シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

ニール・ジョーダン監督「ことの終わり(原題:The End of the Affair)」(英・米、1999年、104分)☆☆☆

2022-09-28 22:58:55 | イギリス


原作はグレアム・グリーンの小説です。

舞台は第二次大戦前後のロンドン、そしてブライトン。

相手を愛するがゆえの行動がすれ違い、情熱に満ちた男女の愛のやり取りが描かれます。愛憎や信仰が絡んだ制御できない想いに駆られる主人公の演技は、見応え十分。

冒頭、モーリス・ベンドリクス(レイフ・ファインズ)がタイプする小説で「謎」が提示され、エンディングにいたる家庭でそれが次第に明らかになるという仕掛になっています。

1940年代のロンドン。作家のモーリスは知り合いの高級官僚ヘンリーから、妻サラ(ジュリアン・ミーア)の素行が怪しいと相談を持ちかけられます。ヘンリーは私立探偵を使って調査しようと考えますが、躊躇しています。モーリスは友人として、調査依頼をかってでます。

実はモーリスはかつてサラと愛人関係にあったのですが、サラが一方的に突然関係を打ち切経緯がありました。その理由がモーリスには、わからなかったのです。そんなことがあってモーリスは、探偵に依頼してサラの素行を知ろうとしたのですが・・・。
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ベルナルド・ベルトリッチ監督「シャンドライの恋(原題:L'assedio)」(イタリア、1998年、94分)☆☆☆★

2022-09-26 23:01:56 | イタリア


原作はジェームズ・ラスダンの短編小説。「シャンドライ」は主人公のアフリカ出身の女性です。

肌の色も、育った環境も、音楽の素養も異なった男女の愛が美しい映像と音楽で紡がれます。

アフリカで政治活動をしていた夫が突然逮捕され、単身ローマに飛んだ女性シャンドライ(サンディ・ニュートン)。イギリス人音楽家キンスキー(デイヴィッド・シューリス)に、住み込みで掃除係として雇われながら、医学の勉強をしていました。

ある日、シャンドライはクローゼット代わりに使っているリフトの中から疑問符の書かれた五線譜を見つけます。リフトはキンスキーの部屋とつながっていて、その後もリフトを通じランの花や指輪が贈られてきます。

戸惑ったシャンドライが指輪を返しにキンスキーの部屋に行くと、いきなりプロポーズされます。キンスキーは働きぶりから彼女に好感をもっていたのです。シャンドライは思わず獄中にいる夫を出して、と口走ります。

以来、邸宅にある美しい調度品が次々と売られていきます。何故? とうとうピアノまで搬出されます。

そんななか、シャンドライは夫の無事を知らせる手紙を受け取ります。キンスキーは調度品を売った資金で、・・・。
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リチャード・A・ロス監督「おもいでの夏(原題:Summer of '42)」(アメリカ、1971年、102分)☆☆★

2022-09-25 23:04:09 | アメリカ・1970年~


舞台は1942年のニューイングランドの沖合に浮かぶ島。

15歳の夏、ハーミー(ゲーリー・グライムス)は、この島にやってきました。

友達のオシー(ジェリー・ハウザー)とベンジー(オリヴァー・コナント)は悪ガキ、三人で退屈な日々。ある日、海辺の家屋の前で、新婚の若い夫婦が楽しそうに語らっていました。夫が兵役でフランス戦線に旅立つ直前のひとときです。三人はそれをなかば羨望の目で見つめます。

その美しい新妻の横顔がハーミーの目に、焼きつきます。数日後、沢山の買い物を抱えきれずに困っている彼女の姿を見たハーミーは、勇気をふるって近づきました。彼女の名前はドロシー(ジェニファー・オニール)。

ハーミーは、彼女の美しさ、優しさに心をときめかします。翌日、荷物の整理を頼まれたハーミーは、ドロシーの家でおとなを気取りますが、憧れのドロシーを前にしどろもどろ。

その後再び、ハーミーは招かれてドロシーの家を訪れますが、ノックに答えはありません。おそるおそる家に入ると彼女の姿はみえず、卓上には彼女の夫の戦死を知らせる電文が・・・・。
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ベルナルド・ベルトリッチ監督「魅せられて(原題:Io ballo da sola)」(伊・仏・米、1996年、237分)☆☆☆

2022-09-24 23:06:58 | イタリア


「1900年(1976)」「ラストエンペラー(1987)」「シェルタリングスカイ(1990)」のメガホンをとった監督の異色作が本作品です。リヴ・タイラーの魅力が満開。

