(3月12日付「帰ってきました」という記事から始まる旅記録の続きです)
再びロンボク島に戻り、スンギギという観光地でタクシーを拾ってロンボク島南西部にあるスコトン・バラ地区に行きました。何度も繰り返しますが、バリ島のすぐ右横にあるロンボク島は非常に海の美しい、東京都の倍ほどの島です。で、その南西部にあるスコトン・バラという地域はいわゆる多島海で、小さな名もなき島が無数に点在しています(100以上あるだろう)。地図を見るからにそのエリアはインド洋からのうねりも遮られる穏やかな地形で、最高のカヤックフィールドです。ここには絶対行っておかなきゃいけないと思っていました。
しかしぼくが行った時にはツーリストは一人もいず、その界隈に一軒だけある「スコトン・インダー」というビーチフロントの安ホテルの宿泊客は、ぼくただ一人でした。確かにカヤックでもない限り、退屈で退屈で死にそうになるような、海以外な~んにもない場所です。逆にカヤックにはこれ以上なく適していました。どの島も潜ればさんご礁がリッチに広がり、またあまり海がシケになることもこともない地形なので、カヤック初心者でもぜんぜん大丈夫なフィールドだと実感。またド田舎ローカルなのでうざい物売りなどもまったくいず、誰にも邪魔されないでカヤック遊びに集中できるという利点があります(これが結構大事な要因)。ぼくはここにカヤックハウスを建てて冬季の間カヤック・アイランドホッピングツアーを催行したいなと思いました。そもそもこの旅では、アイランドストリームの業務と絡めて、カヤッキングツアーを催行できるような場所がないかなというフィールドリサーチの意味があったわけですが、そんなわけでツアーをシミュレートするような意識でこのナイスな多島海をパドリングしていました。
しかしやはり海が非常によいせいか、リゾート開発の計画が進行中らしいです。開発されたら多分ダサく俗化し、うるさい物売りやスリやかっぱらいのようなよろしからざる人々も増えるだろうということで、嫌だなあと思いました。
毎日毎日、
カヤックに乗ってあちこちの島をはしごして夕方帰る、
帰るとホテルのレストランで食事、
食後そのホテルのオヤジとダラダラと話した後、
部屋に戻って本を読む、
という日々を繰り返しました。
そこのオヤジは指名手配中の凶悪犯のような顔をしていましたが、別に悪人ではなく、普通に気のいいオヤジでした。いかんせん宿泊客はぼく一人だったので夜は退屈といえば退屈でしたが、逆にこういうところではなぜかどんな難しい本でもスイスイ読めので不思議に面白く、やはり普段「雑念」というものがどれほど邪魔をしているのかがよくわかりました。
↑ギリ・ナングという島。シュノーケリングで静かな人気がある。安い宿泊施設もある。カヤックではスコトン・インダーからスッと渡れる。
↑島に上陸してはシュノーケリングする日々でした。島は、いくらでもありました。
↑島と島の間の水路をめぐるのも楽しいものでした。
↑美しいインドネシアの離島の最大の難点は、白砂、ヤシの木、珊瑚礁と判を押したようにみんな同じということである。非常に贅沢な悩みだけれど、ある意味、長期間いると飽きる。日本で死ぬほど忙しい日々を送り、一週間ほどとことんゆっくり過ごして、「ああーもう帰りたくなーい」というところでよい思い出のまま帰るというのが、ベスト。
↑それにしてもロンボクの子供たちはとても人懐こい。
↑南の島でのどが渇いたときはココナッツジュースが一番だ。中身のやわらかい部分をスプーンですくって食べるとおいしい。スコトンバラ周辺には、漁師一家族しか住んでない島とかもあって、そういう島に行くとなぜかどこでもココナッツを器用にナタで割って出してくれた。
↑沖の無人島に行けばより海水は美しくなる。