シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

ヴァレリー・トドロフスキー監督「ボリショイ・バレエ 2人のスワン(原題:Большой)」(ロシア、2017年、132分)☆☆☆★

2023-03-31 23:19:33 | ロシア・ソ連


ロシアの名門ボリショイ劇場の主役を目指す2人の女性の夢と闘いを描いたバレエドラマ。

ボリショイのバレエ・アカデミーに入学したユリア(マルガリータ・シモノヴァ)とカリーナ(アンナ・イサエヴァ)。彼女は裕福な家に生まれ、その優雅で完璧な踊りは、プリマ候補として講師陣からも期待されています。

一方のユリアは貧しい炭鉱町の出身。父は往年のバレリストで、かつてプリマとして活躍した講師のガリーナ(アリーサ・フレインドリフ)と知り合い。ユリアの跳躍力や表現力を評価し、その類まれな才能を生かそうと指導します。

二人は境遇もバレエスタイルも正反対。しかし、親友でありながらライバルとなった二人、厳しいレッスンに耐え、恋とバレエとを競いあいます。

卒業公演は「眠りの森の美女」。ユリアとカリーナのどちらがオーロラ役を踊るのか、このキャスティングが難航します。このあと、待っていたのは波乱の展開で・・・。
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ユスプ・ラジコフ監督「剣の舞 我が心の旋律(原題:Tanets s sablyami)」(ロシア・アルメニア、2019年、92分)☆☆☆☆

2023-03-30 23:22:56 | ロシア・ソ連


アラム・ハチャトゥリアン(1903-1978)がひと晩で書き上げた名曲「剣の舞」の誕生秘話を描いたドラマ作品。

1942年11月29日。戦火から逃れ、モロトフ(現在のペルミ)に疎開していたレニングラード国立オペラ・バレエ劇場は、ハチャトゥリアン作曲の『ガイーヌ』の初演(12月9日)に向けて猛練習を続けていました。

しかし、振付家のニーナ・アニシモワ(インナ・ステパーノヴァ)は、連日のように内容の変更を強要し、作曲家のアラム・ハチャトゥリアン(アンバルツム・カバニアン)は不本意な修正に苛立っていました。

ソリストのサーシャ(ヴェロニカ・クズネツォーヴァ)は、密かにアラムを支援。その矢先、文化省のプシュコフ(アレクサンドル・クズネツォフ)が上演前の検閲にやって来ます。重圧に押しつぶされ、アラムは入院騒ぎを起こします。

活躍する気鋭の作曲家ショスタコーヴィチとオイストラフがアラムのもとに陣中見舞い。親友たちとの音楽談義に癒されたアラムは、作曲家としての矜持を強くもちます。

初演まで1週間と迫るなか、プシュコフは完成した『ガイーヌ』の結末を変更し、最終幕に士気高揚する意気軒昂な踊りを追加するよう命じます。アラムは作曲家人生を懸けて理不尽な挑発に立ち向かい、民族の誇りを込めた怒りの作曲に没頭し・・・。
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ルーカス・ドン監督「Girl/ガール(原題:Girl)」(ベルギー、2018年、106分)☆☆☆★

2023-03-29 23:24:52 | ベルギー


トランスジェンダーの問題を正面から取り扱った作品です。

15歳のララ・ヴェラーゲン(ビクトール・ポルスター)の夢はプロのバレリーナになること。しかし、男の体に生まれてきたララにとって、それは簡単なことではありませんでした。

タクシー運転手の父親マティアス(アリエ・ワルトアルテ)と弟とともに、ララがダンス学校へ通うためフラマン語圏の町に越します。ララは2年後に性別適合手術をする予定で、ホルモン補充療法を受けています。治療効果がなかなかあがりません。ララはそのことにいらついています。

