シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

イストヴァン・サボー監督「家政婦の秘密(原題:The Door)」(ハンガリー・ドイツ、2012年、97分)☆☆★★

2023-01-31 18:56:21 | ハンガリー


わたしにとっては初めてのハンガリーの映画監督の作品です(使用言語は英語)。原題は上記のように「The Door」で、日本に最初に紹介されたときには「エメランスの扉」でしたが、ビデオ化されたときに「家政婦の秘密」に変わりました。エメランスは家政婦の名前です。わたしは「エメランスの扉」でよかったのでは、と思います(家政婦という用語が、よくないです)。

舞台は1960年代のブタペスト(わたしは31歳のときにハンガリーで学会報告をし、ブダペストにしばらくいましたので特別の思いがあります)。

才能豊かな女流作家・マグダ(マルチナ・ゲデック)は、夫・ティボル(カーロイ・エペリェシュ)と幸せな生活を送っていました。数日前に引っ越してきた二人は、近所の女性・エメランス(ヘレン・ミレン)を雇います。

彼女は有能で働き者ですが、人を寄せ付けない性格。自分の殻に閉じこもり、自分のことをさらけ出す気配がありません。たまに皮肉を言うものの、ニコリともしません。

エメランスには秘密があります。彼女はマグダの家の近くに住んでいますが、家の中は絶対に見せません。また、マグだが雪の穴から掘り出してきた子犬をいつのまにかエメランスは「ヴァィラ」の名前で手なづけました。さらに、友人が来るのでマグダの家の居間をかしてくれと申し出、食事を万端用意しますが、その友人からの土壇場のキャンセル。荒れるエメランス、などなど。

そこにはエメランスのさらなる秘密が・・・。
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ビョルン・ルング監督「天才作家の妻 40年目の真実(原題:The Wife)」(スウェーデン、米・英、2018年、101分)☆☆☆☆

2023-01-30 18:58:35 | スウェーデン


ノーベル文学賞を受賞したアメリカ人作家、なぜか妻は複雑な表情です。ストックホルムでの授賞式、作品に不審を感じたジャーナリストによって作品の執筆過程の秘密が明らかになるというストーリー。彼ら夫婦の間に亀裂が生まれます。

「現代文学の巨匠」、ジョゼフ・キャッスルマン(ジョナサン・プライス)はノーベル文学賞を授与され、妻のジョーン(グレン・クローズ)、息子・デヴィット(マックス・アイアンズ)と、授賞式が行われるストックホルムに向かいます。機内でジャーナリストのナサニエル(クリスチャン・スレーター)がしつこくつきまとうので、ジョゼフは彼をを追い返します。

ホテルにチェックインするジョゼフ一家。ノーベル賞関係者に迎えられますが、そこにはナサニエルもいます。彼の意図ははジョゼフの伝記を書くことでした。

ナサニエルは以前からジョゼフの経歴に疑いをもっていて、夫妻を執拗に追い、質問攻めに。

妻のジョーンは若い頃、豊かな文才に恵まれ、作家志望でした。あることがきっかけで作家になることを断念。ジョゼフと結婚後、彼女は夫のゴーストライターとして、世界的作家となる彼の成功を支えましたが、夫の受賞をきっかけにふたりの関係は・・・・。

*実際にあった話ではなく、受賞者は実在の作家ではありません。念のため。
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ロネ・シェリフィグ監督「人生はシネマティック(原題:Their Finest)」(2017年、117分)☆☆☆☆

2023-01-26 21:15:28 | イギリス


大戦中、ドイツの爆撃を受けるなかで必死の映画製作にとりくんだ人たちの苦難の物語

舞台は1940年のロンドン。

ストーリーは?
ヨーロッパが第二次世界大戦の空気が強まるなか、政府は国民の士気高揚のためのプロパガンダ映画を製作しようと情報省映画局に話をもっていきます。

脚本のチームリーダーは、トム・バックリー(サム・クラフリン)。彼はある機関紙に描かれた短い漫画の著者・カトリン・コール(ジェマ・アータートン)に目を付け、脚本家として採用します。

