シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

岩井俊二監督「四月物語」(1989年、66分)☆☆☆

2023-06-30 20:27:30 | 日本・1980年~


地方から東京の大学に入学し、新生活を始めた女性の戸惑いと希望そして淡い恋。どこにでもありそうなストーリーゆえ、共感できます。

途中、映画館での「信長は生きていた」の映写がかなり長く続きます。また、「釣りサークル」加入のおり、先輩が映画「リバー・ランズ・スルー・イット」とブラッド・ピットの話をしていたのが印象的。

松たか子さん(当時20才)の映画作品初主演です。

主要舞台は東京・国立市界隈。

北海道・旭川から東京にある武蔵野大学に入学した楡野卯月(松たか子)。(ここで注釈を加えると「武蔵野大学」はこの作品が製作された時点では実在しない架空の大学ですが、後年、武蔵野女子大学が武蔵野大学と名称変更したので、現時点では存在します。)

入学したものの、東京の街の様子には不案内で、新入生は大学の様子も初めてのことばかりです。日常生活では隣人への挨拶、本屋訪問、映画鑑賞などなど。

入学式、恒例のクラブ・サークル勧誘、教室での自己紹介、と行事は続きます。自己紹介で、卯月は級友のひとり・北野照子(藤井かおり)に「どうしてこの大学を選んだの?」と聞かれ戸惑います。その北野に誘われて「釣り」のサークルに入ります。

卯月がこの大学を受験した理由は・・・。
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木下恵介監督「惜春鳥」(1959年、102分)☆☆☆☆★

2023-06-29 20:29:00 | 日本・1950年~


主要舞台は会津若松。有馬稲子さんの白虎隊剣舞が見事です。本作品で2度、踊っています。

東京から会津に一時帰省した大学生の岩垣直治(川津祐介)が、地元に残る高校時代の同級生4人と再会しますが、互いの境遇が違っていることがわかり、気持ちがすれ違います。5人の友情の行方を描いた作品。

若い彼らの個性が強い輪郭で描分けられています。

妾の子として育ち、バーテンダーの仕事につき、甘いマスクとは裏腹に年齢以上に大人びている牧田康生(津川雅彦)。

徹底して冷徹な性格で、勤める工場のストライキにかかわりながら、腹のなかで利己的打算的にものを考える手代木浩三(石浜朗)
温泉宿の息子で、心優しく、人がいい峯村卓也(小坂一也)。

片足が不自由で岩垣に思慕の情を抱く馬杉彰(山本豊三)

冒頭、会津行の汽車のなかで直治は康生の叔父、牧田英太郎(佐田啓二)に会います。直治は卓也の宿にしばらく身をよせるが、康男にも会いたい、と伝えます。

そこから始まって、久しぶりに集まった若者たちは、白虎隊の墓前で剣舞を舞います。高校時代にここで奉納剣舞のお披露目をした仲ですが、それぞれの人生が変わり、友情にも亀裂が入ります。

他方、藝者のみどり(有馬稲子)は、東京から療養のために帰ってきた英太郎に惚れていて、抜き差しならぬ事態に・・・。
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木下恵介監督「日本の悲劇」(1953年、120分)☆☆☆☆★

2023-06-26 21:23:12 | 日本・1950年~

主要舞台は熱海。

冒頭、当時の大事件のフィルム、新聞記事が示されます。労働争議、血のメーデー事件、三鷹事件、極東軍事裁判、人間天皇、踊る宗教、パンパン、傷痍軍人、新憲法式典などなど。「日本人のすべてがこの暗黒の坩堝に巻き込まれている」とう字幕が出ます。

本作品で監督は、戦後の苛酷な社会状況のなかでの家族関係の亀裂、親子の愛情の断絶をリアルな目で描いています。

熱海の旅館で働く戦争未亡人・春子(望月優子)の生き甲斐は、英語塾や医科大学に通う娘・歌子(桂木洋子)と息子・清一(日守新一)。

春子は闇屋をやったり、株に手を出したり、ときに客をとるなどし、やっとの思いで子どのたちを育ててきました。

ところが子どもたちは、水商売で生活をたてている母に冷淡で、内心軽蔑すらしています。清一に養子縁組の話が舞い込み、本人はまたとない人生の転機と、話をすすめます。春子の心は穏やかでありません。

歌子は一人暮らしで働きながら英語塾に通っていましたが、塾を開く赤沢(上原謙)と関係をもち、とくに好きでもない赤沢に迫られて、住居を引き払い駆け落ち同然でいなくなります。

