シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

アレクサンドル・プトゥシコ監督「石の花(Каменный цветок)」(ソ連、1948年、80分)☆☆☆

2021-01-30 20:13:16 | ロシア・ソ連


ウラル地方の民話です。パーヴェル・バジョーフの短編集「孔雀石の小箱」(1939年)を題材に製作された作品です。

戦後日本で公開された最初のカラー映画です。

内容は?

孔雀石細工にかけてはウラル一の名人石工のプロコピイチに弟子入りした牧童のダニールシカ(ダニーラの愛称)。

ある日、ダニールシカが川のほとりで角笛を吹いていると、かたわらにそれにきき惚れている一人の少女がいました。カーチャーです。

彼女は竜の丘で摘んだという美しい花を彼に贈ります。少女の心に打たれたダニールシカはカーチャの花と同じように美しい、生命ある「石の花」を孔雀石に彫りたいと夢見ます。

二人の結婚式の最中、ダニールシカは一年に一度咲く「石の花」を見せてくれるという銅山の女王の声に導かれて、雪深い森に消えてしまいます。

女王は彼に結婚を迫りますが、カーチャを愛している彼は拒絶します。激怒した女王は・・・・。
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周防正行監督「Shall we ダンス?」(配給・東宝、1996年、136分)☆☆☆★

2021-01-30 11:07:12 | 日本・1990年~


ボタン会社の経理課課長で、家庭的に恵まれていた杉山正平(役所広司)。しかし、なぜか物足りない日々。

正平はある日の帰途、電車の車窓から見えるダンス教室の窓辺にたたずむ女性・岸川舞(草刈民代)を眼にとめ、数日後そのダンス教室を訪れ、社交ダンスを習い始めます。

指導はベテランのたま子先生(草村礼子)。数年前から同じ教室を利用していた会社の同僚・青木富夫(竹中直人)、プライドのたかい高橋豊子(渡辺えり子)などの個性的な仲間との交流をとおして、正平は社交ダンスにのめり込んでいきます。また、なぜか心を閉ざしていた舞は、正平のひたむきな姿を見て、次第に心を開いていきます。

他方、急に帰宅が遅くなったことを懸念し正平の妻(原日出子)は、私立探偵(柄本明)を雇って行動調査をはじめます。

舞たちの支援があって、正平はとうとう豊子とペアを組み「東関東アマチュアスポーツダンス大会」に出場します。

さて、その成り行きはいかに・・・。本当のドラマはここから始まります。
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佐藤純彌監督「敦煌(とんこう)」(配給・東宝、1988年、143分)☆☆☆★

2021-01-29 10:59:48 | 日本・1980年~


井上靖による同名歴史小説の映画化です。

舞台は11世紀(宋の時代)のシルクロード。

その中央に位置し、東西文化の交流の地・敦煌での闘いと、男女のロマンを描いた作品です。

趙行徳(佐藤浩市)は、科挙の最終試験受験のため首都・開封府にやってきました。試験問題は「西夏対策を述べよ」。結果は不合格。落ち込んでいた行徳は偶然、西夏出身の女(三田佳子)と出会います。これを切掛けに西夏とその国の文字に関心をもち、この国に向かうものの、途中で
 
西夏の傭兵の漢人部隊に捕獲されます。

部隊々長の朱王礼(西田敏行)は行徳の才能に注目し、書記に抜擢。

やがて西夏とウイグルとの戦闘のなかで、行徳はウイグル王女・ツルピア(中川安奈)と出会い、互いに惹かれます。その矢先、行徳は西夏の首都へ留学を命じられます。

留学期間が延び、やっと西夏に戻ると、皇太子李元昊(渡瀬恒彦)がツルピアと結婚する予定になっていました。結婚に本意でないツルピアは、婚礼の席で李元昊の刺殺をはかりますが失敗。城壁から身投げします。

李元昊に反感を募らせる朱王礼は、元昊の敦煌入城を機に反乱をおこし、壮絶な戦闘。大混乱に陥る敦煌の文化遺産を戦乱から守るため、行徳は書籍や経典を石窟寺院に運びだしますが・・・。
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新藤兼人監督「落葉樹」(配給・近代映画協会、1986年、105分)☆☆☆★

