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シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

蔵方政俊監督「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」(2021年、123分)

2025-03-10 19:21:35 | 日本・2020年~

富山の景色をバックに、退職間近の運転士とその家族、同僚の人生が交錯するさまを描いた習作。

鉄道運転士として仕事一筋の日々を過ごし、59歳の滝島徹(三浦友和)。無事故無違反で実直な人柄です。専業主婦として徹を支えてきたのは、55歳の妻・佐和子(余貴美子)。

夫婦で第2の人生をスタートさせようとしていた徹は、佐和子が結婚するときに辞めた看護師の仕事(緩和ケア)を再開すると宣言します。自分の人生を生きたいと願った佐和子。

徹は佐和子の申し出を理解できず、口論となります。

家を飛び出した佐和子。徹との溝は深まるばかりで、彼女はついに佐和子は離婚届を徹に手渡します。

アパートを借り、一人暮らしを始めた彼女。その矢先、徹の運転する電車が雷雨のなかで緊急停車。その電車にのっていた患者が、倒れます。その患者は佐和子がケアを担当していた人でした。救急車の手配、かけつける佐和子、そして運転士の徹は・・・。

本当の気持ちを言葉にできない徹と佐和子に、ひとり娘(小池栄子)とその夫、徹の同僚・島村洋二(岩村了)や部下・小田友彦(中尾明慶)、佐和子が担当する患者(吉行和子)の人生、高校時代のガールフレンド・深山朋香(仁科亜季希子)が交錯します。

前田哲監督「九十歳。何がめでたい」(2024年、99分)

2025-03-09 19:23:20 | 日本・2020年~
爆発的ヒットとなった佐藤愛子さんの同名エッセイ集が出版されるにいたった経緯と顛末。

佐藤さんの90歳の記念に製作された作品で、ラストに叙勲の記者会見があり、クレジットでは幼少の頃からの写真が映し出されています。

多くの小説を世に問い、評価を得た著者(佐藤愛子)は90歳を前にして悠々自適の生活。余生を心おきなく過ごすつもりだったのが、出版社の編集長、吉川真也(唐沢寿明)にくどかれて、雑誌にエッセイの連載を依頼されます。始めはハナから固辞しますが、吉川の執拗な依頼に応ずることになります。

エッセイの内容は90歳になった佐藤さんの思いのままを綴ったもの。根底には「90歳になったからといって何がめでたい」です。草笛光子さんが佐藤さん本人になりきり、啖呵のきりかたなど好演です。

吉川の家庭、夫婦関係のこじれ話も挿入され、またオダギリジョーさんがテレビ修理人として登場し、味をだしています。

伊藤俊也監督「日本独立」(2020年、127分)

2025-03-06 19:25:54 | 日本・2020年~
 

戦後の占領下の日本で、独立回復にかけた吉田茂と白洲次郎を主人公にした人間ドラマ。

1945年、連合国最高司令官・マッカーサー率いるGHQの占領下に置かれた日本。外務大臣の吉田茂は日本の再出発のため、旧知の仲であった白洲次郎を呼び出し、GHQとの交渉役に任命します。

英語に堪能な白洲は開戦前から日本の敗戦を予測し、実業の第一線を退き、郊外で農業に専念していました。吉田はそんな白洲に、GHQとの交渉役となる終戦連絡事務局の仕事を託しました。

白洲は交渉の最前線に立つことになります。喫緊の課題は憲法の制定。GHQは米国主導の憲法改正を強引に推し進めます。

論点は天皇、戦争の放棄、軍隊を憲法のなかにどう位置づけるか?