子どもたちに見捨てられたと思った春子は、東京から熱海への帰路の途中、湯河原駅で降り、衝動的に反対側のホームに入ってきた列車に向かって・・・。

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大林宣彦監督「転校生 さよならあなた」(2007年、120分)☆☆☆

2023-06-25 21:25:25 | 日本・2010年~

主要舞台は信州・長野。

1982年に公開された「転校生」を、監督がセルフリメイク。

舞台を尾道から信州に移し、男女の高校生がお互いの身体が入れ替わったことで起こる異次元の生活が繰り広げられる作品です。
両親の離婚で母の故郷である信州で暮らすことになり、尾道の中学から長野の善光寺北中学校(実在)に転校してきた斉藤一夫(森田直幸)。教室で転校の挨拶をすると、幼なじみの斉藤一美(蓮佛美沙子)がそこにいました。

尾道の一夫の家はうどん屋さん、一美の家は蕎麦屋さん。一美は自分の家である蕎麦屋に一夫を誘いますが、一夫は昔のことは覚えていません。そこで、彼女は思い出の場所の一つである、「さびしらの水場」へ一夫を連れていきます。そこでなら何か思い出すかと。
ところが、柄杓につがれた水を飲もうとしたところで、二人は同時に水の中に落下し、もがいて水から出たときには、お互いの体が入れ替わってしまっていました。

一美の中に入った一夫は一美の家に、一夫の中に入った一美は一夫の家で暮らし始めます。両方の家族みなが違和感をもちます。傍から見て一美は明らかにがさつになり、一夫はなよなよした挙動が続き・・・。
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渋谷実監督「好人好日」(1961年、88分)☆☆☆☆

2023-06-24 21:27:28 | 日本・1960年~
主要舞台は奈良。

奈良市役所に勤務する女性と婚約者である同僚との結婚にいたるまでを軸に、両家の家族模様を描いた作品。父娘の情愛を描いています。若い岩下志麻さん(20歳、現在82歳)、きびきびとした演技!

登紀子(岩下志麻)の家族は、父親であり数学の大学教授の尾関等(笠智衆)と夫を30年支えてきたその妻・節子(淡島千景)の3人。登紀子は本当の子ではありません[戦災孤児]。

等はコーヒーを飲むことだけが趣味の数学教授で、世界的な名声があるものの、世事に疎く奇人、変人。清貧に甘んずることをよし、としています。プリンストン大学から客員(?)教授として招聘される話が持ち込まれても、「もっと恵まれない学者を採用しろ」と断ります。

登紀子には婚約者がいます。同じ市役所に勤務する同僚・佐竹竜二(河津祐介)です。竜二には姉・美津子(乙羽信子)と母のお徳婆さま(北林谷栄)がいます。佐竹家は飛鳥堂という慶長18年から続く由緒ある墨屋で、格式が大事にされています。竜二は当主なので、お徳婆さんと姉は、ふたりの縁談にいろいろ口を挟みます。

登紀子と竜二の結婚話をめぐる逸話、等が文化勲章を受章したものの、盗人(三木のり平)にとられるハプニングが展開されて・・・。

エンディングで、東大寺の鐘。ゴワワワーン。
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木下恵介監督「わが恋せし乙女」(1946年、76分)☆☆☆★

2023-06-23 21:29:08 | 日本・1940年~


舞台は軽井沢。遠くに浅間山が映っています。木下監督は軽井沢での撮影が好きですね。「カルメン故郷へ帰る」(1951年)、「カルメン純情す(1952年)」など。

1946年公開ですから敗戦の翌年です。

主演の井川邦子さんはよく知りませんが、元気で溌剌としています。好感。

甚吾(原保美)と美子(井川邦子)とは幼い頃からの兄妹で仲良し。ただ美子は赤ん坊の頃に拾われた女の子でした。ふたりはそのことを知っています。牧場農家の構成員です。

牧場農家で幸せに暮らし、ふたりは屈託なく成長したものの、甚吾は戦争に行き、復員(そのシーンはありません)。ふたりはお互いに惹かれ合っていて、将来はなんとなく一緒になるはずでした。少なくとも、甚吾の母親(東山千栄子)はそう願い、そう思っていました。

甚吾と美子とはお互いに相手に伝えたい秘め事があるようです。お盆の夜にそれを明かす約束をしました。美子は兄のことを尊敬し、とても好きだったのですが、彼の長い応召中に役場の青年と交際が始まり、結婚も誓いあっていたのです。甚吾は美子をお嫁さんにしたいと思っていた矢先、美子のほうからこの事実を告げられ・・・。
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山本薩夫監督「荷車の歌」(1959年、145分)☆☆☆☆★★

