シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

アラン・パーカー監督「アンジェラの灰(Angela’s Ashes)」(アメリカ/アイルランド,1999年)☆☆☆★

2020-01-31 10:47:21 | アメリカ・1990年~


1935年のブルックリン。ここで生活をしているアイルランド移民のカトリック教徒,マラキ(ロバート・カーライル)とアンジェラ(エミリー・ワトソン)の家族の話である。この家族はアメリカで生活できなくなり、故郷のアイルランドに帰る。待っていたものは・・・。

800年もの長きにわたってイギリスの支配下にあったアイルランド。「ジャガイモ大飢饉」に象徴される貧しさは,この国の代名詞だ。世界恐慌を経て,アイルランドのカトリック教徒の極貧家族がどのような思いで,どのように生きたかを息子のフランクの目をとおして綴ったヒューマン・ドラマである。

この映画にはなぜ「アンジェラの灰」という題名がついているのだろうか、映画を観てもよくわからなかった。それもそのはずである。原作の小説を読めば氷解するが、映画の話には続きがあり、後にフランクは家族をニューヨークへ呼び寄せ共に暮らす。1981年,母アンジェラは死に,フランクら息子たちはその遺灰を母の故郷アイルランドに持ち帰った。それは懸命に一生を生きぬいた母への子どもたちの想いであった。「アンジェラの灰」の題名の由来である。
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今村昌平監督「ええじゃないか」(配給・松竹、1981年、151分)☆☆☆☆

2020-01-31 10:42:33 | 日本・1980年~
「ええじゃないか」の意味は、wikipedia から引用すると次のようです。
「江戸時代末期の慶応3年(1867年)8月から12月にかけ、近畿、四国、東海地方などで発生した騒動。民衆が仮装などして囃子言葉の「ええじゃないか」等を連呼しながら集団で熱狂的に踊った(一種の憂さ晴らし、それを利用し、策動したのは薩摩ー岩崎)」と。
舞台は慶応2年(1866年)夏の両国界隈。

漂流民の源次(泉谷しげる)が帰国します。上州の貧農の出だった源次は横浜港沖で遭難し、たすけられたアメリカ船に連れられ異国で長く生活していました。妻のイネ(桃井かおり)はこの間、病身の父に売られ、東両国の「小屋」に出てのその日暮らし。

源次はイネを探し当て、6年ぶりの再会。アメリカの地を忘れられない源次はイネとの密航を企てます。しかし、イネが途中で挫折します。
この頃、幕府は薩摩、長州連合と対立。両国界隈をしきる金蔵(露口茂)は、薩摩の伊集院(寺田農)の手先となり、世間を騒がす目的で水面下の活動を展開していました。

金蔵の差配の下、三次(樋浦勉)、ゴン(丹古母鬼馬二)、イトマン(草刈正夫)たちは、「ええじゃないか」騒動に紛れ込みます。群集は、歩兵隊の制止をものともしません。

「ええじゃないか」に加わった源次は・・・。

翌年、元号は明治に変わります。
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ロバート・マリガン監督「アラバマ物語(To Kill A Mockingbird)」(アメリカ,1962年)☆☆☆☆

2020-01-30 22:15:10 | アメリカ・1960年~


人種問題,偏見と差別の問題をとりあげながら,人が人を思いやるということ,人が人を裁くということとはいったいどういうことなのかを問いかけた作品である。原作はハーバーリーの同名(To Kill A Mockingbird)のピューリツァー賞受賞作。

時代は1930年代の半ば。主な登場人物は,フィンチ家の三人(弁護士の父アティカス[グレゴリー・ペック],兄のジェムにわたしであるスカウト[メアリー・バダム]),夏休みごとに伯母のところに来るディル少年,それに隣人で精神異常者扱いされているブー,ユーウェルとその娘,黒人のトム。