映画局が掲げるテーマは「信憑性」と「楽観」。脚本を書くうえでも、そのテーマは重要視され、トムはダンケルクの戦いでの出来事を物語にするためにカトリンに取材を依頼。双子の姉妹が父親の船で兵士の救出をした美談があったので、彼女は姉妹の取材を行うことに。

ところが、新聞記事に記載されていた内容と、本人たちが語る真実が違いすぎ、唖然とするカトリン。それでも、会議で取材の内容を巧みに解説したカトリン。彼女の言葉巧みな説明で、局長は映画の制作を決定。

配役でベテラン俳優のアンブローズ・ヒリアード(ビル・ナイ)が起用されます。プライドの高い彼は最初、演じることを渋りますが、エージェントの説得でようやく了承。トムとカトリンは必死に脚本を書き続けますが・・・。
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フィリッパ・ロウソープ監督「彼女たちの革命前夜(原題:Misbehaviour)」(2019年、106分)☆☆☆☆

2023-01-24 21:13:25 | イギリス


ミス・ワールドのコンテストが女性蔑視であると、意識ある女性たちが起こした反乱とその顛末。女性解放、家父長制打倒を叫ぶ女性たちの活動が描かれ、実際にあった話です。

舞台は1970年のロンドン。

主人公は学問をやり直すため大学に入学したサリー(キーラ・ナイトレイ)。小さい娘がいますが離婚していまは事実婚の男性、そして彼女の母親と暮らしています。

大学入試の面接では、居並ぶ男性試験官にぶしつけな質問をされ、サリーは合格を諦めていましたが、入学許可の連絡を受け、大喜び。女性労働運動史をテーマにします。大学には男の学生が多く、彼女はそこでの議論に入りこめません。教授も彼女の研究テーマに難色を示します。

サリーは偶然、女性解放運動の活動家・ジョー(ジェシー・バックリー)と出会い、彼女の所属する団体に加入を誘われます。この団体は、コンテスト阻止を計画していました。

コンテスト開催に準備を進める主催者は、司会者にアメリカのコメディアンであるボブ・ホープ(グレッグ・キニア)を起用。さらに、世界各国から50人以上もの女性たちが集結します。そのなかのひとり、カリブ海の島国グレナダから参加したジェニファー(ググ・バサ=ロー)は、自身の夢を叶える目的で出場。しかし、白人の出場者ばかりに注目が集まる状況を目の当たりにします。

ミス・ワールドの当日……。
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ピーター・カッタネオ監督「シング・ア・ソング(原題:Military Wives)」(イギリス、2020年、112分)☆☆☆☆

2023-01-23 21:11:17 | イギリス


舞台はロンドンからほど遠くないフリットクラフト駐屯地。

パートナーが戦地から無事に戻ることを願う軍人の妻たちが結成した合唱団の実話にもとづく作品。不安な日々を過ごす女性たちが、仲間たちと歌うことで苦難を乗り越えようと合唱団を結成します。

戦況が激化するアフガニスタン。そこに赴く夫の無事を祈り、帰還を待つ軍人の妻たち。孤独と不安に耐える日。彼女たちはお互いに支えあって前向きに生きるために合唱団を結成します。

熱意が空回りしがちな大佐の妻ケイト(クリスティン・スコット・トーマス)と、思春期の娘にてこずるリサ(シャーロン・ホーガン)が中心となり、最初はやる気がなかったメンバーたちが次第に団結していきます。合唱に取り組む姿勢で、ケイトとリサの葛藤が面白いです。

合唱団のもとにロンドンのロイヤル・アルバートホールで開催される戦没者追悼イベントでの出演要請が届き、思わぬ朗報に喜ぶ彼女たち。しかし、そこに恐れていた知らせが舞い込みます・・・。
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ロジャー・ミッシェル監督「ゴヤの名画と優しい泥棒(原題:The Duke)」(2020年、95分)☆☆☆☆★