学校では、クラスメートの恥辱的言動にさらされることもしばしば。

それでもララは自身の意志と才能、娘の夢を全力で応援する父マティアスに支えられ、難関のバレエ学校への入学を認められます。

夢を実現するため、毎日厳しいレッスンを受け、血のにじむような努力を重ねるララ。

ところが、初めての舞台公演がせまる中、思春期の身体の変化で、思い通りに動けないことへの焦り、ライバルからの心ない嫉妬で、彼女の心と体は追い詰められていきます。

夢に向かって今を生きるララと、壊れてしまいそうな娘を必死に支える父。交錯した2人の想いの先に待つものは・・・。
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ヴァレリー・ミュラー、アンジェラン・プレルジュカージュ監督「ポリーナ 私を踊る(原題:Polina, danser sa vie)」(フランス、2016年、108分)☆☆☆☆

2023-03-28 19:22:58 | フランス


ダンスに人生をかけるバレエ少女が成功と挫折を経験しながら成長していく姿を描いたドラマです。

主要舞台はモスクワ、南仏のある街、ベルギーのアントワープです。

モスクワ郊外の工業地帯の高層団地で暮らす少女ポリーナ(ヴェロニカ・ジョフニツカ)は、両親の期待を一心に浴び、バレリーナを目指して励んでいました。

彼女はアカデミーを受験し合格。ここでボジンスキー先生(アレクセイ・グシュコフ)の厳しいレッスンを受けます。

そしてついに憧れのボリショイ・バレエ団の試験を受け、ポリーナ(アナスタシア・シェフツォヴァ)これにも見事に合格。練習をともにしてきたフランス人ダンサー、アドリアン(ニール・シュナイダー)と恋に落ちます。

バレエ団の入団を目前にしたある日、彼女はブータン・フエスティバルでコンテンポラリーダンスに出逢い、激しく惹かれました。

なんと、両親の反対を押し切り、アドリアンとともに、南仏のコンテンポラリーダンス・カンパニーに入る決意をします。

新天地では、著名な振付家・リリアの厳しい指導が待っていました。コンテンポラリーは古典よりも重心が低いなど多くの点で違いがあり、ポリーナは戸惑いながら懸命に練習に励みますが。

そんななか、ポリーナは次第にペアであるアドリアンと、練習中、言い合いになることもしばしば。その矢先二人の息が合わず、ポリーナが転倒。足を挫き、練習できなくなり、彼との別れが・・・。
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ロブ・マーシャル監督「NINE」(アメリカ、2009年、110分)☆☆☆☆

2023-03-27 19:25:51 | アメリカ・2000年~


トニー賞を受賞した同名ブロードウェイ・ミュージカル(フェデリコ・フェリーニによる自伝的映画『8 1/2』のミュージカル化)の映画化作品です。

衣装係でジュディ・ディンチ、少年時代の主人公・グイドの母親役でソフィア・ローレンが出演しています。

舞台は1965年のローマ。

映画監督グイド(ダニエル・デイ=ルイス)は、新作「イタリア」の制作進行が暗礁に乗り上げ、悩んでいました。脚本が書けないのです。新作発表の記者会見に臨んだ彼は追い詰められ、会見場から逃げ出すように出て行きます。

逃亡先(?)は海沿いのホテル。彼はそこに恋人カルラ(ペネロペ・クルス)を、病んだ精神を癒してもらうために呼び寄せます。しかし、後を追ってきたプロデューサーに見つかります。撮影セット一式を持ち込んで、この逃亡先で撮影することになりますが、そこへ妻ルイザ(マリオン・コティヤール)がやってきてカルラと鉢合わせ。

記者のステファニー(ケイト・ハドソン)、女優のクラウディア(ニコール・キッドマン)など、グイドを取り巻き、愛を歌う女性たち。

そんな夫の振る舞い、仕事ぶりに愛想をつかしたルイザは腹をたて、グイドと別れる決断をします。しかし、ルイザなしに新作など不可能だと思い知ったグイドは仲間に「イタリア」撮影の中止を告げ、映画界を去りますが・・・。
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デヴィット・ルボー監督「偽りの忠誠(原題:The Exception)」(アメリカ・イギリス、2016年、107分)☆☆☆★

