シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

木下恵介監督「この子を残して」(1983年、127分)☆☆☆★

2020-10-31 11:11:55 | 日本・1980年~


原作は「長崎の鐘」で知られる永井隆の同名の手記で、自分の子供を残して死んでゆく無念と、自分の専門にかかわる病気で死ぬ悔恨を訴えています。

舞台は長崎。1945年8月9日、午前11時2分、長崎に原爆が投下。

7万人4千人がなくなり、建物は約36%が全焼または全半壊しました。

この作品は、カトリック信者で放射線医学担当の医局員だった永井博士(加藤剛)が自ら被爆し、妻(十朱幸代)を失いながら、被災のもとでふたりの子を強い絆をもって育てていく様子を描いています。

当時の浦上地区がセットで再現されています。

原民喜の「水ヲ下サイ」に曲をつけたオペラで原爆投下後の地獄絵図を表現したラストシーンは、ショッキングです。
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ルイス・ブニュエル監督「小間使いの日記(Le Journal d’une femme de chambre)」(フランス/イタリア、1964年、101分)☆☆☆★

2020-10-30 20:41:11 | フランス


オクターブ・ミルボーによる同名の小説(1900年)の映画化です。

セレスチーヌ(ジャンヌ・モロー)はパリで侯爵夫人邸の小間使いをしていましたが、都会を嫌悪し田舎町のモンテイユウ家に奉公に出ました。

この家では夫人が実権をもち、夫(ミシェル・ピッコリ)は狩猟と女好きの田舎紳士。夫人の父親は婦人靴フェチ、下男のジョゼフ(ジョルジュ・ジェレ)も変質者でした。どうにもならない中産階級の隠微な生活と対比される貧しい使用人の生活・心情。

セレスチーヌは田舎娘ですが、小綺麗で清潔な身なりを心がける意思を持った人間です。しかし、ある事件をきっかけに、その意思は音をたてて崩れていきます。奇怪な中流家族環境のなかで起きた奇怪な殺人事件。セレスチーヌの内面が決定的な変化を遂げます。

鬼才ブニュエル監督の面目躍如!
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ミロス・フォアマン監督「アマデウス」(アメリカ、1984年、158分)☆☆☆★

2020-10-29 16:46:18 | アメリカ・1980年~


「アマデウス」は、モーツアルトのミドルネームです。

主要な舞台は、ウイーンです。

1823年11月のある夜、自殺をはかった老人・アントニオ・サリエリは精神病院に運ばれ、病床で「許してくれ、モーツァルト!君を殺したのは私だ」と叫びます。

サリエリは、若い頃、音楽への愛と敬虔な信仰心に生き、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世に仕える作曲家として、人々から尊敬されていました。そこに、天才作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトがたちはだかり、サリエリの人生を変えます。

モーツアルトは一方でその類い稀な才能で称賛されていたものの、他方で天真爛漫で礼儀知らずで軽蔑されていました。

サリエリは「モーツァルトの才能が神の寵愛を受ける唯一最高のもの」と理解したものの、激しい嫉妬にも苛まされます。サリエリのこの苦悩が招来した悲劇とは・・・。
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野村芳太郎監督「あの橋の畔で」(1963年、全四部)☆☆☆★

2020-10-29 11:17:12 | 日本・1960年~

携帯電話がない時代、若い男女のすれ違いはハラハラドキドキ。待ち合わせても、いろいろな事情で連絡がとれず会えないことがありました。映画作品では「君の名は」が有名です。

本作品もすれ違い、行き違い、誤解を下敷きにしています。

学生時代から将来の結婚を誓っていた菅野光晴(園井啓介)と新村葉子(桑野みゆき)。父の看護のため故郷へ帰った葉子と設計士・光晴は、「数寄屋橋」公園で、愛を確かめ再会を誓って別れます。

ところが大企業に勤める彼女の兄・兄の健二郎(南原宏治)は自らの出世の足がかりとしてとして大株主の息子・沢野信介(穂高隆信)と葉子の縁談を画策していました。

健二郎に葉子との結婚を阻まれた光晴は、彼女に上京を促す手紙を書きます。その手紙を投函しようとした矢先、自動車に事故にあう不幸が光晴を襲います。

このあと二人は? 光晴が夕張に逃避したり、そこで記憶喪失になる重傷をおったり、手術で回復するもカンボジアに出張したり、葉子がいやいや信介と結婚するも離婚の裁判をおこしたり、とにかく最後まで波乱含みです。
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フランコ・ゼフィレッリ監督「ブラザー・サン,シスター・ムーン(Brother Sun, Sister Moon)」(伊、1972年、121分)☆☆☆☆★

