シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

ルキノ・ヴィスコンティ監督「山猫」(イタリア,1963年、161分)☆☆☆☆

2021-04-25 17:42:36 | イタリア


舞台は1860年代のイタリア・シチリア、

イタリア統一運動のなかで時代の流れに抗しえず,歴史の波にのみこまれていく運命をシチリア島の名門貴族サリーナ家と公爵の姿に託して描いた作品です。

1860年5月,イタリア統一のために立ちあがったガリヴァルディ率いる革命軍がシチリア島に上陸。山猫の紋章をもち,島で300年の歴史を誇るサリーナ家は革命の進行に動揺しますが,公爵(バート・ランカスター)は躊躇なく一家を引き連れて,例年の行事である山荘の晩餐会に向かいます。

侯爵の甥のタンクレディ(アラン・ドロン)は最初革命軍に加わりますが,ガリヴァルディが戦死すると王党派の正規軍に身をうつします。出世への野心です。

彼の恋愛の対象は最初,侯爵の娘コンチェッタ(ルチッラ・モルラッキ)でした。その後、晩餐会で出遭った開放的な美女アンジェリカ(クラウディオ・カルディナーレ)に心が移ります。彼女は,成金・カロジェロ(パオロ・ストッパ)の娘で,新興ブルジョアジーの力を象徴する存在でした。

サリーナ公爵は甥の未来のために、家族の反対をよそに、アンジェリカとの結婚を支持します。長く貴族の地位にあったサリーナ公爵にできることは既に,タンクレディとアンジェリカの結婚のサポートでしかなかったのです。
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レニ・リーフェンシュタール監督「美の祭典(Fest Der Schonheit/Olympia Teil Ⅱ)」(ドイツ、1938年、104分)☆☆☆★

2021-04-14 21:16:39 | ドイツ


オリンピックが政治的利用された例としては、第11回ベルリン大会が典型です。聖火リレーは、ナチ政権下のこの大会から始まりました。

そして、オリンピック大会の記録映画化も、この大会からです。

本作品がそれです。女性監督・レニ・リーフェンシュタール(下記写真)が担いました。彼女はヒトラーお気に入りの監督でした。山岳映画で著名な監督でした。戦後、来日したことがあります。

1938年に公開されたこの作品は映像美と斬新さで称賛され、ヴェネツィア国際映画祭で最高賞を獲得。日本でもキネマ旬報1940年度外国映画ベストテンの第一位になっています。

しかし、第二次世界大戦後、彼女はナチに協力した映画監督として、その監督生命を絶たれます。

実際に本作品を観ると、ナチ礼賛のシーンはなく、記録映画としてよく出来ています。日本の選手がかなり多数、映っています。女性で初の金メダルを獲得した前畑秀子、棒高跳びで銀・銅の西田修平、大江季雄など。
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チャールズ・チャップリン監督「チャップリンの独裁者(The Great Dictator)」(アメリカ,1940年)☆☆☆★

2021-04-10 22:28:52 | アメリカ・1940年~


時代設定は、大戦間。

世界制覇を画策するトメニア国の総統ヒンケル(チャールズ・チャップリン)がユダヤ人抹殺,自由の国オスタリッチ侵略をねらい,バクテリア国の独裁者ナバロニと覇権争いをしていたおり,ユダヤ人の床屋がヒンケルとすりかわり,最後にこのユダヤ人が独裁政治との決別と民主主義の勝利を演説するという物語。

ナチスの独裁政治を風刺し,その台頭の危険性を訴えた作品である。登場人物のヒンケルはヒットラーであり,ナパロニ(ジャック・オーキー)はムッソリーニを、ヘリング元帥(ビリー・ギルバート)はゲーリングを,ガービッチ内務大臣(ヘンリー・ダニエイル)はゲッペルスをもじっている。トメニア国の紋章はダブル・クロス,裏切りを意味する。トメニア語は、ドイツ語をまねたもの。

ラストに有名な大演説がある。ヒンケルとすりかわったユダヤ人理髪師が喋るという設定であるが,形相は生のチャップリンその人である。
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