シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

アレクセイ・コズロフ監督「セイビング・レニングラード」(原題:Спасти Ленинград )」(ロシア、2019年、97分)

2024-04-30 21:04:31 | ロシア・ソ連
原題は「レニングラードを救え」。

第二次大戦下、ナチス・ドイツ軍とのレニングラード攻防戦における脱出作戦を描いた作品。

1941年9月16日、一カ月前に出会った士官学校出身のソ連軍砲兵隊に所属する兵士、コースチャ(アンドレイ・ミロノフ=ウダロフ)と交際していたナースチャ(マリア・メルニワ)。彼女は大戦が終われば一緒に、レニングラードを出て船旅に出る約束をしていました。

ナースチャの母親マーリヤは、娘が恋人と一緒にこの街を出ていくことに寂しさを感じながらも、彼女を自宅アパートから見送ります。その直後、ナースチャの父親サーシャが自宅アパートに戻ってきました。生物学者であるサーシャは、売国奴として逮捕され、先程釈放されたのですが、早々に前線へ行くよう軍に命じられます。前線に行く前に、ナースチャの顔を一目見ようと自宅アパートに戻ってきたのです。

その後、ドイツ軍は200万人以上の人口を擁するこの都市を包囲。ドイツ軍は一週間前から、最大の食糧庫を攻撃していました。包囲攻撃を続け、一カ月以内に市民を飢餓状態に追い込み、ネヴァ川を封鎖し、全艦隊を撃破する計画です。

これに対抗してソ連軍は夜間、湖を渡り、市民を避難させる作戦。老朽船で唯一の脱出経路であるラドガ湖から、脱出をねらいますが・・・。
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シルヴィ・オハヨン監督「オートクチュール(原題:Haute Couture )」(フランス、2021年、100分)

2024-04-29 21:06:15 | フランス
「オートクチュール」は、注文によって縫製される一点物の高級仕立て服のことです。

フランスの有名なブランド・ディオールのアトリエを舞台に、引退を目前に控えたお針子の女性と移民二世の少女、世代も境遇も異なるふたりの女性の人生が交差する世界を描いた作品です。

ディオールのオートクチュール部門のアトリエ責任者エステル(ナタリー・バイ)は、次のコレクションを最後に退職を決めていました。

そんなある朝、彼女は出勤途中、地下鉄につながる地下道で流しの演奏を囲んで見ていたおり、若い女にハンドバッグをひったくられます。

しばらくして、エステルのアトリエにその若い女がハンドバッグを返しに来ました。名前はジャド(リナ・クードリ)。郊外の団地に住む移民二世の少女でした。

滑らかに動く彼女の指に、ドレスを縫い上げる才能を直感したエステルはジャドを警察に突き出すことをせず、見習いとしてアトリエに迎え入れます。ジャドは当初彼女の厳しい指導に反発しますが、次第に順応して、縫製の美を追い求めるようになります。

時に母娘のように、時に親友のように濃密な(激しい葛藤を含めて)時間を過ごすふたりでしたが、コレクションを控え、エステルが過労で倒れてしまい・・・。
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ボブ・フォッシー監督「オール・ザット・ジャズ(原題:All That Jazz )」(アメリカ、1979年、123分)

2024-04-28 21:08:12 | アメリカ・1970年~
ボブ・フォッシーはブロードウェイ・ミュージカルの舞台振付者で演出家。映画監督もたずさわっていて、「キャバレー」「レニー・ブルース」などの作品を発表しています。本作品は自身をモデルにした映画です。

監督自身の成変わりのミュージカルの演出家、ジョン・ギデオン(ロイ・シャイダー)は、新しいショーの振付けと稽古にうちこんでいますが、同時にニューマン(クリフ・ゴーマン)という芸人の映画製作にもとりくんでいます。

