シネマの森の迷走と探索

FBに投稿した映画作品紹介を整理し、再掲します。

☆は「満足度」(☆5個満点、★で補足)。

浦山桐郎監督「太陽の子 てだのふあ」(1980年、140分)☆☆☆★

2020-12-02 14:44:30 | 日本・1980年~
灰谷健次郎による同名の児童小説の映画化です。「てだのふあ」とは「太陽の子」を沖縄の言葉であらわしたものです。

時代設定は沖縄返還前。沖縄への渡航にパスポートをとるシーンがあります。

舞台は神戸。当時、沖縄からの連絡船は神戸港に着くのが普通だったのか、神戸には沖縄出身の人たちが集まって生活していた場所がありました。
主人公のふうちゃん(原田晴美)は小学校6年生。お母さん(大空真弓)は、居酒屋「てだのふあ 沖縄亭」で割烹の仕事をしています。そこには、沖縄の人たち、片腕のないロクさん、鋳物工のギッチョッチョン、その友達のギンちゃんなどがよく集まり、ふうちゃんは人気者でした。

ただ、お父さん(河原崎長一郎)が時々発作を起こす精神的病をもっていて、仕事につけないでいます。発作の原因はかつて何十万人ものが亡くなった沖縄戦の苛酷な体験でした。そして長く波照間(はてるま)に帰って故郷の空気をすっていないことが、病をこじらせているようでした。

過去をひきずって生きている沖縄の人々の心のなかの戦争の傷跡にこだわりながら、居酒屋「てだのふあ 沖縄亭」にあつまる人々とふうちゃんとの心温まる交流がリアルに描かれています。

沖縄民謡がたくさん出てきます。
コメント
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