シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

ベルナルド・ベルトリッチ監督「シェルタリング・スカイ(The Sheltering Sky)」(イギリス、1990年、138分)☆☆☆☆

2022-01-31 23:30:05 | イギリス


砂漠につらなるラクダの隊商、北アフリカの風景、映像美がすばらしいです。音楽の担当に坂本龍一さんが参加しています。

舞台は第二次世界大戦後まもなくの1947年、北アフリカ。

NYからモロッコの港湾都市・タンジールにやって来た作曲家のポート・モレスビー(ジョン・マルコヴィッチ)とその妻で劇作家のキット(デブラ・ウィンガー)。彼らの旅の目的は、互いの間に生まれた喪失感を癒すためでした。同伴するのは、ポートが連れてきた自称ビジネ
スマンのタナー(キャンベル・スコット)。

結婚して10年、夫との間にわだかまりを抱えたキットに、タナーは想いをよせます。

やがて3人は次の目的地に向かいます。ホテルで同宿したイギリスの旅行案内のライター、ライル夫人とその息子エリックと同じ車に乗ったポート。キットとタナーは別行動で汽車に乗ります。そして彼らは一夜を共に。

しかし、アフリカ奥地の風土に嫌気がさしたタナーは別の土地へ向かい、二人になったポートとキットは彼らの心の虚無を象徴するアフリカの蒼穹の下で、ひととき愛を確認しますがそれもつかの間、ポートはチフスにかかり、死をむかえます。

一人になったキットの旅は続き、アラブ人の隊商のなかに身を潜めます。そんな彼女の行方を探すタナーは、彼女をようやく探しあてタンジールへ連れ戻しますが・・・。
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ジョン・フォード監督「わが谷は緑なりき(How Green was My Valley)」(アメリカ,1941年)☆☆☆☆★

2022-01-30 09:37:10 | アメリカ・1940年~


「母のショールに荷物をつつみ,二度と戻ることはないであろう,そして50年前の思い出が眠る谷を離れようとしている」。ヒューの語りで,始まる。舞台は19世紀末のウェールズの炭鉱。ロンダ渓谷のあたりである。

末っ子のヒュー,兄であるイヴォール(パトリック・ノウルズ),イアント,デビー,オーエン,ギルムJr,姉であるアンハラードの七人の子を持つモーガン家は,炭鉱夫一家。ヒュー少年の目から見た彼らの苦しくとも人間味溢れる生活の様子がきめこまかく描かれ,姉とグリュ

フィド牧師との愛の行方というもうひとつのテーマがある。

原作はウェールズで生まれたリチャード・ルーウェリンが1939年に公にした小説。

常に事故と隣あわせの過酷な労働条件にある炭鉱労働者の生活と,そこに生きる人々の生活と人生を深い愛情で見つめたジョン・フォードの傑作である。

賛美歌と炭鉱夫が歌うコーラスを取り入れた音楽の使い方が見事。
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グリゴリー・チュフライ監督「誓いの休暇 (Валлада о солдате)」(ソ連、1959年)☆☆☆☆

2022-01-29 14:38:15 | ロシア・ソ連


19才の少年兵アリョーシャの物語です。原題は「兵士のバラード」。

通信兵として前線に赴き、初めての戦闘で敵の戦車二台を炎上させる手柄をたてた少年兵アリョーシャ(ウラジーミル・イワショフ)は、一躍英雄となり褒賞として六日間(往復四日、故郷の家屋の屋根修理で二日)の休暇を許されました。

その四日間の出来事です。アリョーシャは早く戻って母が住む家屋の屋根修理をしてあげたいと必死です。しかし、途中で予期できない思わぬことが次々と起こります。

途中の駅で女の子シューラ(ジャンナ・プロホレンコ)が乗って来て、自己紹介をし、配給品を一緒に食べたりしているうちに、二人はしだいに心が打ち解け、仲良くなっていきます。しかし、二人の運命は?

