シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

ジョン・フォード監督「怒りの葡萄」(アメリカ、1940年)☆☆☆☆★

2020-06-29 21:29:17 | アメリカ・1940年~


スタインベックの同名の小説の映画化です。

舞台は1930年代半ばのアメリカ中西部。

刑務所を仮釈放となったトム・ジョード(ヘンリー・フォンダ)が自身の家があるオクラホマの農場に帰ってきます。しかし、そこは空き家で、一家はジョン伯父の家へ移ったと知ります。ジョード家は先祖代々からこの土地に住んでいたのですがが、猛烈な砂嵐で畑の収穫があがらず、土地を土地会社に奪われたのでした。

ジョン伯父の家でトムは4年ぶりに母(ジェーン・ダーウェル)と会います。翌朝ジョード一家は中古トラックに家財道具を積んでカリフォルニアへ開拓地をもとめて出発しました。トラックは炎天下の国道を西へ、チェコタ、オクラホマシティ、ベタニーを過ぎていきます。過酷な旅の末、一行はようやくフーヴァヴィル移民キャンプに着きます。たどり着いたのも束の間、ここでも苛酷で無慈悲な生活が待っていました。

アメリカの小説は、かつていいものがたくさんありました。現代はどうなのでしょうか。わたしはまったく不案内ですが、掘り出し物はたくさんあるのでしょうね。
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深作欣二監督「蒲田行進曲」(1982年)☆☆☆☆★

2020-06-24 13:01:27 | 日本・1980年~


脚本は、つかこうへい。彼の代表作の一つです。舞台は京都の映画撮影所です。「新選組」の撮影最中です。土方歳三役の俳優・銀ちゃんこと倉岡
銀四郎を中心に展開される人間臭い作品です。

東映京都撮影所は、5年に1度の大作「新撰組」の撮影に取り組んでいました。見せ場は、高さ十数メートルの大階段での「階段落ち」です。

この年、土方歳三役でその主役を担うのは倉岡銀四郎(風間杜夫)でした。彼には自分を「銀ちゃん」と呼んで慕うヤス(平田満)という大部屋役者がついていました。2人はスターと大部屋という組み合わせ以上の別の因縁がありました。それは銀四郎が、彼の子を身ごもった恋人の女優・水原小夏(松坂慶子)を、出世のためにヤスに押し付けようようとしていたのです。 ところが・・・。
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成瀬三喜男監督「驟雨」(1956年)☆☆☆★★

2020-06-22 21:32:19 | 日本・1950年~


舞台は京王線の梅が丘界隈。昭和30年頃のごく普通のサラリーマン家庭の日常風景です。

並木亮太郎(佐野周二)と文子(原節子)の夫婦は結婚4年目です。亮太郎は化粧品会社に勤めています。夫婦の間には倦怠感がただよっています。子どもはいません。日曜日といってもどこかに行くでもなく、お互いにすることがない様子です(テレビはない時代)。些細なことで口喧嘩が始まり、亮太郎はフイと家を出て行ってしまいます。

結婚早々の姪(香川京子)がもうはや夫に愛想をつかし愚痴をいいに来ます。時々、文子が手なずけていた野良犬が近所にトラブルをまきおこします。そして、亮太郎の退職の話が・・・。
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ジャン・ベッケル監督「クリクリのいた夏(原題:Les Enfants du marais)」(フランス、1999年)☆☆☆☆★

2020-06-05 17:40:18 | フランス
 
DVDの惹句に次のように書いてあります。「とびきりの“しあわせ”をそっと教えてあげる」。間違いありません。

舞台は1930年代のフランスのマレ(沼地)です。ここには自由を謳歌する世捨て人のような人々が住みついていました。独身の復員兵ガリス(ジャック・ヴィルレ)、そして彼が家族のように付きあっているリトン(ジャック・ガンブラン)一家。

ガリスとリトンは町で森の動植物を売り、生計を立てる気ままな毎日です。町の家政婦マリーへの恋、富豪の老人ペペとの交流などを織り込みながら話は展開していきます。

その当時子どもだった、クリクリの思い出として語られます。

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クロード=オータン・ララ監督「赤と黒」(フランス/イタリア、113分)☆☆☆

2020-06-02 21:28:54 | フランス
   

スタンダールの同名の長編小説の映画化です。「赤」は軍服を、「黒」は僧衣を意味します。

舞台は1820年代のフランス。ナポレオンの失脚で僧侶が軍人に代わり権力を握った時代です。

大工の息子だったもののラテン語の勉強に専念し、出世を夢見る野心家の青年ジュリアン・ソレル(ジェラール・フィリップ)は、恋と立身出世を天秤にかけながらの人生を目指します。

ジュリアンはまず、シェラン僧院長の推薦でド・レナアル侯爵家の家庭教師となり、上流階級の社会に身をおきます。ところがあろうことか、ド・レナアル夫人(ダニエル・ダリュー)がジュリアンに愛情を抱くようになります。

世間の口もうるさくなってきたので、ジュリアンはかねてからの計画通り神学校に入ることを決心します。しかし、神学校でジュリアンは、平民に生れた者が持つ特有の反逆心に悩みます。

並はずれた野心と出自の相克に悩むジュリアン・・・。彼の運命は?
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マルセル・カルネ監督「天井桟敷の人々(Les enfants du Paradis)」(フランス、1945年)☆☆☆☆★★

2020-06-02 20:31:55 | フランス


第二次世界大戦中、ドイツによるパリ占領下のもとで製作されました。

舞台は19世紀半ばのパリの芝居小屋。パントマイム役者バチストと周辺の人々の悲恋愛欲の渦が描かれます。二部に分かれ、3時間を超える大作です。「天井桟敷」は芝居小屋の上部に位置する低料金の席です(画像の右下)。

第一部(犯罪大通:Le Boulevard du Crime)――1840年代のパリ、タンプル大通り。俗称「犯罪通り」。
パントマイム役者バティスト(ジャン・ルイ・バロー)は、人気絶大の踊り子ガランス(アルレッティ)をスリの濡れ衣から救い、自分の一座に入れてやります。バティストはガランスに惹かれますが、無頼派詩人ラスネール(マルセル・エラン)や俳優ルメートル(ピエール・ブラッスール)も彼女に夢中です。一方、一座の座長の娘ナタリー(マリア・カザレス)は、バティストに好意をもっていました。さらにガランスの前に、モントレー伯(ルイ・サルー)が現れます。

第二部(白い男:L'Homme Blanc)――それから5年。バティストはナタリーと、ガランスは伯爵と結婚しています。しかし、ガランスを忘れられぬバティストは、ルメートルの手引きで彼女と再会を果たしますが・・・。
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