2021-01-28 11:03:53 | 日本・1980年~


監督の自伝的作品です。舞台は冬の蓼科高原、広島。

初老の作家(小林桂樹)は、子どもの頃の自分(山中一希)を回想します。家族は父(財津一郎)、母(乙羽信子)、兄(川道信介)、2人の姉(園みどり、若葉しおり)。

家族は先祖から継いだ田畑を保有し、それなりに裕福です。懐かしい思い出が目に浮かびます。楽しい正月。母との峠越え。海水浴。

しかし、父は他人の借金の保証人となり、会社をたたむことになります。このことが、一家離散の原因となります。

返済のために家族は父に土地を手放すことを勧めますが、頑として聞き入れられません。それに我慢ができず、兄は親子げんかの末、家を出て行ってしまいます。

どうにも立ちゆかなくなり土地を売り、その場をしのぎますが、焼け石に水。借金は増え続けます。上の姉は家計を助けるため、アメリカ移民と結婚します。

母は家が残っている間に兄を結婚させようと、屋敷で盛大な婚礼を執り行います。しかし、ついに家を手放す日が・・・。

「ハルさん、ご飯じゃけん、早うかえりんしゃい」、母の声が老人の胸中にこだまします。
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若松節郎監督「柘榴坂の仇討ち」(配給・松竹、2014年、119分)☆☆☆☆

2021-01-28 10:56:57 | 日本・2000年~


浅田次郎による同名の小説の映画化です。
 
安政7年3月3日、雪が降りしきる朝、開国を唱える井伊直弼大老は、尊王攘夷を掲げる水戸藩の脱藩浪士15人と薩摩脱藩浪士1名人に暗殺されました。世に言う桜田騒動です。
 
大老・井伊直弼(中村吉衛門)を護衛する重役を担っていた志村金吾(中井貴一)はその責任をとらされますが、切腹は許されず暗殺に加わった浪士の誰でもひとりを仇討ちを命ぜられます。
 
主君を敬愛する金吾は、13年の間、刺客を探し続けます。妻セツ(広末涼子)は酌婦となり、金吾を陰で支え続けます。
 
時代は明治に入り、維新、帯刀禁止令、廃藩置県によって藩がつぶれ、多くの武士が浪人となりました。世の中が動転し、人々は価値観、考え方の転換が迫られていました。しかし、人間の生活感、価値観はそんなにたやすく変えられるものではありません。金吾は髷もおとさず、武士の心、忠義の精神を持ち続けました。
時がたち、金吾は車夫に身をやつした直吉こと佐橋十兵衛 (阿部寛)に出会います。それは奇しくも仇討ち禁止令が出たその日のことでした。
 
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エリア・カザン監督「欲望という名の電車」(アメリカ、1951年、122分)☆☆☆☆

2021-01-28 10:14:28 | アメリカ・1950年~


テネシー・ウィリアムズの同名戯曲の映画化です。

舞台は労働者の街、ニュー・オ-リンズのうらぶれた下町。雰囲気がよく出ています。

ストーリーは?

Desire(欲望通り行き)の路面電車から、孤独な未亡人ブランチ・デュボワ(ビビアン・リー)が降り立ちました。

南部の町の、今ではすっかり傾いた名家に生まれたブランチは、家族の看護や葬儀などで財産を使い果たし、身一つで妹のステラ(キム・ハンター)を頼って来たのです。しかし、妹の夫・スタンリー(マーロン・ブランド)は貧しい職工で、住んでいる家はたった二間のアパートでした。

ブランチの言動は、情緒不安定で上品ぶります。それがいちいち気に障るスタンリー。ブランチも、粗野で暴力をふるうスタンリーを嫌い、一緒に家を出ようとステラに訴えます。だがステラは、自分を愛してくれるスタンリーから離れられません。

心の平静を失いかけながらも、スタンリーの同僚であるミッチとの結婚に望みをかけるブランチ。ミッチに荒んだ過去を知られ、ブランチの精神は崩壊し・・・。

この作品はアカデミー作品賞こそ逃しましたが、ビビアンは主演女優賞、キム・ハンターは助演女優賞、ミッチ役のカール・マルデンは助演男優賞を受賞しました。

マーロン・ブランドは主演男優賞にノミネートされましたが受賞はならず、その受賞は3年後の「波止場」(エリア・カザン監督)まで待つことになります。
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山本薩夫監督「白い巨塔」(大映、1966年、149分)☆☆☆★

