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シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

野村恵一監督「小津の秋」(配給・野村企画、2007年、92分)

2025-05-01 20:45:44 | 日本・2000年~

舞台は秋の気配が立ちこめる蓼科高原、湯ノ原温泉界隈、ときどき軽井沢です。

ある若い女性新聞記者が苦労して、亡くなった自分の父親が過去に愛した女性とめぐり逢い、抱いていた不振を払拭していく物語です。

新聞記者の佐々木明子(沢口靖子)は、取材で蓼科を訪れました。「縄文のヴィーナス」の取材の仕事というのが名目でしたが、そこに行くと以前から探している人に会えそうな予感をもったからです。彼女は父の遺品を携えて出かけます。

現地で明子はホテルの支配人(栗塚旭)の案内を得て、無藝荘(小津安二郎監督が仕事場として使っていた別荘)の守役の吉岡園子(藤村志保)に偶然に出会います。そのことが亡き父の過去を追う切掛けになります。

しっとりした落ち着きのある作品です。藤村志保さんは炎のように燃えた過去の恋を、おさえたセリフと演技で表現して見事です。

出目昌伸監督「バルトの楽園」(2006年、106分)

2025-04-27 20:53:56 | 日本・2000年~
日本では年末にあちこちの音楽会場で、ベートーベンの「第九」が演奏されるのが習わしになっていますが、「第九」の日本での演奏の最初は徳島県鳴門市の坂東俘虜収容所での演奏です。

第一次大戦下、青島(チンタオ)を領有していたドイツは、日本軍と交戦し、破れました。日本軍は約4700人のドイツ兵を捕虜とし、日本に連行し、12か所あった俘虜収容所に収監しました。

徳島県鳴門市にあった坂東俘虜収容所では、松江豊寿所長(松平健)が捕虜になったドイツ兵に温情をもって接し、地元民と捕虜の融和を図ろうとする方針をとりました。この収容所にはパン屋があり、印刷所があり、小規模のオーケストラもありました。

この作品にはいろいろな逸話が挿入されています。ドイツの捕虜たちは松江所長の温かい人柄に惹かれますが、軍部からは手ぬるいと批判を受け対立したこと、日本とドイツの混血少女・「志を(しを)」が、ドイツ人の父を探してやってきますが彼女の父が戦死していたこと、そこで出会ったカルルと「志を」の間に親子のような交流が生まれたこと、終戦によって解放されたドイツ人たちは松江所長や地元民への感謝を込めて日本で初めてベートーベンの『第九』を演奏したこと、などなど。

フィクションもあるようですが、こうした逸話がこの映画の魅力になっていまする。映画のタイトルにある「バルト」はドイツ語で「ヒゲ」のことです。所長の松江が立派なヒゲをつけていたので(画像参照)、それを象徴的にタイトルに使ったようです。

中西健二監督「花のあと」(2009年、107分)

2025-04-23 20:56:49 | 日本・2000年~


藤沢周平による同名の短編小説の映画化です。海坂藩(架空の藩)が舞台です。主人公の女剣士・以登(いと)の物語です。

この作品は、以登(北川景子)が満開の桜の下で、羽賀道場の高弟・江口孫四郎(宮尾俊太郎)に声をかけられるシーンから始まります。

父・寺井甚左衛門(國村隼)に剣の手ほどきを受けた以登は、羽賀道場の二番手、三番手を破るほどの剣豪でした。父の許可を得て、孫四郎と剣を交えます。以登は孫四郎に竹刀を打ち込む中で、彼に胸をあつくしている自分に気づきます。初めての恋心でした。

しかし、すでに家が定めた許婚・片桐才助(甲本雅裕)がいて、以登は無念の想いで孫四郎への恋心を封印します。

そんなおり、奏者番の娘・加世に婿入りした孫四郎が、藤井勘解由(市川亀治郎)の卑劣な罠にかかり、責任をとって自害します。

事件の真相を知った以登は、勘解由を詰問するため彼を呼び出します。成り行きで、二人の間で果たし合いになります。この結末は・・・。

満開の桜が何度もでてきます。

大森寿美男監督「風が強く吹いている」(2009年、133分)

