☆★★

2023-07-29 22:59:00 | ドイツ
 


第32回(1982年)ベルリン国際映画祭で金熊賞受賞作品

舞台は1955年のミュンヘン。

かつて、ナチスの影響が色濃くあった映画会社・ウーファのお抱えの女優として、人気を博していたベロニカ・フォス(ローゼル・ツュヒ)。しかし戦後、世間は彼女を求めなくなりました。

ある夜、映画を観た帰り道、雨の中でずぶ濡れで立っていたベロニカを、記者のロベルトは(ヒルマール・ターテ)通りがかりで声をかけ、傘を貸します。人目を気にし、不審な発言を繰り返す彼女は、往年の大女優。

彼はスポーツ担当の記者でしたが、饒舌で落ち着かない様子のベロニカに興味を持ちます。

ロベルトは記者仲間と、女優ベロニカについて話します。彼女は世間から見捨てられただけでなく、夫とも別れているようでした。彼女から聞いた事実と異なるため、ロベルトは驚きを隠せません。

早速、ベロニカの住所を突きとめ、真相を確かめに会いに行きます。親切な老人夫婦に教えられ、ロベルトはカッツという女医の経営する神経科にやっきます。

どうやらベロニカはこの精神科で治療を受けているようです。そして、症状はかなり悪い状態のようでした。ロベルトは真相をつかみたく、この件にのめりこんでいきますが、結果、彼女に振り回されていくハメに・・・。

フローリアン・ガレンベルガー監督「コロニア(原題: Colonia)」(ドイツ・ルクセンブルグ・フランス・イギリス、2016年、110分)☆☆☆☆

2023-03-23 19:32:19 | ドイツ
史実にもとづいて製作された作品です。

アジェンデ政権のもとで沸き返るチリの首都・サンチェゴ、直後に軍事クーデターが勃発。本作品の背景です。

1973年、ルフトハンザ航空の客室乗務員のレナ(エマ・ワトソン)はフライトでチリにやって来ます。恋人のダニエルと数日間、会う時間をもちます。ジャーナリストのダニエル(ダニエル・ブリュール)は、アジェンデ政権を支持し、仲間とともに、活動していました。

しかし、ニクソン政権およびCIAが策動した軍事クーデターが勃発、ダニエルは反体制分子として捕らえられます。

ダニエルが収容された「コロニア・ディグニダ」は、表向きは慈善団体を装う農業コミュニティですが、実態は「教皇」と呼ばれる元ナチ党員パウル・シェーファー(ミカエル・ニクヴィスト)が暴力で反体制分子を拉致し、洗脳するカルト組織で、ピノチェト軍事独裁政権と結びついていました。

レナはダニエルを助け出すため、自ら「神へ近づく使徒になりたい」と称して、単身「コロニア・ディグニダ」に乗り込みます。彼女はそこで苛酷な労働を課され、非人間的仕打ちにあう男女をみ、自らも経験することになりますが、苦労の末、拷問されたことで精神を病んだフリをして過ごしていたダニエルと再会します。ふたりは、施設からの脱走を試みますが・・・。

ペーター・ハントケ監督「左利きの女(原題: Die linkshandige Frau」(西ドイツ、1977年、114分)☆☆

2023-03-12 20:45:57 | ドイツ


監督自身による小説の映画化です。本作品のなかに、主人公の女性の部屋に小津安二郎監督の写真がはってあったり、小津監督「東京の合唱」を観ているシーンがあります。

夫婦のあり様のひとつの典型が描かれます。それは人生に懐疑を抱いた中年夫婦が出した結論。夫は家族の絆を確かめ合って生きたいと思うのに対し、妻は独りで生活したいというもの。夫と別れて生きる決断をした女が、不安と孤独を抱えながらも前に進もうとするストーリーです。

北欧への長期出張から帰国した夫のブルーノ(ブルーノ・ガンツ)を駅に出迎えるマリアンヌ(エディット・クレヴァー)。久しぶりに会った妻にブルーノは、「離れていても家族は一つだ」とその絆の堅さを語りますが、マリアンヌは何も答えません。その夜は一人息子のステファンを家で留守番をさせ、夫婦だけの夕事をとってホテルで一夜を過ごしました。

ところが翌朝、それまで無口だったマリアンヌが何の理由も語らず一方的にブルーノに別れ話を切り出します。口論を避けるかのように、ステファンを学校に送るとの口実で、ひとり家に帰ります。後から帰宅したブルーノは、事務所に泊まると言い放って荷物を持って出て行きます。夫は妻の身勝手をなじります。