毎朝のルーティン。ヴィバルディの音楽を聴きながらシャワーを浴び、目薬をさし、鎮静剤を服用して、「さあ、ショータイム」のかけ声で気合いを入れます。

疲労が重なってついに倒れ、心臓の手術を受けなければならなくなります。

取り組んでいるミュージカルの主演は妻、オードリー(リーランド・パーマー)。目下同棲中のケイト(アン・ラインキング)や関係したことのある女性たちも出演させています。

ショウ・ビジネスの極限状況におかれた一人の演出家の生活と苦悩が、華やかな男女の官能的なダンスの裏側にあることを、作品全体ににじませています。彼のかたわらに幻想のなかで寄り添っている美人(ジェシカ・ラング)印象的です。

映画評論家の双葉十四郎がこの映画に「その手法にはフェデリコ・フェリーニの『8 1/2』のつよい影響が見られる」とコメントしています。
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セドリック・クラピッシュ監督「オーレリ・デュポン 輝ける一瞬に(原題:Aurelie Dupont danse l'espace d'un instant )」(2010年、57分)

2024-04-27 22:53:24 | フランス
パリ出身のバレエダンサー、オーレリ・デュポン (Aurélie Dupont, 1973年 - )。

開巻、デビュー時代の頃、12歳、15歳のオーレリがパリ・オペラ座バレエ学校でクロード・ベッッシーバレエ学校校長、ジャックリーヌ・モローバレエ教師の指導のもとで練習に励む映像が映し出されます。

1989年にパリ・オペラ座バレエに入団し、1998年に最高位のエトワールに昇格しました。2015年に引退。以後、パリ・オペラ座バレエ団の舞踊監督として活動しています。

本作品はそのオーレリのデビューからの半生をドキュメンタリータッチで描いた作品。映画監督セドリック・クラピッシュが、約3年の歳月を費やして彼女を取材。本人へのインタビューや舞台映像をはじめ、少女時代から現在にかけてのレッスン風景、リハーサルや楽屋での様子ほか、妊娠・出産といったプライベートの映像を収め、彼女の魅力に迫っています。

彼女が舞う主なバレエ作品は「ライモンダ」、「白鳥の湖」、「椿姫」、「ル・パルク」。

マニュエル・ルグリとのパートナーシップが印象的です。
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P・デヴィッド・エバソール/トッド・ヒューズ監督「ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン」(アメリカ・フランス、2019年、101分)

2024-04-26 22:56:07 | アメリカ・2000年~
ピエール・カルダン(1922―2020)の波乱万丈な人生に迫ったドキュメンタリー。

わたしは彼のことを服装デザイナーとだけ知っていましたが、この作品を観ると大実業家であり、さまざまな分野でデザインの可能性を切り開いた芸術家、ということがわかりました。

ピエール・カルダンの仕事のエッセンスが要領よくまとめられています。

モードを民主化した天才ファッションデザイナー、ピエール・カルダン。業界で初めて大衆向けプレタポルテに本格的に参入し、未来的なコスモコール・ルックで若者たちを熱狂させました。先鋭的すぎるためにファッション界から敬遠された苦悩と反撃、ビートルズの衣装を担当、女優ジャンヌ・モローとの運命的な恋、劇場運営や高級レストラン「マキシム・ド・パリ」の買収など、その人生は波乱含みです。

この作品が製作された当時、ピエール・カルダンは97歳。人生の記憶を、カルダン自らが語っています。

さらにジャン=ポール・ゴルチエ、シャロン・ストーン、森英恵ら豪華ゲストたちの証言や秘蔵映像を通し、カルダンの輝かしい業績とチャーミングな素顔が印象的でした。
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ルネ・クレマン監督「パリは燃えているか(原題:Paris brule-t-il?))」(フランス、1966年、173分)

