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シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

メアリー・マクガキアン監督「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ(原題:The Price of Desire)」(ベルギー・アイルランド、2014年、108分)

2024-04-22 21:12:11 | ベルギー
 


冒頭、アイリーンの作品(「竜の椅子」という名の肘掛け椅子)がオークションにかけられ、破格の値がつくシーンがあります。アイリーンはそのことに無関心です。

本作品はアイリーンの半生が建築家ル・コルビュジエとの関わりに焦点をしぼって描いています。具体的には1920年代のフランスで彼女が彼と出会ってから1976年に亡くなるまで。

後に「近代建築の巨匠」と呼ばれたコルビュジエ(ヴァンサン・ペレーズ)は、気鋭のインテリアデザイナーとして名声を得ていたアイリーン・グレイ(オーラ・ブラディ)と出会い、彼女とその才能に惹かれます。

一方、アイリーンは建築家で評論家の恋人ジャン・バドヴィッチ(フランチェスコ・シャンナ)とふたりで暮らす目的で、建築家として初の作品となるヴィラ「E.1027」(アイリーン・グレイ[E.G]とジャン・バドヴィッチ[J,B]の合成。Eはアイリーンの最初の文字、10、2,7はアルファベットの順番でJ、B、G)を、ロクブリュヌ=カップ=マルタンの海辺に建てます。

その完成度の高さに魅了されたル・コルビュジエはE.1027をたびたび訪れますが、当初の彼女への賞賛の想いは次第に嫉妬に変わり、断りなくヴィラの壁にフレスコ画を描いたりします。さらにこのヴィラを自分で手がけた作品であるかのように振る舞います。コルビュジエとアイリーンとの間の確執は決定的なものとなりますが・・・。

ルーカス・ドン監督「Girl/ガール(原題:Girl)」(ベルギー、2018年、106分)☆☆☆★

2023-03-29 23:24:52 | ベルギー


トランスジェンダーの問題を正面から取り扱った作品です。

15歳のララ・ヴェラーゲン(ビクトール・ポルスター)の夢はプロのバレリーナになること。しかし、男の体に生まれてきたララにとって、それは簡単なことではありませんでした。

タクシー運転手の父親マティアス(アリエ・ワルトアルテ)と弟とともに、ララがダンス学校へ通うためフラマン語圏の町に越します。ララは2年後に性別適合手術をする予定で、ホルモン補充療法を受けています。治療効果がなかなかあがりません。ララはそのことにいらついています。

学校では、クラスメートの恥辱的言動にさらされることもしばしば。

それでもララは自身の意志と才能、娘の夢を全力で応援する父マティアスに支えられ、難関のバレエ学校への入学を認められます。

夢を実現するため、毎日厳しいレッスンを受け、血のにじむような努力を重ねるララ。

ところが、初めての舞台公演がせまる中、思春期の身体の変化で、思い通りに動けないことへの焦り、ライバルからの心ない嫉妬で、彼女の心と体は追い詰められていきます。

夢に向かって今を生きるララと、壊れてしまいそうな娘を必死に支える父。交錯した2人の想いの先に待つものは・・・。