シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

三島有紀子監督「しあわせのパン」(2012年、112分)☆☆☆

2022-02-28 23:15:12 | 日本・2000年~


舞台は北海道・洞爺村。よく知った風景が映る映画には懐かしさを感じ、落ち着きます、この作品はそのひとつです。

小さな2階建ロッジのパン屋は若い夫婦で経営。夫の水縞尚(大泉洋)が焼くパンと、妻のりえ(原田知世)が入れるおいしいコーヒーが自慢の店です。

お店の名前は、りえが気に入っている絵本「月とマーニ」にちなんで「カフェ・マーニ」。常連客は子沢山で農家経営の広川さん一家、アコーディオンを入れたトランクを持つ阿部さん(あがた森魚)、ガラス作家・陽子さん(余貴美子)、そして毎日配達にきてくれる郵便屋さん(本多力)。

薪の竃で焼いたパンの他、おいしいコーヒー、自家菜園の野菜を使った料理が絶品。一階のテーブル席からは湖畔の景色を眺望できます。

日没後には月が輝いているのが見えます。2階は簡易宿泊所。ときどき遠方から旅行客が訪れます。

四季おります湖畔のカフェにやってきた、3組の人たちと夫婦の交流が印象的です。

夏には、彼氏にふられ沖縄旅行をドタキャンされた東京からの客・香織(森カンナ)。

秋には、登校拒否の小学生の少女・未久(八木優希)と離婚した父親。

冬には、降雪のある日、有珠駅に降り立った老夫婦(中村嘉葎雄・渡辺美佐子)。

ハートフルな時間が流れます・・・・。
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大庭秀雄監督「横堀川」(松竹、1966年、100分)☆☆☆★

2022-02-28 17:42:09 | 日本・1960年~


原作は山崎豊子による同名小説です。

多加(倍賞千恵子)は、船場の昆布商・浪花屋の一人娘。その上、浪花屋でのきびしい丁稚奉公に耐える八田吾平(山口崇)を慰め、励ます優しい娘でした。

多加は呉服問屋・河島屋の跡取り吉三郎(坂田藤十郎)と結婚します。しかし、吉三郎は生来の遊び好き。多加は苦労します。一方、吾平は番頭以上の商才を示し、主人の利兵街(中村雁治郎)を驚かせます。浪花屋の利兵衛は吾平のために、遠縁の娘・千代(香山美子)と結婚させ、暖簾分けします。吾平の店は順調に成長します。

多加は放蕩三昧の吉三郎のため、女の細腕一つで老舗の暖簾を守りました。しかし、彼女がいくら働いても、吉三郎の浪費はとまりません。河島屋の屋台は次第に傾いていきます。

その後、浪花屋は隣家からの貰い火で全焼しました。老いても商才を失わない利兵衛は浪花屋を再興させたものの、卒中で倒れました。利兵衛は、吾平に浪花屋の暖簾を頼み亡くなります。享年74年。

その頃、多加の河島も経営不振で倒産。吉三郎が最後のアガキで株に手を出したのが命とりになったのでした。多加は不幸にめげずに、思い立って寄席の経営を始め、吾平を立ち直らせようとするのですが・・・。
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梶間俊一監督「集団左遷」(東映、1994年、108分)☆☆☆

2022-02-27 17:39:50 | 日本・1990年~


原作は江波戸哲夫による同名小説(1993年)です。バブルがはじけ「雇用調整」の名の下での首切りが全国的規模で進む不動産業界で、「集団左遷」にあった50人の社員の奮闘の物語です。

大量の不動産物権と余剰人員で企業経営の危機に瀕する「太陽不動産」。売上UPと人件費削減が至上命令。副社長・横山の提案で大規模なリストラ計画が断行されます。

それは「首都圏特販部」という新規事業部を創設し、そこに余剰人員50人を送り込み、達成不可能な販売目標を課し、目標が達成されなければ解雇という合理化計画です。

「特販部」の部長に横山(津川雅彦)から指名されたのは、篠田洋(中村敦夫)。かつて横山の目にあまる不正を直訴したものの揉み消された人物です。主要メンバーには、バブル期に活躍したもののトラブルを抱え総務部へ左遷されていた滝川(柴田恭平)、娘の結婚を控え退職間近の花沢(小坂一也)、妻の癌で介護にあたる柳町(河原崎健三)。今村春子(高島礼子)は自ら進んでこの部に転属します。

