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シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

クァク・ジェヨン監督「ラブストーリー(原題:클래식)」(韓国、2003年、132分)

2024-12-30 16:40:19 | 韓国
原題は正確に訳すと「クラシック」です。邦題は多分にeasyです。

母の手紙を整理していた女子大生のジヘ(ソン・イェジン)。多数の手紙と一緒に箱のなかにあった古い日記。

その日記には、母ジュヒ(ソン・イェジン[二役])が若かった頃の、父ではない男性(ジュナ)との初恋の思い出が記されていました。

ジヘは同じ大学の演劇クラスを学生サンミン(チョ・インソン)に想いを寄せていましたが、友人スギョン(イ・サンイン)がサンミンに恋文の代筆を頼まれていました。彼女はスギョンの気持ちを察し、サンミンと距離をおこうとしましたが、偶然が重なって何度も顔を合わせます。

ジュヒの日記には、早くに亡くなった父テス(イ・ギウ)の親友だったジュナ(チョ・スンウ)との三人の「クラシック」な愛が記されていました。

1968年の夏、ジュナは田舎の叔父の家に遊びに来たジュヒと出会い、一目惚れ。しかし、親がかりでジュヒとの交際を深めようとするテスに、手紙の代筆を頼まれたジュナはそこに自らの想いをしたためます。

幽霊屋敷事件や親からの妨害、果てはベトナム戦争への派兵など、数々の困難が何度もお互いを遠ざけますがが、より一層強く想いを募らせる2人でしたが・・・。

ホ・ジノ監督「四月の雪(原題:외출)」(韓国、2005年、107分)

2024-12-28 16:49:43 | 韓国

韓国ドラマ「冬のソナタ」(もちろん全部観ました。韓国のロケ地にも行きました)の主役のひとりだったペ・ヨンジュンが(相手役、チェ・ジュウ)、本作品でソウルのコンサート制作会社で照明のチーフ・ディレクター、インスを演じています。

ストーリーは?

主要舞台はテべク、そしてソウル。

インスは仕事中、妻の交通事故の知らせを受けます。

病院に駆けつけると、手術室の前には見知らぬ女性ソヨン(ソン・イェジン)がいました。

ふたりに残酷な現実がつきつけられます。実はインスの妻とソヨンの夫は、不倫旅行の最中に交通事故を起こしたのです。

二人は車外に放り出され、どちらが運転していたかはわかりません。

複雑な想いでお互いの伴侶の看病をする二人。

デジカメ、携帯電話――2人の疑惑を裏付け、知りたくない現実が突きつけられるインスとソヨン。

「死んでくれればよかったのに」意識の戻らぬ妻に向かって、インスはそんな言葉を漏らします。

他の誰にも語れない事実を、共有することになった二人。

そのうちふたりは互いの心の支えとなっていることに気付きますが・・・。
原題は「外出」。(どうしてこの題がついているのか本作品を観てもわかりませんでした)

イ・チャンドン監督「オアシス」(韓国、2002年、132分)☆☆☆★★

2022-10-19 17:18:57 | 韓国


常識の世界に潜むある種の不健全さと,その対極の世界にある無償の愛。後者は時に、常識で裁かれ,世間から排他されます。そのことの理不尽さがこの作品のテーマです。

舞台は真冬のソウル。

29歳のホン・ジョンドウ(ソル・ギョング)は,刑期を終えシャバに戻りました。韓国では刑務所から出ると,自分を清める意味をこめて白い豆腐を食べます。ジョンドウは,とある店でこの「儀式」を終えます。店の主は牛乳を一緒に飲めと言います。牛乳も白。身も心も清めて,新しいスタートを切るわけです。

お金をもっていなかったジョンドウは,結果的に無銭飲食。弟が警察署まで迎えます。久しぶりに帰宅したものの,家族の視線は冷たいものでした。ジョンドウは,家族のやっかいものだったのです。