2024-04-25 22:58:38 | 日本・戦前
第二次大戦中,パリはナチス・ドイツの占領下におかれました。フランスでは各地で抵抗運動が展開されます。

当時のようすは本作品によって映画化されました。

「パリは燃えているか」はパリ市民の抵抗運動を軸に,連合国側による解放までの約2週間を記録した大作です。

大戦下のパリをドイツ軍から死守する計画で対立があるなか,連合軍がパリに進撃,解放する過程は,実写の映像も挿入され一大ドキュメントとなっています。

1944年8月,敗色濃厚なドイツは,ヒトラーの命令でパリから撤退するとき、パリを焼き払うべく,建造物に地雷を設置するなど準備していました。

パリのレジスタンス側はこれを阻止しようとしますが,ドゴール将軍率いるものたちと過激派が対立。連合軍の支援をもとめつつ,レジスタンス側の自力パリ奪回作戦は失敗し,パリ市内では各所で市街戦がはじまります。

一方,占領ドイツ軍司令官コルティッツは、パリを破壊することに難色を示します。さらにスウェーデン領事をつうじ,連合軍の早期到着に期待をかけます。連合軍は最初レジスタンス側の支援要請をことわりますが,ブラドリー将軍の英断でパリは解放されます。

市民が解放に酔っているとき,ドイツ軍占領司令部にベルリンにいるヒトラーから電話が入り,怒鳴り声が聞こえます。「パリは燃えているか?」

劇的な幕切れです。
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マット・シュレイダー監督「すばらしき映画音楽たち(原題:Score: A Film Music Documentary)」(2016年、92分)

2024-04-23 23:00:31 | アメリカ・2000年~
映画は総合芸術です(映像、脚本、演技、美術、衣装、音楽)。映画の内容は忘れてしまっても、耳や記憶に残る映画音楽は多いです。

本作品はその映画音楽の意味、力、役割に焦点をしぼって編集されたドキュメンタリーです。

無声映画の時代から映画に音楽は付随していました。オルガンなどの伴奏が大切にされていたようです。

ジャズが本格的に映画のなかにとりこまれたのは、エリア・カザン監督「欲望という名の電車」(米、1951年、ビビアン・リー、マーロン・ブランド主演)。

バンドが意識されたのが「007」シリーズです。スパイ映画の定番になりました。西部劇にはギターが似合います。

ヒッチコックの映画では、多くの作品の音楽を担当したのはバーナード・ハーマンです。「サイコ」「北北西に進路をとれ」「めまい」など。

このほか、ハンス・ジマー(「レインマン」)、クインシー・ジョーンズ(「カラー・パープル」)、ジョン・ウィリアムズ(「ジョーズ」)などの紹介、インタビューがあります。

作曲、サウンドトラック収録の場面も取り扱われ、作曲家がそれぞれ独自のスタイルをもっていることが紹介されます。

映画音楽の収録に関わる技師や演奏家、スティーブン・スピルバーグ、ジェームズ・キャメロンなど作曲家以外の映画関係者、さらに映画音楽の効果を研究する心理学者などが登場しています。
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ロザンナ・アークエット監督「デブラ・ウィンガーを探して(Searching for Debra Winger)」(アメリカ、2002年、97分)

2024-04-23 21:09:11 | アメリカ・2000年~
 
母親であることと、女優であることの両立に悩んでいたロザンナ・アークエット(監督)。

40歳を迎えた自分はこの問題にどう向き合えばいいのだろうか。彼女の心に浮かぶのは、女優として大きな成功を収めながらも、家庭を守るために引退したデブラ・ウィンガーでした。

ロザンナは、デブラに会って話しを聞くことを思い立ちます、「なぜ、女優を辞めたの?」と。

その旅の過程で彼女はたくさんの女優に出会い、本音の話を引き出します。みんな同じように悩んでいました。自分なりの生き方を見つけようとみな懸命でした。

ハリウッドの34人の女優が仕事に生き,家庭をもち,育児をし,その両立の難しさ,そこで生きていくなかでの葛藤を,インタビュー形式をとおして語りかけてきます。
デブラ・ウィンガーから始まって,ジェーン・フォンダ,シャローン・ストーン,ローラ・ダーン,ダイアン・レイン,メグ・ライアン,ジーナ・ローランド,ギネス・パルトロウ,テレサ・ラッセル,ロビン・ライトなどなど。