19歳のアメリカ人の少女のひと夏の体験を描いた物語。

舞台はイタリア・トスカーナ。

19歳のルーシー(リヴ・タイラー)は詩人だった母サラの死後(自殺)、NYを離れトスカーナ地方に住む母の旧友を訪ねます。20年来、ここに住んでいる彫刻家イアン(ドナル・マッキャン)のモデルになること、自分の本当の父を探すことが目的でした。

イアンと妻ダイアナ(シニード・キューザック)の邸宅には娘ミランダ(レイチェル・ワイズ)とその恋人リチャード(D・W・モフィット)、人気人生相談の番組をもっているノエミ(ステファニア・サンドレッリ)、画商のギヨーム氏(ジャン・マレー)、それに白血病で余命いくばくもない作家のアレックス(ジェレミー・アイアンズ)が逗留していました。

さまざまな個性をもった人たちのなかで、ルーシーは思春期に入った女性としての不思議な体験をしていきます。
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マルティーヌ・マリニャワ監督「美しき諍い女(原題:La Belle Noiseuse)」(フランス、1991年、237分)☆☆☆☆

2022-09-23 16:35:43 | フランス


原作はバルザックの「知られざる傑作」です。

タイトルの「美しき諍い女」は、登場する老画家の絵画作品のテーマ。

高名だが世捨て人の画家フレンホーフェル(ミシェル・ピコリ)は、モデルだった妻とプロヴァンスの片田舎にある古城で暮らしていました。彼はかつて妻をモデルに自らのライフワーク「美しき諍い女」に取り組んだものの、気に入らない部分がでてきて、完成直前で断念。以来、芸術家としての矜持がおとろえ、制作意欲が萎えていました。

若い画家ニコラが、恋人マリアンヌ(エマニュエル・ベアール)を連れて彼の許を訪れます。フレンホーフェルはマリアンヌの美貌と容姿にインスピレーションを得て、長い間打ち捨てていた「美しき諍い女」の製作に再びとりくむ気持になります。ニコラをかいして、彼女にモデルをたのみます。

最初は抵抗したマリアンヌでしたが、意を決してモデルになります。しかし、フレンフォーフェルのポーズの要求は苛酷で、過度な肉体の酷使を要求され、さらには内面の感情をさらけ出すことを求められます。

ところが、フレンフォーフェルは描き進むうち自信を喪失し、逆にマリアンヌに励まされる始末。画家とモデルの緊張関係は妻のリズやニコラとの間に微妙なニュアンスを醸しだし・・・。
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レジス・バルニエ監督「フランスの女(原題:Une Femme Francois)」(フランス、1995年、100分)☆☆☆

2022-09-21 16:41:38 | フランス
第二次大戦末期。舞台はフランスのナンシー、ドイツのベルリン、そしてシリア。

ジャンヌ(エマニュエル・ベアール)は軍人のルイ(ダニエル・オートゥイユ)と結婚したものの、結婚後わずか2ヵ月で、ルイの出征で離ればなれに。ジャンヌは帰還兵の介護をしながら、夫の帰りを待ち続けます。そんな彼女の前に、捕虜収容所でルイと一緒だった帰還兵のアンリ(ガブリエル・バリリ)が現れ、あろうことか彼女に積極的アプローチ。

終戦。ルイの帰還。ジャンヌは自らの愚かさ省み、再び家族睦まじく暮らすことを決心します。双子が産まれますが、もしかするとアンリの子では……と疑う周囲の目を避け、ふたりは逃げるようにベルリンへ。彼らの新生活がスタートし、三人目の子供も誕生しました。

そんな時、大家の息子マチアスがジャンヌと関係をもちます。幸せを壊したくないと願う彼女は、彼を拒みます。しかし、それもルイのインドシナ赴任によって崩れます。子どもたちと故郷のナンシーに帰ろうとするジャンヌは、これが最後と、マチアスと求め合います。

二年後、ルイが帰国。しかし、直後、ルイは再び外交官として家族ともどもシリアに赴任することになりますが・・・。

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パスカル・プザドゥー監督「92歳のパリジェンヌ(原題:La Dernière Leçon)」(フランス、2015年、106分)☆☆☆★

2022-09-18 16:45:04 | フランス
 
原題は直訳すると「最後のレッスン」。

自らの人生を終える日を決め、世間を騒がせたフランスのジョスパン元首相の母親ミレイユの実話をもとにした人間ドラマです。

92歳になった老女が尊厳死を選択したとき、周囲の家族がこれにどう対応したらよいのか? 説得してひきとってともに暮らすのがいいのか、施設にいれるべきなのか? こういう映画が海外でも制作されるようになってきました。