原題タイトルにある「モッキングバード」の和名は「マネシツグミ」,鳴き声が美しく人間を楽しませ,人間には決して危害を加えない鳥であるが,ここでは罪のないものの象徴である。

話しの流れはふたつ。ひとつは子どもたちが近所に住むブーという精神異常者に興味をもち,彼がいったい誰なのか,そこへ関心が引きつけられるというもの。もうひとつはレイプ裁判で訴えられた黒人トムの弁護を引き受けた弁護士アティカスの仕事ぶりと裁判の内容。このふたつの話は「偏見」というテーマで関連付けられる。全体のストーリーは,スカウト(メアリー・バダム)の目でまとめられている。
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リチャード・ピアース監督「ロング・ウォーク・ホーム(The Long Walk Home)」(アメリカ,1990年)☆☆☆★

2020-01-29 00:09:19 | アメリカ・1990年~


舞台は1955年のアラバマ州モンゴメリー。この州は人口に黒人がしめる比率が高い。

この映画は,この保守的で頑固で変わろうとしない地域に起こった黒人のバス・ボイコット事件(1955年12月,黒人ローザ・パークスが,バス車内で白人用の席に座り逮捕されたことに抗議した,一年間におよぶ黒人のバス・ボイコット運動のこと)とこの運動に対するミリアム(シシー・スペイセク),オデッサ・コッター(ウーピー・ゴールドバーグ)たちの生き方,考え方を描いた作品である。このボイコット事件は,アメリカの公民権運動に火をつけた事件である。

バス・ボイコット運動には5万人が参加。翌年,最高裁は「黒人がバスのどの席に座るのも自由である」との判決を出す。「真実は必ずよみがえる,虚偽は決して長続きしない,諸君は実りを刈り取ることができる,道理は必ず通る世の中になります,正義は最後には勝ちます」,キング牧師の演説の声がエンディングに響く。
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スティーヴン・スピルバーグ監督「アミスタッド(Amistad)」(アメリカ,1997年)☆☆☆★

2020-01-25 10:25:07 | アメリカ・1990年~


奴隷解放宣言(1863年)の24年前に起きた「アミスタッド(友情)号」事件を題材にした作品です。

内容は,奴隷として買われた人達が搬送中のアミスタッド号で起こした反乱とその顛末です。建国の理念とは異質な奴隷貿易の実態の告発,黒人の人権を擁護した人達の姿,スピルバーグの問題意識は明確です。

映像は力強く,リアルで,かつ具体的です。正視しづらい凄惨なシーンもあります。奴隷売買の実際はもっと苛酷で,ひどいものであったはずですから,目をそらしてはいけません。「独立宣言」に象徴されるアメリカの伝統,冒してはならない権利としての自由の尊さ,スピルバーグのメッセージが聞こえてきます。
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スティーヴン・スピルバーグ監督「アミスタッド(Amistad)」(アメリカ,1997年)☆☆☆★

2020-01-25 00:15:09 | アメリカ・1990年~


奴隷解放宣言(1863年)の24年前に起きた「アミスタッド(友情)号」事件を題材にした作品です。

内容は,奴隷として買われた人達が搬送中のアミスタッド号で起こした反乱とその顛末です。建国の理念とは異質な奴隷貿易の実態の告発,黒人の人権を擁護した人達の姿,スピルバーグの問題意識は明確です。

映像は力強く,リアルで,かつ具体的です。正視しづらい凄惨なシーンもあります。奴隷売買の実際はもっと苛酷で,ひどいものであったはずですから,目をそらしてはいけません。「独立宣言」に象徴されるアメリカの伝統,冒してはならない権利としての自由の尊さ,スピルバーグのメッセージが聞こえてきます。
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フランコ・ゼフィレッリ監督「トスカニーニ-愛と情熱の日々-(Il GiovaneToscanini)」(イタリア,1988年,110分)