2023-01-22 21:18:56 | イギリス


実際にあった名画盗難事件が映画化された作品。原題は「公爵」、盗まれた画のことです。

主要舞台は1961年のニューカッスルとロンドン。

NGから盗まれたのはゴヤの肖像画「ウェリントン公爵」。警察は国際的なプロの仕業と推定しますが、被疑者は北部工業都市でタクシー運転者をしている年金受給者、ケンプトン・バートン(ジム・ブロートベント)でした。彼は妻のドロシー(ヘレン・ミレン)と次男のジャ
ッキー(フィオン・ホワイトヘッド)との3人暮らし。

ケンプトンは戯曲も書いています。出来上がったものをBBCに持っていきます、取り上げられません。また、BBCの受信料未払いで抵抗しています。当時、イギリスではBBCが提供する番組をみるには受信料を払う義務がありましたが、彼はそれに不満を持っています。

そんなときに、政府はゴヤの件の絵画を1400万ポンドで購入したのです。意を決したケンプトン(しかし、実は・・・)。そして、警察に脅迫状を送ります。「絵画を返してほしければ、BBCの受信料を無料にしろ」と。

父と息子は盗んだ絵画を隠そうと苦心惨憺。1400万ポンドを生活困窮者に役立てようとします。差別に抗議し、会社もバイトもクビになる始末。実直すぎるのです。

この結末は?(実は犯人は)

冒頭とラストにこの事件の裁判シーンがあります。被告席にいるのはケンプトン。
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市川崑監督「現金(げんなま)と美女と三悪人」(1950年、62分)☆☆

2023-01-21 21:21:24 | 日本・1950年~


サスペンスタッチの映画。市川崑監督による初期の実験的作品です。

主要舞台は北海道・広尾。

港の酒場女カツミ(利根はる恵)と同行を契約して、北海道行の船に乗り込んだ大金横領犯・栗田(藤田進)。北海道・広尾の山中に逃げ込み、この金でカツミと暮らすつもり。

栗田が強奪犯の犯人と目星をつけた元医者の刑事・千葉(東野英治郎)。カツミに何かと近づいては、彼の動向にさぐりをいれます。

船はやがて北海道に着き、栗田は嫌がるカツミを連れ広尾の山の中にしけこみます。山小屋を改造し酒場とし、砂金掘りの山男相手から小銭を絞り取る算段。栗田と千葉との喧嘩は毎日のように続きます。

契約期間が終わりますが、カツミは一人で山を降りられません。誰かをつけて町へ返してくれと栗田に懇願しますが、応じられません。悲嘆するカツミ。

栗田と千葉の対立は日毎に先鋭化。カツミは栗田から逃れようと機会を狙っていましたが、栗田の監視が厳しくて実行できず。

カツミを追ってきた御子柴(堀雄二)が行き倒れになっていたところを栗田に助けられます。御子柴に惹かれていた彼女は、一緒に逃げようと働きかけますが・・・。

御子柴は栗田とカツミが北海道に来た時、乗船していたボーイで、3人の間でトラブルがありました。この作品の冒頭のシーンです。
 
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松田定次監督「任侠中山道」(東映京都、1960年、91分)☆☆☆★

2023-01-21 10:07:34 | 日本・1960年~


中仙道を舞台に、清水次郎長組と国定忠治組が繰り広げる人間の葛藤劇。両侠客組が協力して飢饉にあえぐ上州の民を助け、悪代官、悪貸元を懲らしめる物語です。

片岡千恵蔵、市川歌右太衛門、中村錦之助、大川橋蔵、東千代之介、大友柳太朗ほか往年のスターの白熱の競演が見所です(わたしが子どもの頃、メンコで名前と顔だけ知っていた面々)。

甲州身延参詣の途中、和田島の多左衛門(薄田研二)と紬の文吉(黒川弥太郎)のもめごとの仲裁に入った清水の次郎長(片岡千恵蔵)は、多左衛門の身内である三馬の政右衛門(原健策)の密告により、百姓一揆後押しの嫌疑をうけます。