営業予算、宣伝費はゼロ。横山とその一派の執拗な嫌がらせがあり業績は上がらず、篠田部長以下に焦りの色がみえます。

滝川は、「特販部」が「左遷集団」であることをすっぱ抜く記事を、元恋人で住宅情報誌の編集長・原俊子(萬田久子)に頼みます。これが世間の耳目をひき、「特販部」内は活気づきますが・・・。
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マイク・ニューウェル監督「ガーンジー島の読書会の秘密」(イギリス/フランス、2018年、124分)☆☆☆

2022-02-26 10:16:13 | イギリス


メアリー・アン・シェイファーとアニー・バロウズによる同名小説が原作です。

ガーンジー島とはイギリス海峡にある実在の島。

1946年1月、作家のジュリエット・アシュトン(リリー・ジェームズ)のもとに一通の手紙が届きました。発信者はドーシー・アダムス(ミキール・ハースマン)。ガーンジー島の住民で読書会の一員です。彼女は読書会の情報を得ようと思い立ちます。

島に渡り読書会に赴いた彼女は、会員たち(ドーシー、アメリア、アイソラ、エベン、イーライ)から温かく出迎えられます。しかし、読書会の情報については固く口を閉ざして教えてくれません。秘密がある?

それでも、読書会の創設者であるエリザベス・マッケンナであること、戦時中に身柄を確保され、ドイツに送致されたこと、ドーシーが彼女の娘・キットの後見人であること知ります。

婚約者のマークにエリザベスがどこにいるかを調べてもらい、ジュリエットは読書会に関するペーパーを書き上げますが、メンバーの反応はよくありません。これには深いわけがありました・・・。

面白い小説を読んだ後のような満足感!
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深川栄洋監督「60歳のラブレター」(2009年、129分)☆☆☆

2022-02-25 10:19:03 | 日本・2010年~
夫婦がパートナーへの感謝の気持ちを葉書につづるある銀行の企画「60歳のラブレター」から着想を得て映画化された作品です。

本作品に登場するのは三組のカップル。定年を機に熟年離婚を決断した橘孝平(中村雅俊)とその妻・ちひろ(原田美枝子)、ビートルズが縁で結ばれた魚屋の松山正彦(イッセー尾形)とその妻・光江(綾戸智恵)、5年前に妻を亡くした医者・佐伯静夫(井上順)と彼に海外医療小説の翻訳の援助をしてもらっている長谷部麗子(戸田恵子)です。

三組のカップルはつながっています。離婚したちひろはそれを機に専業主婦からの脱皮を決意。翻訳家の麗子のもとでお手伝いとして働き始めます。派手な麗子の影響を受け別人のようにあか抜けします。愛人の会社で働き始めた孝平は虚勢をはっても、過去の人で自信をなくします。

独身の麗子は医師である静夫の存在が気になっています。静夫は娘のりかと二人暮らし。静夫をデートに誘った麗子は穏やかな静夫の人柄に惹かれます。

魚屋を営む正彦は糖尿病を患う静夫の患者のひとり。長年連れ添った妻の光江に尻に敷かれていますが、正彦の健診に付き添う彼女の行動小さな異変に気付きます。脳検査をすると脳腫瘍が見つかり・・・。

ラストシーンは北海道・富良野のラベンダー畑。いったい何が?
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元木克英監督「空飛ぶタイヤ」(松竹、2018年、120分)☆☆☆☆

2022-02-24 10:24:52 | 日本・2000年~


原作は池井戸潤による同名小説です。

走行中にはずれたトラックの前輪。業務上過失致死の事件となりますが、それが整備の不備によるものだったのか、もともと製造に欠陥があったのか、大会社の車両メーカーの組織に中小整備工場の社長が敢然と戦いをいどみます。

父親の後を継ぎ中小運送会社「赤松運送」を経営する赤松徳郎(長瀬智也)。
ある日、自社のトラックがタイヤ脱輪事故を起こし、歩道を連れ立って歩いていた母と子を襲います。母親が死亡(子どもは軽症)、事件となります。

事故原因を整備不良とされ「容疑者」と決め付けられた赤松は、警察から執拗な追及を受け、国土交通省からの捜査が入ります。会社は信用を失い取引先から注文が入らなくなり、親銀行からの融資はとめられ、倒産寸前の危機に追い込まれます。

しかし赤松は、整備が入念に行われていたので、事故原因は整備不良でなく、事故を起こした車両自体に欠陥があったと確信します。類似の事故が全国で多発していましたが、もみ消されていました。

赤松は家族や社員たちのために、トラックの製造販売元である大手自動車会社「ホープ自動車」の組織に戦いを挑みますが・・・。
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マルガレーテ・フォン・トロッタ監督「ローザ・ルクセンブルク(Rosa Luxemburg)」(西ドイツ、1985年、122分)☆☆☆★

