10月の兼題に「遊糸」を口頭で出したところ、次の3つの解釈に分かれてしまった。
① 遊糸―晩秋に、蜘蛛の子が糸を出し、風に吹かれた糸に縋って飛んで行く
② 遊糸、糸遊は、春の季語「陽炎かげろう」の別名
③ 遊子―旅人のこと
兼題の趣意は、①であったが、歳時記で調べると「陽炎の別名」とだけ出ていたので②と解釈し、藤村の有名な「小諸なる古城のほとり、雲白く遊子悲しむ」が記憶にあったため③の解釈となった。
いづれにしても、「遊糸、糸遊」は、歴史的に古いのは①蜘蛛の糸であり、その後②「陽炎かげろう」の意味にも使われるようになった、と解釈するべきだろう。