元助産師の女性マドレーヌ(マルド・ヴィラロンガ)は92歳。家族が設定してくれた誕生日会の席上でのスピーチで「2ヶ月後の10月17日に逝く」と尊厳死を宣言します。

家族は動揺し、マドレーヌに思いとどまるよう説得しますが、彼女の決意は固く折れません。 しかし、一人暮らしをしていた部屋で倒れ、入院したマドレーヌの姿を見た娘ディアーヌ(サンドリーヌ・ボネール)は、マドレーヌの思いを受け入れ、最期の日々をともに過ごそうと決意します。

一方、ディアーヌの兄ピエール(アントワーヌ・ヂュレリ)は、これまで好き勝手に生きてきた母が死までも周りの迷惑を考えずに自分で決めたことが許せず、猛反対します。
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ミミ・レダー監督「ビリーブ 未来への大逆転(原題:On the Basis of Sex)」(アメリカ、2018年、120分)☆☆☆★

2022-09-14 21:32:41 | アメリカ・2000年~


後年、アメリカ合衆国最高裁判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグが挑んだ史上初の男女平等裁判の実話を中心に、彼女の活動を描いた作品。

舞台はボストン、そしてNY。

ルース・ベイダー・ギンズバーグ(フェリシィティ・ジョーンズ)は、ハーバード大学(ボストン)の法科大学院に入学。女性の入学は当時まだ少なく、好奇の目で見られることがしばしば、でした。

2年後、夫はNYの法律事務所で働き始めました。ルースはNYにあるコロンビア大学の単位を以てハーバードの学位を得る許可を求めましたが、学部長に却下され、やむなくコロンビア大学に移籍。同大学を首席で卒業しました、法律事務所での職を得ることが出来ません。女性への偏見が根強くありました。やむなく、ルースは学術の道に進むことに。ラトガース大学で法律と性差別に関する講義をもちます。

1970年のある日、マーティン(アーミー・ハマー)が持ち込んできた案件の一つがルースの関心を引きました。チャールズ・モリッツという名前の男性に関するもので、彼は働きながら母親を介護するために、看護師を雇うことにしたのですが、未婚の男性であるという理由で所得控除を受けられない状態にありました。

ルースは法律の中に潜む性差別を是正するチャンスを探していましたが、この一件は最適のケースでした。結果は・・・。
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グザウィエ・ボーヴォワ監督「田園の守り人たち(原題:Les Gardiennes)」(フランス、2017年、135分)☆☆☆☆

2022-09-13 21:38:29 | 日本・戦前


第一次世界大戦を背景に、夫が出兵した田舎の農園で繰り広げられる人間模様、女性たちの葛藤を描いた作品。男を戦地に送り出した女性たちの闘いです。

田園風景とそこで働く女性たちの映像が大変綺麗で、絵画的です。

未亡人で女地主のオルタンス(ナタリー・バイ)は、息子二人コンスタン(ニコラ・ジロー)とジョルジュ(シリル・デクール)を戦地に送り出し、娘ソランジュ(ローラ・スメット)と二人で広大な農地を守っています。娘の婿クロヴィス(オリビエ・ラブルダン)も戦地です。冬が来る前にタネを蒔かないと飢え死にしてしまいます。

そこへフランシーヌ(シリル・デクール)という女性が働き口を求めてやってきました。体も強く性格も明るいフランシーヌ。人の倍働き、人気者になります。そんな時、戦地から息子ジョルジュが休暇で帰ってきて、お互いに惹かれあいます。

戦局が長引くなか、クロヴィスがドイツ軍の捕虜になったとの知らせが入ります。追い打ちをかけるように長男コンスタン戦死の悲報が入り、オルタンスは倒れ込みます。

いつからともなく、農園にアメリカ兵が作物の買い付けにやってきます。じきに娘のソランジュと親しくなり、農園周辺の噂になります。困ったオルタンスは娘の醜聞をフランシーヌになすりつけ、彼女を農園から追い出しますが・・・。
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ドロタ・ケンジェジャフスカ監督「木漏れ日の家で(原題:Pora umierać)」(ポーランド、2007年、104分)☆☆☆★

