石造美術紀行

石造美術の探訪記

『近江の石造遺品』の著者 故・池内順一郎先生の展覧会行ってきました。

2008-02-20 23:09:22 | お知らせ

故・池内順一郎先生の展覧会行ってきました。『近江の石造遺品』の著者 故・池内順一郎先生の展覧会、雪をついて草津市の「しが県民芸術創造館」に行ってきました。会場のプロフィール紹介で知ったのですがお生まれは大阪だったんですね。仏足石や格狭間孔雀文などの拓本がメインでした。湖西市の少菩提寺跡の多宝塔や朝国の観音寺跡宝篋印塔(伝時頼塔)の拓本は一見の価値があります。使ってみえた拓本道具、特に黒いバッグの色つやや質感は印象的でした。地域の歴史や文化財に関する講演やセミナーの講師も数多く務められたようで、その際のレジュメ、手持ち原稿、さらには『湖国と文化』の編集過程の原稿は読みやすい癖のないタッチの肉筆も生々しいものでした。故人を偲ぶ遺品の数々を目の当たりにでき、雪をついて来た甲斐がありました。先生のライフワークであった石造物の美術的、文化財的な価値や調査の魅力が観る人に伝わり、近江に第二、第三の池内先生が出てくることに期待したいです。でも展覧会は2008年2月24日(日)までです。近江の石造マニアは必見!ぜひ観覧されたし。入場無料です。

ただ、ちょっと気になったのは、個々の拓本に解説がなかったことです。池内先生が調査され記録を残された数多くの石造物の中には、現在は既に失われたものもあるかもしれません。どこのどういう価値がある石造物の拓本なのか、わからないままでは先生が本当に伝えたかったことがちょっと届かないのでは?と思いました。ひょっとすると石造物の場所がわかると盗難などの危険性があるので、わざとそうしているのでしょうか・・・。