故郷にあと十㌔あまりに近づいたところで列車は砲撃にあい、大破され、火災がおこります。アリョーシャは子どもたちの救出にあたります。

トラック運転手に同乗させてもらい、漸く故郷についた時には屋根の修理のいとまは全くありませんでした。アリョーシャは野良仕事から駆けつけた母としっかり無言で抱き合い、おみやげのスカーフをわたします。

独ソ戦のさなか、一少年兵の休暇の出来事、人間性を素朴に訴えて感銘を与えた佳品です。監督のチュフライは、ヒロイズムを基準に人間を測るのではなく、戦果をあげた少年が普通の優しい思いやりの心を持った純朴な人間であるのだということだけを描き、人々の共感をえました。
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アンドレイ・タルコフスキー監督「僕の村は戦場だった(Иваново детство)」(ソ連、1962年)

2022-01-27 10:00:00 | ロシア・ソ連

1959年発表のベストセラー小説、ウラジーミル・ボゴモーロフの短篇「イワン」の映画化です。当時30歳のタルコフスキーの長編処女作です。
 
開巻、美しい緑の森からはカッコーの鳴く声がこだましています。蝶が舞い、牧歌的な田舎の風景が映し出されます。
 
独ソ戦で両親を失った12才の少年イワンはナチスに対する憎しみに燃え、周囲がとめるのもきかず、かたくなに偵察行動に参加することを申し出ます。
 
そのイワンは任務の最中、勝利の事実を知ることもなく、ドイツ兵に捕まり、幼い命を落としてしまいます。
 
少年イワンが命を犠牲にせざるを得なかった悲しい事実が、少年の記憶に残る平和な日々を綴る詩情豊かで美しい回想シーンと対照されて実にリアルに描かれています。
 
戦争を背景に描かれた映画ですが、戦闘シーンはなく、逆に戦闘の合間の時間と空間を重視することで、戦争の悲惨さを強烈に映します。
戦争がもたらした不条理をモチーフにしながら、同じテーマの他の作品には見られない瑞々しさは、大きな感動と反響を呼びました。
 
第23回(1962年)ベネチア映画祭金獅子賞、サンフランシスコ映画祭監督賞。
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ステファヌ・プリザ監督「女の一生(Une vie)」(フランス、2016年、119分)☆☆☆★

2022-01-26 21:50:15 | フランス


原作はモーパッサンによる同名小説です。

舞台は19世紀初期のノルマンディー。

男爵家の一人娘ジャンヌ(ジュディット・シュムラ)は、17歳まで修道院の寄宿学校で教育を受け、家に戻ってきました。

清純な乙女のジャンヌは、父(ジャン=ピエール・ダルッサン)を訪ねてきた子爵ジュリアン・ド・ラマール(スワン・アルロー)と打ち解け、ほどなく子爵と結婚。

彼女の生活は希望に満ちていました。ところがジュリアンは放蕩者で、あろうことか彼女の乳姉妹、女中のロザリ(ニナ・ミュリス)を妊娠させます。

ロザリは屋敷を追われます。ジュリアンの気持ちは落ち着きを取り戻したかにみえましたが、今度は友人のフルヴィル伯爵の妻と関係を持ちます。不倫に怒った伯爵がライフル銃でふたりに向け発砲、自死。絶望に突き落とされたジャンヌ。

母(ヨランド・モロー)の死、溺愛した息子ポール(フィネガン・オールドフィールド)の放蕩による裏切りで苦難の道を歩み、ついには財産のほとんどを失います。ジャンヌの人生に対する夢は打ち砕かれます。

ロザリがジャンヌのもとに戻ってきて、ジャンヌを励まし、ラストでロンドンから孫をつれてくるのですが・・・。

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パトリス・ルコント監督「髪結いの亭主(La Mari de la Coiffuse)」(フランス,1990年)☆☆☆☆