日本側の強硬派は松本国務大臣。憲法改正担当の国務大臣として入閣し、自ら憲法草案(松本試案)を作成しましたが、軍隊をもたない国家などありえないなど、と強弁し、その内容に反感がもたれGHQに却下されました。

限られた時間のなかでアメリカ側の要請に日本側は押し切られていきます。
出演者は以下のキャスト。小林薫(吉田茂外務大臣)、浅野忠信(白洲次郎)、宮沢りえ(白洲正子)、柄本明(松本烝治国務大臣)、松重豊(近衛文麿)、伊武雅刀(芦田均)、佐野史郎(美濃部達吉)、石橋蓮司(幣原喜重郎首相)、大鶴義丹(楢橋渡)、青木崇高(小林秀雄)。

田中光敏一監督「親のお金は誰のもの 法定相続人」(2022年、102分)

2025-03-05 19:31:45 | 日本・2020年~

「成年後見人制度」は1999年に制定され(2000年施行)、認知症にかかった老人など、高齢化した人で自分の財産を管理できなくなったものにかわってその役割を担当する人をあてる制度です。家庭裁判所が選任します。

一人暮らしの高齢者が増加するのは必至。成年後見制度はこれから重要になってきます。しかし、なかにはそれを金儲けの手段としようとする輩がいます。本作品はこうした問題に関わるテーマをドラマ化。

東京のIT系外資企業に勤める大亀遥海(比嘉愛未)のもとに、母・満代(石野真子)が亡くなったとの知らせが入ります。彼女は父・仙太郎(三浦友和)とのあいだに確執があり、故郷・伊勢志摩に戻らないつもりでしたが、母が生前に送ってきたハガキに書かれていた「あなたにみせたいものがあります」の言葉が気になり、帰省します。

通夜会場に集まった大亀家の長女・珠子(松岡依都美)、次女の浜子(山﨑静代)は仙太郎の先妻の子。遥海はいわば異母兄弟。その三人の娘の前に、弁護士の城島龍之介(三浦翔平)が突然、現れ、仙太郎の成年後見人として大亀家の財産を管理すると宣告。珠子と浜子は仰天。

管理業務にあたった龍之介は、やがて仙太郎が6億円の価値がある伝説の真珠を隠していると知り、真珠を売却すれば巨額の付加報酬を得られると、それを探し始めます。

父親の遺産を狙う珠子と浜子もまた真珠の存在を知り、龍之介よりも先に見つけだそうと探し回ります。

一方、遥海は・・・。

大場丈夫監督「県民投票」(2021年、91分)

2025-02-11 20:14:50 | 日本・2020年~
 
ドキュメンタリ-映画です。

東日本大震災後の茨城県にある東海第二原発の再稼働の是非を住民投票によって決める条例の制定を、議会で審議するにいたるまでが描かれています。

ということは、原発の再稼働の是非を問うのではなく、そもそも茨城県に住民投票を行う前提としての条例がなかったので、当該条例を議会に提出し、審議をもとめ、その制度化の可否を問うということです。

県民投票はいわば、間接民主主義を補完する制度。

県民投票の制度化を議会に働きかけるまでには、その提案者(鵜沢恵一、姜咲知子、徳田太郎を中心にした、いばらき原発県民投票の会)が県内有権者の50分の1以上の署名を、2ヶ月という期限で集めなければならなかったようです。

署名活動の様子が克明に描かれていますが、この活動の本旨を理解してもらうこと自体が難しかったこと、条例をもとめる活動が即原発反対運動とみられる誤解を解くことが並大抵でなかったことが、よくわかりました。

結果、8万7000筆以上の署名が集まり、提案者たちは条例案と署名を知事に提出。
本来、知事はこの案に見解を付して議会にはかるべきなのですが、当時の大井川知事はその表明をしないまま条例化の賛否を審議に丸投げしました。

期待された議会での審議はあらかじめ結論ありきのような状況で・・・。

三原光尋監督「高野豆腐店の春」(2023年、120分)

2025-02-03 20:55:10 | 日本・2020年~


タイトルにある「高野豆腐」は「コウヤドウフ」でなく、豆腐店の主人、「タカノ(高野辰雄)」の名前からとったものです。「コウヤドウフ」との勘違いは、この映画のなかでも、一瞬でてきます。

タイトルのなかの「春」は、経営者の娘の名前(後でわかりますが本当の娘ではありません)。

豆腐店の父と娘、その周囲の人たちとの交流をテーマにした作品。

舞台は尾道。

高野辰雄(藤竜也)の豆腐作りは逸品。職人気質の堅物ですが、丁寧に心をこめてつくっていて評判です。手広く、関東にだしたら、という勧めを頑固にことわっています。娘の春(麻生久美子)は、その父を助けています。結婚がうまくいかず父のところに戻ってきました。