2023-03-26 19:28:14 | アメリカ・2000年~


アラン・ジャドによる小説『The Kaiser's Last Kiss』(2003年)が原作です。

主要な舞台はオランダ・ユトレヒトのドールン館。

1940年5月、ドイツ国防軍のブラント陸軍大尉(ジェイ・コートニー)は、ドイツ革命で帝位を追われた元皇帝ヴィルヘルム2世(クリストファー・ブラマー)の警護隊指揮官に任命され、オランダ・ユトレヒトのドールン館に赴任します。

そこでゲシュタポのディートリヒ警部補(マーク・デクスター)から「屋敷内にヴィルヘルム2世暗殺を図るイギリスのスパイがいる」と聞かされます。

ブラントは屋敷で働くメイドのミーケ(リリー・ジェームズ)に一目で心を奪われます。屋敷内でお忍びで逢い、それぞれの境遇について話しあううち、気心が通じ合います。

ミーケは自分がユダヤ人であると告白しますが、ブラントは意に介しません。彼女実はイギリスのスパイで、彼女の本当の任務はヴィルヘルム2世にチャーチルの「親書」を渡すことでした。「親書」にはヴィルヘルム2世のイギリス亡命とナチス・ドイツ敗北後の復位が提案されていました。

数日後、ドイツから親衛隊全国指導者ハインリヒ・ヒムラーがある提案をもってドールン館を訪問すると知らされ、ブラントはナチスの任務に従うべきか、ユダヤ人のミーケを守るべきかで、苦悩します。
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リースル・トミー監督「リスペクト(原題: Respect)」(アメリカ、2021年、142分)☆☆☆☆

2023-03-25 19:30:35 | アメリカ・2000年~


本作品のタイトルは主人公のソウルの女王、アレサ・フランクリン(1942-2018)の歌です。

この映画は、そのアレサの半生を描いた作品。

主要舞台はデトロイト、ニューヨーク。時代は1950年代から70年代にかけて。

黒人牧師の娘であるアレサは、幼少の頃から天才的な歌唱力で父の伝道活動を助けていました。両親はアレサが幼い頃に別居。アレサは父親とともに各地の教会を巡って歌います。その彼女は12才と15才の時に違う相手との間に男の子を出産。特異な子供時代を送りました。

1961年、19才でコロムビア・レコードと契約。ヒット曲には恵まれない時期が続きました。マネージャーのテッドと結婚、3人目の男の子が産まれました。

1967年、アトランティック・レコードに移籍。アレサはヒット曲『貴方だけを愛して』をリリースします。妹たちをバック・コーラスにむかえ、マディソン・スクエア・ガーデンでコンサートを開くまでになったアレサ。

キング牧師の公民権運動にも熱心に協力します。しかし、支配欲な強い夫のテッドは慈善活動を嫌いました。仕事仲間たちとトラブルを起こすテッド。1969年に離婚。しかし、アレサは精力的に仕事に励み、新しい恋人との間に4人目の息子が産まれます。
「ソウルの女王」の座を失うことを恐れ、彼女は過度なスケジュールを組みます。疲労で倒れ、酒に溺れ依存症に陥ったアレサは、・・・。
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フローリアン・ガレンベルガー監督「コロニア(原題: Colonia)」(ドイツ・ルクセンブルグ・フランス・イギリス、2016年、110分)☆☆☆☆

2023-03-23 19:32:19 | ドイツ
史実にもとづいて製作された作品です。

アジェンデ政権のもとで沸き返るチリの首都・サンチェゴ、直後に軍事クーデターが勃発。本作品の背景です。

1973年、ルフトハンザ航空の客室乗務員のレナ(エマ・ワトソン)はフライトでチリにやって来ます。恋人のダニエルと数日間、会う時間をもちます。ジャーナリストのダニエル(ダニエル・ブリュール)は、アジェンデ政権を支持し、仲間とともに、活動していました。