2022-02-23 22:57:02 | ドイツ



主要舞台はワルシャワ、そしてベルリン。

労働運動に献身したポーランド生まれの女性革命家、経済理論家のローザ・ルクセンブルク(1871-1919)の生涯を描いた作品です。わたしは若い頃、彼女の「資本蓄積論」を読みました。懐かしく、本作品を観ました。

1906年、ローザ(バーバラ・スコヴァ)はレオ・ヨギヘス(ダニエル・オルブリフスキ)と合流。ロシア革命の波をポーランドに広げるために赴いたワルシャワで、ふたりは逮捕され、悪名高いワルシャワ監獄に投獄されました。5ヵ月後に釈放。

ドイツ社会民主党は躍進途上にありました。ドイツに戻ったローザは議席の維持に執心する党の姿勢に反感をもち、大衆ストライキの重要性を強調します。党首脳の消極姿勢にいらだち、党から離反。

軍靴の脅威が聞こえるなか、各地で反戦を呼びかけるローザ。煽動的な演説を理由で逮捕されます。ポーランドのヴロンケ要塞に保護拘禁されたローザは、植物採集や論文の執筆で日々を過ごしていたところへ、ドイツ革命の成功が知らされます。多く政治犯が解放されます。ローザは社会民主党の翼賛的方針にあきたらず、リープクネヒトらとスパルタクスを組織し新たな活動を始めますが、1919年1月15日・・・。


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ピーター・ウェーバー監督「真珠の耳飾りの少女(Girl with a Pearl Earring)」(イギリス、2003年、100分)☆☆☆☆

2022-02-23 10:26:49 | イギリス


ヨハネス・フェルメール(1632-1675)による現存する画は37点(36点説もあります)。世界中の美術館に点在しています。

この作品は「真珠の耳飾りの少女」として知られる絵画をめぐるエピソードがベース。トレイシー・シュヴァリエの原作の映画化です。1665年頃のデルフト(オランダ)の美しく落ち着いた風景,印象的なメロディー,イギリス映画らしい気品が漂います。

開巻は少女グリート(スカーレット・ヨハンソン)の貧しい家庭。台所で彼女が鮮やかな色のたまねぎ,ビーツ,ニンジン,キャベツを包丁で切るシーンで始まります。

フォン・ライフエン(トム・ウィルキンソン)はヨハネス(コリン・ファース)に絵を注文するパトロンでした。ヨハネス自身は注文で画を描くことに関心がありません。妻のカタリーナは,夫に不満。生活が汲々としているのに、なかなか絵を完成させないからです。

画を売って生活をたてることに頓着のないヨハネス。あるとき、ヨハネスは窓から差し込む光線の美しさのなかで窓掃除をしていたグリートに気づきました。これがグリートをモデルに新しい作品(水差しを持つ女)を描くきっかけです。彼は,グリートに顔料の調合を手伝わせ,カメラ・オブスクラを覗かせて絵の世界を教えます。

ヨハネスの絵のモデルとなったグリートは,頻繁にアトリエに出入りするようになり・・・。
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朝原雄三監督「愛を積む人」(松竹、2015年、125分)☆☆☆★

2022-02-22 23:01:14 | 日本・2000年~


原作はエドワード・ムーニー・Jrの小説「石を積むひと」です。舞台を北海道・美瑛町に再設定しています。

ハートフルなドラマ。それだけに盛り込まれている人間関係は深刻。

小林篤史(佐藤浩市)は工場の経営不振のため事業をたたみ、妻・良子(樋口可南子)と新規まき直しをはかり、東京から美瑛町にやってきました。東京には絶交状態の娘・聡子(北川景子)を残してきました。音信不通です。

良子は心臓病を患っています。余命がわずか。夫の篤史に隠しています。

良子は新居を囲む塀を、石を積んでつくろうと提案。篤史はしぶしぶ承諾します。業者が紹介してくれた見習いの杉本徹(野村周平)の助けを借り、この仕事を続けます。徹はほとんど口をひらきません。

徹には非行にはしった過去がありました。篤史と良子が留守中、悪友の誘いであろうことか小林の家に窃盗に入ります。引き返してきた良子がふたりと暗闇のなかでバッタリ。突き飛ばされて転倒。気を失い脚を捻挫。

犯人はわからずじまい。窃盗を隠し徹は黙々と石積みの仕事を続けます。徹には恋人・上田紗英(杉咲花)がいました。怪我をした良子を介護し、篤史と良子の信頼を得ます。

この後、良子が亡くなり、未婚の紗英が妊娠、徹の窃盗幇助が発覚、篤史と聡子の親子の和解、と展開していきます。亡くなった良子が篤史宛に残した手紙がいろいろなところで出てきて・・・。
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市川崑監督「銀座の猛者(もさ)」(新東宝、1950年、64分)☆☆★

