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殳 シュ 殳部るまた shū
解字 甲骨文字は先が大きくなった棒状のものを持っている形。会意文字では鑿のみや撥ばちなどの意味で用いられている[甲骨文字辞典]。棒はまっすぐもあれば曲がっているのもある。金文は曲がった形の先に短い縦線がつき、これを手でもつ形。[簡明金文詞典]は「兵器。刃の有るものと無いものと両種。刃の有る殳形は長い杆(さお)の上を镸(おお)う」とし槍のような武器と思われ、投トウ(なげる)・木殳(これで一字)シュ(たてぼこ)の原字。殳は部首になる。
曾侯乙墓出土の殳シュ https://tieba.baidu.com/p/3124070592
曾侯乙墓(そうこういつぼ)は中国の湖北省随州市曽都区で発見された戦国時代初期の諸侯の墓。
意味 ほこ(殳)。つえぼこ。やりに似た武器。先端に刃のあるものと、ないものがある。「殳杖シュジョウ」(つえぼこ)「殳書シュショ」(ほこ等の兵器に書きこむ書体)
参考 殳シュは漢字の右辺に置かれたとき部首「殳ほこづくり・るまた」になる。ただし、左辺にポピュラーな部首(扌・彳・言・月・骨・彳・疒など)が来たとき、その部首が優先される。意味は甲骨文字で用いられた「うつ・たたく・こわす」などになる。常用漢字で7字、約14,600字を収録する『新漢語林』では36字がある。
常用漢字
殳シュ・ほこ (部首)
殴オウ・なぐる
殻カク・から
毀キ・こわす
段ダン・だん
殺サツ・ころす
殿デン・との
なお、段ダン・殻カク・毀キ・殿デンは音符にもなる。
イメージ
「杖ぼこ(やりに似た武器)」(殳・投・骰・役・疫・設・芟)
「形声字」(股)
音の変化 シュ:殳 セツ:設 エキ:役・疫 コ:股 サン:芟 トウ:投・骰
杖ぼこ
投 トウ・なげる 扌部 tóu
解字 「扌(手)+殳(杖ぼこ)」の会意。杖ぼこを手でなげること。
意味 (1)なげる(投げる)。なげつける。「投下トウカ」「投球トウキュウ」 (2)なげすてる。「投降トウコウ」「投棄トウキ」 (3)いれる。おくる。「投稿トウコウ」「投函トウカン」
骰 トウ・さい 骨部 tóu
モンゴルの羊のくるぶしのさいころ
https://misfitsandheroes.wordpress.com/category/ancient-games/
解字 「骨(ほね)+殳(=投。なげる)」の会意。牛や羊のくるぶしの骨を投げる賭けごとや遊び。上に出た骨の形であらかじめ取り決めをしておいて遊ぶ。のち、立方体に点や数字を刻む形になった。
意味 さい。さいころ。「骰子トウシ・さいころ」(角や象牙などの小さな立方体に数字を記したもので、双六や賭けごとに用いる)「骰戯トウギ」(①サイコロ遊び。②博打ばくち。博奕バクエキ)「骰盤トウバン」(すごろく盤)
役 ヤク・エキ 彳部 yì
解字 「彳(ゆく)+殳(杖ぼこ)」の会意。杖ぼこを持って辺地を守りに行く意で「いくさ・兵役」の意味となる。のち、しごと・つとめ・つかう意味にもちいる。
意味 (1)使う。使われる。「使役シエキ」「雑役ザツエキ」 (2)人民に課する労働。「服役フクエキ」「賦役フエキ」 (3)つとめ。仕事上の位置。「役職ヤクショク」「役員ヤクイン」 (4)いくさ。戦争。「戦役センエキ」「軍役グンエキ」
疫 エキ・ヤク 疒部 yì
解字 「疒(やまい)+殳(=役。広範な人を苦しめる戦争)」の会意。広くすばやくひろがり多くの人々を苦しめる病気。後漢の[説文解字]は、「民(たみ)皆(みな)疾(やまい)也(なり)。疒に従い役の省(略す)聲(声)」とする。
意味 流行病。えやみ。「疫病エキビョウ」「検疫ケンエキ」「疫病神ヤクビョウがみ」
設 セツ・もうける 言部 shè