2025-04-21 20:58:14 | 日本・2000年~
三浦しをんによる同名の小説の映画化です。

弱小の寛政大学・陸上競技部が箱根駅伝に挑戦し、実現するまでのストーリーです。
箱根駅伝出場を夢見る寛政大学4年生の清瀬灰二(ハイジ、小出恵介)は、事件を起こして陸上から遠ざかっていた天才ランナーの新入生蔵原走(カケル、林遣都)と出会います。致命的な怪我でランナーを諦めかけていたハイジでしたが、自らが寮長を務める竹青寮(通称・アオタケ)にカケルを強引に入居させ、駅伝出場への最初の一歩をふみだします。

しかし、格安学生寮のアオタケには漫画オタクの美形、運動経験のない黒人、モテることを夢見る双子、争いごとと無縁なぼんやりとした学生、司法試験にすでに合格した学生、ヘビースモーカーの25歳、就活に勤しむクイズ王と、およそ陸上部員らしからぬ学生たちがたむろしていました。

ところがこの10人が、あろうことか、予選会に出場し出場権を得て、あれよあれよという間に箱根駅伝のスタートラインにつきます。

10人は、箱根の往路、復路を走り抜けることができるのか・・・。

降旗康男監督「赤い月」(2004年、111分)

2025-04-18 21:02:49 | 日本・2000年~

なかにし礼(作詞家、立教大学文学部仏文科卒) による同名の小説の映画化です


激動の時代の満州を舞台に、愛を求め生き抜いたひとりの女性(著者の母がモデル)の姿を描いたドラマです。

1934年2月、夫・勇太郎(香川照之)と子供たちと共に満州・牡丹江(ぼたんこう)に渡った森田波子(常磐貴子)。それから10年、勇太郎はかつて恋敵だった陸軍中佐・大杉(布袋寅泰)の庇護の下、森田酒造を成功させました。

そんなある日、長男・一男の帰郷を祝う宴席で、波子は商社員・氷室啓介(伊勢谷友介)と出会います。関東陸軍秘密情報機関の諜報員の彼はロシア人男性・ピョトールをスパイとして利用するために、彼の娘・エレナを森田家に家庭教師として寄宿させ監視する役目を負っていました。

しかし氷室の素性を知らない波子は、彼と愛し合うようになったエレナに嫉妬し、エレナを奸計に陥れます。

その後、勇太郎の留守中に戦況は悪化します。「生きたい、生きて子供たちを生かしたい」と願う波子は、氷室に願い入れ軍用列車への乗車を許されます。波子の波乱の人生は、まだまだ終わりません。

山田洋次監督「たそがれ清兵衛」(2002年、129分)

2025-04-17 15:28:32 | 日本・2000年~
藤沢周平による同名短編小説、および「竹光始末」「祝い人助八」の2つの短編を原作とした映画化です。山田洋次監督が初めて手がけた本格的時代劇です。

舞台は幕末の庄内地方。

海坂藩(架空の藩)の御蔵役を務める井口清兵衛(真田真之)は夕刻の終業の太鼓の音とともに自宅に帰ることを常としていました。それで同僚からは「たそがれ清兵衛」と陰口をたたかれていました。

家には認知症を抱える老母と幼い2人の娘。清兵衛は家族を養い、そして労咳で死んだ妻の薬代や葬儀などで嵩んだ借金返済のために内職をするのでした。

春のある日、清兵衛は親友の飯沼倫之丞(吹越満)と再会します。倫之丞は妹の朋江が酒乱の夫・甲田豊太郎に度々暴力を振るわれるため、離縁させたことを清兵衛にうちあけます。

清兵衛が帰宅すると、そこには美しい女の姿がありました。飯沼家を抜け出した朋江(宮沢りえ)でした。話をするうちに、清兵衛は朋江に淡い恋心を抱きます。これがきっかけとなり二人の気持ちは接近しますが・・・。

ラストシーン。藩の命令で、清兵衛は賊である一刀流の使い手・余吾善右衛門を討つことをおおせつかります。壮絶な果たし合いとなります。

堀川とんこう監督「一応の推定」(2009年、111分)

2025-04-06 19:44:00 | 日本・2000年~
広川純による同名小説の映画化で、保険会社と被保険者の間で、正義と真実を徹底的に調査する保険調査員の仕事ぶりがテーマ。

山形鉄道、健在です。

定年まであと数ヶ月の村越努(柄本明)は保険調査員。仕事内容は保険会社の委託で、当該案件への保険金支払いが妥当かどうかを調査することです。

損害保険会社は「無責」といって、保険金を支払う根拠がなければ、支払いの義務はないのですが、被保険者にとってはそれをあてにしているケースもあり、その判断の根拠を保険調査員は徹底して調べるのです。裁判沙汰になっても困らない客観的データと論拠が必要です。

