シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

ハワード・ホークス監督「光に叛く者(The Criminal Code)」(アメリカ、1931年、96分)☆☆☆★

2021-02-27 21:28:33 | アメリカ・戦前


今から90年ほど前、サイレントからトーキーに変わり2年ほどたっての作品で、短期間にここまで映画が進化したのかと、驚きです。

原題の The Criminal Code は、訳すと「刑法」。

アメリカ映画には「刑務所もの」「裁判もの」のジャンルの存在感ある作品があります。日本映画では希です。前者の代表作は「大脱走」「ショー
シャンクの空に」など、後者のそれは「十二人の怒れる男」「真実の瞬間(とき)」などです。

本作品は「刑務所もの」のはしりです。

ガールフレンドが男に侮辱されて、その男をはずみで殴り殺してしまった青年・ロバート(フィリップス・ホームズ)は、10年の懲役刑に処せられ、監獄生活が始まります。しかし、苛酷な作業で体をこわしたため、刑務所長・プレディ(ウォルター・ヒューストン)のはからいで所長専属の運転手に起用されます。そのうち、彼は所長の娘・メアリー(コンスタンス・カミングス)と恋仲になります。

監獄では脱獄騒ぎが起こります。看守に密告した者が殺められます。その犯人が誰かを知っているロバートは、次第に追い詰められていきます。執拗に告白をもとめられますが、ロバートは口をわりません。ために、再び独房に投獄されます。メアリーは所長に釈放を懇願しますが・・・。
 
 
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ジャン・ドロノワ監督「想い出の瞳(Aux Yeux du Souvenir)」(フランス、1948年、101分)☆☆☆

2021-02-26 21:24:56 | フランス


美貌のスチュワーデス・クエール(ミッシエル・モルガン)と運命的な再会を果たしたパイロット、ジャック(ジャン・マレー)との一筋縄ではいかない恋を描いた作品です。ミッシエル・モルガンの凜とした美しさが光ります。

クエール・マニイはフランス航空会社に勤め、スチュワーデスです。機長オブリイと婚約関係にありました。彼女は彼に好意をもっています。しかし、それは愛情にはほどとおいものでした。

彼女には3年前に恋人がいました(当時、彼女はまだスチュワーデスではありません)。ふたりは熱愛の日と夜を一週間すごしたのですが、ジャックは突然、彼女の前から消えました。パイロットとしてアフリカへ去ったのです。クレールは死を意識するほど痛手を受けますが、友人のマルセルの助言で、航空会社に就職します。

クエールはある日、機上の客にジャックを認めます。客室乗務員とお客との立場で、ふたりは同じ飛行機に乗り合わせたのです。その後、同じ航空会社のパイロットに採用されたジャックは執拗にクエールに接近しますが、クエールは相手にしません。

そして、ある日、ジャックがパイロットとして、クエールが客室乗務員として乗り込んだリオ発ダカール行きの旅客機が南大西洋を横断途中、悪天候に巻き込まれエンジンが故障し火をふき、遭難します・・・。
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ジョショア・ローガン監督「バス停留所(Bus Stop)」(アメリカ、1956年、97分)☆☆☆

2021-02-25 21:41:56 | アメリカ・1950年~


ウィリアム・インジによる舞台劇の再構成で、ロマンチック・コメディです。

生まれも育ちもモンタナの牧場で、傍若無人なカウボーイ青年ボウ(ドン・マレー)はロデオ大会参加のため、付き添いのヴァージル(アーサー・オコンネル)とともに、フィニクス(アリゾナ州)にやってきます。

初めて都会に出たボウは、酒場の歌手・チェリイ(マリリン・モンロー)に一目惚れ、強引に婚約します。ボウを恐れたシェリーは逃げ出します。
翌日、ボウはロデオに出場。各種目に優勝します。チェリイも観客としてきていましたが、ボウが競技の間に彼女と結婚式を挙げるために牧師を雇ったことを知り、びっくり。彼女は結婚式を危うく逃れ、ヴァージルから金を貰って町へ逃げ出します。

彼女がバス停留所でロサンゼルス行きを待っていると、ロデオに優勝したボウが現われ、彼女をつかまえ無理やりモンタナ行きに乗せます。
さて、この顛末は?