辰雄は心臓に疾患がでてきて、医者にカテーテル手術を勧められています。病院で心臓にペースメーカーをつけた女性、中野ふみえ(中村久美)と言葉を交わし、親しくなります。彼女はスーパーで清掃員として働いています。独身のようです。

一方、豆腐店の界隈の人たちは、「春」の将来を心配し、見合いの相手捜しにやっきです。春にはその気はありません。

高野辰雄は自らつくった豆腐を駅ナカのお店においてもらって販売しています。そこの担当者が西田道夫(桂やまと)に交替となりました。西田は高野豆腐店の様子をしばしば見に来ます。

辰雄とふみえ、春の将来、ストーリーは波乱含みで展開していきます。

田中光敏監督「天外者(てんがらもん)」(2020年、109分)

2024-08-21 19:43:57 | 日本・2020年~


夭折した三浦春馬さんが最後に出演した作品です。合掌。

黒船襲来、250年の鎖国時代が終わった動乱の時代。
幕末から明治初期の激動期を駆け抜けた実業家・五代友厚(1836-85)の人生を描いた作品。

主要な舞台は長崎、薩摩(鹿児島)。

長崎の海軍伝習所で将来を嘱望された若者、薩摩藩の五代才助(後の五代友厚[三浦春馬])は、藩主島津斉彬(榎木孝明)や島津久光(徳重聡)、彼らに取り立てられた大久保利通(迫田隆也)や西郷隆盛(宅間孝行)、そして伝習所を仕切る勝海舟(丸山智己)から認められる才覚の持ち主でした。

さらに土佐出身の志士・坂本龍馬(三浦翔平)、岩崎弥太郎(西川貴教)、長州藩の伊藤博文(森永悠希)と友情を深めます。

遊女はる(森川葵)との出会い。文字を学び、広い世界を見たいというはるに、いつか自分がその願いを叶えさせると誓う才助。

時代の波は才助たちを翻弄します。

一年の長崎留学を経て薩摩に帰った彼は、開国主義者であるということで命を狙われます。

才助は上海に渡り、蒸気船を購入。薩摩藩の軍備増強をはかります。

その矢先、薩摩藩士がイギリス人を殺傷した「生麦事件」が起こります。

この事件はやがて薩英戦争に結果します。圧倒的なイギリスの軍備にたちうちできない薩摩藩。捕虜となった才助を救ったのは、イギリス人に見受けを決めたはるでした。

才助はイギリス商人グラバーの支援を受けて英国留学に向かいますが・・・

中江功監督「Dr.コトー診療所」(2022年、135分)

2024-05-31 21:01:12 | 日本・2020年~


山田貴敏による同名漫画が原作のテレビドラマの16年ぶりの続編です。TVドラマ(フジテレビ)で連続して放映され、好評を博していました。

舞台は沖縄の志木那島(架空)の僻地診療所。

タイトルの「コトー」は主人公の中年医師、五島健助(吉岡)の、離島(志木那島)の人たちによる通称(愛称)。

コトーは20年前にこの島の診療所に来て以来、献身的な診療で島民から尊敬され、頼りにされていました。

本作品でも原剛利(時任三郎)の脚の大けがの懸命な手術、安藤重雄(泉谷しげる)に代表される島民の信頼に、それが象徴されています。

妻の彩香(柴咲コウ)は妊娠中。コトーは子どもの誕生を愉しみに、医療活動を続けます。

そこに研修医としてきたのが織田判斗(高橋海人)。彼は合理的考え方の持ち主で、コトーの医療活動を尊敬しつつも自分にはそれをハナからできないと考えています。
原剛利の息子で、東京の医大学生だった剛洋(富岡涼)がひょっこり里帰りしてきます。歓迎会が居酒屋で彼に内緒でひらかれますが、彼は医学の道を断念したようです。

「コトー」も難しい問題がつきつけられます。医療合理化のおり、複数の離島の診療所を統合し、そのまとめ役について欲しいと要請されます。ところが彼自身は日頃の激務がたたったのか、体に変調がでてきて、検査の結果、急性骨髄白血症を患っていることがわかりました。

