


先日、御坊・日の岬周辺を初漕ぎしたあと高台に上って大海原を眺めていると、
去年カヤックトリップで行った南半球・タスマニア北部の、
「ザ・ナット」から水平線を眺めた時の感覚が、
フラッシュバックした。
(一番上の写真)
ザ・ナットっていうのは海に向かって突き出した岬、
というか台形になった巨大な丘で
別名「タスマニアのエアーズロック」とも呼ばれ、
古来からのタスマニアン・アボリジニーの聖地でもある。
上から2番目、3番目の写真はその周囲を漕いでる時のやつだが、
見た目以上に波があって、畏怖感を覚えたものだった。
ザ・ナットの断崖絶壁にぶち当たった返し波のエネルギー感が、
非常にスケールでかく、野太かったのである。
(いわゆる吠える40度線ってやつ)
そして漕いだあと、100数十メートルを歩いて登って見はらした海景の、ものすごいこと。
どこまでも続く海、海、海、海、空、空、空。
(一番上の写真の感じ)
実際、海というか海水の圧倒的な質量って、
その寄る辺なさ、無限な感じが、宇宙のスケールを連想させるものだ。
その時、丸みを帯びた水平線は広大な宇宙で、
「ザ・ナット」はそこを渡ってゆく宇宙船のように思えたのだった。
孤独な、それでいてなぜか温かな感じのするスペースシップ。
それは、カヤックを漕いだ後だったからそう感じたのだろう。
宇宙服ひとつで外宇宙に飛び出し遊泳した後、
母船に戻ってきたような感覚。
ちなみにそういう感覚は、シーカヤックのひとつの本質でもある。
ここがなぜアボリジニーの聖地になったのかが、
肉感的によくわかったような気がしたのだった。