ジョンドウの今回の犯罪は交通事故による過失致死罪でしたが,実はその事件は兄が起こしたもので、彼は身がわりで罪をかぶったのでした。

事故死させてしまった清掃員のアパートに挨拶に行ったジョンドウが、脳性麻痺で重度の障害者である娘・コンジュ(ムン・ソリ)と出会うことから、この作品は本題に入ります。二人の心の交流、無垢のいたわり、そして無償の愛は、周囲の偏見と誤解としのぎあいながら前に進んでいきます。韓国の人々の生活,習慣,気質が丁寧に描かれて、いい感じです。

クァク・ジェヨン監督「猟奇的な彼女」(韓国、2001年、122分)

2021-09-01 11:36:51 | 韓国
 


この映画の下敷きは実際の話で、ある男子大学生が地下鉄で出会ったタフな女性とのエピソードです。

女の子のように育てられた優しい性格の法学部男子学生・キョヌの語りで,話しは展開します。

キョヌ(チャ・テヒョン)がたまたま出会った「彼女」(チョン・ジヒョン)は、地下鉄のプラットフォームの端で,泥酔状態でした。「彼女」を助けた大学生のキョヌ。気立ての優しい彼が「猟奇的な彼女」に翻弄される話しの始まりでした。

何をやっても強い彼女。スカッシュでも剣道でも、キョヌは彼女に太刀打ちできません。

ふたりの関係はしだいに親密になりますが,恋人としての幸せな結末をもとめるには限界があり、別れの準備となっていきます。

双方,気持ちを書き記した手紙をカプセルの中に封印。見事な姿の樹木の根もとに、それを埋めました。2年後の再会を約束して。
しかし、2年後、彼女は約束をたがえます・・・。

ポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」(韓国、2019年、132分)☆☆☆☆

2021-01-18 22:20:45 | 韓国


パラサイトの意味は「寄生虫」です。

舞台はソウル。

貧富の差が大きい韓国。

この作品には、半地下の住居に住み、毎日の食事もままならない「キム家」と有名建築家が建てた豪邸で暮らす「パク家」が登場します。

予備校に通う「キム家」のギウ(チェ・ウシク)が友人の依頼で「パク家」のダヘ(チョン・ジン)の家庭教師となるところから、ストーリーは始まります。「パク」家はエリートサラリーマン、ドンイク(イ・ソンキョン)とその妻・ヨンギョ(チョ・ヨジョン)と娘・ダヘ、末っ子のダソン(チョン・ヒンジュン)の4人構成。

ヨンギョは挙動に落ち着きがないが絵画に才能があるようなので、その関係の家庭教師を捜していました。ダヘは自分の姉・ギジョン(パク・ソダム)を紹介します。そしてあろうことか、ヨンギョは「パク家」専属の運転手、家政婦をやめさせ、父親のギデク(ソン・ガンホ)、母親のギウ(チェ・ウシク)を送り込みます。いわば、極貧の「キム家」による富裕な「パク家」の乗っ取りです。

「パク家」の豪邸には広大な空間の秘密「地下」があり、ドンデン返しの伏線となります。そして末っ子ダソンの誕生会が盛大に開催されますが・・・。

凄まじく、挑戦的(鑑賞者に対して)な韓国映画の典型です。

イ・ハン監督「ワンドゥギ」(韓国、2011年、108分)☆☆☆

2020-03-26 23:31:45 | 韓国


韓国映画らしい作品。

貧しい家庭環境のなかに生きる主人公ワンドゥギ(ユ・アイン)は、世をななめにみて、反抗的な高校生活をおくっている。父親は脚が不自由で、街頭での踊りから入る収入で、どうにか暮らしている。母親はいない(らしい)。住んでいるところは、バラックのよう。喧嘩、罵声が絶えない。

ワンドゥギの通っている高校は夜間高校だろうか。この担任の名前はドンジュ(キム・ユンスク)。ワンドゥギの家のすぐそばに住んでいて、ワンドゥギの生活にしじゅう介入してくる。しかし、ドンジュは粗野でガサツな教師にみえるが、きわめて人間臭い。

