漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「畀ヒ」<かぶら矢・矢じり> と「痹ヒ」「鼻ビ」

2015年10月21日 | 漢字の音符
 ヒ 田部

解字 金文は先に大きな矢じりのついた矢の形で、かぶら矢、また矢じりを表す。現代字は上部が田に、下部が丌からなる畀となった。あたえる・たまう意となるのは、儀式などの場で、矢じりをあたえることからと思われる。
意味 あたえる。たまう。「畀予ヒヨ」(あたえる。畀も予も、あたえる意)

イメージ 
 「あたえる」
(畀)
 「かぶら矢・矢じり」(痹)
 「形声字」 (鼻・嚊・嬶)
音の変化  ヒ:畀・痹・嚊  ビ:鼻  かかあ:嬶

かぶら矢・矢じり
 ヒ  疒部
解字 「疒(やまい)+畀(矢じり)」の会意形声。畀はここでは毒矢の矢じり。痹は、毒矢に当たり身体の感覚がなくなること。現在は、同音の卑を用いた痺が通用する。
意味 しびれる(痹れる)。(=痺れる)。「痲痹マヒ」(痲も痹も、しびれる意。=麻痺。痲痺)

形声字
  ビ・ヒ・はな  鼻部

解字 旧字は、「自(はな)+畀(ヒ)」の形声。自は、もともと鼻の象形で「はな」の意。「はな」の発音であるヒ(畀)をつけて鼻を表した。しかし、もともと鼻の意であった自の発音はジ・シである。これがなぜヒの発音になったのか。はっきりしないが、ヒの音は鼻息の音を表しているとされる。
 新字体は、畀の丌⇒廾に変化した鼻。日本語の「はな」は、端(はな。先端)から来ている。漢字でも同じく先端の意から「はじめ」の意がある。
意味 (1)はな(鼻)。「鼻息はないき」「鼻孔ビコウ」(鼻のあな) (2)はじめ。「鼻祖ビソ」(始祖。元祖)
 ヒ  口部
解字 「口(くち)+鼻の旧字」」の会意形声。口から鼻の息がでること。
意味 (1)はないき。(2)[国]かかあ。(=嬶)。
<国字> かかあ  女部
解字 「女(おんな)+鼻の旧字(=嚊の略体)」の会意。この字で鼻は、嚊(はないき)の略体。嬶かかあは、鼻息のあらい女の意で、妻をたわむれ親しんでよぶ呼称。
意味 かかあ(嬶)。かか。自分の妻をたわむれ親しんで呼ぶ呼称。「嬶天下かかあデンカ」(妻が夫より権力をもち、いばっていること。⇔亭主関白)
<紫色は常用漢字>

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