2020-10-28 21:01:21 | イタリア


舞台は12世紀のイタリア、アッシジです。ひばりにも説教をといたといわれる若き聖フランチェスコの話です。

裕福な商人の息子フランチェスコ(グレアム・フォークナー)、父親以上の商才があるとの評判でした。十字軍に参加するアッシジの青年達とともに、彼は手柄をたて、戦利品をたくさん持ちかえってくると意気揚揚で出かけます。

ところが戦場で熱病に冒されたフランチェスコは、ほうほうのていで家に戻ってきます。ベッドで生死の境をさまよい、十字架の幻影を見るフランチェスコ。ある朝ふと目を覚ますと、自分のなかの中の何かが変わっていることに気づきます。それからというもの、一日中、花を眺め、小鳥と話しています。あまつさえ、ある日のこと、彼は家の窓から父親の財産を投げ捨てます。「財産は心の重荷だ。自由になろう!」

彼は廃墟になった教会を、貧しい人々と共に再建しはじめます。ひとり、またひとり彼の群れに加わる若者が現れました。

フランチェスコに心を寄せる娘クララ(ジュディ・バウカー)。彼女も男女の愛情ではない永遠の愛で彼の側にいることを決心します。

イタリアの美しい風景。美しい若者達。素晴らしい音楽! 心が洗われる作品です。
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ロバート・ワイズ・ジェローム他、監督「ウェスト・サイド・ストーリー(West Side Story)」(アメリカ、1961年、152分)☆☆☆

2020-10-27 16:49:56 | アメリカ・1960年~


シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』に着想を得て、二つの異なる少年グループの抗争の犠牲となった若い男女の2日間の恋と死までを描いたミュージカル作品です。

舞台はニューヨークのウエストサイド。

イタリア系アメリカ人からなるジェット団とプエルトリコ系アメリカ人からなるシャーク団との間では抗争がたえません。

一触即発の関係のなか、この二つのグループがダンス会場でにらみ合います。そこで若い男女、トニー(リチャード・ベイマー)とマリア(ナタリー・ウッド)が運命的に出会い、互いに惹かれあいます。

しかし、トニーはジェット団の元メンバー、マリアはジャック団のリーダーであるベルナルドの妹で、二人の愛には最初から決定的困難がありました。

ふたりの仲はいったい?

スラム街でくりひろげられる若者たちの無意味な争い。アメリカが抱える人種問題、貧困問題をしっかりとらえています。

小気味よいダンスと歌とリズムは圧巻です。
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成瀬巳喜男監督「女が階段を上る時」(1960年、114分)☆☆☆☆

2020-10-26 21:29:08 | 日本・1960年~


題名の「女が階段を上る時」は、主人公の矢代圭子(高峰秀子)が勤めるBARが二階にあり、彼女が夕方から仕事に就くときに必ず上がる階段で日々感じる切なさを象徴したものです。

舞台は銀座界隈と佃島(つくだじま)。銀座は圭子が働いているところ、佃島は彼女の実家のあるところです。

チャーミングにみえる銀座のマダムそしてホステス。それは表の姿です。圭子は雇われマダムです。彼女の仕事と生活をとおしてこの世界の女性の危うさ、辛さが描かれます。

華やかなのはみかけだけです。綺麗な和服、高価な香水、化粧はみな、お客に対するマナーです。それらは圭子が自分で調達しています。給料はほとんどそういう持ち出しで消えていきます。

彼女の稼ぎをあてにしている実家の母と兄。生活費を無心して、みな圭子にぶらさがって生きています。

職場は戦場のようなもの。ホステスが引き抜かれたり、自分で店をもったかつての同僚が借金におわれて自殺したり・・・・。

高峰秀子は、夜の銀座で働く女性の実像を秀逸、圧巻の演技で見せます。
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ヘンリー・キング監督「慕情(Love Is a Many-Splendored Thing)」(アメリカ、1955年、102分)☆☆☆☆

2020-10-26 16:53:25 | アメリカ・1950年~
 
主人公のハン・スーインの自伝をもとに映画化された作品です。

舞台は第二次世界対戦終了後の香港。

中国での国共内戦が続くなか、香港には多くの避難民が流入していました。負傷しているものが多く、ハン・スーイン(ジェニファー・ジョーンズ)は勤務医として、治療にあたっていました。彼女の夫は中国国民党の将校でしたが、内戦で戦死していました。

アメリカ人特派員マーク・エリオット(ウィリアム・ホールデン)は彼女に一目惚れし、恋に落ちます。別居中の妻と離婚の話しを進めるため、エリオットは妻の居るシンガポールへ向かいますが、不調に終わります。