2022-02-21 23:02:57 | 日本・1950年~


わたしが生まれた年に公開された作品。もともとは「銀座三四郎」というタイトルだったようです。

舞台は戦後の銀座。

貧しい人々のために診療所を経営する男と想いを伝えることに不器用な男女、その周りの人々がコミカルに描かれます。

荒井熊介(藤田進)は銀座で診療所を経営。友人で先輩の松原大三(志村喬)とともに診療にあたっていました。

柔道六段の熊介は大陸から引き揚げてきた医者。その昔、「鳥銀」の亭主・銀平(村黎吉)をなぐり片眼を大けがさせて以来、柔道を封印してきました。

そんな熊介に銀平の娘・絹江(山根寿子)が心を寄せ、世話を焼きます。

ある夜、負傷者の報が入り、熊介が治療にバーを訪れると、そこに行方不明だった婚約者マリエ(風見章子)がいました。
彼女は既に他の男と結婚していましたが、マリエからある秘密を打ち明けられ、彼女をかくまう決心をしますが・・・。

この後、銀平は封印をとき、与太者6人を相手に乱闘となります。
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成島出監督「草原の椅子」(2013年、139分)☆☆☆★

2022-02-21 16:43:12 | 日本・2000年~


宮本輝による同名小説の映画化です。中年サラリーマンが母親から虐待を受けた子どもの世話をすることになり、人とのつながりや自らの過ちをかえりみ再生するドラマです。

遠間憲太郎(佐藤浩市)は仕事一筋のやり手ビジネスマン。離婚を経験し、娘・弥生(黒木華)と二人で武蔵中野界隈で暮らしています(原作は夙川)。

取引先のカメラ店の店長・富樫重蔵(西村雅彦)の家庭に離婚騒動がもちあがりトラブル。遠間がかけつけ、その後、互いに気心がしれ飲み友達になります。

遠間の心配の種は学生の弥生の様子。変な男とつきあっているかと思いきや、その男の妻(小池栄子)が息子の圭輔を虐待しているのをみて可愛そうに思い洗濯などを手伝っていたのでした。彼女はその子を一時的に家で面倒をみたいと申し出ます。遠間は難色を示しますが、受け入れます。圭輔はほとんど口がきけず、怪獣の縫いぐるみを抱いています。

遠間には気になる女性の存在がありました。陶器を販売している篠原貴志子(吉瀬美智子)です。店に足繁く通い陶芸作品を購入、会話が弾みます。

遠間の友人・鍵山(AKIRA)が遊びにきます。自作の写真集を観てもらいたかったからです。写真集のテーマはパキスタンの風景と人々の暮らし。藤間は写真に感動し、圭輔をつれて富樫と、そして貴志子も連れてパキスタン・フンザへの旅を実現しますが・・・。
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田坂具隆監督「ちいさこべ」(1962年、170分)☆☆☆

2022-02-20 16:46:32 | 日本・1960年~


山本周五郎による同名小説の映画化です。

主人公は大工の若棟梁・茂次。大火で両親も店も失いますが、家業を誰の力も借りずに再興させると意地をみせる姿を描いたヒューマンドラマです。タイトルの「ちいさこべ」とは、茂次が大火で被災したこどもたちのためにつくった小屋の愛称です。

舞台は江戸・神田。

川越で始めた仕事に張り切っていた大工「大留」の若棟梁・茂次(萬屋錦之介)のもとに悲報が。江戸で大火があり「大留」が丸焼け、茂次の両親が焼け死んだというのです。

川越の仕事を完成させ茂次が江戸へ戻ると、近所の娘で茶屋奉公をしていたおりつ(江利チエミ)が雇いの大工達の世話をやいていました。それだけでなく火災で家と親をなくした浮浪児5人を養っていました。子どもたちを養えない、と茂次はおりつをしかります。彼女は

困りはて、焼跡の土蔵に子どもたちを住まわせ、一緒にくらします。

茂次は米問屋上州屋の仕事を貰い、「大留」のたて直しに必死。深川の親友・和七(東千代之介)から資金を借ります。安手の仕事はしないと、町内の人々に頼まれた家屋普請は断ります。

そんなおり、おりつと生活している子どもたちが泥棒をしていることを知り、茂次は子どもたちのために小屋をつくると、喜んだおりつはそれを「ちいさこべや」と名づけ・・・。
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サラ・カヴロン監督「未来を花束にして(Suffragette)」(イギリス、2015年、106分)☆☆☆☆