清水組は嫌疑が晴れるまで清水入りを見合せ、信州へ。小川の勝五郎(中村錦之助)の家にたどりつきますが、当の勝五郎はバクチに負けて一文無し。

一行は身内の小幡の初五郎(大友柳太郎)の家へ向かいます。街道には折からの凶作で売られてゆく娘たち。忠治一家の武井の浅二郎(大川橋蔵)の恋人おきん(丘さとみ)も、年貢がわりに代官所に差し出されました。

その頃、忠治(市川歌右衛門)は大戸の関所を破って信州へ。百姓を救おうと信州で米を買いつけます。上州へ送るためです。同じ頃、忠治と反目していた島の伊三郎(月形龍之介)も娘達を売り出すために信州へ向かいます。

この後、信州で忠治、次郎長、伊三郎が・・・。
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沢島忠監督「ひばり捕物帖 かんざし小判」(東映京都、1958年、85分)☆☆☆☆

2023-01-20 10:10:28 | 日本・1950年~


ひばり十八番の歌謡時代劇。

作品の後半でひばりが歌舞伎役者顔負けの弁慶を演じています。圧巻。

東千代之介が豪快な剣さばきで、みとれました(千代之介はメンコでしか知りませんでした)。

原作者はひばり主演映画の原作を多く書いた瀬戸口寅雄(1906-87)。

阿部川町のお七(美空ひばり)は美人と評判が高い女岡っ引。江戸の神社で「奉納美人番付」という江戸小町を選ぶ催し物が行われた際、横綱の一人に選ばれます。賞品は「純金の簪」。

お七は老中・阿部伊予守(尾上鯉之助)の妹・妙姫ですが、姫様暮らしを嫌い十手持ちとして町民暮らしを満喫していました。

奉納美人番付に選ばれた小町たちは駕籠に乗って行列。先頭の駕籠に乗っていた筑紫屋のお小夜(中島栄子)が簪で咽を一突きされて殺害されます。お七はお小夜が髪につけていた桜模様の簪がなくなっている事に気づきます。その簪は、長家に住んでいたお菊という娘から古物商が買取ったものでした。しかし、そのお菊は行方不明。

お七は子分の五郎八(堺駿二)とともに調査を進めるなか、正体不明の侍たちに襲撃されます。幸い、浪人・佐々木兵馬(東千代之介)に助けられます。

お菊の兄・伊賀の源次(沢村宗之助)は、大泥棒「稲葉小憎」一味。島送りになっていた源次が御赦免で江戸に帰ってくると聞いたお七と五郎八は、港に源次を迎えに出ます。ところが、・・・・。
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渡辺邦男監督「民謡の旅 秋田おばこ」(東映、1963年、80分)☆☆

2023-01-18 10:15:21 | 日本・1960年~


ひばりの民謡映画シリーズのひとつ。ご当地ソングをたっぷり美声で披露してくれます。こまどり姉妹が共演。数曲、歌っています。

舞台は東京、会津若松、仙台、山形、そして秋田。

秋田出身の琴川原雪子(美空ひばり)は化粧本舗さくら堂のPRガール。販路拡大の目的で社員・白井(南廣)と東北へ向かいます。ライバルのスワン化粧品との激戦地域です。

車中で彼女はスワン化粧品の社長の息子・高田丈二(山下洵一郎)と会い、互いに同業者として意識します。彼も社長秘書・野見トリ子(中原ひとみ)と東北へ向かっていました。

雪子と丈二はそれぞれ社運をかけて、自社製品の販売キャンペーンを展開します。途中、仙台で雪子は評判の花売娘・マリを自社のPR娘に、丈二は喫茶店のウェイターのユリを獲得。マリとユリは実は双子姉妹でした(こまどり姉妹)。当然ふたりはそっくり。このことが、キャンペーン会場でのドタバタ騒動の原因になります。

東京ではスワン化粧品の社長・高田安兵衛(小川虎之助)がさくら堂買収を画策中。しかし、さくら堂のミチ社長(藤間紫)はこれに応ぜず、安兵衛社長は女性社員からも袋叩きにあいます。雪子と丈二はその事実を知り憤慨、同情、そして・・・。