ハンはマークに言います。夫を失い、イギリス人(父)と中国人(母)を持つハーフで、医療の「実践者」である自分と、生粋のイギリス人で妻帯者で、「観察者(ジャーナリスト)」のあなたとがうまくいくはずがない。

ほどなく朝鮮戦争が起こり、エリオットは特派員として戦地に赴きます。そして、悲劇が……。

サミー・フェイン作曲、ナット・キング・コール歌唱による主題歌は、映画音楽のなかでも屈指の名作です。
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クラレンス・ブラウン監督「愛の調べ」(アメリカ、1947年、118分)☆☆☆★

2020-10-25 11:08:44 | アメリカ・1940年~
   

音楽家シューマン夫妻の物語です。キーパーソンとして他にブラームスが登場します。

ロベルト・シューマン役はポール・ヘンリード、妻のクララ・シューマン役はキャサリン・ヘップバーンです。

ストーリーは?

クララは父ヴィーク教授の弟子ロベルト・シューマンと恋仲でしたが、教授はシューマンの才能を評価せず結婚を許しません。しかし、 2人を知るリストの計らいで結婚が法廷で認められ、ライブチヒで愛の生活が始まります。

それから10年、シューマン夫妻に7人の子供が出来、幸せな生活が続きます。ところが、ある大晦日、20歳のヨハネス・ブラームスがやってきます。シューマンのもとで研鑽をつみたいというのです。

問題なのは、ブラームスがそのまま同居することとなり、すぐに彼がクララを愛するようになったことです。崇愛するクララの傍で作曲できるのを、若いブラームスは楽しみとしていました。

一方、シューマンは作曲、批評と忙しく仕事をしていましたが、作品がほとんど認められません。生活費を得るためにクララは、ケルンでピアノ独奏会に出演し大成功をおさめます。

この3人の関係はその後?
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小津安二郎監督「東京暮色」(1957年、140分)☆☆☆

2020-10-25 10:53:16 | 日本・1950年~


舞台は東京・雑司ヶ谷界隈。

評論家の沼田康雄(信欣三)の妻・孝子(原節子)が父・杉山周吉(笠智衆)のところに、子どもをつれて帰ってきます。どうやら沼田との間に諍いがあったようです。

周吉は妻に逃げられひとり暮らしです。孝子には妹・明子(有馬稲子)がいて、タイピスト学校に通っています。

明子には年下の木村憲二(田浦正巳)という恋人がいましたが、優柔不断な無責任な男で、奔放無頼な生活を謳歌しています。明子がこの男に惹かれたのは、小さい頃から母親のいない生活で寂しさがあったからです。

その明子は身体の変調に気がついていました。憲二に訴えると彼は彼女との逢瀬を避けるようになります。

明子はかつて満州に逃げた母親(山田五十鈴)が再婚し、東京で麻雀屋を営んで生計をたてていることを偶然に知ります。精神的な衝撃を受ける明子。

居酒屋で深酒に浸っていたところに、憲二があらわれ口論になります。激昂した明子が憲二に平手打ちをくらわせ、居酒屋を飛び出すと・・・。

有馬稲子は薄幸な女性を好演しています。
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中村登監督「古都」(1963年、105分)☆☆☆

2020-10-24 11:07:09 | 日本・1960年~


川端康成による同名の小説の映画化です。

舞台は京都。

呉服問屋の一人娘として何不自由なく育った佐田千重子(岩下志麻)は、自分が赤ん坊の頃に拾われた子だと知っていました。呉服問屋に出入りしていた西陣の織屋の息子秀男(長門裕之)は、その千重子を密かに慕っていました。

ある日、千重子は北山杉のある村を訪ねます。そこで、杉の丸太を磨いている女達の中に自分にそっくりの女性を認めます。名前は苗子(岩下志麻・二役)。

夏が来て、祇園祭の谷山に賑う四条通を歩いていた千重子は、件の娘苗子にばったり出会います。苗子は、思いあまって「あんた姉さんや」と声を
ふるわせます。千重子と苗子は双子の姉妹だったのです。苗子はさらに、父も母もすでにこの世にはいない、と告げます。

雑踏のなかに姿を消した苗子と出会った秀男は、彼女を千重子と見間違え、帯を織らせてくれと頼むのでした。恋心からでた申し出でした。

苗子は秀男が自分の中に千重子の面影を求めていることに気づきます。この見間違えの行方は??
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デヴィッド・フランケル監督「プラダを着た悪魔(The Devil Wears Prada)」(アメリカ、2006年、110分)☆☆☆

2020-10-22 16:56:12 | アメリカ・2000年~


ローレン・ワイズバーガーによる同名の小説(2003年)の映画化です。よくあることですが、映画化の際にかなり変更の手が加えられています。
舞台はニューヨークそしてパリ。