2022-02-19 16:49:46 | イギリス


20世紀初頭のイギリスで参政権をもとめ闘った女性たちを描いた作品です。

原題の「Suffragette(サフラジェット)」とは、彼女たちを指す用語です。

舞台は1912年のロンドン。夫・サニーと幼い息子・ジョージとの3人で暮らすモード・ワッツ(キャリー・マリガン)は、普通の主婦。洗濯工場で劣悪な環境のもとで低賃金、長時間で働いています。

ある日、モードは洗濯物を届ける途中、女性参政権を求める女性社会政治連合(WSPU:(Women's Social and Political Union))の過激行動(投石など)に遭遇し、サフラジェットと呼ばれる女性参政権を求める活動家、イーディス(ヘレナ・ボナムカーター)と出会います。
政府による女性参政権運動への取り締まりが厳しくなり、カメラによる市民監視システムが導入されます。

モードは参政権活動と無関係な一般市民だったにもかかわらず、活動家の1人とマークされます。

モードはサニーから一方的に離婚され、息子ジョージと会うことを禁じられます。それだけでなく、洗濯工場を解雇されます。

当初、運動に無関心だったモードでしたが、運動家たちの命をかけた活動を目の当たりにし、また議会の公聴会で友人に代わって工場での待遇や自身の身の上を証言したことで、自覚が芽生え、連帯を表す花を付けた帽子をかぶって運動にかかわるのですが・・・。

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アラン・パクラ監督「ソフィの選択(Sophie's Choice)」(アメリカ、1982年、151分)☆☆☆☆

2022-02-18 17:13:19 | アメリカ・1980年~


原作はウィリアム・スタイロンによる同名小説(1979年)です。

舞台は1947年、ブルックリン。

作家志望の青年スティンゴ(ピーター・マクニコル)はNYに出て、ブルックリンのアパートを借ります。同じアパートに、ソフィが住んでいました。

その夜、ソフィ(メリル・ストリープ)が彼の部屋に遊びに来ました。話しこむうち、彼女がポーランド人であること、大学教授の父がかつてユダヤ人を助けようとしていた(その後、虚言であることがわります)、ことを打ち明けます。

翌朝、スティンゴはソフィとネイサン(ケヴィン・クライン)に起こされました。ネイサンは製剤会社ファイザーに勤めている生物学者(その後、虚言であることがわります)。強制収容所から解放され渡米したソフィが貧血と疲労で倒れたところをネイサンに助けられ、以来、一緒に住んでいると言います。三人は、意気投合し友達になります。

しかし、その後、ソフィの父が実は反ユダヤ主義者であったこと、ポーランド人と知られたソフィが息子ヤン、娘エヴァと一緒にアウシュヴィッツに送られたおり子どものどちらかを助けるがどちらにすると迫られ、結局二人とも失ったこと、がわかります。

自らの過去を偽っていたネイサンは精神分裂症で自暴自棄におちいります。スティンゴは南部の田舎で農業をしながら生活するので、ソフィに結婚して一緒に暮らそうと誘いますが・・・。
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緒方明監督「いつか読書する日」(2005年、126分)☆☆☆

2022-02-17 20:02:42 | 日本・2010年~


一編の小説のような映画。中年男女のひとつの愛のかたち。

舞台は長崎。

幼児に父と、青春時代に母と死別した大場美奈子(田中裕子)は、50歳。20歳の頃に結婚を断念。早朝の牛乳配達と昼間のスーパーのレジ係で生計を立てています。彼女は母の友人(渡辺美佐子)と親しくつきあっていました。彼女は短編小説を書いていて、この映画作品がその内容という形式をとっています。

高校時代に美奈子と交際があった同級生の高梨槐多(岸部一徳)は、役所の児童課に勤務。彼には癌の宣告を受けた病床の妻・高梨容子(仁科亜季子)がいます。昼はヘルパーにケアを依頼していますが、夜は彼自身が介護していました。

美奈子と槐多は青春時代に思わぬ事件で仲を引き裂かれました。美奈子の母親(鈴木砂羽)と高梨の父親(杉本哲太)とが不慮の交通事故死、彼らの不倫関係が世間の知るところなったのです。事件後、美奈子と槐多は恋愛感情を封印し、別々の人生を歩みました。

美奈子は50歳になった今、積年の想いをラジオ番組に投稿します。

ある日、奈美子は高梨宅に牛乳を届けたおり、自分宛のメモを見つけます。槐多の妻・容子によるものでした。不信に思って訪れた美奈子に、容子は想いもよらないことを・・・。
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