2021-01-26 11:46:19 | 日本・1960年~
医学界の内幕を暴いた山崎豊子による同名小説の映画化です。

ストーリーの柱は、浪速大学医学部・第一外科の教授ポストをめぐる争いです。このポストにあった東教授(東野栄治郎)の退官が迫り、後任人事が日程にあがっていました。

本命は同じ第一科の財前助教授(田宮二郎)。外科手術では斯界の第一人者で、その技術の高さはマスコミでもとりあがられていました。欠点は自己中心主義で、医局でも人望がないことです。東教授は彼のその性格を嫌い、後任人事には別の人材を考えていました。

この教授人事は人事委員会で候補を選び、教授会の投票で決めます。財前助教授の他に、他大学から対立候補がでます。それぞれが懸命の票読み。利権と役得をちらつかせ、札束がとぶ悪質な選挙運動が展開されます。

この時期、財前教授は内臓に疾患をかかえた患者をかかえていました。患部の診断をめぐって、断層写真をとって慎重を期すべしとする里見助教授(田村高広)とその必要を認めない財前教授とで対立し、財前は自分の見解を押し通して手術を決行します。しかし、患者は急死し、財前の誤診が社会的問題となります。

教授ポストをめぐる政治的駆け引き、誤診を理由に家族から提訴され、財前は窮地に陥ります。迫力あるストーリー展開です。
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アルフレッド・ヒッチコック監督「汚名」(アメリカ、1946年、101分)☆☆☆★

2021-01-24 23:46:48 | アメリカ・1940年~


主要な舞台は、戦争直後のブラジル・リオです。

ブラジルに潜伏したナチ残党を追う捜査官と、彼にスパイとして協力した女性を描いたサスペンスドラマです。

父親がナチスのスパイと判決をうけ、世間から疎まれていたアリシア・ヒューバーマン(イングリット・バーグマン)に、捜査官T・R・デヴリン(ケーリー・グラント)が接近します。

デヴリンはアリシアに、大戦後にブラジルに逃亡したナチ党の残党を追うことに協力をもとめます。彼女は反発しますが、母親の生まれた米国への愛国心から協力することにします。行動をともにする二人は惹かれ合うようになります。

リオに着いた二人に対する指令は、ナチの支援者・セバスチャン(クロード・レインズ)に、アリシアがハニートラップを仕掛け、情報を得るというものでした。デヴリンは動揺します。

アリシアが父親の友人でかねてからアリシアに想いを寄せていたセバスチャンを籠絡するのは容易でした。情報収集は順調に進みますが・・・。ここからがハラハラドキドキの連続です。

アリシアがセバスチャンの邸宅のワインセラーの鍵を盗みデヴリンがその鍵を使ってウラニウムの詰まったワインボトを発見したり、アリシアの飲む珈琲に毒が盛られ死線をさまよったり・・・。
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ジャック・ドゥミ監督「ロバと王女」(フランス、1970年、90分)☆☆★★

2021-01-24 22:03:47 | フランス


シャルル・ペローによる童話「ロバの皮」の映画化です。

王(ジャン・マレー)はいまわの際の王妃の遺言を聞きます。それは彼女と同等以上の美貌と美徳を備えた女性とでしか再婚しないでほしいという願いでした。

側近が再婚相手を次々に紹介しますが相応しい女性はあらわれません。王は亡き王妃との約束を守るには娘である王女(カトリーヌ・ドヌープ)しかいないと考えます。

リラの精は、それは不道徳なことと、王女を説得します。近親婚を避けるため、王女はロバの皮を身にまとって王国を脱出します。

「ロバの皮」を身にまとった王女は、ある国で豚飼いとして雇われます。その国の王子(ジャック・ペラン)が森小屋にいる王女に一目惚れします。

恋の病にかかった王子は、病床から健康回復のためにお菓子を焼いてくれるよう、「ロバの皮」に頼みます。彼女はケーキの中に自分の指輪を入れて焼き、王子はそれを発見します。王子はその指輪がぴったりと合う女性を姫にむかえる、と宣言します。

指輪がピタリとあう女性は見つかったのでしょうか?
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アルフレッド・ヒッチコック監督「レベッカ」(アメリカ、1940年、131分)☆☆☆★★

