シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

山本薩夫監督「金環蝕」(製作・大映、配給・東宝、1957年、155分)☆☆☆★★

2020-12-20 11:32:26 | 日本・1950年~


「金環蝕」の含意は、「周りは金色に輝いて見えるが、中の方は真っ黒に腐っている・・・」日本の政界、財界のことです。

三選をかけた池田勇人の1964年自民党総裁選と、それに絡む九頭竜ダム談合疑惑の根っこを暴いた石川達三の小説が原作です。

モデルになった九頭竜川(くずりゅがわ)ダム汚職事件とは? 電源開発が計画した九頭竜川のダムの建設をめぐる建築会社の入札競争で、池田勇人首相への政治献金を約束した鹿島建設と電源開発が結託して、他社の入札を失格とした汚職事件です。田中彰治代議士が国会で追及しましたが、うやむやになりました(日本の政治はこのやり方の繰り返しです)。

星野官房長官役の仲代達矢、金融王石原役の宇野重吉、疑惑を暴露しようとする保守系国会議員神谷役の三國連太郎はリアリティ、迫力があります。首相夫人役の京マチ子、内閣秘書官西尾役の山本學もはまっています。

権力の奢り、腐敗、金と「忖度」で動く政治に真っ向から勝負に挑んだ骨太作品です。
コメント
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