舞台は山形県。ある老人がホームから転落後、轢死しました。その老人は3000万円の保険金を受け取れる保険に死の3か月前に加入。下請けの村越は保険会社から保険金の支払い対象であるかどうかの調査作業を依頼され、自殺なのか事故なのか調査を進めます。

調査過程で、老人の孫が重度の心臓病でアメリカでの手術に約7000万円が必要であった、と知ります。老人の轢死は、実は自殺だったのではないか。正義感が強く事実を徹底的に調べるベテラン調査員の村越と、保険会社の利益をまもるのが当然と考える新人保険マンの竹内善之 (平岡祐太)は立場上、お互いに対立しながら、事件の調査を行ないます。

結果、村越は「一応の推定」でこの事件は自殺であり、保険金の支払いに応じられない、と結論づけますが・・。

竹園元監督「ひまわり〜夏目雅子、27年の生涯と母の愛〜」(2007年、106分)

2024-06-03 20:47:24 | 日本・2000年~
1985年、白血病で夭折した女優・夏目雅子(27歳)。彼女の波乱の人生を、ずっと見守った母の視点から描いた作品です。

原案は小達スエによる『ふたりの雅子』(講談社、2006年)。

六本木の老舗、亀甲屋の輸入雑貨商の小達宗一(岸部一徳)と小達スエ(三田佳子)の間に生まれた雅子(仲間由紀恵)は、高校生のときに観たソフィア・ローレン主演「ひまわり」に感動し、女優としての道を夢見ます。その後、家族に内緒で受けたTVドラマのオーディションに合格。舞い上がる雅子でしたが、女優の仕事には大反対の母親スエと対立します。

雅子は兄、一雄(金子賢)の力を借り、スエを説得し、女優デビュー。

さらに化粧品会社のキャンペーンガールに大抜擢。しかし、彼女の芸能界入りをこころよく思わないスエは、モデルの仕事にも反対します。「小達(おだて)の名前は使わせない」と断言します。この時、雅子は自分の好きだった茶道具のひとつ「棗(なつめ)」からとった芸名「夏目雅子」を名乗るようになります。女優の雅子と小達家の長女・雅子、「二人の雅子」の誕生でした。

キャンペーンガールの仕事が成功し、雅子の人気は急上昇。女優として歩き始めます。以後、「鬼龍院花子の生涯」(1982年)でブルーリボン賞を受賞。

私生活では作家の伊集院静(緒形直人)と恋愛関係に(そして結婚)。

その矢先、雅子に突然の病魔が襲いかかります。病名は急性骨髄性白血病。

山川元監督「東京原発」(2004年、110分)☆☆☆☆

2023-08-31 20:18:53 | 日本・2000年~

アイデアマン、天馬東京都知事(役所広司)が東京に原発を誘致することを施策として提案したことで起きた騒動を描いた作品。

主な登場人物。津田副知事(段田安則)、笹岡産業労働局長(平田満)、佐伯政策報道室長(田山涼成)、石川都市計画局長(菅原大吉)、大野財務局長(岸部一徳)、泉環境局長(吉田日出子)。個性派俳優がズラリ。

これらの面々が突然、臨時の会議に招集され、東京に原発を誘致する案をめぐって侃々諤々。

天馬知事がこの提唱をしたのにはわけが。東京は湯水のように電力を消費している、その電力需要を確保するために、地方の市町村に原発業務をおしつけている、みかえりとして国は膨大な補助金をバラまいている、危険極まりない原発は日本に50基以上、これによって地方の自然、景観は破壊され、危険と隣りあわせの住民の暮らし、核のゴミの処理も地方におしつけている、東京の企業、都民が膨大な電力消費するのならリスクも負わなければならない、したがって原発を東京・新宿にもってくるべし(用地はある)。

メリットがある。原発の稼働には冷却水が必要だが、そこから出る温排水を7割がた海洋に捨てている現状、東京に原発を作ればこの温排水を企業活動、市民生活に利用できる、地方への補助金は減るし、東京に建てられた原発企業から法人税があがる、というもの。

会議の参加者からは、知事提案に反対の声。都民は当然反対し都庁はデモ隊に包囲されるが、その場合どうするのか? 