2023-06-22 10:59:11 | 日本・1950年~


この作品は今から20年前に初めて観ましたが、それ以来です。

原作は山村巴による同名小説です。

舞台は明治中期から大正、昭和初期にかけての広島県の山奥の村。

荷車引きの茂市(三国連太郎)の妻になったセキ(望月優子)の生活と人生をつうじて、封建的家族のなかの女性の生活、地位、労働、そしてその生活感情を描いた作品。

荷物を運ぶ手段が荷車から馬車、そして自動車に変っていくさまがリアルに映像化されています。

<ストーリー>
郵便配達夫の茂市に求婚された、地主の屋敷で女中奉公するセキ。

その茂市は荷車ひきに転職。茂市の好意を感じていたセキは、周囲の反対をいとわず、茂市と結婚。

二人はそれぞれに荷車を引いて、往復十里の道を町へ荷(炭など)を運搬します。やがて車問屋になる日を胸に描いているものの、現実の労働は苛酷です。

姑(岸輝子)はセキに冷淡そのもの。茂市の弁当箱には米の飯をつめ、セキの弁当には粟飯をつめるような人。
セキはやがてオト代(左時枝、成年になってからは左幸子)を生みます。オト代は気性の強い娘に育ちます。祖母の酷い仕打ちにさからい続けたオト代は、縁あってコムラ夫婦に貰われ、村を離れます。

その後、茂市とセキの苦労が実って、車問屋を始めるまでになります。しかし、間もなく鉄道が通じ、山奥の村から荷馬車が荷を運ぶようになります。手車は時代の波に取り残され、茂市とセキは・・・。
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木下恵介監督「善魔」(1951年、108分)☆☆☆☆

2023-06-21 11:00:57 | 日本・1950年~


 20年ほど前に観て以来。内容、映像は忘却の彼方。 

 原作は岸田国士(きしだくにお)による同名小説。 

「善魔」とは、「自分の考えだけが正しいと信じている者、自分の思想や行動が間違っていないと信じる者、そのために周りへの影響や迷惑に気づかず、他人を不幸にするのに無頓着な者」のことです。魔性の善。

三國連太郎のデビュー作品。三国は主人公の新聞記者を演じ、その時の役の名前を後日、自身の芸名にしました。

 舞台は東京、静岡、軽井沢。

 新聞記者・三國連太郎は、部長の中沼(森雅之)から、政治家・北浦(千田是也)の失踪した妻・伊都子(淡島千景)の調査を命じられます。

 気が進まない連太郎。しぶしぶ、長野原に隠棲する伊都子の父(笠智衆)を訪ね、彼女の妹・三香子(桂木洋子)の案内で、久能山麓の親友の家に身を寄せていた姉に会います。

 失踪の理由は、伊都子の口からは生活に対する姿勢、性格の不一致。連太郎はこの事件を新聞に掲載しないないと約束して帰ります。しかし、他の新聞社がこのゴシップをすっぱ抜いたため、やむなく後追いします。
中沼は結婚前の伊都子と友人で、好意も持っていたため記事にするのに反対でしたが、それが上層部の不興を買い左遷の異動となります。

 この間、連太郎と三香子との間に恋が芽生え、中沼の心も再び伊都子に惹きつけられるのですが・・・。
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大林宣彦監督「野のなななのか」(2014年、171分)☆☆☆☆★

2023-06-20 11:02:48 | 日本・2010年~


本作品製作の起点は、1993年に北海道・芦別市でスタートした「星の降る里・芦別映画学校」です。この学校は芦別市役所観光課の職員・鈴木評詞が大林監督への映画学校の設立と協力の直訴が実って設立されました。

鈴木は15歳の時に、大林監督の映画に接して感激し、以来、監督に芦別映画学校を育てて欲しい、との夢をいだいていました。映画学校設立はなったものの、当初、経営がうまくいかず、軌道に乗ったのは、1997年に鈴木が36歳の若さで亡くなった後のこと。

鈴木は本作品を観ていません。残念なことです(本作品の冒頭に、大林監督を招聘した鈴木評詞に対する献辞があります)。

舞台は北海道芦別市。95歳で亡くなった一人の男・鈴木光男(品川徹)の葬儀のため、久しぶりに親族たち(冬樹[村田雄浩]光男の孫で札幌在住;春彦[松重豊]光男の孫で冬樹の弟、泊原発に関わる仕事をしています;節子[柴山智加]春彦の妻。清水信子[常磐貴子]の秘密に気づきます;田中英子(左時枝)光男の妹で稚内在住;カンナ[寺島咲]光男と同居していた光男の孫、光男の次男(故人)の長女で芦別総合病院の看護師)が集まります。

