漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「舜シュン」<すばやく動く> と 「瞬シュン」「蕣シュン」

2024年08月17日 | 漢字の音符
 シュン  舛部ます           


 上は舜、下は允イン
解字 舜は字形の変遷が複雑で、未だに統一された解釈がありませんが、ここに私見を述べさせていただきます。舜の楚簡第一字は「允イン+火+土」。允インは下の変遷図でも分かるように甲骨文字からあり、戦国期(楚)允インの形はほぼ一致する。允の意味は、「まことに・ほんとうに」だが、その特徴を示す指導者の姿を表している。そこに「火と土」が加わった舜の字形は何を表すのか。この字は伝説上の王である舜が土の上で炎に遭った危機を表している。
 ウィキペディア「舜」によると、舜は母を早くに亡くして、継母と連れ子と父と暮らしていたが、父親達は連れ子に後を継がせるために隙あらば舜を殺そうと狙っていた。舜はそんな父親に対しても孝を尽くしたので名声が高まり、伝説上の古代の王・堯ギョウの元にもうわさが届いた。堯は舜の人格を見極めるために、娘の娥皇と女英の2人を舜に降嫁させた。舜の影響によりこの娘達も非常に篤実となり、また舜の周りには自然と人が集まり、舜が居る所は3年で都会になるほどだった。
 焼き殺ろされようとした舜
 そんな中で舜の家族達は相変わらず舜を殺そうとしており、舜に屋根の修理を言いつけた後に下で火をたいて舜を焼き殺そうとした。舜は2つの傘を鳥の羽のようにして逃れた(以上、ウィキペディアより)。
 楚簡第二字は「人+炎+土」であり人(舜)が炎で焼かれる形を表している。篆文は「匚+炎(ほのお)+舛」の会意で、人⇒匚に変化し、舛は両足が反対方向を向く形だが、ここでは「舞」と同じく素早く足を動かす意。舜は炎(ほのお)から逃れる舜を表している。この字形は現在も中国でとしてあり、舜の本字として残っている。漢代の隷書は、匚の中が火の簡略化した形をへて、現代字は上部が「ノツ冖」に変化した舜となった。舜の字は素早い動きで炎を脱出する姿を描いている(これは私見です)。なお[説文解字]は舜を「草の名」としており、ムクゲにも当てる。(字形の出典は李学勤編「字源」の舜より)
帝舜
意味 (1)中国の伝説上の聖天子の名。五帝(黄帝・顓頊センギョク(暦法の発明)・帝嚳コク・堯ギョウ・舜シュン)のうちの一人。素早い動きで何度も危機をのがれた伝説をもつ。「舜帝シュンテイ」「舜禹シュンウ」(古代の聖王である舜と禹。舜が登用した者のなかに禹がいた。禹は治水を委ねられて洪水の対応にあたり,献身的な努力によって見事な成果をおさめた。そこで舜は禹に王位を譲ることを決めた)「舜典シュンテン」(書経の舜について書かれた編名)(2)むくげ(=蕣)。朝に咲き夕方にしぼむすばやい動きをする花。「舜華シュンカ

イメージ 
 「すばやく動く」
(舜・瞬)
 「形声字」(蕣)
音の変化  シュン:舜・瞬・蕣

すばやく動く
 シュン・またたく  目部
解字 「目(め)+舜(すばやく動く)」 の会意形声。目のまぶたをすばやく動かす。
意味 (1)またたく(瞬く)。まばたく(瞬く)。しばたたく。まじろぐ。(2)瞬きをするくらいの短い間。「瞬間シュンカン」「瞬時シュンジ」「一瞬イッシュン
 シュン・むくげ  艸部
解字 「艸(草木)+舜(シュン)」 の形声。[説文解字]は「木堇モクキン朝に華、暮に落る者。艸に従いシュンの聲(声)」とする。朝にすばやく咲き、夕方にはしぼむ花をもつムクゲを指す。
意味 (1)むくげ(蕣)。槿(むくげ・キン)、木槿(むくげ・モクキン)とも書く。アオイ科の落葉低木。 庭木として広く植栽される。早朝に開花し夕方には萎んでしまう一日花である。「蕣華シュンカ」(むくげの華=舜華)「蕣英シュンエイ」(むくげの英はな」(2)[国]あさがお(蕣)。朝顔。
<紫色は常用漢字>

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