解字 「言(ことば)+殳(=役。人を使う)」の会意。言葉で人を使ってこしらえさせる。後漢の[説文解字]は「施(つら)ね陳(なら)べる也(なり)。言に従い殳に従う。殳は人を使う也(なり)」とする。
意味 もうける(設ける)。しつらえる。そなえる。「設営セツエイ」「設備セツビ」「設問セツモン」
芟 サン・セン・かる 艸部 shān
解字 「艸(くさ)+殳(杖ぼこ)」の会意。杖ぼこの刃先で草を薙ぎ倒すように刈ること。後漢の[説文解字]は「艸を刈る也(なり)。艸に従い殳に従う」とする。
意味 (1)かる(芟る)。草をかる。「載(すなわ)ち芟(か)り載(すなわ)ち柞(き)る」(詩経「載芟サイサン」) (2)のぞく(芟く)。削除する。(「芟除サンジョ」(刈り除くこと。 比喩的に、悪人、悪弊などを除き去ること)「芟正サンセイ」(取り除いて正(ただ)す) (2)姓。「芟花かりはな・かりか」
形声字
股 コ・また・もも 月部にく gǔ
解字 「月(からだ)+殳(シュ⇒コ)」の形声。後漢の[説文解字]は「髀ヒ(ふともも)也(なり)。肉に従い殳コの聲(声)」とし、ふともも(太腿)の意とする。股コは、一方のふともも(太腿)の意であり、両ももの間は胯コであり、またぐ意は跨コで表す。日本では、股(また)と読んで両ももの間の意味でも用いる。
意味 (1)もも(股)。脚の膝から上の部分。大腿。「太股ふともも」「両股リョウコ」(両もも)「股肱ココウ」(①ももと、うで(ひじ)。手足。②主君の手足となって働く家来。)「股引ももひき・またびき」(両股(もも)まで引きあげる、脚と腰をおおうズボン型下着) (2)[日本]また(股)。両もものあいだ。またぐら。「股間コカン」(またのあいだ。=胯間)「股旅またたび」(旅をしてあるくこと)「二股ふたまた」(もとが一つで末が二つに分かれたもの)
<紫色は常用漢字>
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殳 シュ 殳部るまた shū
解字 甲骨文字は先が大きくなった棒状のものを持っている形。会意文字では鑿のみや撥ばちなどの意味で用いられている[甲骨文字辞典]。棒はまっすぐもあれば曲がっているのもある。金文は曲がった形の先に短い縦線がつき、これを手でもつ形。[簡明金文詞典]は「兵器。刃の有るものと無いものと両種。刃の有る殳形は長い杆(さお)の上を镸(おお)う」とし槍のような武器と思われ、投トウ(なげる)・木殳(これで一字)シュ(たてぼこ)の原字。殳は部首になる。
曾侯乙墓出土の殳シュ https://tieba.baidu.com/p/3124070592
曾侯乙墓(そうこういつぼ)は中国の湖北省随州市曽都区で発見された戦国時代初期の諸侯の墓。
意味 ほこ(殳)。つえぼこ。やりに似た武器。先端に刃のあるものと、ないものがある。「殳杖シュジョウ」(つえぼこ)「殳書シュショ」(ほこ等の兵器に書きこむ書体)
参考 殳シュは漢字の右辺に置かれたとき部首「殳ほこづくり・るまた」になる。ただし、左辺にポピュラーな部首(扌・彳・言・月・骨・彳・疒など)が来たとき、その部首が優先される。意味は甲骨文字で用いられた「うつ・たたく・こわす」などになる。常用漢字で7字、約14,600字を収録する『新漢語林』では36字がある。
常用漢字
殳シュ・ほこ (部首)
殴オウ・なぐる
殻カク・から
毀キ・こわす
段ダン・だん
殺サツ・ころす
殿デン・との
なお、段ダン・殻カク・毀キ・殿デンは音符にもなる。
イメージ
「杖ぼこ(やりに似た武器)」(殳・投・骰・役・疫・設・芟)
「形声字」(股)
音の変化 シュ:殳 セツ:設 エキ:役・疫 コ:股 サン:芟 トウ:投・骰
杖ぼこ
投 トウ・なげる 扌部 tóu
解字 「扌(手)+殳(杖ぼこ)」の会意。杖ぼこを手でなげること。