名門大学を卒業し、ジャーナリストを目指してオハイオ州の田舎からニューヨークへやってきたアンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)。

幸運にも何百万の女性の憧れであるファッション雑誌『ランウェイ』の編集部に、一時的に就職することになります。仕事は編集長のミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)のアシスタントです。ミランダはファッション業界で絶大な影響力をもつやり手ウーマンです。

しかし実際のミランダは自分の身の回りの世話を、アシスタントに押し付ける最悪の上司で、それまでにも何人ものアシスタントがついていけず辞めさせられていました。

もともとファッションに何の関心もなかったアンドレアですが、本来の目的である文芸誌での仕事への足がかかりに、ミランダの悪魔のような指示に耐えます。そのうちアンドレアはもちまえの根性で(?)で、次第にファッションとアシスタントの仕事の面白さに目覚めます。

ファッションが楽しい作品です。
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澤井信一郎監督「日本一短い「母」への手紙」(1995年、117分)☆☆☆

2020-10-22 11:28:12 | 日本・1990年~


福井県丸岡町はかつて、村おこしを目的に「一筆啓上」の文章を募集しました。

そこで寄せられた「手紙」の入選作を編集してまとめられた出版物『日本一短い「母」への手紙』のなかの「あの人と幸せでしょうか、お母さん。
 
お父さんは無口のまま逝きました」に着想を得て作品化されたものです。

装飾デザイン会社で働く前原真紀(祐木奈江)とその弟で大学生の宏(原田龍二)は、建設会社で働く父・道夫(小林稔侍)と、母・多恵(十朱幸代)が18年前に去ってから三人で暮らしてきました。母の多恵は18年前に家族を捨てて、いなくなったのです。その父が心臓発作で急死します。
父の49日の報せを作りながら、真紀はワープロに向かって自分の気持ちを打ち込んでいました。真紀の一言手紙は秀作に選ばれます。これがきっかけで宏は別れた母を懸命に探し始めます。しかし、姉の真紀は・・・・。

ラスト、真紀は多恵に「私、ずっとお母さんが欲しかった」と18年の思いのたけをぶつけ、泣きながらきつく抱き合います。

その翌日、多恵は仕事でシンガポールへ飛び立ちます。
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ミハイル・シヴェイツェル/ソフィア・ミリキナ監督「クロイツェル・ソナタ(Крейцерова соната)」(ソ連、1987年、156分)

2020-10-21 17:00:45 | ロシア・ソ連
 
レフ・トルストイの同名の小説の映画化です。

「クロイツェル・ソナタ」は、ベートーヴェンによって作曲されたヴァイオリンソナタ9番の通称です。この映画では主人公のポズドヌイシェフ侯爵の妻リーザと彼の友人のヴァイオリニスト・トレガチェフスキーによって演奏されます。ポズドヌイシェフ夫婦の関係がねじれる切掛けです。

時はロシア帝政時代です。舞台は長距離列車のなか。

列車の中で、複数の男女の乗客が、結婚とは何か、女性の地位、夫婦関係などについて議論していました。

突然、その中の一人、公爵ポズドヌイシェフ(オレグ・ヤンコフスキー)が自らの暗い過去の告白話を始めます。愛情より貴族としての見栄を優先させる彼は、妻リーザ(イリーナ・セレズニョーワ)を死に至らしめた凶行で捕らえられ、その刑期を終え帰郷する途中でした。

夜も深まり、ほとんどの乗客が就寝のなか、ポズドヌイシェフはひとりの相客に語りつづけます。モノローグの中身は、自らの結婚にいたる遍歴、妻との諍いと破局、子供に対する接し方、などなど。

そして、彼の妻がパリ帰りのヴァイオリニスト・トルハチェフスキー(ドミトリー・ポクロフスキー)と関係をもつようになったことで、嫉妬と妄想から遂に・・・・。

重厚な作品です。原作に忠実です。
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アンリ・コルビ監督「かくも長き不在(Une aussi longue absence)」(フランス、1960年、98分)☆☆☆☆

2020-10-21 11:00:36 | フランス
舞台はセーヌの河岸に近い、「古い教会のカフェ」。テレーズ(アリダ・ヴァリ)は、そこの女主人。しっかりもので、独り身でした。

彼女がある日、店の前を通る浮浪者(ジョルジュ・ウィルソン)の姿に目をとめます。その老人は16年前、ゲシュタポに捕えられ消息を絶った夫アルベールに似ていました。

観察を続ける毎日。ある夕暮れ、手伝の娘に男を呼びとめさせ、男の声に耳を傾けます。彼は記憶を喪失しているらしいのです。それから、彼女は男と初めて言葉をかわします。

もしかして……。確信が高まります。ところが・・・。
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