2022-01-24 22:00:40 | フランス


女性の理髪師にあこがれた少年が成人して、謎に満ちた美しい女理髪師との結婚を実現し、その奇妙な顛末を描いた作品。

12才の少年アントワーヌは,床屋に行くのが大好き。いきつけの床屋は男性専用でアルザス出身の少し太めの美女シェーファー夫人が経営する。客のひげをそる夫人の胸許に見える豊かな乳房。性への目覚め。少年はその衝動を,甘く香しいローションに,化粧水の香に,彼女の体臭に感じた。彼は大人になったら女性の床屋さんと結婚し,髪結いの亭主になりたいと夢見た。その物言いは父親をいたく怒らせた。

成人したアントワーヌ(ジャン・ロシュフォール)はある床屋の店を訪れ,美しい女性理容師マチルド(アンナ・ガリエラ)に出会う。一目で彼女を見初めた彼は,いきなりプロポーズ。一端は軽くあしらわれたが,再びその店に出向く。プロポーズ,結婚。そして・・・。
性愛とともにある精神的な愛。彼女が夫を求める姿に性愛の深さが示されている。彼女は、突然、自死することで永遠の精神的な愛を飛翔させる。

豊饒な悦楽の後の深い哀しみを独特の美学に結晶させた作品として記憶に残る。
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ジャン・ルノワール監督「フレンチ・カンカン」(フランス、1955年)☆☆☆☆★★

2022-01-23 23:33:59 | フランス


ナチスから逃れて長くハリウッドにとどまったジャン・ルノワール監督(有名な画家のルノワールの息子)が帰国後、最初に着手した作品です。
フレンチ・カンカンは、19世紀後半にパリで人気を呼んだショーダンスの一種です。速いテンポの二拍子、または四拍子の曲にのって女性がスカートをたくし上げ脚を交互にあげたり、開いたり、随所に見せ場をつくりながら踊ります。とにかく華麗で激しい踊りです。この映画の舞台であるモンマントルにあるムーラン・ルージュは、パリ万国博覧会のあった1889年にオープンしました。現在も花の都パリの名所です。

この作品は、ベル・エポック(良き時代)にパリでカンカンの殿堂であるムーラン・ルージュを開業した興業主ダングラール(ジャン・ギャバン)を主役に、踊り子同士の確執をおりまぜたものです。

ダングラールは、ムーラン・ルージュの創始者、シャルル・ジードレルがモデルですが、ルノワール監督は実像に拘泥せず、フリーハンドでこの映画を作りました。

舞台は19世紀後半のパリ。ダングラールは下町のダンス・ホール「白い女王」で妖精のように踊るニニ(フランソワーズ・アルヌール)を見こみ、彼女をダンサーとしてスカウトします。そして、カンカンを売り物とした殿堂の開業準備を進めます。話はそこから始まります。

カラフルな画面。登場するシャンソン歌手の歌を楽しめます。エディット・ピアフ、パタシュ、アンドレ・クラボなどなど。これぞフランスとでもいうべき雰囲気が横溢しています。陽気で明るいフランス人気質もよく出ています。
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マーク・ペリントン監督「あなたの旅立ち、綴ります(The Last Word)」(アメリカ、2017年、108分)☆☆☆★

2022-01-22 23:47:45 | アメリカ・2000年~


「訃報」記事を女性記者に依頼した老女、それが切掛で結ばれれた友情をユーモアたっぷりに描いた作品。

「アパートの鍵、貸します」のあのシャーリー・マックレーンが80歳を過ぎ、凄みをまじえた円熟の演技。

ビジネス世界で成功を収めた女性・ハリエット・ローラー(シャーリー・マックレーン)。悠々自適な老後を過ごしていましたが、自己中心的気質は現役の頃そのままでした。

それでも、彼女は心臓に疾患があり、老い先が短いことを悟ります。ローラーは自分の訃報記事をも理想の形でまとめたいと思いたち、若い女性記者、アン・シャーマン(アマンダ・セイフライド)を雇い、訃報記事を書かせようとします。彼女のことを何も知らないアンは、取材を始めます。