2022-09-12 19:17:30 | ポーランド


ドラマティックなストーリーはなく、白黒映画。それでも、久しぶりに映画らしい映画を観ました。

2006年春、ワルシャワ郊外の古びた木造の一軒家に愛犬と暮らす老女の最期の日々がたんたんと描かれた作品。

ワルシャワ郊外の田舎にある比較的大きいが、もうかなり古い家(屋敷)に、91歳のおばあさんアニェラ(ダヌタ・シャフラルスカ)がフィラデルフィアという犬と暮らしています。この家は戦前に両親が建て、彼女が生まれ、成長し、夫と暮らし、一人息子を育てた場所です。家は深い森のなかにあり、木漏れ日が窓ガラスに映えています。

アニェラの暮らしは質素ですが、心は豊か。隣に若い夫婦が子どもたちをあつめて音楽隊をつくって教えているのを双眼鏡でながめ、静かに流れる時間のなかに身をおいています。

この家を売却しようと息子が考えていますが、アニェラは拒否しています。頼りにならない息子で、自分のことしか考えていません。

アニェラは周囲の雑音にたいし、意を決したかのようにある決断をしますが・・・。
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ダニエル・コーエン監督「誰かの幸せ(原題:Le Bonheur des uns...)」(フランス、2020年、103分)☆☆☆★

2022-09-11 19:20:09 | フランス


愛情や友情で結ばれた仲のよいふたカップルのなかのひとりの女性が作家に転身し成功したため、彼らの関係がギクシャクしていく様子を描いた作品。

原題は直訳すると「一人の幸せは・・・」。

主人公のレア(ベレニス・ペジョ)は、ショッピングモールのなかの服飾店で店員として働いています。別の店舗の店長への昇進の話が進んでいます。彼女の趣味はモール内を行き交う人々の観察。それをネタに小説を執筆していました。

恋人マルク(ヴァンサン・カッセル)をはじめ、レアの幼なじみで親友のカリーヌ(フロランス・フォレスチ)も、その夫フランシス(フランソワ・ダミアン)も、平凡なレアが作家で成功するはずはないと見下していました。ところが、レアの処女作はベストセラーとなり、受賞します。

レアが成功者となり、4人の関係は大きく変化。会社での昇進の機械をうしなったマルクは妬みもてつだってレアに別れを告げます。幼友達だったカリーヌも、距離を置くようになります。

別れた後、マルクはレアの処女作を読み、その内容に感動。自分の狭量さを思い知らされ、レアのサイン会に行き、その場で詫び、復縁。再びレアの新居でともに暮らしはじめますが・・・。

レアとマルクはカリーヌとフランシスを家に招待。その場でレアはカリーヌに辛辣な言葉で絶交同然で出て行きますが・・・。
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ブノワ・ジャコ監督「3つの心 あのときもしも(原題:3 Coeurs)」(フランス、2014年、109分)☆☆☆★

2022-09-10 19:22:34 | フランス


すれ違い、裏切り、過熱する愛♥。フランス映画らしいです。

舞台はパリ、そしてリヨン。

出張監査でリヨンに来ていたパリ在住の税務調査官マルク(ブノワ・ポールヴーツド)。終電を逃し、仕方なくカフェに入ります。頭を抱えていると、タバコを買いに来た女性(シルヴィ:シャルロット・ゲンズブール)が目に入ります。彼女が気に入ったのか、後を追って、結局、始発までふたりは話ながら街をぶらつきます。

列車に乗る前マルクは、来週金曜にパリに行くという彼女とチェイルリー公園で6時に会う約束をとりつけます。

そして金曜日。パリでの仕事を済ませたシルヴィは、マルクとの約束通りチェイルリー公園の並木道にあるベンチで彼を待ちます。彼は来ません。マルクは公園に向かったのですが、不慮の事情での遅刻でした。

後日、マルクはシルヴィと歩き回ったその街の財務調査局で、泣いている女性に声をかけました。女性の名はソフィー(キアラ・マストロヤンニ)。アンティーク・ショップを経営しているらしいのですが、税金の申告漏れがあると連絡を受け、不安だったのです。

マルクは彼女の店に赴き帳簿の修正を請け負います。一緒にパソコンを見ながら、手早く修正していくマルクにソフィーは好意をよせますが、ソフィーはシルヴィの妹でした・・・。

この後、事態はとんでもない方向に。
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トム・マッカーシー監督「スポットライト 世紀のスプーク(原題:Spotlight)」(アメリカ、2015年、129分)☆☆☆☆