折から猛烈な台風がこの島を直撃し、コトーは自身の病を省みず心臓をわずらっているみどり(藤田弓子)などの医療活動にとりくみますが・・。

油谷誠至監督「吟ずる者たち」(2023年、115分)

2024-05-11 20:44:03 | 日本・2020年~
明治時代、広島で酒造を興した「吟醸酒の父」三浦仙三郎と、その意志を繋ぐ現代の蔵人たちの姿を描いたドラマです。

東京でデザイナーとして身を立てる夢破れ、実家の造り酒屋・永峰酒造がある広島県・安芸津へと帰ってきた永峯明日香(比嘉愛未)。

実家は「吟醸酒の父」三浦仙三郎の杜氏の末裔が継いだ酒蔵でした。養女である明日香は幼い頃から酒造りに興味がありましたが、その伝統を継ぐことあきらめていました。

自らの目標を見失っていた明日香でしたが、ある日、父・亮治(大和田獏)が家宝としていた仙三郎の手記を目にします。

明治初期、新米酒造家の三浦仙三郎(中村俊介)は醸造中に中の酒が腐る「腐造」に悩んでいました。資金不足、両親、そして愛する養女の死。逆境のなか、腐造を起こさない安定した日本酒醸造技術を見いだすために灘のセイホウを学び、研鑽に研鑽を重ね、とうとう軟水による低温醸造法が問題を解決することがわかります。

仙三郎の座右銘、百回試して千回改める『百試千改』の想いに共感した明日香。直後、亮治が突然倒れます。兄の創太は蔵を閉じるべきと主張しますが、明日香は父が造ろうとしていた新酒造りを引き継ぐことを決心。

仙三郎の思いや熱意を受け、明日香は、「仙三郎が作った吟醸酒『花心』を超える『追花心』」を製造しようとしていた父の意志を継ぎ、酒造りにのめり込みますが・・・。

香月秀之監督「お終活 熟春! 人生、百年時代の過ごし方」(2021年、113分)

2024-04-20 21:15:29 | 日本・2020年~


結婚50年を迎えようとしている大原真一(橋爪功)と千賀子(高畑淳子)。

真一は10年前に定年退職し、以来、家で過ごすことが多い日々。家事にはまるで興味がなく、ご多分にもれずゴロゴロしています。趣味はプラモデル作り。たまに、麻雀仲間(大和田伸也、石丸謙二郎、金田明夫))とテーブルを囲むと、妻の愚痴を口にしています。

千賀子はそんな夫へのストレスを趣味のコーラスで発散。練習のあとには、こちらも仲間(藤吉久美子、大島さと子、増子倭文江)とランチをとりながら、夫への不満をぶちまけています。

ふたりには子どもが二人いて、同居の娘、亜矢(剛力彩芽)はキッチンカーで移動食品店で働いています。息子(袴田吉彦)は結婚し、女の子がいます。

一方、外資系のIT企業に勤めていた菅野涼太(水野勝)は会社倒産で憂き目に会い職を失ったため、葬儀社「一柳葬具總本店」に転職。

出社の翌日から「終活フェア」が開催されるので、挨拶回り用の名刺と共に大量のパンフレットを配るよう命じられました。菅野は上司で一級葬祭ディレクターの桃井梓(松下由樹)に、仕事を一から学びながらも、前の会社で映像編集の仕事をしたことがあることをアピール。

亜矢が店に来た涼太に「終活フェア」のチラシをもらい、それを母、千賀子に見せ、千賀子がフェアに顔をだしたところからストーリーが動き出します・・・。

前川哲監督「老後の資金がありません!」(2020年、115分)

2024-04-17 23:24:28 | 日本・2020年~

老後にいったいいくらあれば安心できるのでしょうか。

もし夫婦が介護(養護)施設に入らなければならなくなったとしたら、多額のお金がかかります。

こういう事態も見据えて、資金はどれくらい貯めておけばいいのでしょうか。
本作品はこの深刻な問題をコメディタッチで描いています。原作は垣谷美雨による同名小説です(いま、読んでます)。

