シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

ウラジミール・メニショフ監督「モスクワは涙を信じない(Москва Слезам Не Верит)」(ソ連、1980年、150分)☆☆☆☆★

2019-08-27 10:33:28 | ロシア・ソ連


若い頃観て気に入っていた映画をあらためて見直しました。

カテリーナ(ベーラ・アレントワ)、リュドミーラ(イリーナ・ムラビヨワ)、アントニーナ(ライサ・リャザノワ)の3人の女性の愛、夢、人生を、1960年代からの約20年間のモスクワの市民生活を背景に描いた作品。「モスクワは涙を信じない」は、「大都会は甘くない。泣いてもどうにもならない(誰も助けてくれない)」という意味のロシアの格言です。

それぞれ田舎から大都会モスクワに夢をもって出てきた3人は、女性労働者の寮で同じ部屋に寄宿する大の仲良し。カテリーナ(カーチャ)は見習いの単純機械工で努力型の才媛タイプですが、専門学校の資格試験に失敗し、落胆しています。リュドミーラ(リューダ)は何事にも明るく積極タイプで、いい男性を探しています。アントニーナ(トーシャ)は、性格のおとなしいタイプで、建設現場で仕上げ工をしています。カーチャはテレビ局のルドルフと結ばれ、子供もできますが、未婚の母になってしまいます。リューダは有名なサッカー選手と、そしてトーチャは控えめで誠実なニコライとそれぞれ結婚します。

20年後・・・。3者三様の人生がそこにありました。カーチャは女手ひとつで娘を育て、3000人の部下をもつ工場長になっていました。リューダは夫のセルゲイがアル中になって家庭崩壊、そして離婚。トーシャは平凡な結婚生活、しかし幸福な家庭を築いていました。

映画はこれでは終わりません(終われません)。ひと波乱、ふた波乱があります。

カーチャがニコライ・トーシャの農園に遊びに行った帰りの電車で個性的な男性ゴーシャ(アレクセイ・バターロフ)に出会います。それからの展開が大変です。

ひたむきに生き、恋にゆらぐ女性たちの気持ちを、あるときは激しく、あるときはナイーブに、情感をもって描いたヒューマニズムあふれる作品。
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ロバート・シオドマク監督「らせん階段」(アメリカ、1946年)☆☆☆

2019-08-19 21:58:50 | アメリカ・1940年~


ニュー・イングランドのあるまちの郊外にたつ古い館。主はウォーレン夫人(エセル・バリモア)。病床にあり、2階で寝たきりになっています。他に長男(継子)でウォーレン教授(ジョージ・ブレント)とその女秘書ブランシュ〈ケント・スミス〉、酒好き家政婦のオーツ夫人とその夫、看護婦のバーカー、そしてヨーロッパから戻ってきたウォーレン夫人の息子スティーブン(ゴードン・オリヴァー)が住んでいます。

 ここに女中として雇われていたのがヘレン(ドロシー・マクガイア)です。言葉が不自由です。ヘレンは子供のころに自宅で火事にあい、両親を亡くし、その時のショックで声を失っていました。若い町医者パリーは何かとヘレンの面倒を見ています。

 この町で殺人事件が続けておこります。犯人はわかりません。奇妙なのは体の不自由な若い女性ばかりが狙われたことです。ウォーレン夫人はヘレンのことを心配し、他の町に行くように指南します。しかし、ウォーレン教授は、反対し、ヘレンをひきとめます。

 スティーブンはブランシュに好意をよせ、そのことがきっかけとなって喧嘩になります。それを知ったブランシュは館を出ていくことを決意し、荷物をまとめるために地下室におります。しかし、あろうことか、ここでブランシュが殺されます。ヘレンがその絞殺死体を発見し、そこで偶然スティーブンとでくわします。ヘレンは彼が犯人と思い、だしぬいて地下室に鍵をかけ閉じ込めてしまいます。その夜、館のなかは閑散としていました。女主人は瀕死の状態でベッドに横たわったまま、家政婦のオーツは厨房で酔いつぶれ、その夫は町に使いにいき、看護婦パーカーは館に嫌気がさして出ていってしまっていました。

 とりのこされ、不安を感じたヘレンは、ウォーレン夫人のいる部屋に行こうと、らせん階段を駆けあがると、そこで教授とはちあわせになります。ヘレンは紙に「ブラッシュが殺された、犯人のスティーブンを地下室にとじ込めた」と書きつけ、示します。教授の顔はひきつります。聾唖のヘレンは、身の危険を感じ、ウォーレン夫人のところに駆けつけ、拳銃の所在を質しますが、夫人は昏睡の状態。ヘレンは気が動転し、気が狂ったように、邸内をかけまわります。このあたり、ヘレン役のドロシー・マクガイアの演技はさえています。

 さて、ことの顛末は・・
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