漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「召ショウ」<めす・まねく> と「招ショウ」「沼ショウ」「昭ショウ」「紹ショウ」「詔ショウ」「照ショウ」「超チョウ」

2021年04月11日 | 漢字の音符
 ショウ・めす  口部

解字 甲骨文第1字は、「人(ひと)+口(口でよぶ)」 の会意。人を言葉(口)で呼び出すこと。甲骨文第2字は、人が形の似ている刀に置き換わった字。甲骨・金文は、人と刀が似た字形で混同されることがある。金文から刀の字形が残り、現代字に続いている。意味は、甲骨文第1字の人を「めしだす」こと。「めしだす」ことは、「まねく」ことでもあり、招ショウの原字。音符イメージは、「めしだす」「まねく」となる。
意味 (1)めす(召す)。呼び出す。「召喚ショウカン」(よび出す)「召還ショウカン」(よび戻す)「召集ショウシュウ」 (2)まねく(=招) (3)[国]尊敬語。「思し召す」「召しあがれ」

イメージ 
 「めしだす」(召・詔) 
 「まねく」(招・沼・昭・照・紹・韶)
 「同音代替」(超・貂)
音の変化  ショウ:召・詔・招・沼・昭・照・紹・韶  チョウ:超・貂

めしだす
 ショウ・みことのり  言部
解字 「言(言葉)+召(めす)」の会意形声。人を召し出して告げる言葉。
意味 みことのり(詔)。天皇の言葉。「詔勅ショウチョク」(天皇が発する公文書)

まねく
 ショウ・まねく  扌部
解字 「扌(手)+召(まねく)」の会意形声。手まねきすること。
意味 (1)まねく(招く)。「招致ショウチ」(まねきよせる)「招待ショウタイ」「招聘ショウヘイ」(人を招き呼ぶ) (2)まねく。もたらす。「招災ショウサイ」(災いを招く)
 ショウ・ぬま  氵部
解字 「氵(水)+召(まねく)」の会意形声。川の流域が変わり、その結果、本流から水を招きいれたようになってできた沼。沼は自然に形成されたもの、池は掘って作ったものをいう。 
意味 ぬま(沼)。湖の小さくて浅いもの。「沼池ショウチ」(沼や池)「沼浜ショウヒン」(沼のほとり)
 ショウ・あきらか  日部
解字 「日(日光)+召(まねく)」の会意形声。日をまねく意。日光が輝いて明るいこと。
意味 (1)あかるい。あきらか(昭か)。「昭然ショウゼン」(あきらかなようす) (2)世の中がよくおさまる。「昭代ショウダイ」(よく治まっている世)「昭和ショウワ」(日本の年号。1926.12.25~1989.1.7)
 ショウ・てる・てらす・てれる  灬部れっか
解字 「灬(火)+昭(あきらか)」の会意形声。火の光で明らかにすること。照らすこと。
意味 (1)てらす(照らす)。てる(照る)。「照明ショウメイ」「照射ショウシャ」 (2)てり。ひかり。日の光。「残照ザンショウ」「日照ニッショウ」 (3)てらしあわせる。見比べる。「照合ショウゴウ」「照会ショウカイ」(問い合わせる) 
 ショウ  糸部
解字 「糸+召(まねく)」の会意形声。呼び寄せて糸でつなぐ意。
意味 (1)つぐ。うけつぐ。「紹述ショウジュツ」(前人の後を受けついで述べ行なう) (2)とりもつ。引き合わせる。「紹介ショウカイ」 (3)地名。「紹興ショウコウ」(中国浙江省の都市)「紹興酒ショウコウシュ」(紹興で作られる醸造酒の一種。もち米を原料とし長期熟成させたもの)
 ショウ  音部
解字 「音(音のひびき)+召(まねく)」の会意形声。音のひびきをまねく意で、ひびきのよい音の意。中国の伝説上の天子「舜シュン」が作ったといわれる舞楽の名。転じて、うつくしい・あきらかの意で用いられる。
意味 (1)舞楽の名。「韶舞ショウブ」(舜の舞楽の名)「韶武ショウブ(舜の楽と周・武王の楽) (2)うつくしい。うららか。「韶景ショウケイ」(うつくしくうららかな春の景色)「韶艶ショウエン」(うつくしく艶やか)「韶麗ショウレイ」(うつくしくうるわしい)「韶曼ショウマン」(韶も曼も、うつくしい意) (3)あきらか。「韶暉ショウキ」(明らかに輝く) (4)地名。「仰韶ギョウショウ」(中国の河南省北西部、洛陽西方にある新石器時代の彩陶文化遺跡名。中国読みではヤンシャオ)

同音代替
 チョウ・こえる・こす  走部
解字 「走(足の動作)+召(チョウ)」の形声。チョウは跳チョウ(とぶ)に通じ、とびこえる意。 
意味 (1)こえる(超える)。度をこす。「超越チョウエツ」「超過チョウカ」「超満員チョウマンイン」 (2)ぬきんでる。「超人チョウジン
 チョウ・てん  豸部
解字 「豸(けもの)+召(=超。とびこえる)」の会意形声。平野部の森林にすみ、木にのぼったり、枝をとびこえたりして生活するけもの。
意味 てん(貂)。イタチ科の哺乳類。山林で単独生活し雑食性。黄鼬(てん)とも書く。毛皮をとり、尾は冠飾りに用いた。「貂裘チョウキュウ」(てんの毛皮の衣)「貂冠チョウカン」(てんの尾飾りの冠)
<紫色は常用漢字>

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