しかし、ローラーの知人で、彼女のことをよく言う人は一人もいず、記事ができあがりません。彼女はやむなくアンに自らの人生を語り、それをもとに訃報記事を書くように示唆します。アンとのやり取りを通して自分の人生に瑕疵があったことを痛感したローラーは、施設の支援を受けている少女・ブレンダの後見人になり、DJとして働くことで、自分を変えようと努力しました。

そんな彼女の懸命な姿は若いアンの生き方、考え方に影響を与えます。ローラーとアンは年齢を超えた友情を感じるのですが・・・。
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ジョン・ウェルズ監督「8月の家族たち(The Oklahoma Kid)」(アメリカ、2013年、120分)☆☆☆☆

2022-01-21 23:18:24 | アメリカ・2000年~
 
家族の確執、葛藤をテーマにした映画は多いです。なかでもシビアなのがこの作品。母と娘のぶつかり会い、口論の激しさ、明かされた秘密の深刻さで、圧倒されます。

メリル・ストリーブがゴッドファーザーならぬゴッドマザー的な存在感、ジュリア・ロバーツの激昂ブリが凄いです。

舞台はオクラホマ州の片田舎。

主要な登場人物は、ベバリー(サム・シェパード)の妻・バイオレット(メリル・ストリーブ)、長女・バーバラ(ジュリア・ロバーツ)、次女・アイビー(ジュリアンヌ・ニコルソン)、三女・カレン(ジュリエット・ルイス)の三姉妹です。
バイオレットは、口腔癌を患い、薬依存症で、精神不安定です。気が強く、毒舌家です。
バーバラは真面目すぎて暴走する性格。夫・ビル(ユアン・マグレガー)が浮気をしたことが理由で別居中です。反抗期の娘がひとり。
アイビーは独身。しかし、秘密の恋をしている様子です。
カレンは自由奔放な性格。とにかくおしゃべり。婚約者がいます。
他に叔父・チャールズ(クリス・クーパー)と叔母・マティ(マーゴ・マーティンデイル)。

父親・バベリーが失踪し、その後溺死体で発見されます。失踪を知り、その後の葬儀のため実家に集まった彼ら。話は複雑に展開していきます。

お互いに本音をぶつけ合います。その結果、ありえない事実が次々と明るみに・・・。


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ロイド・ベーコン監督「オクラホマ・キッド(The Oklahoma Kid)」(アメリカ、1939年、85分)☆☆☆

2022-01-20 23:25:58 | アメリカ・戦前


1893年オクラホマの土地が、政府によって解放され、開拓者が募られていた頃というのが時代背景で、アメリカの歴史の一断面をリアルに描いています。(暗黒部分は批判的に直視しなければなりません)

われ先にと殺到した開拓者のなかにジョン・キンケイド(ハーヴェイ・スティーブンス)と長男・ネッド(ヒュー・サザン)、判事・ハードウィック(ドナルド・クリスプ)とその娘・ジェーン(ローズメリー・レーン【画像・右下】)がいました。そのなかで暗躍していたのが、ホイップ・マッコード(ハンフリー・ボガート)とその一味です。

野営の火を囲んでネッドたちが踊っていた時、マッコード一味が彼らに襲いかかり、金の入った袋を略奪します。ところが、オクラホマ・キッド(ジェームス・ギャグニー)の異名をもつ無法者があらわれ、彼らからその金を奪います。対立する一味とキッド。