マリアンヌは、自身の出版社経験を生かせる就職活動の結果、フランス語翻訳の仕事を始めますが・・・。

ラース・クラウメ監督「僕たちは希望という名の列車に乗った(原題: Das schweigende Klassenzimmer )」(ドイツ、2018年、111分)☆☆☆☆

2023-03-05 23:22:25 | ドイツ
ハンガリー民主化に呼応し、国家権力に抵抗した東ドイツの高校生たちの物語。冷戦下の東独で起きた実話です。

原題は「沈黙する(静かな)教室」。邦題は冗長で気に入りません。

ディートリッヒ・ガルスカによるノンフィクションの映画化です。

舞台はベルリンの壁が建設される前の1956年の東独、鉄鋼の町スターリンシュタット。

高校に通うテオ(レオナルド・シャイヒァー)とクルト(トム・グラメンツ)はある日、西ベルリンに入り、映画を観ます。ハンガリーでの民衆の蜂起を伝えるニュース映像が映し出され、ソ連の軍事介入でブダペスト市民多数が犠牲になったことを知ります。怒りがこみ上げたふたりは、犠牲者を哀悼する気持ちから、授業中に級友たちに「黙祷」呼びかけます。

この行為が大問題になります。この「黙祷」はで体制への反逆行為とみなされました。当局の調査が入り、国民教育相から生徒たちに一週間以内に首謀者を明かすこと、従わないと退学に処し、卒業試験から締め出すとの通達が下ります。

生徒たちは信念を貫き進学を諦めるか、首謀者を密告してエリート街道を進むか、人生の決断を迫られます。

執拗な聴取に頑として口を割らない生徒たち。調査官のケスラー(ヨルディス・トリベール)は、反ナチの英雄だった亡父を敬愛する生徒エリック(ヨナス・ダスラー)に父親の正体を明かすと揺さぶりかけますが・・。

トーマス・ステューバー監督「希望の灯り(原題: In den Gängen)」(ドイツ、2018年、125分)☆☆☆☆

2023-03-04 23:25:50 | ドイツ


舞台はベルリンの壁崩壊後のライプツィヒ近郊にある巨大スーパーマーケットの倉庫。

主人公は寡黙な青年クリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)。最初から最後までセリフは最小限です。寡黙なのは性格からくるのでしょうが、わけありの過去があるようです。

クリスティアンは運良く、ここの飲料セクションの在庫管理係として働くことになります。主任は中年男性ブルーノ(ペーター・クルト)。彼の指導の下、クリスティアンは真面目に働きます。仕事の内容はフォークリフトを運転し、飲料の管理をすること。この作業は初心者には難しいです。それでも、練習を重ね資格を取ります。

その一方で、彼はお菓子セクションで働く年上の既婚女性マリオン(サンドラ・ヒュラー)と、言葉を交わすようになります。マリオンはクリスティアンを「新人さん」といつも呼ぶようになります。ふたりは少しずつ距離を縮めていきますが、彼女には悩みがあるようです。夫の家庭内暴力です。そのうち、彼女は病気を理由に休職。

クリスティアンは彼女の家に見舞いに行きます。鍵が開いていたので、黙って家のなかに入って彼女の生活ぶりを見ます。結局、彼女に会えず、花束を置いて帰ります。その後、マリオンは復職。クリスティアンに花束の礼を言います。

職場の上司であるブルーノは、父のようにクリスティアンに接します。その彼が・・・。

ビレ・アウグスト監督「権利への階段(原題:55 Steps)」(ドイツ・ベルギー、2017年、115分)☆☆☆☆

2022-09-06 19:29:59 | ドイツ


アメリカの精神科医療改善のきっかけとなった「エレノア・リース判決」の実話を映画化した作品。その教訓は、「患者の同意なく薬を投与することは許されないこと」。

原題の「55の階段」は裁判所の階段の段数です。主人公のひとりエレノアは、弁護士コレットに介添されながら病んだ体を励まし、この階段を昇ります。

冒頭、病棟で「助けて!」と女性の患者が悲鳴をあげ、暴れます。複数の看護士がとりおさえ、臀部に注射。薬が効いて患者はおとなしくなります。

舞台は1985年のサンフランシスコ。

聖メアリー病院で妄想型統合失調症と診断されたエレノア(ヘレナ・ボナム・カーター)は、入院中、同意のない薬の投与を何度も受けました。蓄積された薬物の副作用で心身に深い障害を負った彼女は「患者の権利を守る会」に助けを求めます。