質問、意見がでるが、次第に賛成となる雰囲気。

その頃、海外からのプルトニウムが密かに東京のお台場に入り、福井に運ぼうとする動きがあるなか、その運搬トラックがジャックされ・・・。

渡邊孝好監督「お家さん」(読売テレビ開局55年記念ドラマ、2014年、144分)☆☆☆☆☆

2023-06-03 11:13:55 | 日本・2000年~


原作は玉岡かおるによる同名小説。

映画と思ってみていましたが、テレビドラマでした(途中から何となく作品のつくり方が映画でないと気づいたものの、テンポ良く面白く最後まで観ました)。

明治初期から昭和初期にかけて神戸に実在した貿易商「鈴木商店」の女主人鈴木よね と、会社の発展に尽力した大番頭、金子直吉との人間ドラマです。

明治に入って樟脳、砂糖貿易商として世界的な拠点網を確立し、製糖・製粉・製鋼・タバコ・ビールなどの商品取引事業を展開したのが鈴木商店。保険・海運・造船などの分野にも進出し、ロンドン・バルティック取引所で日本企業として2番目の会員企業となった商社です。

本作品の冒頭でも、この巨大商社・鈴木商店の紹介があり、それによると最も隆盛をほこっていたときには、スエズ運河をとおる商船の半分が鈴木商店の貨物を積んでいたそうで、現在の神戸製鋼、帝人、双日(日商)、日本製粉などが鈴木商店の流れをくむ会社と、紹介されています。

神戸の砂糖問屋「鈴木商店」に嫁いだ鈴木よね(天海祐希)。旦那の封建的な経営に従う彼女。しかし、夫が急死し、彼女が店の経営にたずさわることを余儀なくされます。

そんな彼女を支えたのが奉公人の金子直吉(小栗旬)でした。ふたりは時代の波に翻弄されながら、商店を巨大商社へと成長させますが・・・。

角川春樹監督「みをつくし料理帖(2020年、131分)☆☆☆☆

2023-05-09 20:34:52 | 日本・2000年~



高田郁による同名小説の映画化です。

舞台は江戸時代の大坂、そして江戸。キーワードは「旭日昇天」「雲外蒼天」。

享和2年の大坂、8歳の澪と野江は仲の良い幼なじみ。

数年後、大洪水がこの地におしよせ両親を亡くし、野江とも離ればなれになった澪(松本穂香)は大坂随一の料理屋「天満一兆庵」の女将、芳(若村麻由美)に助けられ、奉公人として働きます。

その後、江戸に出て蕎麦処「つる家」の店主・種市(石坂浩二)に見込まれ、天性の料理の才能を見いだされた澪は女料理人としてつとめ、さまざまな困難に立ち向かいながら、店の看板料理を生み出します。とくに上方の昆布と江戸の削り節を調合した出汁を使った茶碗蒸しが評判になります。

その味が江戸中の評判になっていったある日、吉原・翁屋の又次(中村獅童)が「つる家」にやってきました。その用件は、吉原で頂点を極めるあさひ太夫(奈緒)のために澪の看板料理を作ってほしいということでしたが・・・。


原田眞人監督「わが母の記」(松竹、2012年、118分)☆☆☆☆

2022-12-02 23:22:08 | 日本・2000年~


原作は小説家・井上靖が68歳の時に出版した自伝的小説。

ある疑念をもって母親と向き合った8年間の想いが描かれています。高齢の母親が痴ほう症となり、周囲の人たちが振り回されますが、その様子が悲しく、時にユーモラスに描かれています。

舞台は伊豆、東京(世田谷)、軽井沢、そして葉山。

内容について簡単に触れると・・・。

作家の洪作(役所宏司)は幼少期に兄妹のなかでひとり、両親と離れて育てられました。そのことから、母親・八重(樹木希林)に、土蔵のおばあちゃんのもとに捨てられたのではないかと疑問に思い、母親と距離を置く感情にとらわれていました。

しかし、父親が亡くなり、長男の洪作は八重と向き合って暮らさざるをえなくなります。年を重ね、物忘れの激しくなった母親と過去の出来事で言い争いが絶えません。

ある日の夜、八重が行方不明に。彼女はトラック運転手のたまり場を訪れ、「海を渡った息子に会いたい」と頼みます。頼みを引き受けたトラック運転手に港まで連れていってもらった八重。それを知った洪作は必至で母を追いかけ、やっと母親を見つけます。