そうそうたる顔ぶれがこの世界に生きるなかで得た哲学、自らの恋愛、結婚、キャリア、子育て、年を重ねることなど、だれもが抱える問題について、率直に語っています。
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メアリー・マクガキアン監督「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ(原題:The Price of Desire)」(ベルギー・アイルランド、2014年、108分)

2024-04-22 21:12:11 | ベルギー
 


冒頭、アイリーンの作品(「竜の椅子」という名の肘掛け椅子)がオークションにかけられ、破格の値がつくシーンがあります。アイリーンはそのことに無関心です。

本作品はアイリーンの半生が建築家ル・コルビュジエとの関わりに焦点をしぼって描いています。具体的には1920年代のフランスで彼女が彼と出会ってから1976年に亡くなるまで。

後に「近代建築の巨匠」と呼ばれたコルビュジエ(ヴァンサン・ペレーズ)は、気鋭のインテリアデザイナーとして名声を得ていたアイリーン・グレイ(オーラ・ブラディ)と出会い、彼女とその才能に惹かれます。

一方、アイリーンは建築家で評論家の恋人ジャン・バドヴィッチ(フランチェスコ・シャンナ)とふたりで暮らす目的で、建築家として初の作品となるヴィラ「E.1027」(アイリーン・グレイ[E.G]とジャン・バドヴィッチ[J,B]の合成。Eはアイリーンの最初の文字、10、2,7はアルファベットの順番でJ、B、G)を、ロクブリュヌ=カップ=マルタンの海辺に建てます。

その完成度の高さに魅了されたル・コルビュジエはE.1027をたびたび訪れますが、当初の彼女への賞賛の想いは次第に嫉妬に変わり、断りなくヴィラの壁にフレスコ画を描いたりします。さらにこのヴィラを自分で手がけた作品であるかのように振る舞います。コルビュジエとアイリーンとの間の確執は決定的なものとなりますが・・・。
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マルコ・オルシーニ監督「アイリーン・グレイ 孤高のデザイナー」(アイルランド、2015年、75分)

2024-04-21 21:13:47 | アイスランド
アイルランドのブラウンズ・ウッドに生まれしパリで才能を開花させた、デザイナーで建築家のアイリーン・グレイ(1878-1984)。

ドキュメンタリーの本作品はベールに包まれた彼女の創作の秘密が自身の作品やクロエ・ピティオ(ポンピドー・センター)、ジェニファー・ゴフ(アイルランド国立博物館)、ロジャー・フリフィス(NY近代美術館)の証言によって解き明かされます。

妥協のないビジョンと冒険心を持ち、装飾、デザイン、建築の分野で活躍したアイリーン・グレイは、1901年、ロンドンのスレード美術学校に入学。 1902年、フランス・パリのアカデミーで学びます。1905年、イギリスに渡った後、1906年、再びパリへ。

この頃、日本人学生・菅原精造に出会い、漆工芸を習得。

1913年、第8回装飾芸術家協会展に招待出品。デザイナー、ジャック・ドゥーセと出会い、プロフェッショナルとしての道を開きました。

1919年、帽子デザイナー、シュザンヌ・タルボットのためにパリ、ロタ通りのアパルトマンのインテリアを手がけます。これは一人のデザイナーによるトータルなインテリアデザインの先駆でした。

南フランスに建つアイリーンの別荘〈E1027〉は、建築設計家としてのアイリーンのデビュー作です(1926年)。自身と恋人のジャン・バドウィッチ(建築雑誌の編集者)と過ごすための暮らしやすさが第一に考えられています。二人の名前から「E.1027」と命名されました。彼は、著名な建築家、ル・コルビュジェの親しい友人でした。
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香月秀之監督「お終活 熟春! 人生、百年時代の過ごし方」(2021年、113分)