「なななのか=四十九日」までの間、過去(敗戦)と現在、生者と死者とが複雑に交錯しながら、光男の青春時代と初恋、そして敗戦後の樺太での凄絶な青春体験が明らかになります。

大林ワールドを堪能しました。
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市川崑監督「盗まれた恋」(1951年、89分)☆☆★

2023-06-19 11:04:21 | 日本・1950年~


懐かしい俳優が勢揃い。主演の久慈あさみ、森雅之。それに志村喬、伊藤雄之助、東野英治郎などなど。

蟹良子(久慈あさみ)と能登半子(加藤道子)は浅草の踊子。一緒に生活する友達です。その矢先、劇場が突然閉鎖。失業状態に陥ります。

生活に困ったふたり。勝ち気な良子が一計を案じます。それは踊子時代に、良子に毎日花束を贈ってくれた銀行家、阿久根隆(森雅之)と結婚することでした。

ところが、良子が会って見た実際の阿久根が語るところによれば、恋などは一種のスポーツ、結婚なんて真っ平という調子です。前の結婚で失敗したことの結論でした。

良子は口惜しまぎれに、自分にはまだ無名だが画家の許婚があるので,彼を阿久根の金力で有名にしてほしいと愚にもつかないことを言い出します。驚いたことに阿久根がこれを引き受けます。逆に、実際に許嫁などいない良子は、公園でばったりで出会った画家・三田門太(川喜多小六)に許嫁の役を頼み込みます。

三田が何のことか判らぬうちに、阿久根の計らいで個展が開催され、新聞に彼の絵を大々的に褒めあげたニュースが載ります。
批評家・宗方(志村喬)も買収され、三田の絵をほめあげたものの、良心の呵責にせめられ真相をばらすと、絶望した三田は・・・。
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坂下雄一郎監督「ピンカートンに会いにいく」(2018年、86分)☆☆☆☆

2023-06-18 11:05:59 | 日本・2010年~


「ピンカートン」というのは若い女の子のアイドルユニットの名前。

かつてこの5人組のユニットは、ブレイク寸前で解散。その理由は仲間のいざこざ。その原因は彼女たちにあったと必ずしも言えず、プロデューサーが中川葵をソリストとして売りだそうというプランをもちだし、そのことが知れて仲間の間に亀裂が生じたことの結果でした。その先頭にたったのは神崎優子。リサイタルはドタキャンになります。

20年後。今やアラフォーである彼女たちでした。リーダーの優子(内田慈[ちか])は売れない女優を続けていました。所属事務所もクビとなり芸能界のがけっぷちに立たされた彼女のもとに、ピンカートン再結成の話が転がり込んできます。プランをもってきたのは、かつて小学生時代に「ピンカートン」のファンだったレコード会社の社員、松本浩一(田村健太郎)。

一か八か再起を懸け、優子は松本とともに元メンバーに会って話をもちかけに行きますが、彼女たちはそれぞれの家庭を持ち、再結成の話にはつれない反応です。

なかでも一番人気だった葵(松本若葉)の行方が分かりません。彼女を捜すうちに、20年前、なぜピンカートンが解散せざるをえなったのかが明らかになりますが・・・。
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坂下雄一郎監督「東京ウインドオーケストラ」(2016年、79分)☆☆☆☆

2023-06-16 11:07:25 | 日本・2010年~


屋久島に東京の一流の吹奏楽を招待する役場の企画、しかし島に到着したのはカルチャーセンターに集う素人合奏団。本作品はその顛末を描いた喜劇です。

舞台は屋久島。

屋久島の町役場に、観光課の橘(小市慢太郎)によって進められてきた企画が実現。オーケストラ「東京ウィンドオーケストラ」の来島です。担当者同課員、樋口(中西美帆)。

そのころ鹿児島港では、東京から10人の楽団員が、なぜアマチュア集団の自分たちが招待されたのか懸念しながら、屋久島行きの高速船に乗り込みます。

屋久島の宮之浦港に到着した一行を迎えた樋口は、オーケストラの人数が少ないことに不安げな面持ち。しかし、彼ら連れて事務的に応対します。島一番の大ホールに案内され、20年来の夢が叶ったと感激する橘。