2022-09-09 19:25:02 | 日本・2000年~


本作品はアカデミー賞(2016年)作品賞、脚本賞の2冠に輝きました。

カトリック司祭による性的虐待が常態化していたボストン、それをスクープした新聞社の調査報道班「スポットライト」チームの物語。実際にあった話です。

舞台は2001年、マサチューセッツ州ボストン。

日刊紙「ボストン・グローブ」の新編集長として着任したマーティ・バロン(リーヴ・シュレイバー)は、さっそく同紙の少数精鋭取材チーム「スポットライト」のウォルター・ロビンソン(マイケル・キートン)に会い、過去にあったゲーガン神父の子供への性的虐待事件を調査し、記事にするよう提案をします。

チームは異動の数が多い一人の神父を追うなか、あることに気づきます。それはこの州で教会による性的虐待事件の隠蔽が頻発していたことでした。チームは虐待の被害者のネットワークに接触し、13人の神父に調査対象を広げます。さらに存在が安定しない神父を追跡、87人のリストを得ます。

調査が佳境にはいります。チームは枢機卿が虐待事件を知りながら無視していたという公的証拠を得ます。

ロビンソンとチームは教会の組織的犯罪行為を徹底的に暴くため、より多くの証拠の公開を求める裁判をおこし、これに勝訴。2002年に記事を公開しますが・・・。
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マシュウ・ブラウン監督「奇蹟がくれた数式(原題:The Man Who Knew Infinity)」(イギリス、2016年、108分)☆☆☆

2022-09-07 19:27:14 | イギリス

素数論の分野で無限級数、分割数などの公式を発見したインド人青年シュリニヴァーサ・ラマヌジャン(1887-1920)と彼の才能を見出し、「証明」の意義をといた数学者ハーディ(ケンブリッジ大学)との師弟関係をこえた心の交流を描いた作品。事実に基づく物語です。
主な舞台は、第一次世界大戦前後のケンブリッジ大学トリニティ校。

インドではむかしから才能をもった数学者を輩出しています。ラマヌジャン(デーヴ・パテール)もそのひとり。素数論の分野で新しい定理、公式を編み出していました。ケンブリッジ大学トリニティ校のハーディ教授(ジェレミー・アイアンズ)がその才能を見いだし、彼を招聘します。

希望をもって大学を訪れたラマヌジャンの前に、偏見が立ちはだかります。後進国インドからの留学生であること、アカデミズムの数学教育を受けていないこと、正確な英語を話せないこと、等々。しかし、彼は数学の研究に没頭します。

そんなラマヌジャンに、ハーディ教授は発見した定理、公式を「証明」することの重要性、必要性を力説します。

やがて第一次世界大戦が始まり、ハーディら反戦グループは大学上層部からの弾圧を受けます。カレッジ内には負傷兵を収容するテントが立ちならびます。野菜が配給に回されラマヌジャンは食事に困るようになり追い詰められますが・・・。
 
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ビレ・アウグスト監督「権利への階段(原題:55 Steps)」(ドイツ・ベルギー、2017年、115分)☆☆☆☆

2022-09-06 19:29:59 | ドイツ


アメリカの精神科医療改善のきっかけとなった「エレノア・リース判決」の実話を映画化した作品。その教訓は、「患者の同意なく薬を投与することは許されないこと」。

原題の「55の階段」は裁判所の階段の段数です。主人公のひとりエレノアは、弁護士コレットに介添されながら病んだ体を励まし、この階段を昇ります。

冒頭、病棟で「助けて!」と女性の患者が悲鳴をあげ、暴れます。複数の看護士がとりおさえ、臀部に注射。薬が効いて患者はおとなしくなります。

舞台は1985年のサンフランシスコ。

聖メアリー病院で妄想型統合失調症と診断されたエレノア(ヘレナ・ボナム・カーター)は、入院中、同意のない薬の投与を何度も受けました。蓄積された薬物の副作用で心身に深い障害を負った彼女は「患者の権利を守る会」に助けを求めます。

元看護師で弁護士のコレット(ヒラリー・スワンク)は、これを受け、病院を訴える裁判をおこします。

当初、裁判は劣勢。ところが、精神疾患の患者に投薬の必要性と副作用の説明をすると医師に対する信頼度が増し、その結果、治療成績があがるという事例に出会い、事態は好転。エレノアとコレットは見事、裁判に勝利。勝訴をよろこぶコレットとエレノア。しかし、病院側が最高裁に上告。

ラスト、ふたりは抱き合って喜びます。We won! 直後、エレノアは・・・。
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