しかし、ニクソン政権およびCIAが策動した軍事クーデターが勃発、ダニエルは反体制分子として捕らえられます。

ダニエルが収容された「コロニア・ディグニダ」は、表向きは慈善団体を装う農業コミュニティですが、実態は「教皇」と呼ばれる元ナチ党員パウル・シェーファー(ミカエル・ニクヴィスト)が暴力で反体制分子を拉致し、洗脳するカルト組織で、ピノチェト軍事独裁政権と結びついていました。

レナはダニエルを助け出すため、自ら「神へ近づく使徒になりたい」と称して、単身「コロニア・ディグニダ」に乗り込みます。彼女はそこで苛酷な労働を課され、非人間的仕打ちにあう男女をみ、自らも経験することになりますが、苦労の末、拷問されたことで精神を病んだフリをして過ごしていたダニエルと再会します。ふたりは、施設からの脱走を試みますが・・・。
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ペドロ・アルモドバル監督「トーク・トウ・ハー(原題: Hable con ella)」(スペイン、2002年、112分)☆☆☆

2023-03-21 23:15:48 | スペイン


 愛する女性が事故で昏睡状態にあるふたりの男性の希有な人生を切なく描いた作品です。

 女闘牛士リディア(ロサリオ・フローレス)をTVで見て、興味を抱いたジャーナリストのマルコ(ダリオ・グランディネッティ)は、彼女に取材を申し込んだことがきっかけで、つきあいがはじまります。ところが後日、彼女は闘牛の競技で重傷を負い、昏睡状態に陥ります。

 回復の見込はないと医師に伝えられたマルコは悲痛な気持ちでリディアに付き添っていましたが、別の病室で同じく昏睡状態の女性を献身的に世話している介護士ベニグノ(ハビエル・カマラ)を見かけ、話をするうちに彼と親しくなります。

 20年間母を介護し看取ったベニグノ。彼はかつて、自宅の向かいにあるバレエ教室の生徒アリシア(レオノール・ワトリング)に惹かれていました。ところが、アリシアが交通事故にあい、昏睡状態におちいります。ベニグノとその同僚が彼女の世話をする看護師として彼女の父親に雇われます。以来4年にわたり、ベニグノは献身的にアリシアの世話をしました。

 同じような境遇にあるふたりの男性の数奇な運命は?
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ポールトーマス・アンダーソン監督「ファントム・スレッド(原題: Phantom Thread)」(アメリカ、2017年、130分)☆☆☆

2023-03-19 23:17:41 | アメリカ・2000年~
舞台は1950年代のロンドン。

有能な仕立屋に気に入られた女性、当初は彼の気持ちを受け入れたものの、彼の偏屈な性格を疎ましく思うようになり逆襲を始めます。たどり着いた愛の境地は・・・。

主人公のレイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は、オートクチュールの仕立屋。姉のシリル(レスリー・マンヴィル)とファッション・ブランドを運営しています。

郊外の別荘へ向かったレイノルズは立ち寄ったレストランでウェイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)と出会います。アルマにモデルの才能を認めじ、交際を申し込み、アルマは受け入れます。

レイノルズはアルマを仕事場に連れて行き、体のサイズを測り、服を着せます。アルマのモデルとしての才能を確信します。

レイノルズとアルマは交際を続けるなかで、彼女はレイノルズが一流のデザイナーであることを理解します。

このあと、バーバラという資産家の女性が結婚式のドレスの作成をひきうけたレイノルズ、ベルギーのプリンセス・モナのウエディングドレスの注文をレイノルズがうけたなかで起きたアルマとの口論、ついには毒キノコまで・・・。ふたりの関係は波乱含みで展開していきます。
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ジェーン・カンピオン監督「ピアノ・レッスン(原題:The Piano)」(オーストラリア、1993年、121分)☆☆☆☆