2020-01-24 10:28:57 | イタリア


20世紀初頭の大指揮者の青春ドラマです。チェロ演奏家であったイタリア,パルマ出身のトスカニーニ(C・トーマス・ハウエル)がブラジルで偶然、指揮者になった経緯,この国の奴隷制度への批判,さらにはオペラ歌手ナディダ・ブリチェフ(エリザベス・テイラー)との出会い,修道女マルゲリータ(ソフィー・ウォード)との愛といったエピソードが盛り込まれ,面白い伝記映画です。演奏される曲は豊富で,最後の場面のヴェルディ「アイーダ」も聴きごたえがあります。

小気味良いストーリー展開。混乱に調和を与えるのが音楽であり,調和の世界が神の世界であるという音楽観が示されたり,自由を求める戦いは人類すべての戦いに他ならないという社会観が示されたり,こうしたコンセプトがストーリーのなかにうまくはまっています。
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ワリス・フセイン監督「小さな恋のメロディ(Melody)」(イギリス、1971年)☆☆☆★

2020-01-22 15:44:08 | イギリス


ともに11歳の、男の子ダニエル・ラティマー(M・レスター)と女の子メロディ(T・ハイド)の恋をテーマに、周囲の大人たちをとまどわせ困らせる子どもたちの事件をふんだんに盛り込んだ楽しい作品です。

ダニエルの友達の個性的なトム・オーンショー(J・ワイルド)がキーパーソンになっています。

作品そのものはもちろんですが、主演のM・レスターは、日本で爆発的な人気を呼びました。
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ルネ・クレマン監督「鉄路の闘い(La Bataille du Rail)」(フランス,1945年)☆☆☆

2020-01-16 11:32:16 | フランス
フランスの地方の駅でドイツ軍による輸送を阻止する国有鉄道従業員組合のレジスタンスを綴った作品です。レジスタンス国民会議とフランス国有鉄道の協力で製作されました。

1940年6月,パリ陥落。ドイツはフランスの3分の2を占領し,ペタン政権はドイツに降伏しました。第三共和制の終焉でした。ド・ゴール派は降伏に反対し,徹底的な抵抗運動を展開します。

ドイツに二分されたふたつの地域は鉄道で結びついていましたが,国鉄は対独関係を維持しながら,独自の方法で抵抗を展開します。闘争は四年間続き,軍隊さながらの組織力と大胆さを誇り,フランス解放に大きな役割を果たしました。その経過が実際に抵抗運動に参加した名もない人たちの登場によって,力強いドキュメンタリー・タッチで描かれています。

全線いたるところでのレジスタンスは,フランス解放の大きな力なりました。フランス万歳,レジスタンス万歳と歓呼の声をあげる人々をのせた線路整備の一番列車が進み,遠ざかって行くショットでこの映画は幕となります。

ルネ・クレマン監督は,この最初の長編映画で第1回(1945年)カンヌ映画祭監督賞を受賞しました。
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マーク・ハーマン監督「リトル・ヴォイス(Little Voice)」(イギリス,1988年)☆☆☆

2020-01-13 10:32:48 | イギリス
無口な少女、リトル・ヴォイスの秘めた才能が開花するすばらしさを、スタンダードナンバーの紹介とともに描いた作品です。The Man That Got Away(Judy Garland),My Heart Belongs to Daddy (Marilyn Monroe),Over The Rainbow (Judy Garland ), Come Rain or Come Shine(Judy Garland)など,多くの歌を楽しむことができます。抜群の歌唱力を持った少女,愛称リトル・ヴォイス(ジェーン・ホロックス)がジュディ・ガーランドやマリリン・モンローの歌を舞台でうたいます。
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ハーバート・ロス監督「マグノリアの花たち」(アメリカ、1989年)☆☆☆☆