2021-01-23 21:49:37 | アメリカ・1940年~


「レベッカ」は本作品の主演マキシムの先妻の名前です。亡くなっているので登場しませんが、彼女の暗黙の存在がこの作品のバックボーンになっています。

舞台は英国コーンウォル海岸近くのマンダレイという荘園。

「わたし(キャロライン)」(ジョーン・フォンテーン)はモンテカルロでイギリスの紳士マキシム(ロウレンス・オリヴィエ)と知り合い、口説かれ、結婚。豪邸マンダレイに住むことになります。先妻・レベッカは死亡しています。家事一切をしきっていたのは、以前からの召使い・ダンヴァース夫人(ジュディス・アンダーソン)でした。

邸宅には先妻レベッカの影が、潜んでいます。「わたし(キャロライン)」はレベッカの影に精神的に追いつめられ、悩みます。彼女は鬱々とした日々を送っています。

「わたし(キャロライン)」は仮装舞踏会を思いつき、マキシムに提案します。不承不承受け入れたマキシム。当日、嵐が到来。邸宅の近くの海浜で、船が難破します。救難作業の結果、海底に沈んでいたレベッカのヨットがみつかり、あろうことか船中のレベッカの死体が発見されました。

この後レベッカの死をめぐって(自殺か他殺か)、ストーリーはサスペンスタッチで急展開します。
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テイラー・ハックフォード監督「ホワイト・ナイツ(白夜)」(アメリカ、1985年、136分)☆☆☆★★

2021-01-23 21:46:34 | アメリカ・1980年~
 
「芸術のために母国(ソ連)を捨て米国に亡命した男性バレーダンサー」と、「母国(米国)を捨てソ連に亡命したベトナム戦争脱走兵の黒人タップダンサー」との出会い、確執、友情を描いた作品です。

舞台の中心はレニングラード。

ニコライ(ミハイル・バリシニコフ)はソ連から米国に亡命した世界的バレーダンサーでした。公演のための東京行きの飛行機がエンジン故障をおこし、シベリアに不時着します。ニコライはKGB幹部のチャイコ大佐(イエジー・スコリモフスキ)に、逮捕されます。

チャイコ大佐は、ソ連に亡命したタップダンサー、レイモンド(グレゴリーハインズ)をニコライにつけレニングラードへ送ります。目的は、キーロフ・バレエの公演にニコライを出演させることでした。

二人の女性が絡みます。ひとりは、レイモンドの妻のダーリャ(イザベラ・ロッセリーニ)。妊娠していた彼女は、自由のないソ連からの脱出を切望しています。もうひとりは、かつてニコライの恋人でもあったガリーナ(ヘレン・ミレン)。チャイコ大佐の目的をニコライに理解させる役をまかされていました。

結末は意外にも・・・。
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バリー・レヴィソン監督「わが心のボルチモア」(アメリカ、1990年、127分)☆☆☆★★

2021-01-21 22:06:39 | アメリカ・1990年~


20世紀初頭のアメリカに移住してきたロシア系ユダヤ人家族の物語です。

舞台は1914年以降のメリーランド州ボルチモア。

東欧育ちのサム・クリチンスキー(アーミン・ミューラー)が初めてアメリカの土地を踏んだのは1914年の独立記念日でした。

サムは孫たちに昔の苦労話、自慢話をするのがすきでした。話の中身は、一足先に渡米していたゲイブリエルら兄弟が壁紙職人としてボルチモアのアバロン通りに定住していたこと、同じ移民の妻のエヴァ(ジョーン・プローライト)と結婚し息子ジュールス(アイダン・クイン)が生まれたこと、その息子と妻アン(エリザベス・パーキンス)との間にサムの孫マイケル(イライジャ・ウッド)が誕生したことなど、です。

ジュールスは従兄のイジー(ケヴィン・ポラック)と、TVのディスカウント・ショップを開きます。それが成功して、大型家電デパートK&Kへ発展。

家庭ではアンと姑のエヴァの確執がありましたが、アンは2人目の子供を生みます。感謝祭の晩の一族の家族会でのトラブル、収容所から奇跡の生還を果たしたエヴァの弟のシムカの家族との同居、K&Kの漏電による全焼、闘病生活を続けていたエヴァの他界。

サムの、そしてジュールスのアメリカン・ドリームが崩れていきますが・・・。
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イワン・プィリエフ監督「シベリア物語」(ソ連、1948年、114分)☆☆☆☆