元看護師で弁護士のコレット(ヒラリー・スワンク)は、これを受け、病院を訴える裁判をおこします。

当初、裁判は劣勢。ところが、精神疾患の患者に投薬の必要性と副作用の説明をすると医師に対する信頼度が増し、その結果、治療成績があがるという事例に出会い、事態は好転。エレノアとコレットは見事、裁判に勝利。勝訴をよろこぶコレットとエレノア。しかし、病院側が最高裁に上告。

ラスト、ふたりは抱き合って喜びます。We won! 直後、エレノアは・・・。

オリヴィエ・マサヤス監督「アクトレスー女たちの舞台―(原題:Sils Maria)」(仏・スイス・独、2014年、124分)☆☆☆

2022-07-31 21:37:31 | ドイツ


女優業にありがちな心理的葛藤を描いた作品。

スターの道を歩んできた女優マリア(ジュリエット・ビノシュ)。マネージャーのヴァレンティーヌ(クリステン・スチュワート)と協力して仕事に取り組んでいました。

開巻。スイスに向かう列車の中、2台の携帯を操る女優マリアの個人秘書ヴァレンテーヌ。

マリアは作家のヴィルヘルムの代理で賞を受け取りに行くところでした。マリアがまだ無名だった18歳のとき、ヴィルヘルムが「マローヤのヘビ」の舞台と映画化の主役に彼女を抜擢した恩義があったのです。ところが、そのヴィルヘルムが急死。マリアはその情報を車中で知ります。

会場に着き、授賞式の主催者と迎えの車に乗るマリア。主催者もヴィルヘルムの突然の訃報にとまどっている様子。急遽俳優のヘンリクを式に招いたということが、この時わかりました。

うんざりするマリア。彼女は「マローヤのヘビ」で共演したとき、彼には嫌な思い出しかありませんでした。

授賞式は成功に終わり、会場を移動したマリアのもとに演出家クラウスが寄ってきます。何でも「マローやの蛇」を再演したいので、出演してもらえないかという話でした。今度はかつて彼女が演じた主役のシグリッドではなく、シグリッドに恋をして破滅へと追い込まれる40歳のヘレナの役でした。マリアの選択は?

ヴィム・ヴェンダース監督「都会のアリス(Alice in den Städten)」(西ドイツ、1974年、111分)☆☆☆

2022-07-07 14:57:37 | ドイツ
 
ロードムービーに属する作品です。このカテゴリーの映画は、主人公(複数の場合有り)が空間を移動しながら、出会い(あるいは事件)とそこでの経験をつないでいく足跡を淡々とストーリーとして(ある意味で単純)提供するものです。

本作品はその空間移動の振り幅が大きく、主人公と女の子がアメリカ東海岸NYからオランダのアムステルダムさらにヴッパタールへと向かいます。

フィリップ・ヴィンター(リュディガー・フォーグラー)はライター。アメリカの東海岸の海辺で風景を撮り、旅行記を書くことをドイツの出版社と契約していますが、撮影は順調なもののストーリーが書けずに遅れています。

とりあえずドイツに帰国しようとしますが、ストで全便欠航。カウンターで居合わせた女性・リザ(リザ・クロイツァー)もドイツに戻れず、お互いに時間をつぶし。彼女は9歳の少女アリス(イエラ・ロットレンダー)を連れていましたが、所用ができてアリスを少しの時間、預かってくれと、フィリップに頼みます。

ESBで待ち合わせの約束をしますが、彼女は現われません。翌日、フィリップとアリスは一足先にアムステルダムに飛びますが(ストでドイツに直行便がないのでアムステルダム経由でドイツに入るため)、メモの約束日にもリザは追ってきません。ここから男と女の子の奇妙な旅行が始まります。

ヴィム・ヴェンダーズ監督「緋文字(Der Scharlachirote Buchstabe)」(西ドイツ、1972年、82分)☆☆☆

2022-07-04 23:22:49 | ドイツ
 
原作はナサニエル・ホーソンによる同名小説(1840年)です。コミュニティの規律や偏見によって孤立した女性の苦悩と尊厳が描かれています。

主な舞台は、17世紀半ば、植民地時代のニューイングランド州・ボストン。

清教徒革命があったイギリスからこの新天地に渡ってきた奔放な女性・ヘスター(センタ・バーガー)は、7年前の不義密通を問われ、この町を追放されていました。衣服に姦通を意味する“A” (Adultery)の緋文字を縫いつけられ、ひとり娘・パールとともに小屋で暮らしています。

ヘスターは判事たちに密通の相手を問われても答えようとしません。そんなある日、ヘスターの元夫で医師のロジャー・チリングワースが町に現れ、彼女の密通相手への復讐心を募らせていく。そして名乗っていないが、直感的に世間で敬愛を受けている青年牧師・ディムスデールに疑いを向け、陰険な嫌がらせをしますが・・・。