その後、町は徐々に発展しますが、賭博場もできそこをしきるマッコード一味がさまざまな悪事を働き始めました。

ジョン・キンケイドは法の支配による町作りのために市長に立候補したものの、マッコードの悪巧みにかっかって投獄されます。

作品の後半になってわかるのですが、オクラホマ・キッドは、ジョンの息子(次男)でした。わけあって父との確執があり無頼の生活に身をおとしていました。マッコードの悪巧みに激怒し父を助け出そうとしますが・・・。
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アニュス・ヴァルダ監督「5時から7時までのクレオ(Cléo de 5 à 7)」(フランス、1961年、90分)☆☆☆★

2022-01-19 23:23:56 | フランス


舞台はパリ市内。

癌の宣告を受けた歌手のクレオ(コリーヌ・マルシャン)。生体組織診断の結果を待つ5時から7時までの行動を現在進行形の形式で活写した映画です。女性監督、アニュス・ヴァルダの初期の作品。

病院での精密検査結果が出るのは7時。刻々と経過する時間。占いや不吉な迷信にたより、カフェで付き添いの中年女性のまえで泣き崩れるクレオ。ショッピングで気を紛らしても気はそぞろ。仕事で多忙な恋人・ジョゼにその不安を打ち明けられません。

作曲家のボブら仕事仲間二人が来宅。音楽で病気を治してやろうとしてもクレオはますます気が滅入るばかり。愛する人の死にまつわる内容の新曲を唄ってみますが、クレオは気が滅入るばかりです。

歌のレッスンを抜け出し、街中をさまよい歩くと、人々の視線がすべて自分に向いているような錯覚に惑わされます。

モデルの仕事をしている友人ドロテに会いにアトリエへ行き、彼女の勧めでドライブをしても気が晴れません。彼女と別れ、モンスリ公園をひとり歩いているとアルジェリアからの帰還兵、アントワヌに話しかけられます。

おしゃべりな見知らぬ男に心を開いたクレオは、彼に付き添われ病院へと向かいますが・・・。
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ジャン・ルノワール監督「草の上の昼食(Le Dejeuner sur I'Herbe)」(フランス、1959年、91分)☆☆☆★

2022-01-19 00:05:13 | フランス
 
ルノワール監督による晩年の喜劇的寓話作品です。一部のシーンで監督の父親で著名な画家であるオーギュスト・ルノワールの家が使われています。

主役は生物学者、エティエンヌ・アレクシイ教授(ポール・ムーリッス)と村の娘、ネネット(カトリーヌ・ルーヴェル)。

人工授精の推奨者である教授は、次期欧州大統領選挙に推薦される人物。ヨーロッパの女王的存在マリ・シャルロットとの婚約発表が間近です。

ネネットは教授の人工授精推進の主張を新聞で知り、その手術で子どもを授かろうと決心。教授の住むルーレイに赴き、とりあえず小間使いに使ってもらうことにしました。同じ頃、職工達がやって来ます。彼らは教授とシャルロットとの婚約を祝うピクニック「草の上の昼食会」の準備におおわらわ。

準備が進む中、突如と強風がまき起ります。吹きとばされまいと木にしがみつく教授をネネットが助けます。数時間たち、教授がふと小川の方を見ると、彼女が無邪気に裸で沐浴していました。気心がわかってきた二人は互いに惹かれていきます。

数日後、理性をとり戻し覚醒した教授は、ホテルでマリ・シャルロットとの婚約披露の段取りに入っていましたが、そこで女中として働いてネネットにばったり会うと・・・。
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是枝裕和監督「真実(La vérité)」(フランス、2019年、108分)☆☆☆☆

2022-01-18 10:40:33 | フランス


大女優によって出版された『真実』と題する自伝本をめぐる虚実錯綜のドラマ作品です。「シェルブールの雨傘」のカトリーヌ・ドヌーブが、貫禄ある女優になって主演をこなしています。

舞台はパリ。

フランス映画界を代表する女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)は、自身のキャリアを綴った自伝を出版しました。タイトルは『真実』。