2021-01-20 20:33:25 | ロシア・ソ連
 
戦後、日本で放映され歌声運動の展開、ロシア民謡の普及の火付け役になりました。「♪バイカル湖のほとり♬」は特に有名です。

「シベリア」はかつて「シベリア流刑」「シベリア抑留」の言葉に象徴されたように、マイナスイメージが強いものでした。この映画はそれを払拭したシベリア賛歌です。背景に、戦後シベリアの開発と工場建設が進んだことがあります。

ピアニストとしての将来を嘱望されていたアンドレイ(ウラジミール・ドルジニコフ)は、大祖国戦争で手を負傷し、ピアニスト生命を絶たれました。絶望のあまり、恋人のソプラノ歌手ナターシャ(マリーナ・ラディニナ)をモスクワに置いてひとり故郷のシベリアに戻ります。

しかし、そこで戦後復興の意気に燃える現地の人々や、同じ隊にいた女性元兵士・ナスチャ(ヴェーラ・ワシリェーヴァ)、ロシア民謡から生きる希望を取り戻します。そして、オラトリオ『シベリアの大地の物語』を作曲し、歌います。

ナターシャは、このステージの観客席でアンドレイの歌を聴いていました。ふたりは・・・

シベリアの大地の景観が見事です。とくにバイカル湖の美しさが光ります。

多くの歌が挿入されていて、それだけでも楽しいです。
・「シベリア大地の歌」(イェヴゲーニィ・ドルマトフスキー作詞、ニコライ・クリュコフ作曲)
・「シベリア賛歌」(イェヴゲーニィ・ドルマトフスキー作詞、ニコライ・クリュコフ作曲)
・「バイカル湖のほとり」(シベリア民謡)
・「君知りて」(ロシア民謡)
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ポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」(韓国、2019年、132分)☆☆☆☆

2021-01-18 22:20:45 | 韓国


パラサイトの意味は「寄生虫」です。

舞台はソウル。

貧富の差が大きい韓国。

この作品には、半地下の住居に住み、毎日の食事もままならない「キム家」と有名建築家が建てた豪邸で暮らす「パク家」が登場します。

予備校に通う「キム家」のギウ(チェ・ウシク)が友人の依頼で「パク家」のダヘ(チョン・ジン)の家庭教師となるところから、ストーリーは始まります。「パク」家はエリートサラリーマン、ドンイク(イ・ソンキョン)とその妻・ヨンギョ(チョ・ヨジョン)と娘・ダヘ、末っ子のダソン(チョン・ヒンジュン)の4人構成。

ヨンギョは挙動に落ち着きがないが絵画に才能があるようなので、その関係の家庭教師を捜していました。ダヘは自分の姉・ギジョン(パク・ソダム)を紹介します。そしてあろうことか、ヨンギョは「パク家」専属の運転手、家政婦をやめさせ、父親のギデク(ソン・ガンホ)、母親のギウ(チェ・ウシク)を送り込みます。いわば、極貧の「キム家」による富裕な「パク家」の乗っ取りです。

「パク家」の豪邸には広大な空間の秘密「地下」があり、ドンデン返しの伏線となります。そして末っ子ダソンの誕生会が盛大に開催されますが・・・。

凄まじく、挑戦的(鑑賞者に対して)な韓国映画の典型です。
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フェデリコ・フェリーニ監督「道(La Strada)」(イタリア、1954年、107分)☆☆☆☆★

2021-01-17 22:17:18 | イタリア


サーカス芸人の世界に憧憬をもつフェリーニが描いた、大道芸人の侘しい放浪生活の物語です。

粗野な大道芸人のザンバノ(アンソニー・クイン)は、ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)という頭が弱いが心優しいと旅から旅への生活をしています。ジェルソミーナはザンバノからひどい扱いを受けますが、綱渡りの青年、イル・マット(リチャード・ベイスハート)と出会い、心の安らぎを得ます。

しかし、イル・マットとザンバノは犬猿の仲です。そして、ザンバノはあろうことかはずみとはいえ、イル・マットをあやめてしまいます。以来、純粋無垢なジェルソミーナは、泣いてばかり。ザンバノは何の役にも立たたなくなった彼女を置き去りにし、ひとり立ち去ります。

数年後・・・。見知らぬ海辺の町に立ち寄ったザンパノは、耳慣れた歌を耳にしました。それはジェルソミーナがかつてラッパで吹いていた曲でした。彼女はどうしたのでしょうか?

海岸にやってきたザンパノは天を仰ぎ地に突っ伏して号泣する。哀しいラストです。
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