2023-03-18 23:19:45 | オーストラリア


舞台は19世紀半ばのニュージーランド。

主人公はエイダ(ホリー・ハンター)という女性。遠くスコットランドから、花嫁としてNZの浜辺に到着。幼い娘フローラ(アンナ・パキン)を連れています。彼女は口がきけません。かつて夫とともに雨のなかにいたところ、雷にうたれて夫は死去。ショックで話が出来なくなったのです。会話は手話をつうじてです。

しかし、彼女はピアノをかいして自身の情熱を伝える能力をもっていました。浜辺に着いたときにはピアノ持参です。
ところが彼女の夫になるスチュアート(サム・ニール)は人手不足を理由に、ピアノを浜辺に置き去りにします。愕然とするエイダ。話すことができないエイダにとって、ピアノはかけがえのないもの。彼女は娘を連れて何度もピアノを弾きに浜辺に出向きます。

浜辺の地主で原住民マリオ族に同化したベインズ(ハーヴェイ・カイテル)は彼女の姿に恋し、自分の土地と交換という条件でチュアートからピアノを手に入れます。そして、エイダに「黒鍵の数だけ自分にレッスンをしてくれたら、ピアノを返す」と約束します。

当初、ベインズを嫌っていたエイダでしたが、レッスンを重ねるごとに気持ちが彼に傾いていきます。しかし、ふたりの秘密のレッスンを知ったスチュアートは・・・。
 
 
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パトリス・ルコント監督「仕立屋の恋(原題: Monsieur Hire」(フランス、1989年、80分)☆☆☆

2023-03-16 20:26:57 | フランス


ルコント監督らしい佳品です。

主人公は几帳面で人嫌いな仕立屋のイール(ミシェル・ブラン)。イールの密かな楽しみは、向かいのビルの一室に暮らす若い女性アリス(サンドリーヌ・ボネール)の姿を覗き見ることです。そうするうち、イールは彼女心をよせていきますが、彼女にエミール(リュック・テュイリエ)という恋人がいることも知っていました。

そんな、イールは殺人事件の容疑者として嫌疑がかかります。

そんなある夜、アリスはイールが自分の部屋を覗いていることに気付きます。気味悪がっていたアリスでしたが、ある思惑を「もってイールに接近します。

実は殺人事件があった夜、イールはエミールがアリスの部屋にやって来たのを目撃していました。イールはエミールが犯人であること、アリスが事件の隠蔽に協力していたことに気づいていました。アリスはイールが事件の真相をどこまで知っているのかを確かめるためにイールに接近したのです。

イールはたちどころにアリスの思惑を見抜きましたが、アリスが気に入っていたので事件のことは通報しないと伝えます。

そんなイールの愛にアリスの心は揺れ、2人の距離は急速に縮まり、そして彼はアリスにふたりで逃げようと列車のチケットを渡します。ところが、約束の時間にアリスは現われません。落胆したイールが部屋に戻ると、そこには刑事とアリスがいて・・・。
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アキ・カウリスマキ監督「愛しのタチアナ(原題: Pidä huivista kiinni, Tatjana」(フィンランド、1994年、62分)☆☆

2023-03-15 20:29:24 | フィンランド


舞台は1960年代のフィンランド。

主人公のひとり中年男ヴァルト(マト・ヴァルトネン)は、仕立屋の母を手伝い、ミシンでの縫製作業を担当しています。半ばコーヒー中毒の彼は、コーヒーがきれたことに腹を立て、あろうことか母親を納戸に閉じ込めロック、金を盗んで家を出ます。

彼のクルマを修理のため預かっていたロッカー気取りの自動車修理工レイノ(マッティ・ペロンパー)と合流し、試運転と称して一緒にあてのないドライブに出発します。

話は尽きて日も暮れ、バーに立ち寄ると、ロシア人・クラウディア(キルシ・テュッキュライネン)とエストニア人・タチアナ(カティ・オウティネン)の女性旅行者二人組に声をかけられます。彼女たちは国に帰るので、港まで送り届けてほしいともちかけます。