NYに住む脚本家で娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)は、夫で俳優のハンク(イーサン・ホーク)と出版祝いにかけつけました。
ファビエンヌとリュミールとの関係は、良好ではありません。それというのも、リュミールは出版前に原稿を見せてもらえなかったからです。『真実』を読んだ彼女はその内容に驚きます。事実とかけ離れていたからです。ファビエンヌは、意に介しません。

かつてファビエンヌと同じく女優への道を歩み、夭折した叔母のサラのことにも触れられていません。理由は低予算映画『母の記憶に』に、「サラの再来」と呼ばれる新進女優マノン・ルノワール(マノン・クラヴェル)が主演したのが気に入らなかったからです。

ファビエンヌの元夫ピエール(ロジァー・ヴァン・フール)が彼女のもとに訪ねてきました。ところが、彼も「真実」では死んだことになっていました。

事実と異なることが次々に出てくるため、リュミールは激怒しますが・・・。
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ミケランジェロ・アントニオーニ監督「赤い砂漠(Deserto Rosso)」(イタリア、1961年、116分)☆☆☆★

2022-01-17 10:44:12 | イタリア


「愛の不毛」をテーマに作品を発表し続けたアントニオーニ監督。本作品では若い女性の孤独と苦悩を、色彩豊かな映像で浮かび上がらせます。背景に公害問題が設定されています。この問題に人間はどの様に対処すべきか、監督の問題意識はそこにあります。

舞台はイタリア北部の工業都市ラヴェンナ。無機質な工場地帯の建物群を背景に、ジュリアーナ(モニカ・ベィッティ)は技師の夫・ウーゴ、息子と暮らしています。

彼女は数年前に起こした自動車事故のショックで精神的に苛まれています。

ある日、ジュリアーナは夫から親友のコラド(リチャード・ハリス)を紹介されます。夫のジュリアーナに対する理解、態度は冷めていますが、コラドは彼女をなんとか理解しようと努めます。彼女と同じように孤独な想いを抱えるコラドに彼女は心惹かれ、二人は次第に心の距離を縮めます。

ジュリアーナが異常をきたした原因は? 夫(父親)が息子に与える玩具は、最先端の科学的玩具ばかり。息子が母親のジュリアーナにねだるのは、昔話でした。夫と妻の子どもに対する感覚の違いが、夫婦の心のすれ違いの遠因です。

心を病んだジュリアーナは公害そのもの、公害を発生させ放置するものを忌避します。ラストシーン。煙突を指さして「煙が黄色いね」と言う息子に彼女は・・・。
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マーヴィン・ルロイ監督「キューリー夫人(Madame Curie)」(アメリカ、1943年、124分)☆☆☆★

2022-01-15 22:20:07 | アメリカ・1940年~


キューリー夫人の娘・エーヴ・キュリーによる母の伝記が下敷きです。

舞台はパリ。

パリ・ソルボンヌ大学のペロー教授の講義をきく学生の中にひとりのポーランドの女学生、彼女の名前はマリー・スクロドウスカ(グリア・ガースン)。物理学と数学を専攻していました。単位取得後は故国に帰り教師になるつもりでしたが、教授は彼女に研究者の道を勧め、物理化学部のピエール・キューリー(ウォルター・ピジョン)を紹介します。

内気なピエールは実験室に来る若手研究者が女性としり困惑しますが、次第に彼女の真摯な研究姿勢に尊敬の念を抱きます。

マリーがポーランドに帰郷する日が迫っていました。ピエールは意を決し、マリーに結婚を申し込みます。二人は自転車で新婚旅行に出発。

楽しい幾日かを過ごしましたが、語ることは常に瀝青ウランの不思議な力についてばかりでした。二人はその研究に専心します。ラジウムの分離に甚大な努力を注ぎ、二人はその存在を突き止めます。

大学は実験室を夫妻のために用意します。その落成当日の式典を前に、ピエールはマリーの耳飾りを買いに出かけますが、その帰途・・・。
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