2020-01-11 10:39:11 | アメリカ・1980年~


ルイジアナ州の片田舎での6人の女性の交流と友情を描いた作品ですが、イーテント家の長女シェルビー(ジュリア・ロバーツ)の結婚、出産、そして死(葬式)がストーリーの中心です。弁護士ジャクソンとの結婚を控えたシェルビー、その母マリン(サリー・フィールド)は、女主人・トルーヴィ(ドリー・バートン)の経営する美容室でおめかしをしています。偏屈な初老の女性ウィーザー(シャーリー・マックレーン)たちがワイワイがやがや喋っています。

シェルビーは重度の糖尿病をわずらっていて、出産はやめたほうがよいと言われていました。しかし、彼女は懐妊します。母親のマリンは出産に反対しますが、シェルビーは産むことを決心します。そしてかわいい男の子が生まれました。

シェルビーの家族は、アメリカの普通の人たちのように、クリスマス、ハローウィンを楽しみながら友人、知人に囲まれて幸せに過ごしていましたが、彼女は時間の経過とともに容体に異変がでてきて、ついに息子とあそんでいるさなかに倒れてしまいます。母マリンの腎臓を移植する手術に成功し、いったんは回復しますが、病が再発し、ついに帰らぬ人となってしまいます。悲嘆に暮れる、父と母マリン。そして友達。

シェルビーの葬式の日、呆然自失のマリンを励ます女たち。イースターの頃、今度は美容室に雇われていたアネルが妊娠していた。ウィザーも意外や意外、昔の恋人と愛を再燃させていまし。こうして生と死、喧騒のなかの友情は、人々の生活を流れてゆくのでした。
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アーヴィン・ウィンクラー監督「真実の瞬間 (Guilty by Suspicion)」(アメリカ,1991年)☆☆☆★

2020-01-09 00:12:03 | アメリカ・1990年~
 


映画を愛する人であれば、ハリウッドが映画の発展に果たした役割の大きさはよく知っているはずです。しかし、ここでかつてマッカーシズムが吹き荒れ「赤狩り」という思想攻撃があったことを忘れてはなりません。チャップリンが「赤狩り」を逃れてハリウッドを一時離れたことは有名です。この作品は、この汚点を告発した映画です。

1951年のハリウッド。20世紀フォックスの社長ザナック(ベン・ピアッツァ)に呼ばれフランスからハリウッドに戻って来た売れっ子の監督のデヴィット・メリル(ロバート・デ・ニーロ)は,監督としての新しい仕事に着くはずでした。しかしハリウッドの様子は,どこかおかしな感じです。

デヴィットは新作の話の前に,勧められるまま弁護士グラフに会います。グラフはデヴィットに非米活動調査委員会に召喚される前に,嫌疑をはらしておくようアドバイスを受けます。デヴィット納得できません。

召喚に応じないデヴィッドは,予定された仕事を失い,家屋の差し押さえにあい,アパートに引っ越します。仕事を求めてニューヨークに飛ぶがいい話はなく、そこにもFBIの手が伸びていて,彼は失職します。

そんなデヴィットに新しい仕事が舞い込んみます。台本も気にいったものでした。新作を前に,求めに応じてデヴィットは,1952年2月,非米活動調査委員会の公開召喚に臨みます。

デヴィットと調査委員会の論戦は激しいものでした。この調査委員会が彼に対して,「知り合いの共産主義映画人の名前を挙げろ」とか,「どんな会合に参加し,そこに誰がいたのか」とかを尋問するくだりは,中世の魔女狩り裁判を彷彿とさせます。

民主主義の母国のようにいわれるアメリカで,それにもとることが平然と公開の場で行なわれたのかと思うと,慄然とします。この映画は,正義の立場にたって真実を暴く姿勢で貫かれています。かつてハリウッドにはびこった悪を告発し,裁いた作品として記憶されるべき作品です。
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アナンド・タッカー監督「ほんとうのジャックリーヌ・デュ・プレ(Hilary and Jackie)」(イギリス、1998年)☆☆☆☆