後藤家は50代の夫、章(松重豊)と妻、篤子(天海祐希)にフリーターの娘、まゆみ(新川優愛)と息子、大学生の勇人(瀬戸利樹)の典型的サラリーマン家族。

章には妹、桜井志津子(若村麻由美)とその夫、秀典(石井正則)がいます。

篤子はパートタイマーをし、老後のことを考えながら家計のやりくりに必至です。後藤家の預金残高は700万と少し(原作では1200万)。家のローンを支払いながら、ケア・センターに入っている親に月々9万ほどの仕送りをしています。家計は火の車。
おり悪く、章の父が亡くなります。葬儀にいったいいくらかかるのか? 結局、老舗「和栗屋」の格を考慮いれて、400万ほどの出費になります。直後、章の母親、芳乃(草笛光子)をひきとることに。彼女はお金に糸目をつけない性格で、さあ大変。
そんな折り、まゆみが結婚相手のドラマー、松平琢磨(加藤諒)を連れてきます(年収150万)。まゆみは妊娠していて、できちゃった結婚です。そして式を「麻布寿園」でしたいと、いいだし・・・。

そして、あろうことか章の会社が倒産。そんななか、芳乃が生前葬をパーティ形式でしたいと言いだし・・・。

コメディなので極端な(典型的な?)設定になっていますが、背景はシリアスで、身につまされます。

児玉宜久監督「おしょりん」(2023年、120分)

2024-04-06 11:07:47 | 日本・2020年~
 

この映画は、明治時代の後半、鯖江でメガネ産業の礎を築いた人々の想いを描いたヒューマンドラマです。(鯖江では現在、日本のメガネ生産の90%を生産しています。)

原作は藤岡陽子による同名小説。

タイトルの「おしょりん」は、福井県の一部で使われている方言。「降り積もった雪が朝の冷え込みで表面が固く凍った状態」のことです。本作品にそのシーンがあります。「どんな時も夢に向かって自由に突き進もう」という想いが込められています。
本年4月、北陸新幹線が金沢から福井を経て敦賀まで延伸となりました。冒頭、そのことを記念するかのように、福井県の紹介があります。

舞台は明治37年から44年頃までの福井県足羽郡麻生津村。庄屋の長男である増永五左衛門(小泉孝太郎)の妻・むめ(北乃きい)は、育児と家事に追われる日。

そんなある日、大阪で働いていた五左衛門の弟・幸八(森崎ウィン)が帰郷し、メガネ作りに取り組むべきことを提案します。メガネはまだほとんど知られていなかった時代。しかし、幸八は活字文化が普及する今後、メガネは必需品になるというのです。

難色を示す兄の五左衛門。初めは反対していたものの、視力が弱く、学校の勉強が遅れがちだった女の子がメガネをかけ、喜ぶ姿を見て、五左衛門はメガネ製造への挑戦を決め、村の人々を集めて工場を立ちあげます。

しかし、メガネはなかなか販路がひろがらず、資金繰りが厳しくなります。五左衛門はとうとう田畑を売り、家屋を担保に入れざるをえなくなり、・・・。

前田哲監督「そして、バトンは渡された」(2021年、136分)

2024-04-04 11:10:15 | 日本・2020年~
原作は瀬尾まいこ、による同名小説(本屋大賞受賞[2019年])です。

高校3年の森宮優子(永野芽郁)は、優しい義理の父の森宮壮介(田中圭)と2人暮し。彼女は父を「森宮さん」と呼んでいます。何となく違和感!(あとで氷解します)

優子はクラスで浮いた存在。それほどうまくないのに、卒業式の合唱のピアノ奏者を押し付けられる始末。

シーンが代わって、「みぃたん(小学生の女の子)」( 稲垣来泉)の家に、梨花(石原さとみ)という新しい母親がやって来ました。梨花は浪費家でお調子者。たちまち「みぃたん」を溺愛します。

「みぃたん」の実父の水戸秀平(大森南朋)が、突然ブラジルに移住しすると言い出します。梨花はこれを拒否し、結果、離婚。「みぃたん」と離れたくない梨花は、言葉巧みに「みぃたん」を説得します。

「みぃたん」が友達の影響でピアノを習いたいと言いだします。梨花は「結婚案内」にたより、大金持ちの泉ヶ原という老人(市村正親)をゲット。彼の屋敷にはグランドピアノがあったからです。泉ヶ原に大切にされる「みぃたん」。