2024-04-20 21:15:29 | 日本・2020年~


結婚50年を迎えようとしている大原真一(橋爪功)と千賀子(高畑淳子)。

真一は10年前に定年退職し、以来、家で過ごすことが多い日々。家事にはまるで興味がなく、ご多分にもれずゴロゴロしています。趣味はプラモデル作り。たまに、麻雀仲間(大和田伸也、石丸謙二郎、金田明夫))とテーブルを囲むと、妻の愚痴を口にしています。

千賀子はそんな夫へのストレスを趣味のコーラスで発散。練習のあとには、こちらも仲間(藤吉久美子、大島さと子、増子倭文江)とランチをとりながら、夫への不満をぶちまけています。

ふたりには子どもが二人いて、同居の娘、亜矢(剛力彩芽)はキッチンカーで移動食品店で働いています。息子(袴田吉彦)は結婚し、女の子がいます。

一方、外資系のIT企業に勤めていた菅野涼太(水野勝)は会社倒産で憂き目に会い職を失ったため、葬儀社「一柳葬具總本店」に転職。

出社の翌日から「終活フェア」が開催されるので、挨拶回り用の名刺と共に大量のパンフレットを配るよう命じられました。菅野は上司で一級葬祭ディレクターの桃井梓(松下由樹)に、仕事を一から学びながらも、前の会社で映像編集の仕事をしたことがあることをアピール。

亜矢が店に来た涼太に「終活フェア」のチラシをもらい、それを母、千賀子に見せ、千賀子がフェアに顔をだしたところからストーリーが動き出します・・・。
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犬童一心監督「最高の人生の見つけ方」(2019年、115分)

2024-04-19 23:21:06 | 日本・2010年~


ジャック・ニコルソン&モーガン・フリーマンによる同名映画の翻案。

吉永小百合演じる主婦、北原幸枝はガンが見つかり入院、天海祐希演じる女社長の剛田マコはガンが転移し入院、それまで全くアカの他人であり同じ余命宣告を受けたふたりが同じ病室で過ごすなか、最後の余生でしたいことをメモに書き出し、それを実現していきます。ハリウッド版と重なるのはこの病室の出会いと、したいことのメモをたよりにそれらを実行していくところだけ。

主演の二人について補足すると、北原幸枝には夫、孝道(前川清)と子ども二人(娘、美春[満島ひかり]と息子、一慶[駒木根隆介])がいます。剛田マコはやり手でヘビースもカーのホテルチェーン女社長で若い副社長の夫がいます。

幸枝は同じ病院で12歳の神崎真梨恵が落としたポーチのなかに入っていたノートを開くと、「死ぬまでにしたいこと」のリストが書かれていました。ふたりはスカイダイビング、エジプト旅行を実行し、横浜での「ももいろクローバーZ」のコンサートに行きます。真梨恵のリストの最後には「宇宙旅行をする」とありましたが、これは出来ないね、と笑います。

この後、幸枝にはささやかな幸福が、マコは離婚。

ラスト、どんでん返しが。そして、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のロケット打ち上げ成功があり、幸枝、マコが宇宙遊泳しています。
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上田音監督「山のトムさん」(2015年、116分)

2024-04-18 23:22:42 | 日本・2010年~

のんきな映画です。「トム」は飼い猫の名前。

原作は、児童文学の世界で自身の実際の生活をモチーフにした作家・石井桃子による、家族、近隣住民、動物、自然との関わりを温かい視線で見つめた同名の作品です。

山の中にポツンと立つ一軒家。

東京で暮らしていた文筆家のハナ(小林聡美)は友人のトキ(市川実日子)とともに自給自足の生活を始めます。これまではトキの娘で小学生のトシとの三人暮らしでしたが、中学を卒業したハナの甥がやってきて、一緒に暮らすことに。ハナたちは近くで農業を営むゲン(光石研)シオリ(高橋ひとみ)夫妻に農作業のいろはを教えてもらい、日々、農作業に精を出します。

ある日、ハナたちの家にネズミが住み着いていることがわかり、その音に悩まされます。ネズミを駆除するには猫、と助言を受け、その気になります。トキは猫が苦手でしたが、しぶしぶ賛成。