八重は「やっと息子に会えた」と洪作を抱きしめます。母親の八重は洪作を手放した過去を悔やみ息子を探して徘徊していたのでした。

石井岳龍監督「蜜のあわれ」(2016年、105分)☆☆☆★

2022-11-29 23:28:57 | 日本・2000年~


原作は室生犀星の同名小説です。老作家と小悪魔金魚の恋の物語。

老作家の上山(大杉漣)は、飼っている金魚と仲良しです。金魚の成り代わりの赤子(二階堂ふみ)は、上山に「恋人になろう」と提案し、ふたりは仲を深めます。

ある日、赤子は上山と恋人同士になることを提案。上山は、「人間の女がもう相手にしてくれないので、とうとう金魚と寝ることになった」と言い、その申し出を受け入れました。

上山が講演に出かけたおり、赤子はこっそりその会場に向かい、講演を聞きます。すると、隣に座った青白い女性・ゆり子(真木よう子)が、急に呼吸困難に陥りました。

その女性は、15年前から上山と親交があるのだと言いますが、決して上山と会おうとしません。赤子は上山のところに連れて行こうとしますが、その女性は立ち去ってしまいました。

講演後、赤子は上山に「田村ゆり子という女性と会った」と言うと、上山は「田村ゆり子はとうに死んでいる人だ」と応えます。ゆり子は以前、上山が原稿を読んでもらっていた女性だったのですが、あるとき突然亡くなったのでした。

上山、赤子、ゆり子の三すくみで物語は(寓話的に)展開します。

篠原哲雄監督「起終点駅 ターミナル」(2015年、111分)☆☆☆☆

2022-11-20 20:58:03 | 日本・2000年~


原作は桜木紫乃による同名小説です。わけあって国選弁護人となった主人公の心の遍歴を描いた作品。余談ですが、本作品のなかで主人公がザンギ(鶏のからあげ)をつくるなど、料理のシーンがたくさんあり、印象的です。

舞台は北海道の旭川、そして釧路。

25年前。妻子を東京に残し旭川の地方裁判所判事の職にあった鷲田完治(佐藤浩市)。その彼が覚醒剤取締法違反の裁判を担当することに。被告人はなんと完治の学生時代の恋人だった結城冴子(尾野真千子)でした。

二人には過去がありました。交際していたのは学生時代。おりしも学生運動がキャンパスに吹き荒れ、活動家として政治活動に身を投じていた冴子。完治はそれらの活動に加わらずひたすら司法試験の勉学に励んでいました。その冴子は完治が司法試験に合格した直後、突然姿を消します。

裁判で完治は冴子に執行猶予付きの有罪判決を下します。直後、偶然、彼女の営むスナックで会います。そして、逢瀬を重ねるようになります。

事件が起こります。任期満了で東京に戻る日が近づいていた完治。家族を捨て、冴子と新しい人生を決意したある日、旭川駅のホームで、彼女が完治の目の前で列車に飛び込みます。

このショックで、以後、誰とも関わる事なく国選弁護人として生きてきた鷲田完治。

その彼の前に、ある裁判で弁護を担当した若い女性・椎名敦子(本田翼)が現れます。個人の依頼は受けないことにしていましたが、彼女に冴子を重ね合わせた完治は・・・。

本木克英監督「大コメ騒動」(2021年、106分)☆☆☆★

2022-11-17 21:02:14 | 日本・2000年~


舞台は、大正7年の富山県。

富山県の漁師町から広まった米騒動がモチーフ。米価高騰に苦しむ主婦たちが、コメの積み出し阻止を試み失敗するも、騒動が地元の新聞に載り、騒動が全国に広まる経緯を描いています。

17歳で漁師の利夫(三浦貴大)のもとへ嫁いだ松浦いと(井上真央)は、三人の子を持つおかかで、米俵を浜へと担ぎ運ぶ女仲仕として働いています。

この小さな漁師町では、おかかたちは家事、育児をこなし、さらにわずかの収入になる仕事をもって働いています。漁に出る夫のために毎日一升のコメを詰めた弁当を作るのも彼女たちの仕事。

しかしコメの価格が高騰。頭を悩ませたおかかたちは、リーダー的存在の清んさのおばば(室井滋)とともに、コメの積み出し阻止を試みるも失敗。地元の新聞がその騒動を「細民海岸に喧噪す」と報じました。

大阪の新聞社が陳情するおかかたちの様子を「女一揆」と大きく書き立て、騒動は全国へと広まっていきます。

ある事故で、我慢の限界に達したおかかたちは、さらなる行動に・・・。