プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

ギリ3

2007-03-14 00:32:33 | 東南アジアカヤックトリップ

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(3月12日付「帰ってきました」という記事から始まる旅記録の続きです)

 ギリ三島へのアクセスはまず、バリ島東部のパタンバイというひなびた港町からフェリーに乗って約50キロ離れたロンボク島のレンバルという港町に渡ります。で、そこからシャトルバスに乗り換えて約2時間、バンサールという北西部の海岸に到着します。そして次はアウトリガーボートに乗り換えて、ギリ・アイル、ギリ・メノ、ギリ・トゥラワンガンとそれぞれ行きたい島へと渡ることになります。いずれもバリ島のビーチリゾートよりもはるかに美しい、絵に描いたような南の島です。別記事にも書いたとおり、何日間かじっくりカヤックで探索するにも最適です。どの島にも宿泊施設があります。安宿からかなり高級ホテルまでそろっていますが、バンガロースタイルの簡素な宿が多いです。ギリ・トゥラワンガンが一番開けていて、ビーチ沿いの道にレストランやバーが結構並んでいます。といっても、車もバイクも走っておらず、「チドモ」と呼ばれるレトロな馬車が唯一の交通機関だったりします。面白いです。

 バリ島のクタやウブドなどの主要観光地にひしめいている旅行代理店で、フェリー、バス、ボート代をすべて含めたギリ島行きのチケットが簡単に手に入ります。日本円にして2000円ほどと非常に安いです。ただその移動に丸一日かかることと、便が大幅に遅れたり乗り継ぎが間に合わなかったりすることが日常茶飯事なので、結構疲れます。ぼくが行った時もフェリーが大幅に遅れ、そのおかげでバンサールからギリへのボートの時間が間に合わず、大変でした。インドネシア人はそういう場合、絶対に責任を取ったりきちんとした代替案を出すことがなく、「今日はもうボートなくなったので、はい、明日また各自チケット買って自分で行ってください~」と言い放ってあとはもう知らんぷりするというのが普通です。そこで、「いや、乗り継ぎに遅れたのはオマエラの責任だ、絶対ボート出せ」と諦めずに粘ると、「じゃあ一人500円ずつ出したら特別チャーターで出すことにする」とか、結局そういうところに落ち着きます。インドネシアの特に交通機関は、何かにつけて500円とか1000円とかこまごまとした金額を余分&不当に要求してくることも多いです。しかしまあそうスムーズに行かないことも旅のうちだと割り切って考えると、別にたいしたことはありません。「次は何が起こって、どんなわけわからんこと言い出すかな」と楽しむのもまた、インドネシア旅行の味わいのひとつだといえます。

 また、交通機関を使わず、バリとロンボクの海峡をカヤックで渡ることも可能だけれど、インド洋からの南うねりが常に入ってきていて、風もよく吹くのでこれもまた結構ハードだと思いました。ちなみにそのロンボク海峡には「ウォーレス線」という分類上の境界線が引かれていて、バリより左は熱帯雨林系で、一方ロンボク島より右に行けば行くほど乾燥した気候となり、動植物や地質的にオーストラリア大陸との共通項が見られるようになるとされています。そんなラインはまあ人間が決めたラインであり、実際に線が引かれてあるわけでももちろんないけれど、「ウォーレス線」とか「北回帰線」とか「赤道」とかそんなところをカヤックで渡ったぜというその実感は、地球スケールのロマンチシズムを刺激し、ある種の人間の胸をキューンとさせるものがあるように思う。

 バリからロンボク島に渡るフェリーはかなり古く、日本で昭和30年代に使われていたような中古が今でも使われています。たいした波じゃなくても、結構揺れます。なぜか出船までの時間、やたらと物売りの人々が勝手に乗り込んできてあれ買えこれ買えと、まあそれはそれは非常に賑やかでした。出船するとそういう連中はいつの間にか消えています。また、ストリートチルドレンみたいなガキンチョ5人くらいが船内でギター弾いて歌うたってチップを要求してきますが、その歌がド下手だったりするので非常に笑えました。


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