シオリが可愛いオスの子猫をハナの家につれてきました。トムと名付けます。ネズミを捕獲する猫にするには抱っこしないほうがいい、とシオリに忠告されます。

しかし、ハナは可愛さのあまり、皆に隠れて抱っこします。しかし猫が可愛い気持ちはアキラやトシ、トキも同じ。

さらにヤギを二匹飼うことになりました。生みたての卵が食べられるからと10羽のニワトリも。

トムはいっこうにネズミを捕る気配は見せませんが・・・。
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前川哲監督「老後の資金がありません!」(2020年、115分)

2024-04-17 23:24:28 | 日本・2020年~

老後にいったいいくらあれば安心できるのでしょうか。

もし夫婦が介護(養護)施設に入らなければならなくなったとしたら、多額のお金がかかります。

こういう事態も見据えて、資金はどれくらい貯めておけばいいのでしょうか。
本作品はこの深刻な問題をコメディタッチで描いています。原作は垣谷美雨による同名小説です(いま、読んでます)。

後藤家は50代の夫、章(松重豊)と妻、篤子(天海祐希)にフリーターの娘、まゆみ(新川優愛)と息子、大学生の勇人(瀬戸利樹)の典型的サラリーマン家族。

章には妹、桜井志津子(若村麻由美)とその夫、秀典(石井正則)がいます。

篤子はパートタイマーをし、老後のことを考えながら家計のやりくりに必至です。後藤家の預金残高は700万と少し(原作では1200万)。家のローンを支払いながら、ケア・センターに入っている親に月々9万ほどの仕送りをしています。家計は火の車。
おり悪く、章の父が亡くなります。葬儀にいったいいくらかかるのか? 結局、老舗「和栗屋」の格を考慮いれて、400万ほどの出費になります。直後、章の母親、芳乃(草笛光子)をひきとることに。彼女はお金に糸目をつけない性格で、さあ大変。
そんな折り、まゆみが結婚相手のドラマー、松平琢磨(加藤諒)を連れてきます(年収150万)。まゆみは妊娠していて、できちゃった結婚です。そして式を「麻布寿園」でしたいと、いいだし・・・。

そして、あろうことか章の会社が倒産。そんななか、芳乃が生前葬をパーティ形式でしたいと言いだし・・・。

コメディなので極端な(典型的な?)設定になっていますが、背景はシリアスで、身につまされます。
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石井輝男監督「霧と影」(1961年、83分)

2024-04-15 23:26:18 | 日本・1960年~

原作は水上勉による同名小説です。展開が複雑です。

冒頭、能登半島の青蛾小学校の教員、笠原が観音崖の上から遂落死を遂げます。猿谷郷に住む長期欠席児童、宇田清の家庭訪問に行ったまま消息を断ったのです。自殺?
毎朝新聞地方版を読んだ記者の小宮(丹波哲郎)は能登へ。小宮は笠原、そして彼の妻と親交がありました。極端な高所恐怖症だった笠原がなぜ危険な断崖の上を歩いていたのか?

笠原とは学校友達で、妻、雪子の妹、良子とも面識があった小宮。地方通信員、坂根(梅宮達夫)と連携し、笠原の足取りを追います。

その結果、笠原はその日、富山の薬売りと一緒に猿谷郷から山を下っていたという情報を得ます。その薬売りは松本貞次郎(手形詐欺の野見山の偽名)という名で、もう一人の連れの男と東京へ発ったことが分ります。

また、宇田清の叔父、甚平(安井昌二)の身元調査をしている興信所の井関と名乗る得たいの知れない男の動きを知ります。

小宮は東京へ帰りデスクと連絡をとりながら、井関、宇田甚平の身辺調査にあたります。

井関の住所はでたらめで、その名刺に記載のあったビルでは直近に6000万円の手形詐欺事件があり、その取引を仲介したのが宇田甚平とわかります。

発端の事件は迷宮に入って、わかりにくくなりますが・・・。
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