意味 (1)なげる(投げる)。なげつける。「投下トウカ」「投球トウキュウ」 (2)なげすてる。「投降トウコウ」「投棄トウキ」 (3)いれる。おくる。「投稿トウコウ」「投函トウカン」
骰 トウ・さい 骨部 tóu
モンゴルの羊のくるぶしのさいころ
https://misfitsandheroes.wordpress.com/category/ancient-games/
解字 「骨(ほね)+殳(=投。なげる)」の会意。牛や羊のくるぶしの骨を投げる賭けごとや遊び。上に出た骨の形であらかじめ取り決めをしておいて遊ぶ。のち、立方体に点や数字を刻む形になった。
意味 さい。さいころ。「骰子トウシ・さいころ」(角や象牙などの小さな立方体に数字を記したもので、双六や賭けごとに用いる)「骰戯トウギ」(①サイコロ遊び。②博打ばくち。博奕バクエキ)「骰盤トウバン」(すごろく盤)
役 ヤク・エキ 彳部 yì
解字 「彳(ゆく)+殳(杖ぼこ)」の会意。杖ぼこを持って辺地を守りに行く意で「いくさ・兵役」の意味となる。のち、しごと・つとめ・つかう意味にもちいる。
意味 (1)使う。使われる。「使役シエキ」「雑役ザツエキ」 (2)人民に課する労働。「服役フクエキ」「賦役フエキ」 (3)つとめ。仕事上の位置。「役職ヤクショク」「役員ヤクイン」 (4)いくさ。戦争。「戦役センエキ」「軍役グンエキ」
疫 エキ・ヤク 疒部 yì
解字 「疒(やまい)+殳(=役。広範な人を苦しめる戦争)」の会意。広くすばやくひろがり多くの人々を苦しめる病気。後漢の[説文解字]は、「民(たみ)皆(みな)疾(やまい)也(なり)。疒に従い役の省(略す)聲(声)」とする。
意味 流行病。えやみ。「疫病エキビョウ」「検疫ケンエキ」「疫病神ヤクビョウがみ」
設 セツ・もうける 言部 shè
解字 「言(ことば)+殳(=役。人を使う)」の会意。言葉で人を使ってこしらえさせる。後漢の[説文解字]は「施(つら)ね陳(なら)べる也(なり)。言に従い殳に従う。殳は人を使う也(なり)」とする。
意味 もうける(設ける)。しつらえる。そなえる。「設営セツエイ」「設備セツビ」「設問セツモン」
芟 サン・セン・かる 艸部 shān
解字 「艸(くさ)+殳(杖ぼこ)」の会意。杖ぼこの刃先で草を薙ぎ倒すように刈ること。後漢の[説文解字]は「艸を刈る也(なり)。艸に従い殳に従う」とする。
意味 (1)かる(芟る)。草をかる。「載(すなわ)ち芟(か)り載(すなわ)ち柞(き)る」(詩経「載芟サイサン」) (2)のぞく(芟く)。削除する。(「芟除サンジョ」(刈り除くこと。 比喩的に、悪人、悪弊などを除き去ること)「芟正サンセイ」(取り除いて正(ただ)す) (2)姓。「芟花かりはな・かりか」
形声字
股 コ・また・もも 月部にく gǔ
解字 「月(からだ)+殳(シュ⇒コ)」の形声。後漢の[説文解字]は「髀ヒ(ふともも)也(なり)。肉に従い殳コの聲(声)」とし、ふともも(太腿)の意とする。股コは、一方のふともも(太腿)の意であり、両ももの間は胯コであり、またぐ意は跨コで表す。日本では、股(また)と読んで両ももの間の意味でも用いる。
意味 (1)もも(股)。脚の膝から上の部分。大腿。「太股ふともも」「両股リョウコ」(両もも)「股肱ココウ」(①ももと、うで(ひじ)。手足。②主君の手足となって働く家来。)「股引ももひき・またびき」(両股(もも)まで引きあげる、脚と腰をおおうズボン型下着) (2)[日本]また(股)。両もものあいだ。またぐら。「股間コカン」(またのあいだ。=胯間)「股旅またたび」(旅をしてあるくこと)「二股ふたまた」(もとが一つで末が二つに分かれたもの)
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