シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

前田哲監督「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」(2018年、120分)☆☆☆☆

2020-12-06 11:40:17 | 日本・2000年~


舞台は1994年の札幌市。

昨夜、日本テレビで放映されていました。渡辺一史によるノンフィクション作品(2003年)の映画化です。いい映画でした。

幼くして進行性筋ジストロフィの難病を患いながら、ボランティアの助けをかり、強く明るく生きた鹿野靖明さん(2002年に42歳で亡くなりました)の闘病生活と仲間(ボランティア)との交流を描いた作品です。

鹿野さんは体を動かせないうえ、人工呼吸器の使用で痰の吸引を24時間必要としました。それを支えたのは、多くのボランティアたちでした。
タイトルの「こんな夜更けにバナナかよ」は、鹿野さんに夜更けにバナナを買ってきてくれ、と頼まれたあるボランティアの胸中をよぎった想いです。患者はひとりでは生きていけないので、欲求をみたすには人の手をかりなければなりません。しかし、それは時に身勝手、わがまま、になることもあります。

患者は他人の手助けが不可欠ですので、何でも人に頼む「勇気」が必要です。そして患者もボランティアの手助けを思いやる気持ちが大事です。
鹿野さんを演じたのは、大泉洋さん(大泉さんはわたしの前任校・北海学園大学出身です)。ボランティアには北海道大学医学部の学生・田中久(三浦春馬)、その彼女・安堂美咲(高畑充希)他多数です。靖明さんの母親役はジャズ歌手の綾戸智恵さん、です。他に佐藤浩市さん、原田美枝子さんの重鎮。

この7月に亡くなった三浦春馬さんが好演です。合掌。

北海道大学中央ローン、クラーク会館、勤医協西区病院などが映し出されていました。
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山田洋次監督「たそがれ清兵衛」(2002年、129分)☆☆☆☆★

2020-12-06 11:37:00 | 日本・2010年~


藤沢周平による同名短編小説、および「竹光始末」「祝い人助八」の2つの短編を原作とした映画化です。山田洋次監督が初めて手がけた本格的時代劇です。

舞台は幕末の庄内地方。海坂藩(架空の藩)の御蔵役を務める井口清兵衛(真田真之)は夕刻の終業の太鼓の音とともに自宅に帰ることを常としていました。それで同僚からは「たそがれ清兵衛」と陰口をたたかれていました。

家には認知症を抱える老母と幼い2人の娘。清兵衛は家族を養い、そして労咳で死んだ妻の薬代や葬儀などで嵩んだ借金返済のために内職をするのでした。

春のある日、清兵衛は親友の飯沼倫之丞(吹越満)と再会します。倫之丞は妹の朋江が酒乱の夫・甲田豊太郎に度々暴力を振るわれるため、離縁させたことを清兵衛にうちあけます。

清兵衛が帰宅すると、そこには美しい女の姿がありました。飯沼家を抜け出した朋江(宮沢りえ)でした。話をするうちに、清兵衛は朋江に淡い恋心を抱きます。これがきっかけとなり二人のの気持ちは接近しますが・・・。

ラストシーン。藩の命令で、清兵衛は賊である一刀流の使い手・余吾善右衛門を討つことをおおせつかります。壮絶な果たし合いとなります。
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