圧巻はロデオのシーンです。ボウは暴れ馬を乗りこなし、見事な馬さばきで、見せます。
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市川崑監督「どら平太」(配給・東宝、2000年、111分)☆☆☆★

2021-02-24 23:31:11 | アメリカ・2000年~
山本周五郎による小説「町奉行日記」が原案です。

舞台は江戸時代の或る小藩。町奉行の不明瞭な辞職が繰り返されていました。江戸から望月小平太(役所広司)という新任がやってきます。振る舞いの不埒さから「どら平太」という渾名で呼ばれていました。

彼の任務は「壕外」と呼ばれる治外法権地域の浄化でした。早速、遊び人になりすまし壕外に潜入した彼は、壕外の利権を得ている3人の親分をつきとめ、こらしめることに成功します。

奉行として彼らに下した罪状は、永代当地追放でした。どら平太の本当の目的は、彼らと結託して私腹を肥やしていた城代家老・今村掃部(大滝秀治)を初めとする藩の重職を裁くことでした。

藩と結託していた証拠を灘八たちに作らせ、それで重職たちを退陣に追い込むどら平太。しかし、藩の重職たちと3人の親分の間で私腹を肥やしているもうひとりの人物がいました。仙波義十郎(宇崎竜童)です。義十郎は、どら平太に追い詰められ自害します。

どら平太は、奉行所に姿を現さないまま役目を全うしました。そんな彼にも苦手な人がいました。江戸から彼を追いかけてきた芸者のこせい(浅野ゆう子)です。江戸に連れ帰ろうとする気の強い彼女に捕まってなるものかと、どら平太は次なる赴任地へと、駄馬を走らせます……。
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マーヴィン・ルロイ監督「哀愁(Waterloo Bridge)」(アメリカ、1940年、108分)☆☆☆★

2021-02-20 20:49:33 | アメリカ・1940年~
 
舞台はロンドン。

1939年9月3日、英国がドイツに参戦したばかりの慌ただしいロンドンの街。フランスに赴くロイ・クローニン大尉(ロバート・テイラー)は、ウォータールー橋へ立ち寄ります。ロイはそこで、あるバレエの踊り子の事を思い出します。

記憶によみがえったのは、第一次大戦中の出来事です。ウオルター橋を渡っていたロイは、そこで偶然にバレエの踊り子マイラ・レスター(ヴィヴィアン・リー)と出会います。空襲警報がなり、ふたりは地下鉄の構内に逃げ込みます。

ロイはマイラを一目見て気に入り、その後、彼女のバレエ公演に行き、またレストランでの食事に誘います。閉店前の曲「別れのワルツ」が流れるなか、ふたりは熱い口づけを交わします。

赴任までの時間がないロイは想いがたかぶり、結婚のプロポーズ。明朝、教会で式をあげる予定だったのが、突然、ロイの赴任が早まり、結婚は延期になります。

マイラはロイの母と会うことになりますが、待合場所の店で新聞にロイの戦死の広告を認めます。哀しみでマイラは卒倒。
ロイとの結婚が破れたと思ったマイラは、生活のために身をおとします。

ところがロイは生きていました。帰還復員兵のなかにマイラはロイを認め、しばし抱擁します。ふたりの運命は・・・。
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ルネ・クレマン監督「太陽がいっぱい(Plein Solei !)」(フランス、1960年、118分)☆☆☆★★

2021-02-18 20:58:21 | フランス


映画音楽がヒットしました。

パトリシア・ハイスミスによるサスペンス小説「The Talented Mr. Ripley(才人リプリー君)」の映画化です。

舞台はローマ、そしてナポリです。

トム・リプリー(アラン・ドロン)は貧しい青年ですが、美貌、野心、狡智、健康な肉体の持ち主です。

フィリップはその友達で、アメリカからきた大富豪の息子です。フィリップには交際相手で婚約者のパリ娘マルジュがいます。ふたりはナポリに近い漁村モンジベッロで過ごし、愛をむさぼります。

トムはフィリップから享楽のおこぼれをもらって生活していますが、それは彼の内心を屈辱でゆがめるものでした。フィリップとマルジェは海と太陽を楽しみながら、トムに対して軽蔑の態度をあらわにします。

トムに次第に怒りと嫉妬の炎が沸き起こります。そして、あろうことかトムはフィリップと二人きりになったところで・・・・。トムはマルジェをものにし、フィリップが受け継ぐはずの莫大な財産をせしめ、詭計はうまくいったはずでしたが、思わぬ事態が起こります。
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スタンリー・ドーネン監督「恋愛準決勝戦(Royal Wedding)」(アメリカ、1951年、93分)☆☆☆