ワンドゥギとこの教師とのやりとり、確執、人間的交流がこの映画の中心になっている。他にも父親との葛藤、久しぶりに再会した父母の葛藤、ワンドゥクと成績優秀なユナとの葛藤、それぞれの葛藤に、ユーモアがあり、ペーソスがある。

カン・ヒョンチョル監督「サニー 永遠の仲間たち」(韓国、2011年)☆☆☆

2020-03-25 23:35:42 | 韓国


「あらすじ」は、だいたい以下のとおり。

主人公のナミ(ユ・ホジョン)は、ビジネスマンの夫と高校生の娘に恵まれ、平凡な毎日を送っていた。ある日、ナミは母の入院先の病院で、高校時代の親友チュナ(チン・ヒギョン)と偶然、25年ぶりに再会する。

しかしチュナはガンに侵され、余命は2か月と宣告されていた。チュナの願いは、高校生時代の親友たちの集まりであった「サニー」のメンバーと会うことだった。ナミはチュナの願いを叶えるため、探偵社を使って7人の仲間を捜し始める。

「サニー」結成は、いわくつきのものであった。回想が始まる。

この作品のポイントは、現代のアラフォー中年女性がかつての少女時代を回想するところ。少女時代だった80年代には輝きばかりではなく、いじめや差別があり、韓国独特の家族関係や政治状況が背景にあった。そしてかつて「サニー」をくんでいた娘たちは、いま恵まれている人もいれば、そうでない人もいる。この2つの年代の対比がうまくできているのがこの作品である。

さてさてこの結末は??

ホ・ジノ監督「八月のクリスマス」(韓国、1998年)☆☆☆★

2020-02-09 21:48:00 | 韓国


不治の病を患う写真館の青年と彼に想いを寄せる駐車違反取り締まり員の女性との、切ない恋を描いた物語。映画を本格的に見始めた頃に奇跡的にであった、わたしにとっての記念碑的作品。

主人公ジョンウォン(ハン・ソッキュ)は父親の跡を継ぎソウルで小さな写真館を経営している。不治の病で余命が限られている。彼はそんな状態でも、写真館の仕事や老いた父親との家事をこなし、笑顔を絶やさない。ある夏の日、女性警官のタリム(シム・ウナ)が違反車の写真を拡大して欲しい、とやってくる。その日から二人の間に心の交流が始まる。季節が夏から秋へと変わる頃、ジョンウォンは病院に入院した。それを知らないタリムは、毎日、写真館に来るが・・・。

ユン・ジュギン監督「国際市場であいましょう」(韓国、2014年、127分)

2018-07-18 23:39:59 | 韓国



スケールの大きい、骨太の作品です。韓国の現代史であり、家族愛の物語です。

主人公のドクス(ファン・ジョンミン)は、母と二人の弟妹とともに釜山で育ちました。父ともう一人妹がいたのですが、ドクスがまだ幼かったとき、朝鮮戦争時の興南撤収作戦の混乱の中ではぐれ、それ以来行方不明で、離れ離れです。

成長し青年となったドクスは家計を支えるため、西ドイツの炭鉱への出稼ぎに行き、ベトナム戦争で民間技術者として働いたりします。仕事は楽ではなく、何度も生死の瀬戸際に立たされる日々でした。

ドクスが育った釜山は、今やアジヤ有数の経済都市です。この映画は韓国映画らしく、家族の愛情をテーマにしています。ドクスは、血気盛んな青年から、家族を背負う一人の男として、そして歴史を生きた老人として人生をかけぬけます。

タイトルにある「国際市場」は、現在の釜山にある名物市場です。そこは朝鮮戦争後、避難民が開いた闇市が広がっていた。『国際市場で逢いましょう』ではこの場所が、ドクスたち家族が生きる舞台になっています。