途中ホテルなどに宿泊しますが、女性と口をきけず、視線すら合わせられないヴァルトとレイノ。遊び慣れたクラウディアは奥手な彼らにあきれますが、篤実なタチアナはむしろ彼らに好意を抱きます。

やがて港に到着。別れを告げフェリーに乗った女性二人がラウンジでくつろいでいると、ふたりの男もあとから追ってきて席に着き、結局エストニアまで同行。

タリン駅でクラウディアを見送ったヴァルトが引き返そうと促すと、いつの間にかタチアナと心を通わせレイノはこの地で暮らすと言い出します。一人むなしく残されたヴァルトは、・・。
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アキ・カウリスマキ監督「マッチ工場の少女(原題: Tulitikkutehtaan tyttö)」(フィンランド、1990年、69分)☆☆

2023-03-14 20:32:59 | フィンランド

イリス(カティ・オウティネン)は母(エリナ・サロ)、継父(エスコ・ニッカリ)と三人暮らし。家のテレビで中国・天安門事件の様子が何度も報道されているので、1989年の話です。

独身女性のイリスは、マッチ工場で働いています。冒頭、自動化されたマッチ箱の製造場画がかなり長く続きます。両親は彼女の収入をあてにし、家事も彼女にまかせています。彼女の顔立ちは地味で、身なりも質素。男性との出会いがありません。

給料日にイリスはショーウィンドーで派手なドレスに惹かれ、衝動買いをしてしまいます。それを着てディスコに行くと、アールネ(ヴェサ・ヴィエリッコ)という男に声をかけられダンスに応じます。彼は一流企業に勤める会社員の様子、彼のアパートで一夜を共にします。

アールネに惚れ、デートを重ねようとするイリス。自宅へ招き両親に会わせますが、アーネルはあの夜のことは遊びだったと告げます。

後日、妊娠がわかったイリスは、アールネに一緒に子供を育てよう、と手紙を書きます。しかし返事は否定的でした。放心し、町へさまよい出たイリスは、交通事故にあい流産します。さらに追い打ちをかけるかのように、継父から母親に心労をかけたと、勘当されます。

仕方なく兄のアパートに転がり込み、悲嘆に暮れるイリス。やがて意を決した彼女が選択した道は、・・・。
 
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ペーター・ハントケ監督「左利きの女(原題: Die linkshandige Frau」(西ドイツ、1977年、114分)☆☆

2023-03-12 20:45:57 | ドイツ


監督自身による小説の映画化です。本作品のなかに、主人公の女性の部屋に小津安二郎監督の写真がはってあったり、小津監督「東京の合唱」を観ているシーンがあります。

夫婦のあり様のひとつの典型が描かれます。それは人生に懐疑を抱いた中年夫婦が出した結論。夫は家族の絆を確かめ合って生きたいと思うのに対し、妻は独りで生活したいというもの。夫と別れて生きる決断をした女が、不安と孤独を抱えながらも前に進もうとするストーリーです。

北欧への長期出張から帰国した夫のブルーノ(ブルーノ・ガンツ)を駅に出迎えるマリアンヌ(エディット・クレヴァー)。久しぶりに会った妻にブルーノは、「離れていても家族は一つだ」とその絆の堅さを語りますが、マリアンヌは何も答えません。その夜は一人息子のステファンを家で留守番をさせ、夫婦だけの夕事をとってホテルで一夜を過ごしました。

ところが翌朝、それまで無口だったマリアンヌが何の理由も語らず一方的にブルーノに別れ話を切り出します。口論を避けるかのように、ステファンを学校に送るとの口実で、ひとり家に帰ります。後から帰宅したブルーノは、事務所に泊まると言い放って荷物を持って出て行きます。夫は妻の身勝手をなじります。

マリアンヌは、自身の出版社経験を生かせる就職活動の結果、フランス語翻訳の仕事を始めますが・・・。
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