2021-02-18 20:55:46 | アメリカ・1950年~


原題(王室の結婚式)と邦題(恋愛準決勝戦)は、かなり違います。イギリスでのエリザベス王女の結婚式とともに成就した、二組のカップルに着目して邦題が付けられたものと思います。

舞台はニューヨーク、そしてロンドン。

トム(フレッド・アステア)とエレン(ジェーン・パウエル)は、ブロードウェイで活躍する歌とダンスの兄妹カップルです。

ふたりはマネジャーのアーヴィング・クリンジャー(キーナン・ウィン)から、ロンドンの事務所にいる双子兄弟のエドガァ(キーナン・ウィン)がエリザベス王女御成婚を記念して兄妹の公演を決めた、ときかされます。

兄妹は豪華船でロンドンに向かいます。船中でエレンはジョン・ブリンデール卿(ピーター・ローフォード)というドン・ファンと知り合いに。
トムはロンドンで踊り子のアン・アシュモンド(サラ・チャーチル)と馴染みになります。他方、エレンは、ジョン・ブリンデール卿(ピーター・ローフォード)といい仲になります。このふたつのカップルは紆余曲折を経て・・・。

船中の体育室でのアステアのダンス、ロンドンのホテルの壁と天井での自在な踊り(SFX)は見所です。

なお、アン役を演じたサラ・チャーチルはチャーチル首相の娘です。またジョン・ブリンデール卿役を演じたピーター・ローフォードは、ケネディ大統領の娘婿です。
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ジャン=リュック・ゴダール監督「勝手にしやがれ(À bout de souffle)」(フランス、1960年、90分)☆☆☆

2021-02-16 21:38:33 | フランス


原題は「息せき切って」という程度の意味です。(アメリカのリメイク版では Breathlessと直訳されています。)

従来の映画リテラシーを無視した手法が多用され、注目をあつめました。ヌーベル・バーグの記念碑的作品です。ジャンプカット法(時間を無視したショットの貼り合わせ)、手持ちカメラによる街頭撮影、高感度フィルムの利用、即興演出、隠し撮り、唐突なクローズアップなどなど。

舞台はマルセイユ、そしてパリ。

マルセイユでの自動車の窃盗で追われパリにやってきたミシェル(ジャン・ポール・ベルモント)はアメリカ人の女性パトリシア(ジーン・セバーグ)と出会い、行動をともにします。ミシェルは刹那的、反道徳的に生きる男。既成の価値観をすべて否定します。いつでもパリから離れたいと思っています。パトリシアはパリで仕事を続けたい駆け出しの新聞記者です。

そのうち、パトリシアはミシェルが警察に追われる身であることを知り、ふたりの奇妙な逃避行が始まります。警察に見つかり何度もつかまりそうになりますが、そのたびにうまく脱出し、逃亡。

しかし最後にパトリシアは自由をもとめて逃避行を諦め、警察に通報します。その直後・・・。
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ダグラス・サーク監督「風と共に散る(Written on the Wind)」(アメリカ、1956年、99分)☆☆☆

2021-02-15 21:05:15 | アメリカ・1950年~


舞台はアメリカテキサス州。

ハドリイ石油会社の信頼熱い社員ミッチ・ウエイン(ロック・ハドソン)とこの会社の若社長カイル・ハドリイ(ロバート・スタック)は無二の親友。彼は傍系会社の重役秘書ルシイ(ローレン・バコール)をカイルに紹介しました。

カイルはルシイを気に入り、自家用機に誘い、豪華なスイートルームを用意します。ルシイは金持ち息子の気紛れと嫌悪しますが、話してみると彼の心の寂しさに共鳴し、その愛を受け入れます。そして2人は結婚。

この結婚は、ミッチに深刻な打撃となります。彼はルシイとの結婚を考えていたのです。それでも、ミッチは結婚がカイルの放蕩で無軌道な生活を立て直す切掛けになると、ふたりを援助するよう気持ちになります。

カイルには妹のマリリー(ドロシー・マローン)はいて、彼女はルシイを皮肉な眼で眺めていました。マリリーはミッチの幼馴染みで、以来、好意以上の気持ちを持ち続けていました。ところが彼女はミッチが自分を親友の妹としか扱ってくれないことに苛立ち、ふしだらな振る舞いで周囲の評判をおとしていました。

この四人の関係が、カイルとルシイの結婚生活の破綻、ミッチとカイルの親友関係の断絶、マリリーのミッチへの思いとルシイへの嫉妬、を絡めて展開していき、挙げ句の果てに大変な事件が起こります(本作品の開巻にその予感のシーン)。舞台は法廷に・・・。
 