2020-01-07 21:30:11 | イギリス


実在し、28歳のときに不治の病に倒れた天才的女性チェリスト、ジャックリーヌ・デュ・プレの生涯を描いた作品です。

幼少の頃から音楽好きの母アイリスのもとで育ったヒラリー(レイチェル・グリフィス)とジャクリーヌ(エミリー・ワトソン)の姉妹は、それぞれに多感な才能を発揮します。姉はフルートで、妹はチェロで。

とくにジャックリーヌは、パリでの音楽会を契機に才能を開花させます。一方、ヒラリーは早くから自分の才能に限界を感じ、大学の同級生の指揮者キーファと結婚し、平凡な家庭夫人となります。

ジャックリーヌは22歳で、天才ピアニストのダニエル・ボレンバイム(ジェームズ・フレイン)と結婚し、さらに名声を高めますが、次第に演奏活動が彼女を疲労させて、精神的に病んでいきます。姉のヒラリーの家を訪れ、彼女の人生に嫉妬し、姉の夫のキーファと性関係をもちたいと突然に言い出す始末です。

それからもジャクリーヌの心身の異常は増し、闘病生活を続けましたが、1987年10月19日にこの世を去りました。天才女性チェリストの辛く悲しい人生の終焉でした。
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出目昌伸監督「バルトの楽園」(2006年、106分)☆☆☆★

2020-01-05 15:02:15 | 日本・2010年~


日本では年末にあちこちの音楽会場で、ベートーベンの「第九」が演奏されるのが習わしになっていますが、「第九」の日本での演奏の最初は徳島県鳴門市の坂東俘虜収容所での演奏です。

第一次大戦下、青島(チンタオ)を領有していたドイツは、日本軍と交戦し、破れました。日本軍は約4700人のドイツ兵を捕虜とし、日本に連行し、12か所あった俘虜収容所に収監しました。

徳島県鳴門市にあった坂東俘虜収容所では、松江豊寿所長(松平健)が捕虜になったドイツ兵に温情をもって接し、地元民と捕虜の融和を図ろうとする方針をとりました。この収容所にはパン屋があり、印刷所があり、小規模のオーケストラもありました。

この作品にはいろいろな逸話が挿入されています。ドイツの捕虜たちは松江所長の温かい人柄に惹かれますが、軍部からは手ぬるいと批判を受け対立したこと、日本とドイツの混血少女・「志を(しを)」が、ドイツ人の父を探してやってきますが彼女の父が戦死していたこと、そこで出会ったカルルと「志を」の間に親子のような交流が生まれたこと、終戦によって解放されたドイツ人たちは松江所長や地元民への感謝を込めて日本で初めてベートーヴェンの『第九』を演奏したこと、などなど。

フィクションもあるようですが、こうした逸話がこの映画の魅力になっていまする。映画のタイトルにある「バルト」はドイツ語で「ヒゲ」のことです。所長の松江が立派なヒゲをつけていたので(画像参照)、それを象徴的にタイトルに使ったようです。
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ジッロ・ポンテコルボ監督「アルジェの戦い(La Battaglia di Algeri)」(イタリア/アルジェリア、1966年)

2020-01-02 11:35:47 | イタリア


1950年代後半から1960年代にかけてアルジェリアでは独立運動が展開され,独立戦争の規模に発展しました。この映画は解放戦線のリーダーの一人であったアリ・ラ・ポワンテを中心とする解放戦線の運動を描いた作品です。アルジェリア独立のために立ちあがった解放戦線と植民地主義の立場にたつフランス政府軍との戦いがドキュメンタリー・タッチで映像化されています。ストーリーはカレンダーをきざみでつながれ,臨場感があります。

途中、一旦は鎮圧された独立運動でしたが,1960年12月,民衆の蜂起が起こります。蜂起はフランスの世論にも影響をあたえ,アルジェリアとの新しい関係を求める動きがフランス各地に生まれました。自由と独立を求める運動は昂揚し,1962年7月,独立国家アルジェリアが誕生しました。

第27回(1966年)ベネチア映画祭金獅子賞。
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