
文化大革命のもとでの若い男女の淡い恋を描いた作品。
主要舞台は西坪(シーピン)。
「毛語録」「紅衛兵」「走資派」「下方」などの言葉が飛び交います。
タイトルにある「さんざし」は、この作品のなかに時々象徴的にでてくる樹とその実です。
主人公のひとりは都市の高校生である静秋(周冬雨、チョウ・ドン・ユィ)。文化大革命下の教育の一環として、農村にホームステイします。その村には「英雄の樹」と呼ばれるサンザシの樹があり赤い花を咲かせますが、それは抗日戦争で斃れた志士たちの血の象徴です。
静秋が身をよせた農家には、地質調査隊の一員として村を訪れていた青年、孫建新(竇驍、ショーン・ドウ)が同居していました。あたかもその家の三男のようで、「老三」(三番目の兄の意)と呼ばれていました。孫は共産党幹部の息子で、経済的にゆとりがありました。一方の静秋は父親が労働改造所送りとなり、母親は教師の「走資派」との批判を受け職場で再教育を受けていました。
静秋は母親から過失無く教師としての職を目指すようさとされて育ってきました。
静秋と孫は徐々に心を通わせ、母親の目を盗んではひっそりと会うようになります。
やがて、静秋は教師として仮採用となりますが、並行して休暇中には自らきつい労働を志願します。孫は彼女を経済的にも支援しますが、とうとう静秋の母に見つかり二人は距離を置くよう説得されるのですが・・・。