映画作品としての出来はイマイチ。ひばりの唄と東北の素晴らしい自然の風景を背景に疾駆する蒸気機関車の勇姿に救われました。
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山村聰監督「風流深川唄」(東映、1960年、80分)☆☆☆☆

2023-01-18 10:12:49 | 日本・戦前
 


原作は川口松太郎による同名小説。この作品(+他二短編)で川口は第1回(昭和10年)直木賞を受賞しました。

舞台は門前仲町界隈。

深川名物とうたわれる料理茶屋「深川亭」は、そこにあります。看板娘のおせつ(美空ひばり)は生ツ粋の深川育ち。

女房を早く亡くした父の伊三郎(伊志井寛)は常盤津師匠・文字力(山田五十鈴)と再婚してから、おせつに店の切り廻しをまかせています。伊三郎は、おせつを助ける板前の長蔵(鶴田浩二)といずれ夫婦になり店をまかせようと思っていました。

祭の一夜が明けた深川亭に思わぬ運命がまいこみます。普選運動に加担しているかどで官憲に睨まれている恩人の元代議士・太田(山村聰)のために店を担保に金を作った伊三郎の好意があだとなって、深川亭が差し押さえになります。伊勢春(柳永二郎)を筆頭に親戚縁者は激怒。

おせつは暖簾に未練があったものの、長蔵との新生活に希望をもっていました。二人の結婚の約束に長蔵の母・お滝(杉村春子)は驚きます。二人の仲をさきおせつを邦栄堂の若主人に嫁がせ、深川亭再建を画策する伊勢春。

おせつと長蔵の関係に暗雲がたれこめます。長蔵は兄貫分の板前・助二郎(宮口精二)に身柄をあずけます。長蔵の決意の変らぬことに絶望したおせつは、邦栄堂との話にのりますが・・・。
 
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小石栄一監督「続・べらんめぇ藝者」(1960年、83分)☆☆☆

2023-01-17 16:58:03 | 日本・1960年~


ヒロインをつとめたひばりの歌唱、踊りが圧巻。

器量と度胸で柳橋随一と評判が高い富喜乃家の芸者・小花(美空ひばり)。かつて柳橋の有名な待合「春日」の孫娘でしたが、華かな夢は昔の話。母のすみ(吉川満子)は天ぷら屋「花恵」を経営しています。それを叔母のまき(清川虹子)に委せていました。勝ち気な叔母は、「春日」を再建しようと、天ぷら屋を担保に料亭「喜楽」の買収を計画しています。

昔「春日」で下働きをしていた杉(浪花千栄子)が、すみに「喜楽」を買うから雇われ女将にならないかと提案。これを聞いた小花は逆上し、自分が買い取るとタンカを切ります。

妹芸者小福にオリエント電気のテレビ工場見学を誘われた小花は、そこで技師の二宮卓也(高倉健)と会い、親しくなります。

その会社ののっとりを計る専務の曽我部(北竜二)は、関西財閥の岩井(柳永二郞)と結託し、腹臣の小倉(神田隆)を使って、暗躍。
会社乗っ取り騒動に巻き込まれたことを知った小花は・・・。
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佐々木康監督「ひばりの花形探偵合戦」(東映、1958年、87分)☆☆★

2023-01-16 10:17:39 | 日本・1950年~


ひばり(当時21歳)が珍しく探偵に扮した作品。恋に歌に冒険に大活躍。華やかな彼女の姿が魅力的です。ストーリーはサスペンスタッチ(後半)。

杉原由起子(美空ひばり)は「極東秘密探偵社」の花形探偵。木下三平(小川透)はそのカメラ係り。

探偵社に、ブラジルの邦人コーヒー王・松川敬太(松本克平)が、誕生時に生き別れた娘の京子を捜してほしいと、依頼にきます。手掛りになるのはイニシャルが彫られたロザリオだけ。