ところが梨花は「息苦しい」と、老人のもとを飛び出し、新しい結婚相手を見つけ再婚。この時の梨花の再婚相手が森宮壮介でした。連れ子として森宮姓になった「みぃたん」こそ、優子の幼い頃の姿でした。

義母の梨花はその後に森宮家を飛び出し、行方不明。

同学年のピアノがすこぶる上手な早瀬賢人(岡田健史)と義父の壮介に励まされ、優子は卒業式のピアノ演奏を成功させます。

数年後、音大を中退した早瀬賢人と再会した優子は、彼と婚約。そんな彼女のもとに、行方不明の義母の梨花から便りが届きます。手紙には何と・・・。

鶴岡慧子監督「バカ塗りの娘」(2023年、118分)

2024-04-02 20:07:04 | 日本・2020年~



原作は高森美由紀による小説「ジャパン・ディグニティ」。

青森の伝統工芸・津軽塗=通称「バカ塗り」をテーマにした作品です。津軽塗が「バカ塗り」と言われるのは、塗りを何十回も行っては研ぎ、塗っては研ぎを繰り返す過程がバカ丁寧に見えるからです。

本作品はこの伝統工芸である津軽塗をとりあげ、不器用な女性が津軽塗職人の父と暮らすなかで、この仕事を継ぐ決心を固め、その道をすすんでいく姿を描いた人間ドラマです。

作品の中で、津軽塗の工芸が職人の手でいかに作り上げられてくかが、丁寧な映像でじっくりと味わうことができます。

舞台は青森県弘前市。青木美也子(堀田真希)は高校卒業後もやりたい仕事が見つからず、家計を助けるためスーパーでバイトをしています。何をやってもうまくいかず、自分に自信を持てない彼女。しかし、津軽塗の祖父のもとでその技術を継いだ父、清史郎(小林薫)の手伝いするときだけ、美也子は夢中になれる時間をもてるのでした。

業界の斜陽とともに気力を失っていく父。祖父は痴呆症がでて施設暮らし。貧しい暮らしと父の身勝手さに愛想を尽かして出ていった母(片岡礼子)と、家を継がず美容師になり、さらに同性婚を選択した兄、ユウ(坂藤龍汰)。いつしか家族はバラバラです。そんな家族のなかで、津軽塗の工芸を学び、家業を継ぎたいとなかなか言い出せない美也子でしたが・・・。

近所のバッチャ役を木野花さんが演じています。

山田洋次監督「こんにちは、母さん」(松竹、2023年、111分)

2024-04-01 20:09:46 | 日本・2020年~


監督の「母」三部作のひとつ(他は「母べえ(2015年)」「母と暮らせば(2008年)」)。

原作は永井愛。

舞台は東京の下町、向島(むこうじま)界隈。

職場では人事異動(「希望退職」の募集など)に神経をすり減らし、家庭では妻との離婚問題(別居中)や大学生の娘、舞(永野芽郁)との関係で辛い日々をすごしている大手企業の人事部長、神崎昭夫(大泉洋)。

ある日、母・福江(吉永小百合)が暮らす下町の実家を訪れます。福江は夫と死別して以来、家業の足袋屋を引き継ぎ、ボランタリーでホームレス支援活動をしています。しばしば、打ち合わせを自宅の茶の間で行っています。この日も、メンバーが集ってきました。昭夫の幼馴染で煎餅屋の妻・番場百惠(枝元萌)、スウェーデン人の夫を持つアデンション・琴子(YOU)、教会の牧師・荻生直文(寺尾聰)です。昭夫は頃合いを見計らって一人暮らしのマンションに戻ります。

そこへ妻から携帯電話。娘の舞が数日前に家出をし、帰ってこないとのこと。後日、舞は母、福江のところに居候していることがわかります。

ストーリーはこの後、昭夫が会社でトラブルに巻き込まれながら、娘の家出問題、母、福江の恋愛(?)問題に直面し、悪戦苦闘する様を描き、面白く展開します。

昭夫の同僚で課長の木部富幸役の宮藤官九郎、ホームレスのイノさん役の田中泯が好演です。
大相撲の関取「明生」が足袋を買いにくるシーンがあり、印象的。