 
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森義隆監督「聖の青春」(配給・KADOKAWA、2016年、124分)☆☆☆★

2021-02-14 23:38:03 | 日本・2000年~


1998年に29歳の若さで亡くなった棋士、村山聖(むらやまさとし)の生涯を描いた作品です。村山聖を演じたのは松山ケンイチ、羽生善治を演じたのは東出昌大です。右下の画像は、在りし日の村山九段です。

大崎善生著「聖の青春」の映画化です。わたしはこの原作を読みました。原作も参考にしながら、この映画を紹介します。

聖は5歳の時、原因不明で発熱。ネフローゼと診断されます。幼くして病床での生活が始まります。父が息子にすすめた将棋に開眼。

13歳で家族の反対を押し切り、森信雄7段(当時4段)に弟子入り、紆余曲折があって奨励会入りします。

奨励会在籍2年11ヶ月で4段、17歳。彗星のごとく現れた「怪童」、大型新人として、同僚の棋士と競いました。平成7年、B1級で田丸戦をねじふせて勝利、そしてA級入り、25歳。

しかし、聖は膀胱癌に侵され、手術後肝臓に転移、ついに29歳の若さで、A級在籍のまま他界しました。病床での最期のウワ言は、「2七銀」。
日本将棋連盟は、彼の功績を讃え、9段位を追贈しました。

通算成績は356勝201敗(うち12局が不戦敗)、勝率・653(不戦敗を除く)。羽生善治とは6勝6敗。
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神代辰巳監督「離婚しない女」(配給・松竹、1986年、104分)☆☆☆

2021-02-14 23:34:46 | 日本・1990年~


連城三紀彦による同名小説の映画化です。

舞台は北海道の根室と釧路。倍賞千惠子、美津子の姉妹が共演することで注目されました。一人の男性をめぐって二人が激しく争います。そして二人のキャラクタを逆転させた配役(千惠子が激しい女、美津子がおとなしめの女)が見どころです。

釧路ウェザーリポート根室支社に勤める私設予報官、岩谷啓一(萩原健一)は、町の実力者、山川正作(夏八木勲)にトローリングに誘われました。

啓一は時化の大徴候を予見し漁船を救います。以来、啓一は正作に気に入られます。帰途、泥酔の山川を自宅に送った啓一は、山川の後妻、美代子(倍賞千惠子)と顔を合わせます。彼はそこで山川と美代子の夫婦仲が冷却していると、直感します。

翌日、出張で根室から釧路へ向かう列車の中で、啓一は美代子とよく似た女性、高井由子(倍賞美津子)と出会います。由子は人妻で「冬凪亭」というライブハウスのオーナーでした。啓一は同時に二人の女性に魅かれていきます。

啓一をめぐって美代子と由子の三角関係が、道東の冬の景観を背景に、異様な展開をしていきます。
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山本薩夫監督「不毛地帯」(配給・東宝、1976年、181分)☆☆☆★

2021-02-11 10:23:40 | 日本・1970年~


山崎豊子による同名小説の映画化です。ただし、監督は原作で描写されているシベリア抑留に興味がなく、戦闘機買い付けを巡る構造汚職の部分を膨らませました。とはいえ、タイトルの「不毛地帯」はシベリアのことです。また、汚職事件が60年安保のさなかに起きた事件だったので、原作にない安保闘争を絡めて描いています。

この作品は戦闘機をめぐる市場戦争の汚さを濃厚にまとめてあり、そこに多くの犠牲者がでることを教えています。現代日本の縮図です。苦しむのは家族や女性です。仕事(商売)に打ち込み、妻を邪険に扱う父親を娘・直子(秋吉久美子)が非難するシーンは印象的です。

陸軍参謀として関東軍の中枢にいた壱岐正(仲代達矢)は、シベリア抑留から戻り、妻(八千草薫)や子供たちに精神的に支えられて生きていました。

防衛庁からの誘いがあっても家族の反対が強く、彼は結局、近畿商事に勤め、繊維部に配属されます。しかし、社長・大門(山形勲)は壱岐の経験をかい、次期戦闘機買い入れ競争で力を発揮することを期待します。

壱岐はアメリカに研修派遣されます。そこで空軍基地に案内され、ラッキード社(笑)の新型機を見せられます。防衛庁の友人・川又(丹波哲郎)がそこに来ていました。すべて大門社長の仕組んだことで、新鋭機を見た壱岐は血が騒ぎます。そして、次期戦闘機はラッキードでなく、試作機2機をつくっているグラント社のものに決まりそうという情報を川又から得ます。

