山口百恵さんと三浦友和さんが共演した作品は、たくさんあります。初期には若い二人のほのかな恋をテーマにしたもの(「伊豆の踊子」「潮騒」など)が中心でしたが、この作品は複雑な人間関係をテーマとし、二人とも大人の演技です。共演10作目を記念して制作されました。百恵さんはその後、引退し家庭に入りますが、友和さんは立派な俳優になりました(「沈まぬ太陽」など)。
舞台は東京とスペイン・マドリード、セゴビア。
映画製作現場のスタイリストとして働く上村忍(山口百恵)にはある思いがあって、仕事の傍らスペイン語学校で学んでいます。そこで、臨時講師だった山野辺健(三浦友和)と出会います。
忍は父親・圭介がすでに死んだと教えられ、育ちました。ところが、圭介の友人である山下洋一郎(北村和夫)から、圭介(小林桂樹)はスペインの片田舎・セゴビアで生きていることを聞かされます。
健は一見ちゃらんぽらんに見受けられる身なり。しかし、かつては外大出のエリート商社サラリーマン。スペインへ海外赴任をしていました。わけあってサラリーマンを辞めてしまいました。
ふたりは、時に心の行き違いがあったものの、互いに気になる存在でした。
そんな時、山下から圭介が危篤であると知らされます。忍は決心して、山下とともにスペインへ旅立ちます。健は忍の愛情を痛感していた矢先で、追いかけるようにスペインへ発ちます。
スペインでの物語の展開がドラマとして見どころです。