バーナード・ローズ監督「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト(Der Teufelsgeiger)」(ドイツ、2013年、122分)☆☆☆

2022-06-10 22:41:34 | ドイツ


天才的な腕前を持ちながら認められず雌伏の時期を過ごしたパガニーニ(1782-1840)が、敏腕マネージャー(実在しない架空の人物のようです)の力によって頭角をあらわしていく人間ドラマです。

主演を務めたドイツのヴァイオリニスト・ギャレットが、素晴らしい演奏を披露します。

簡単にあらすじを示すと・・・

超絶技巧曲を作曲していたパガニーニ。オペラの幕間にバイオリン演奏を披露しますが、彼の演奏の斬新さは理解されず、聴衆は野次を飛ばし茶化すばかり。

そんな舞台を見ていたウルバーニ(ジャレッド・ハリス)はパガニーニの才能を見抜き、見世物ではなくマエストロとして身をたてるよう説得します。

ロンドンの指揮者・ワトソン(クリスチャン・マッケイ)は、財政難のロンドンのオペラハウス盛り立てようとパガニーニを招待します。しかし、パガニーニはすぐに応じません。興業がなりたたなくなり、ワトソンは家財を差し押さえられますが、辛抱強く渡英を誘います。ウルバーニはパガニーニをイギリスに連れて行きます。

しかし、その放蕩ぶりが知られているパガニーニは、女性運動家のデモ隊に阻まれホテルに入れません。仕方なくワトソン家に滞在。そこで彼はワトソンの娘・シャーロット(アンドレア・デック)と出会うことになり・・・。

マルガレーテ・フォン・トロッタ監督「ローザ・ルクセンブルク(Rosa Luxemburg)」(西ドイツ、1985年、122分)☆☆☆★

2022-02-23 22:57:02 | ドイツ



主要舞台はワルシャワ、そしてベルリン。

労働運動に献身したポーランド生まれの女性革命家、経済理論家のローザ・ルクセンブルク(1871-1919)の生涯を描いた作品です。わたしは若い頃、彼女の「資本蓄積論」を読みました。懐かしく、本作品を観ました。

1906年、ローザ(バーバラ・スコヴァ)はレオ・ヨギヘス(ダニエル・オルブリフスキ)と合流。ロシア革命の波をポーランドに広げるために赴いたワルシャワで、ふたりは逮捕され、悪名高いワルシャワ監獄に投獄されました。5ヵ月後に釈放。

ドイツ社会民主党は躍進途上にありました。ドイツに戻ったローザは議席の維持に執心する党の姿勢に反感をもち、大衆ストライキの重要性を強調します。党首脳の消極姿勢にいらだち、党から離反。

軍靴の脅威が聞こえるなか、各地で反戦を呼びかけるローザ。煽動的な演説を理由で逮捕されます。ポーランドのヴロンケ要塞に保護拘禁されたローザは、植物採集や論文の執筆で日々を過ごしていたところへ、ドイツ革命の成功が知らされます。多く政治犯が解放されます。ローザは社会民主党の翼賛的方針にあきたらず、リープクネヒトらとスパルタクスを組織し新たな活動を始めますが、1919年1月15日・・・。



ブライアン・デ・パルマ監督「パッション(Passion)」(ドイツ/フランス、2012年、101分)☆☆☆★★

2021-10-23 23:15:20 | ドイツ


広告代理店の上司とアシスタントの関係にあった二人の女性による確執、愛憎、嫉妬、復讐がちりばめられたサスペンス映画です。

大企業の広告代理店に勤めるクリスティーン(レイチェル・マクアダムス)は野心家で、上昇志向のブロンド美女。欲しい物を手に入れるためには利用できるものは全てを利用する、今でいう自己中の女性です。

イザベル(ノオミ・ラパス)はクリスティーンのアシスタント、向上心旺盛な広告クリエイター。信頼のおける部下ダニに恵まれ、毎日仕事に打ち込んでいます。恋人もいる充実した生活を送っていました。

ジーンズのCMを作り、上司のクリスティーンに提出したイザベル。ロンドンでのプレゼン会議で出張し評価を受けますが、クリスティーンは彼女の業績をグループのそれにすりかえ、手柄を横取りします。彼女のNY本店への栄転が決まります。

これにとどまらず、イザベルはクリスティーンの横やりで恋人を失い、パーティで屈辱的画像を同僚に見せつけられます。パワハラです。あまりの仕打ちにイザベルに殺意が芽生え、ついに復讐を決意。

イザベルが仕組んだ秘策は? 衝撃の結末は?