依頼を受けた探偵社は、由起子にこの捜査を任せます。彼女は京子がかつて小諸の寺にいたという情報を得て、ただちに現地に向かいます。途中、列車のなかで、そして現地で三田村英次(高倉健)と知り合います。彼は画家と称し、友達の牧場へ行く途中と自己紹介します。彼も実は「三田村探偵事務所」の私立探偵でした。

二人の探偵合戦が始まります。三田村は京子(佐久間良子)が横浜のクリーニング屋で引き取られているという情報を得ます。一方、由紀子は近藤治助(山茶花究)が京子を連れさったことをつきとめます。しかし、由起子と三平が近藤の家を訪れると、彼はそこで毒入りウィスキーをあおり亡くなっていました。他殺のようです。

これ以降、展開はサスペンスタッチに切りかわり・・・(今からみると、脚本、演出ともイマイチ。手作り感があります。それはそれでいいですね。)。暗躍するのは、鬼頭(山村聰)、清水(加藤嘉)を筆頭とする暗黒の組織グループです。
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小石栄一監督「べらんめぇ藝者」(1959年、86分)☆☆☆

2023-01-15 16:59:59 | 日本・1950年~


美空ひばり(22歳)が人情深くべっぴんの江戸っ子芸者を演じた作品。彼女の歌と踊りが盛りだくさんです。脇を固めるのは、志村喬、殿山泰司などの名優、怪優。

舞台は東京下町。

松乃家の売れっ子芸者・小春(美空ひばり)は、昔気質で頑固な大工の棟梁・政五郎(志村喬)の一人娘。ある日、この政五郎のもとに、平和建設社長・竹田熊吉(殿山泰司)の御曹司・健一(江原真二郎)が弟子入りしてきました。これが全ての始まりでした。

実はその政五郎は国際建築博覧会に出品する茶室の設計図の件で、父親と衝突し家を飛出してきたのです。政五郎と熊吉はかつての大工仲間。政五郎は健一の弟子入りをはねつけました。

社長風を吹かせる熊吉の態度に政五郎はカンカン。しかし、健一はかまわず政五郎の家に居すわりました。健一はよく働き、政五郎に気に入られるようになります。小春は健一に心惹かれます。

ところが、健一には関係のあった女がいることを熊吉が小春に伝えると、彼女はそれを信じ、健一を家から追い出しますが・・・。
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佐々木康監督「残月大川流し」(1963年、85分)☆☆☆

2023-01-14 20:30:11 | 日本・1960年~
維新の動乱を背景に、天涯孤独の女スリと彰義隊隊士とのひたむきな恋を描いた時代劇です。

舞台は慶応4年の江戸。

この頃、将軍は江戸を追われ、薩長土肥の連合軍が、わがもの顔に闊歩。日増しに高まる彼らの傍若無人さに、庶民は反感を抱いていました。なかでも、むささび一家の娘スリ師・隼のおぎん(美空ひばり)は、仲間のおもん(筑波久子)、庄吉(春日俊二)らと共に、官軍士官の懐を狙って溜飲を下げていました。

町方勘兵衛の案内でむささび一家にやってきた天野八郎(原田甲子郎)と部下の村上新三郎(小笠原良智)は、官軍士官の肩に輝く錦切れ(錦旗を擁する目印として肩につけていた錦の小ぎれ)の略奪を頼みます。女親分・おりき(萬代峰子)は何の得にもならないので断ります。しかし、おぎんは何を思ってか内緒で錦切れのスリ取りを始めます。

官軍と彰義隊との戦いが上野の山で始まります。彰義隊は武器で優る官軍に歯が立たず、敗退。重傷を負った新三郎は迷子のおみよ(四方晴美)を連れ、おぎんの住居にころがりこんできました。おみよを相手に遊びながら、おぎんは堅気で生きようと思い始めます。

おみよの親探しの目的で、「納涼演芸大会」が開催されます。結果、親が見つかったおみよを前に、おぎんは得意の歌を披露しますが、突然あがった「あいつはスリだ!」の声。おぎんは町方勘兵衛(花沢徳衛)に追われ、おぎんの前身を知った新三郎は・・・。
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