山崎豊子による同名の小説の映画化です。
政財界にまたがる富と権力をめぐる人間の野望と愛憎を、大富豪の銀行家一族の閨閥(けいばつ)に焦点を絞って明るみにした作品です。
阪神銀行の頭取・万俵大介(佐分利信)は、関西財界にその名をとどろかせる万俵一族の中心人物です。子息を次々と政財界の大物と結婚させ、その勢力を広げていました。人脈の形成は、磐石なものとなりつつありました。
そうは言っても、金融再編成がさわがれる中、大介の心中は穏やかではありません。そこで、彼は預金第10位の自行を他行と合併させる一手をもくろみ、長女・一子(香川京子)の夫である大蔵省主計局次長・美馬(田宮二郎)から極秘情報を得ます。
こうしたもくろみの下工作で辣腕をふるっていたのは、長く家庭教師兼執事を務める高須相子(京マチ子)です。
しかし、一族の歯車は徐々に狂い始めます……。