実は樋口の手違いで、一文字違いのアマチュア楽団「東京ウインドオーケストラ」を招待してしまったのです。「ィ」と「イ」一字違いです。

真実を今になって表に出せない一行は、逃げ出そうと荷物をまとめます。

同じころ、楽団員のリーダー・杉崎(星野恵亮)の名刺を見て違和感を覚えた樋口がスマホでネット検索すると、無名のアマチュア楽団「東京ウインドオーケストラ」を見つけます。ようやく彼らが偽物だと気づいた樋口が慌てて控室に行くと、・・・。
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小林聖太郎監督「マエストロ!」(2015年、129分)☆☆☆☆☆

2023-06-15 21:00:06 | 日本・2010年~
 
一旦は解散したオーケストラの再結成。腕のいい演奏家はすでに引き抜かれ、アルバイトで食いつないでいるような面々が集まりますが、団をまとめる指揮者が奇怪なつわもの。演奏会をたちあげ、ベートーヴェン「運命」とシューベルト「未完成」をプログラムに掲げます。
 
本作品を観て驚いたのは、指揮棒をふる西田敏行さんが凄かったこと、コンマスを演じた松坂桃李さんがヴァイオリンを弾きこなし、ヴィブラートもしっかりかけていますし、ピッチカートも自然だったことです。(音楽総監督は佐渡裕氏が担当)
 
それはともあれ、演奏の練習場はプレハブの倉庫でした。声をかけられた演奏家があつまります。そこへあわてて入ってきたのがフルート奏者の橘あまね(miwa) 。自らアマチュアと名乗っています。そして指揮者がいません。
 
しかたなく、コンマスの香坂真一(松坂桃李)「運命」の練習に入ります。と、倉庫の上の方で金槌をたたいている、長髪でひげもじゃの老人。何とその人が指揮者でした。名前は天道鉄三郎(西田敏行)。
 
お互いに相手の素性、事情がわからない指揮者と楽団員とははじめから対決姿勢。「運命」の入り方が悪いと、怒鳴り散らす天道(「運命」の最初はいきなり「ジャジャジャジャーン」ではなく、楽譜ではまず八分休符が入ってから「ジャジャジャジャーン」です)。
 
作品はその後、すさまじい練習が続き、そのうち天道の素性がわかってきて・・。
 
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川島雄三監督「女は二度生まれる」(1961年、99分)☆☆☆★

2023-06-14 21:02:42 | 日本・1960年~


川島版『西鶴一代女』という評価さえある作品。東京・九段にある純情な不見転(みずてん)芸者(今風に言えば「天然」)の生活を描いています。

置屋に身をよせる小えん(若尾文子)は、芸事の素養がありません。お座敷で酒の相手をするだけです。

身寄りのない彼女にとって、それが当たり前の身過ぎ世過ぎで、いまは筒井(山村聡)と矢島(山茶花究)というふたりの男性を客として、座敷でも外でも会う機会が増えていました。

小えんはそんなお金を落としてくれる男性だけでなく、顧客の接待係として来た男性にも愛想がよく、そんな男性の1人が野崎(フランキー堺)です。彼は寿司屋の板前。その素直な性格が気にいった小えんは、しばしばこの寿司屋を訪れます。しかし野崎にとって彼女はあくまで、まともに交際できる女性でありません。

やがて野崎は信州のワサビ屋の入婿となり、小えんに黙って寿司屋を辞めます。

小えんにはもう1人、商売と関係なく好きになった男性がいました。それは近くの神社で知り合った大学生の牧(藤巻潤)です。バイトしながらの苦学生で、身寄りがなく苦労した小えんは同情します。しかし、彼も大学を卒業すると彼女の前から去っていきます。

その後、ホステスに転業した小えんは、誘われるまま筒井の二号になり、安アパートの部屋に引っ越しますが・・・。
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蜷川実花監督「人間失格 太宰治と3人の女たち」(2019年、120分)☆☆☆☆

2023-06-13 21:04:31 | 日本・2010年~


小説家・太宰治(小栗旬)の半生が彼をとりまく3人の女性との関係のなかで描かれています。3人の女性とは、正妻・津島美知子(宮沢りえ)、『斜陽』のモデルで愛人の太田静子( 沢尻エリカ)、最後の愛人で心中した山崎富栄( 二階堂ふみ)です。

蜷川監督らしく、花いっぱいで、工夫された映像を愉しめます。

文才がありながら自堕落な生活、女性関係が乱脈で、アルコール中毒と肺の病、まさにその人生そのものが小説の題材になるうるものでした。

その詳細は、本作品に克明に描かれています。そんな太宰のそばで、学生時代から太宰のファンだった編集者の佐倉潤一(成田凌)が世話を焼き、彼に振り回されます。

三島由紀夫(高良健吾)が立ち話で太宰を、その文学姿勢について批判しているシーンがありますが、実話かどうかわかりません。
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