ここから壱岐は政界、財界を相手に水面下の工作を始め、辣腕を振るいます。
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アンジェイ・ワイダ監督「大理石の男(Człowiek z marmuru)」(ポーランド、1977年)☆☆☆☆

2021-02-10 23:33:31 | ポーランド


スターリニズムがはびこっていた時代のポーランドに生きたある煉瓦工の悲劇を、映画大学の女子学生アグニェシカ(クリスティナ・ヤンダ)がテレビ局のドキュメンタリーとして作品に仕上げていくプロセス(結果的に「没」となる)を綴った作品。

1976年のポーランド。アグニェシカは、50年代の労働英雄の姿を描くことを卒業制作のテーマとし、調査に入った矢先、博物館の倉庫の隅に放置されていた煉瓦積みエマテウシュ・ビルクート(イェジー・ラジヴィオヴィッチ)の彫像を発見する。

ビルクートは、戦後、大工業プロジェクトの建設に従事した労働英雄だったが、現在の消息は不明だった。アグニェシカは、複数の生き証人とのイ面接を通じて、一人の労働者が一時、英雄として扱われたものの、その後ある事件で仲間をかばったために刑務所に入れられ、離婚させられた顛末を浮き彫りにしてゆく。

しかし、1950年代の状況を探ることで政府からにらまれることを忌避するテレビ局の上司は、当のビルクートが見つからないことを表向きの理由として、企画を没にする。アグニェシカは失望するが、父親の「カメラがなくても本人を見つけるべきだ」との言葉に励まされ、追跡を続行する。そして、ビルクートの息子がグダニスクの造船所で働いていることをつきとめ、その結末は・・・。
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佐藤純彌監督「空海」(配給・東映、1984年、174分)☆☆☆★

2021-02-10 17:15:43 | 日本・1980年~


日本で最初に密教を学び宗教を体系化した弘法大師・空海の人生を描いた壮大なドラマです。万物の「生」と「死」を見つめ、人間存在の原点に迫り、宗教の原理を追求した空海。

幼名は佐伯真魚(まお)。宝亀5年(774年)、四国に生まれました。勤勉家。18歳で都の大学に入りますがそこでの勉学にあきたらず、山林での過酷な修行に励み仏教に開眼します。

その後、名前を空海とあらため、遣唐留学生となります。密教の頂点に立つ恵果阿闍梨と師弟関係を結び、20年務めなければならなかった留学期間を2年で終え、真言密教の奥義を3ヶ月で習得します。

渡唐から2年後、帰国した空海は国内を旅し、密教の教えを広めました。

満濃池の治水工事で、空海は民衆を鼓舞し、ひたすら祈ります。また、空海の弟子となった最澄(加藤剛)に密教の本質を短期間で教えることを断わります。それに相応しい信念が最澄にたりなかったからです。最澄の愛弟子・泰範(佐藤祐介)が最澄を離れて空海を師に選択するのは自然の成り行きでした。

密教は経典を読解するだけではその本質を究めることができず、実践と経験をふんで全身全霊で理解しなければならないものです。最澄にはそれがのみこめなかったのです。
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フリッツ・ラング監督「飾窓の女(The Woman in the Window)」(アメリカ、1944年、99分)☆☆☆★

2021-02-02 20:12:58 | アメリカ・1940年~


映画らしい気の利いたストーリー展開、張り巡らされた伏線で映画史上に残る犯罪サスペンスドラマです。

犯罪心理学専門の初老の主人公、リチャード・ウォンリー教授(エドワード・G・ロビンソン)がクラブで杯を重ね、酩酊しつつ街角のショーウインドウに飾ってある女性の肖像画を眺めています。気がつくとそのモデルであるアリス(ジョーン・ベネット)が教授の横にたっていました。ふたりは二次会に。教授は誘われるままに女性の自宅を訪れます。

そこで事件が起こります。女性に恋心を抱く男が突然、乱入してきて、嫉妬心から教授を襲います。女性が手渡してくれたハサミで教授は・・・。明らかに正当防衛でした。しかし、状況はふたりに不利だったので、警察に連絡することなく、教授は車で遺体を運び雑木林に遺棄します。

霧にかすむ深夜の街角、タバコの火をもとめる運命の女性、雨のなかの雑木林での死体遺棄、凄腕の刑事、追い詰められる教授の心理。そして、どんでんがえし。旧い作品ですが映画ファンを唸らせます。
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